※こちらの記事は2021年8、9月に実施した進化型組織の作り方セミナーの内容を一部抜粋してQ&A形式でお届けしています。
2021年進化型組織の作り方セミナー DXOテキスト Q&Aシリーズ
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Q:組織OSとは?
組織OSとは、「意思決定の仕組み」であると定義しました。
OSが組織の中にインストールされていて、それに基づいて教育制度や評価制度、マネジメント(などの“アプリ”)が機能しているという考え方です。
乾:組織構造によって意思決定の仕組み(OS)が決まっています。
管理型OS、同意型OS、進化型OS、丸い円が3つ並んでいます。
我々が目指しているのは進化型OSですが、管理型や同意型も含んでいます。
ここはポイントなんですが、管理型、同意型が決して悪いわけじゃないということです。
時と場合によっては管理型で意思決定もするよね、という考え方に立っています。
管理型OS
起案者が上司などの決裁者から承認を得る流れ。
メリットは、決裁者が明確なため、社内の共通認識が図りやすいこと。
デメリットは、起案者と決裁者が分断されていること。そのため起案者の主体性が奪われやすい。また、決裁者のスキルに依存しやすいこと。
同意型OS
起案者が色んな関係者と話し合いの場を持って、それぞれ同意、賛同してくれるような進め方。合議制です。
メリットは、みんなが同意しているので全体の納得感が得られやすい。
一方、デメリットはみんなの意思を確認しないといけないので、スピードが遅いことと、みんなが納得しないと進まないので、意見が中庸に収まりがち。新しいアイデアや突飛なアイデアが生まれにくいです。
進化型OS
意思決定の仕組みは、同意型と少し似ているように見えますが、違います。
進化型OSは提案する人が意思や想いを表明する場があって、それを場に投げる。それに対して関係者が助言(アドバイス)をする。
そのアイデアを実行するならこんな風にした方がいいんじゃないか。それはやめた方がいいんじゃないか。など関係者から助言をもらう。
助言をもらった上で、提案者がその助言を真摯に受け止めて検討し、やるのかやらないのかの最終決定は、提案した人が決めてよい。
坂東:助言というのは承認ではないんですよね。予算かかりすぎじゃない?とか、いくら上司に当たる人から言われてもそれは助言でしかない。
乾:やめたほうがいいなどの助言も含めて色々検討した結果、でも自分はやった方がいいと意思決定できれば、それは進化型OSの仕組みになっています。
武井:実態としては、みんなにアドバイスをもらってちょっとアイデアも変わって、またアドバイスもらってってなると、誰のアイデアだっけ?と、いい感じにあやふやになっていく。でも、それがみんながオーナーシップを持つということなんですよね。そこが不思議ですよね。これ、意思決定の仕組みとしてここに書いているんですけど、こうやって書くと個々人が好き勝手に意思決定できるような仕組みに感じちゃうんですが、実際は自分が提案した意志が組織全体の意志に育つという感覚なんです。だから、個々が勝手に意思決定するのと全然違います。だけどこうやって書くとちょっと勘違いされそうじゃないですか。好き勝手やれると見えがちだし、言葉で説明しようとすると、どうしてもそうなっちゃうんですよね。
だけど、このへんの感覚は実践してきた僕らとしてあるじゃないですか。
▶︎助言プロセス実践事例 (ビルメンテナンス業)
乾:僕がサポートさせていただいた会社の女性社員の方が、初めて助言プロセスに取り組まれました。
提案内容は、現場で必要な機械を購入したいっていう提案。助言プロセスの場にこの提案を投げました。けっこうな高額機械。でも、現場で仕事をやっていくにはどうしても必要なものだったんです。それを助言プロセスで提案して自分が決められる。DXOを通じてその会社は、そういう仕組みになったんですが、いざ提案しようと思ったらめちゃくちゃ躊躇して「怖い」という思いが出てきた。今までお金のことは全部社長が決めていたので。
その後、頑張って助言プロセスを使って提案した後に、やってみてどうでしたか?と感想を聞いたら…
その場で号泣し出したんです。
どうしたんですか?って聞いたら「この助言プロセスをあげるのが怖くて10日間眠れなかった。」って。そんなに悩む程、自分で提案して自分で決めるって、組織の中にいると経験したことがないことなんだなって感じたんです。
坂東:今までも提案はしていたんですよね?
乾:今まではこれ買ってくださいって社長に言うだけ。買ってくれてありがとうという気持ちはあったけど、今回自分で考えて決めて買うと、その機械が愛おしくてしょうがない。
他のメンバーに「丁寧に扱ってよ!」と言って回ったそうです(笑)
今まで社長がいってたことを、メンバーが他のメンバーに言うようになった。その時に社長の気持ちが分かったっていってました。提案して社長が決めるのか、提案して意見をもらって自分で決めるのかは、そんなに違いがなさそうですが、大違いです。
その後、社長とも話したんですけど、社員全員がそういう意識になったら、うちの会社はすごく強くなるだろうなって思った。と。それはそうですよね。自分ごと化する人しかいないので。
武井:これは成人発達理論の観点からも説明できて、知識や情報はインプットすれば手に入るんですが、それは進化ではなくてアプリケーションが増えていくようなもんですよね。
だけど、縦の成長、垂直方向の成長って人間性の成長を指します。
この縦方向の成長は主体的な体験を通じてしか得られないんですよね。つまり、自分ごとの経験をしなければ人間的成長は起きないんですよ。
でも、今までの組織って社長が全部握ってて、全部するんで、社長の経験値はどんどんあがっていくんだけど、現場の人は社長に任せるから上がらないという成長の格差が起こる。それが縮まらないから、社長が自分だけで決めていく。そして現場は言われたことだけやるっていうループ。
みんなで話し合いながらも、意思をもった人が決めていくことを会社全体で繰り返していく。そうすると、会社で起きたことの経験値がみんなの経験値になる。だからみんなが成長しやすくなる。もちろん、全部のことを全員で考えなきゃいけないわけじゃなくて、適材適所で意思決定の範囲を分散していかないと、全員が会社のこと全部考えるって非効率。なので、そこもけっこう気をつけないといけないところです。
乾:進化型OSは意思決定の仕組みで、個人が一人で決めるような話のように思えて、実は組織全体で決めたようになっていく。そこがこのOSのすごいところだと思うんですね。
この意思決定の仕組みを導入するために、DXOのプログラムは作られています。この意思決定の仕組みがスムーズにできるように、各ユニットで組織構造を整えていくことがDXOではできるようになっています。
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