2021年進化型組織の作り方セミナー DXOテキスト Q&Aシリーズ(過去記事)
目次
Q2. 会社のコアコンピタンス(強み)が炙り出されるワークショップのポイント
Q1:ビジネスモデルの5つの業務分類とは?
武井: 5つの業務分類はDXOで初めて定義しました。
0から会社を作ってきた中で、会社を経営するのに何が必要なのか手探りでした。そうして辿り着いたのがこの定義です。
全ての組織と全てのビジネスモデルは5つの業務分類(作る、売る、回す、支える、経営)で説明できるということです。
組織は人間の体と一緒で脳も、腸も、心臓も全ての臓器が必要でそれぞれ役割がある。
会社も同じように必要不可欠な機能があります。
まず骨格を作ってから肉をつけるんですよね。その骨の部分となるのがこの5つなんです。
5つのうち「経営」の役割は、ヒューマンリソースとエコノミックリソースの調達と分配と最適化に尽きますね。
現実の組織では、この5つが重なりあっていたり、人が行き来してぐちゃぐちゃしてるんで、認識しにくいですが、この5つを整えないと「人」に依存した組織になっちゃうんですよ。
それは組織にとってリスクでしかない。
仕事をチームとして機能させるためにこの5つは必要不可欠です。
DXOのでは、1つのチームを3〜8人で構成し機能を持たせる。そうするとナレッジが共有されて、人が入れ替わっても機能し続ける組織になっていきます。
Q2:会社のコアコンピタンス(強み)が炙り出されるワークショップのポイント
武井: 5つの業務分類で整理すると、自社の強みがクリアになるんですよ。
営業力が強いと思ってたけど、実はオペレーションで顧客との関係性を作る方が得意だったり。実は商品がただただ素晴らしかったというケースもあるでしょう。それが炙り出されたときに、コアコンピタンス(会社の強み)は絶対に守らなければいけない。そうすると、内部リソースはその部署に注力しようとか、実はコストで判断しちゃいけない部分だったというのが分かってきたり、逆に他はアウトソースしてもいいんじゃない?というように、コア業務とノンコア業務が分かってくきます。
そうすると他社との違い、自社の強みがさらに強くなっていきます。
Q3:業務整理、業務の棚卸のポイントは?
武井: 業務整理でよく起きる問題が業務項目を出しすぎちゃうこと。
細かすぎるってことです。そうすると、いたずらに仕事が増えたり確認事項が増えて、どんどんやらされ感に繋がっていきます。
マネジメントの役割は仕事を減らすことなんですよ。
逆にいうと仕事を増やす人はマネジメントの仕事は向いてないです。
組織の中でマネジメントできない人がマネジメントするとみんな疲弊していきます。
その人自身が悪人なわけでもないし、みんな一生懸命やってるんだけど、何かパフォーマンスが悪いという状態に陥っていくんですよね。
仕事ってほっておくとどんどん増えていくんです。これは家の中に荷物が増えていくのと一緒で、マネジメントの役割は掃除したり、断捨離することなんですよ。
乾: 確かにDXOのインストール先で業務の整理をやらせていただいていると、業務一つ一つの目的を確認しても、意外と目的が分からない業務が出てくるんですね。そしてその業務のほとんどが管理するための仕事なんです。
上司が管理しやすくなることが目的で、その仕事自体は何も価値を生み出していないという。
業務整理をすると、これが見えてくるのが面白いです。
武井:ヒエラルキー的組織の管理の場合、仕事の質はマネジャーの腕に依存します。
仕組みを整えるより、その人の能力で「できる」「できない」が別れていく。
そして多くの企業がマネジメント層が育たないって言ってます。
でも、DXOは管理するための仕事をどんどんDX化して業務の仕組みを整えていくんですよね。
Q4:チームの編成人数は3人〜8人。なぜですか?
