2021年進化型組織の作り方セミナー DXOテキスト Q&Aシリーズ
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目次
Q1. そもそも「場」としての会議ってなぜ必要なんでしょうか?
Q3. 会議の目的は3種類?そのうち2つが不要ってどうしてですか?
Q5. 「会議が多すぎる。会議に出たくない」会議に対する負担感を減らすポイントとは?
Q6. 責任の所在を確認するんじゃない。進化型組織「ならでは」の定例ミーティングの効用とは?
Q7. 人間関係が育まれるアンフォーマルな会議に必要なファシリテーションとは?
Q9. 「会議に出ても発言しづらい…」誰もが発言しやすい場づくりのポイントとは?
Q10. 組織に必要な第三者的立場、「サポートセンター」とは?
Q1:そのそも「場」としての会議ってなぜ必要なんでしょうか?
武井:ここまでDXOでは、「言葉」「形」「数字」を見える化し、組織の外側を整えてきたわけなんですが、実はまだ道のりの半分ぐらい。外側を整えた後、それを運用していく必要があります。
組織って形がない「共同幻想」なんですね。
チームの一員であるという共同体感覚がなければ、仮に外側を整えても、ただのパーツの一部になっちゃいかねない。共同体感覚や当事者意識っていうのは時間軸の中でしか育まれないものなんですね。時間をかけて一緒に進めていかないと、一つにはならない。その意味でも「会議」はとても重要。
DXOで言うと「場を整える」って表現していて、とても崇高なものに聞こえますけど、シンプルに「定例ミーティングやりましょう。大事なんで。」ってことなんです。
Q2:会議体を設計する時の「抽象度」、どう考える?
武井:まず抽象度の話ですけど、上の図を見てもらってわかるように、経営、戦略、調整・・・上に行けばいくほど抽象的な概念を扱わないといけないし、考える時間軸が長いので、それに合わせた考え方をする必要があります。
抽象度をあげることは、同じ項目でくくって考えるということなんですよね。
同じパラダイムの中で対立は解消しないという話があります。
例えば、野球でいうと巨人と阪神は仲が悪い。同じセ・リーグの中でライバルじゃん。でも、セ・リーグ対パ・リーグの時は阪神、巨人それぞれの選手同士仲良くなれるし、さらに日本代表ってなったらリーグなんて関係ない。こんな感じで、一つ上でグルーピングする、視座を上げる必要があるんですけど、それができないと仕事って並列的にひたすら増えていくんですね。
この業務とこの業務は仕事の領域半分くらい一緒だからこうしたら1つでできるよねって、仕事を減らしていくのがマネジメントの役割。
経営は全体最適であって、全体最適はスキルよりもセンス。そういう世界なんで、その肌感覚、センスがある人が判断をした方がいいんですよね。
Q3:会議の目的は3種類?そのうち2つが不要ってどうしてですか?
会議の目的は3種類、情報共有の会議、意思決定の会議、相談、発散の会議です。現代ではそのうち不要な2つの会議があります。それは情報共有と、意思決定の会議です。
なぜ不要か?それはインターネットで情報共有や流通の仕組みを作り混むことで、情報共有は「このURL見ておいて」でおしまいかもしれないし、意思決定の会議も情報が透明化されたら、集まってみんなで決めなくても、それぞれの現場で意思決定しやすくなるよって話です。
slackなどのビジネスチャットツールとかアドバイスプロセス(助言プロセス)を使って、意思決定したい時にできる土台ができてくる。そうすると意味のある会議ってお互いの意見を出し合うようなブレスト的に偶発性を高められるものぐらいなんですよね。
ここからは会議としての「場」づくりのポイントについて伺います。
Q4:会議の頻度はどれくらいが適正ですか?
基本的には1週間ごと。そんなに重要でなければ隔週とか月に1回とか。できるだけチームの数は必要最小限に止めておいて定例会議をしていきます。
ただ、経営的なミーティングは最低でも月に1回は実施したいところ。基本的には週に1度で設計するのがいいと思います。でないと組織としての核が失われちゃって霧散しやすくなります。
Q5:「会議が多すぎる。会議に出たくない。」会議に対する負担感を減らすポイントとは?
会議に出席することを義務化しないことです。僕は会議の前提条件をベストエフォート形式って呼んでいるんですけど、できるだけ参加しようね、でも義務じゃないよ、どうしてもそこに別の予定が入ってしまったらたまに誰かが休んでもいいじゃないっていう前提です。そうするだけで、負担感って減るんですよね。精神的な。
ベストエフォートが可能なのは、slackのようなビジネスチャットツールが登場したことが大きいかもしれません。日常的にチャットツールでコミュニケーションが取れているので、会議の重要性が以前より低くなってきていると思います。以前は、何でもかんでも会議で相談、会議で決めるってなりがちでしたよね。
さらに議事録もgoogleドキュメントなどでかなりカジュアルに表現できるようになりましたから。ITツールを使えば使うほど組織の運営の義務感が減っていきますね。
Q6:責任の所在を確認するんじゃない。進化型組織「ならでは」の定例ミーティングの効用とは?
