※こちらの記事は2021年8、9月に実施した進化型組織の作り方セミナーの内容を一部抜粋してQ&A形式でお届けしています。
目次
Q1:経営を進化させる実践書DXOとは
DXOとは、進化型組織をデザインする、全13回のワークショッププログラムのことであり、単語自体に組織(オーガニゼーション)をデジタルの力をつかい、オープンにデザインすることでトランスフォーメーションを起こしましょう、それが結果として組織の可能性の開放(Open)にもつながる、という意味も込めています。
Q2:他のプログラムとの違いは?
組織は、個人と全体、組織の内側と外側、この2つの軸に合わせて4象限に分けられると言われています。
4つの象限に分けて考えると、組織変革プログラムの多くは個人の行動を変えることに焦点が当たっているものが多いです。
例えば、マナー研修、コミュニケーション研修、モチベーション研修、これらは組織にいる個人の行動にアプローチしています。
実際、個々人の行動が変わらないと組織の行動が変わらないというのはあるんですが、研修を受けて「よしやるぞ!」とその場でなっても、会社に戻ると会社の構造自体がそのやる気を受け入れる形になっていない。
だから、研修の効果が薄れてしまいやすいというケースも多く見受けられます。
ですが、DXOは直接個人の行動にアプローチするのではなくて、組織の外側、つまり組織構造にアプローチします。そうすることで、4象限それぞれに自然とアプローチできるようになっています。
組織の外側を整えれば、個人の行動や組織の文化が自然に変わっていく。
ここが他のプログラムとは全く違っている部分じゃないかなと思っています。
Q3:プログラムの進め方は?
武井「会社を営んでいくと、中では色んなことが同時に起きていて、どこから順に扱っていけばいいのか、整えていけばいいのかってバタバタなわけです。
でも、こういうプログラムで順序だてないとみんなが扱えるものにならない。
ステップを踏んで進めるのは、すごく現実的なものだと僕は思っています。
しかも、現実的にどんな会社でも扱えるようなステップでありながら、あらゆるロジックに基づいて設計されています。
たとえば、関係から始まるっていう0のユニットなんていうのも、アメリカのMITの教授であるダニエル・キムさんが提唱している成功循環モデル、関係から始めているというロジックに基づいていたり、個人と集団についても、インテグラル理論でなどの裏付けを担保しています。
どこからどう手をつけていけば?と混沌とした会社の中でも、このプログラムに則って進めていくと、もちろんその最中で色んなことは起こるけれども、1回転2回転くらいするとかなり会社が整理できます。」
坂東「やればやるほどこの順番がいいなぁと実感しています。今まで色んな組織課題に取り組んできたのですが、組織課題ってすごく各論なんですよね。マネージャーが育たない、若手社員の意欲があがらない、経営幹部がものすごい蓋しちゃってて硬直化してるとか。
本当に困っているんですが、それに各論で対応しようと思っても、結局はすべての要素がバランスよく整うってことが大事で、この要素を整えていく時にこの順番でやるのが一番スムーズなんです。
課題と思っていることと本質的なことが同時に解決できるので、毎回DXOを使ってプログラムを進めさせていただくたびに、やっぱりこの順番でやらなきゃいけない。と痛感しています。
例えば、経営幹部が硬直化してると言われても、ユニット0をさしおいてその各論に取り掛かることはできないし、その次に、ユニット1の「言葉」。じゃあ、やっと経営幹部にアプローチしようとしてもやっぱりそうじゃなくて、形整えたり、役割分担したり、情報の透明化もしないといけないよなという感じになるんですよね。
結局、遠回りなように見えて、この順番でやっていくのが最も近いしスムーズだと実感しています。」
乾「Day0からDay13までのワークショップ形式でプログラムは進行します。
WSは組織の中で、組織改革に興味のあるプロジェクトメンバーを募って、そのプロジェクトメンバーがWSをやっていく上で他の組織のメンバーもどんどん巻き込んでいきながらやっていくと組織全体が整っていきます。
WSとアクション(宿題)が対になっています。
WSをやって、次のWSまでの間にアクション(宿題)をやっていく。最終的にDay13で組織構造が整って進化型組織になっていくというプロセスを踏めます。
このWSはDay0が準備期間でDay1から始めます。およそ2週間に1回のペースで進める想定で、Day13までが約半年間。半年かけて組織構造が整うという構成になっています。」
Q4:なぜ今進化型組織なのか?