武井: これ超重要かつ即効性があるのでぜひ知っていただきたいです。
一つのチームが3人以上8人以下である理由は2つあります。
一つ目は、人間は1対1だと意見が食い違った時に、相手の意見を尊重するか自分の意見を通すかの2項対立になります。しかし、その時もう1人いるだけで意見がグルグル回って、個人の意見やアイデアではなく集団としての最適解に辿り着く文脈形成がしやすいんですよ。
DXOでは合意形成ではなく、文脈形成と言いってますが3人以上8人以下で話し合うと文脈形成がしやすいです。
組織デザインをする時の最小単位は個人ではなく、チームなんです。
チームとして機能しているかどうか。そうすると個人が優秀かどうかは二の次になるので人に対して優しくなれます。
常に議論をチームに持っていく。チームとしてどうか?と。それがまずは3人というチームの単位です。
「8人」というのは、リンゲルマン効果で検証されています。
運動会の綱引き競技は、人数が多くなればなるほど1人あたりの引っ張る力が減っていくということが証明されました。その限界が8人。8人超えると急激に1人あたりの仕事量が減って半分以下になる。これはこの組織で頑張らなきゃいけないという当事者意識の話と繋がります。
8人以下でそれぞれ明確な役割を分担していくと責任感と当事者意識が勝手に高まるんです。
もう一つの理由はコミュニケーションのし易さです。
8人チームだと、1人は残り7人と関係性を作ることになります。
これが9人以上になると負担感が一気に増える。そうなるとコミュニケーションコストが増えちゃうので、9人以上になったら2チームに分けた方が良いです。
必ずしもこれが正解ではなく、企業によっての最適は若干異なって良いとは思いますが、これを覚えておくだけで役に立つし、何より人間同士、個人同士の対立が減るので、まずは3人以上というのは本当にオススメです。
Q6:KPIを設定する理由と達成型組織のKPIとの違いとは?
武井: オレンジ型組織、達成型組織ではKPIは最終的に売り上げの最大化になっちゃいますけど、KPIをどこに設定するのかがすごく重要です。目標を立てることが悪いわけではなく目標が目的になるのが本末転倒になるという話です。
数字はただ事実として認識するために必要だと思っています。あとはそれを定期的に見るだけ、以上。
目指すものではなく、メーターみたいなものですよね。スピードメーターとか。それを見て把握するためのものです。
それをメンバーみんな見ることができたら、「今いい感じだね」なのか、「ちょっと頑張らないといけないね」なのか、分かりますよね。
乾: 数字というと組織で働いている人は上から降ってくる目標を思い浮かべますけど、DXOは現状を把握するために必要なものなんですね。
武井: 人を管理しない代わりに、事実、数字を管理する。
坂東: 一般的な会社もそうであるはずなのに数字が人を管理する道具になりがちですよね。
Q5:お金の流れを整えよ!とは?
武井: 自律分散的な組織をつくるには、何がなんでも管理会計の仕組みを導入して欲しいです。場合によっては事業部採算制をとって、お金の流れを可視化できるように整えることが重要です。僕の感覚だと、ほとんどの会社はここが整っていません。お金の流れが整っていないのに、みんなでやりたいことやろうよって言うと暴走が起こります。
坂東: 暴走もありますが、逆に走れないっていうのもありますよね。真っ暗闇で走っていいぞって言われてもめちゃめちゃ怖いですからね。
武井:VUCAの時代って言いますけど、何も計画しないのは無謀なんですね。不確実性を味わって活かすためには確実な部分はきちんとしておかないと、不確実性の部分の純度が上がらないんですよ。
だからシミュレーションを立てます。過去の売り上げから予測して、現実的な見込みを出した上で、アップサイドがどのくらいあるか、それを自分たちはどのくらいやりたいのかっていう話し合いをします。予測決めについても2循環の法則をとると良いと思います。
現場の人たちがどのくらいやりたいかという気持ちを出して、全体予測と照らし合わせた時に、そうはいってもリアルはここだから、そこは守らないといけないよねっていう全体のフィードバックがある。その上でまた現場でどのようにやるのがいいのかなと考える。
予測についても2循環がいいですね。
乾: それって現場の状況から積み上げていくような話で、トップが今期はこれだけやるぞ!って下に落とすものと全然違いますよね。
武井: トップダウンが悪いわけでも、ボトムアップがいつもいいわけでもない。両方あっていい。それを循環させることが重要なんです。