武井「資本主義が全てダメだとか、今すぐにそれを壊して新しいものを作らなきゃというゼロサムな話ではなくて、僕らもお金がないと生きていけない。
高度経済成長期の頃は、ピラミッド型の組織が一番いい形だった。
戦後何もなかったところから、人口も増えて、豊かになって、会社も大きくなって、みんなハッピー。みんなハッピーになる上でヒエラルキーがよかった。
でも、先進国を中心に、人口も頭打ちになったり、インターネットが生まれて産業構造自体が抜本的に切り替わっていったり、そもそもモノの不足がなくなって、逆にゴミ問題になってしまうくらい生産が過剰になってしまったり、色々前提が変わってきてるんですよね。
昔が悪いとか否定ではなく、状況変わったよねっていう認識です。
SDGsという言葉も一般化してますしね。
僕らは、そもそも資本主義のどの部分が問題だったのかとか、ヒエラルキー組織がなんでできたのか。インターネットが生まれたら組織の形はどういう風に代わりうるのかというのを理屈っぽく実践し理論化し、体系化して、誰もがそれを扱いやすくするために、ひとまずのパッケージとしたのがDXOです。
僕らが正しいとかそういう話ではなくて、業種業態によって最適な形も変わります。
でも、どんな組織の形であっても、自然環境も含めて全部調和してる状態の方がいいよねっていうのは否定の余地がない。地球をぶっ壊してでも経済成長をっていうのは、そんなことあるかという話です。」
Q5:経済成長と持続可能性の関係とは?
武井「そもそも、成長経済って何の成長を指してるのか?という話です。
色んな見方がありますけど、GDPを捉えた時に企業でいうと単なるお金の流通量なんですよね。GDPを目標にするとお金がいっぱい動いている方がいいという話になる。
お金をいっぱい動かすには無駄がいっぱいあった方がいい。無駄な物をつくって、売って。無駄な家建てて、まだ使える家をもったいないのに壊して、壊したら解体屋さんが収益になる。いっぱい無駄があった方がGDPってあがるんです。
インターネットの影響は大きいですけど、それがあると中間流通がごっそりなくなる。Amazonができて卸売会社がいっぱい潰れたという話もありますし、メルカリみたいなCtoCのサービスが流行ると中間流通丸ごとなくなるわけですよね。
つまり、メルカリが広がれば広がるほどGDPって下がるんですよね。
だけど、メルカリが広がった方が社会全体で見たら利便性あがってるじゃんって話。
指標自体が変わってきている。で、成長を目指して環境が破壊されてしまうとか、働いている人たちが不当に搾取されてしまうというのが色んなところで起きてしまう。
人口が増えない社会、すでに豊かな社会の中で、ルールが変わってきている。
それの最たる話が、定常経済、循環経済。
どっちがいいかというと持続可能な方がいい。
成長とは、持続可能な経済をやっていたとしてもバイオテクノロジーとかAIとかドローンとかそういう新しい分野は絶対成長するんで、成長が悪いとかじゃない。
全体として前提条件の話ですよね。」
乾「成長の先に持続可能があるようなイメージがありますが?成長しないと持続可能でいれないと思ってしまいます。」
武井:「でもそういう考え方ってこの長い日本の話でいうとこの50年くらいとかでしょうね。江戸とかはサステナビリティですし。」
Q6:DXOにおけるサステナブルの定義とは?
大山「自律分散していること、重なっていること、循環していること。これが、サステナブルであるということですが、この言葉だけを並べてもわかりにくいので、対義語を紹介します。自律分散の反対は中央中堅、重なりの反対は分断、循環の反対は搾取。この対義語の話全部ネガティブな印象を受けます。」
武井:「僕らが生まれ育ってきた学校教育や、法律からして、反対側の思想で社会ができてるんですよね。」
乾:「そうですね、全部反対ですね。それが当たり前でした。」
武井:「これも今までの形が悪いってわけじゃなくて、インターネットがない時代は、それしかやりようがなかったんですね。」
坂東:「時代の変化とともに必要なものが変わってきたんですよね。そもそも答えが分からない時代になってきたから学校に入って、会社に入って答えを教わることに価値がない。」
武井「価値がないというより、役割が変わってきた。組織のヒエラルキーも上の人が答えを知っているという前提なので、そうじゃなくなると上司いらないねとなる。」
坂東「その人がいらないというわけじゃなくて、役割を変えていく必要があるということですね。」
乾「私たちは、こういった循環型とか持続可能な組織を目指していくというのがDXOであったり、進化型組織だという捉え方をしています。」
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