武井:人が入れ替わってもそのコンテクストが失われないことです。ミーティングを実施すると定量的な情報や定性的なコンテクストが個人じゃなくてチームに共有されるからです。つまり、組織のレジリエンスが高くなります。
トップダウン型やヒエラルキー組織のように個人に責任を持たせるとその人がいなくなったら困りますよね。これは構造的な問題です。
そうすると組織全体と個人の関係も歪になる。「僕に辞められたら困りますよね、だから給料あげてくださいよ」っていう交渉になりかねないし、個人が辞めるとなった時に「頼むから辞めないでくれ」っていうように、個人の責任が重くなりすぎてしまう。
だから重要な機能は、チームで持つことが大事で、チームでコンテクストも含めて機能性を担保するために定例ミーティングが必要。これさえやっていたら1人2人入れ替わったり、ちょっと休んだりしても回るんですよ。だから管理職とか経営者がいろんなものを手放せるようになるんですよね。
Q7:人間関係が育まれるアンフォーマルな会議に必要なファシリテーションとは?
武井:アンフォーマルな会話の中からの方が人間関係が育まれるんですね。
例えば一般的な会議は、KPIがあって今週の成果を見て、それに対して課題を出して、アクションを出して、共有しておしまい。
こんなフォーマットがあると、それしかやらなくなって、何とも無機質なものになるんですね。
これは全然創発的じゃない。
このフォーマットは大事なんですけど、やっぱり偶発的な場を作るにはファシリテーションがすっごく重要で、ファシリテーションの能力を持ってる人がいるかどうかで場の雰囲気が変わります。
そういったファシリテーターが自社にいるんだったら大丈夫ですが、「会議が堅いな」と感じた場合にはDXOに記載しているミーティングの流れを参考にしてもらえるといいと思います。チェックインから始めるところとか。
やっぱり古い体質の会社だと、場が堅くて上司が話始めるまで誰もしゃべれないってことになりがちです。そういう時はテンプレートとしてチェックインから始めてっていうのは効果的ですよね。
Q8:5人いたら5倍の経験値!?振り返りの「場」とは?
武井:振り返り(リフレクション)は大事ですね。ミーティングの場で振り返ると、それぞれが経験したことを参加者が自分ごととして経験値を積むことができるようになります。
それがすごく重要で、組織の中で定量的な情報だけじゃなく、コンテクストを共有すると、それが共同体験になって、全員の経験値となります。
だから、参加者が5人だったら、単純に5倍の経験値になる。
乾:振り返った上で、自分たちが何を経験して、これからどう前に進んでいくのか?というのがこの場のところですごく大切な部分ですね。
この振り返りでも「I message」で発言することが大事ですよね。
「我々はこうあるべき」とか言っても面白くないですね。
Q9:「会議に出ても発言しづらい…」誰もが発言しやすい場づくりのポイントとは?
武井:どうしても会議はコンテクストが強い人が発言力を持っちゃう。コンテクストっていうのは、社歴が長い人、仕事ができる人、役職が上の人、女性よりは男性とか。
こういったコンテクストのムラが全員の意見がなめらかに循環することを阻害します。
そういった阻害要因を取り除くためのテクニックを紹介すると・・・
例えば、「あだ名」ですね。
◯◯部長、◯◯課長、役職だけじゃなく◯◯さんっていう言葉を使うと年上年下が感じられてしまうので、全員「あだ名」にする。すると、なめらかになりやすいです。
あとポストイットを使うと、「まず、それぞれの意見を出そう。それを前に持っていこう」という流れができるので、みんなから均等に意見が出ます。
乾:その辺はDXOのインストラーが技術を身につけてワークショップのファシリテートをさせてもらっているので、なかなか社内で強固になったコンテクストをキャンセルすることって難しいと思うんですけど、第三者に入ってもらうと進めやすくなります。
武井:コンテクストがない人が入った方がコンテクストをフラットにできるんですよね。
坂東:社長がファシリテーションが下手なんじゃなくて、コンテクストが強すぎるから場づくりができないんですね。
武井:それは社長の責任じゃないんです。どうしてもそうなりやすいので、逆にそこに課題を感じすぎてしまう社長さんってたくさんいると思うんです。「みんながなかなか意見を言ってくれないんだよね。自分から話を振らないと出てこない」って。
それは能力だけの話じゃなくて、今までの関係性がそれを生み出しちゃってるので、その時はぜひDXOインストーラーを呼んでください。
Q10:組織に必要な第三者的立場、「サポートセンター」とは?
武井:サポートセンターはコンテクストが共有できていない人向けの案内所のような役割です。
例えば、知り合いの家に行った時、その家にしょっちゅう出入りしている人は緊張もしないしくつろげるんですよね。勝手に冷蔵庫開けちゃうことだってできたり。
でも、新入社員みたいに全く新しい人がきた時に「好きにやってよ、自分の家だと思って」って言われても最初は気を遣うじゃないですか。
「トイレお借りしてもいいですか?どこですか?」って聞いたり。この遠慮って何から生まれるかというとコンテクストが共有されているかどうかの違いなんですよね。
こういう感覚は人間として持ってる方が礼儀正しくて健全だと思うぐらいですが、組織をスムーズに運用するには、何か困った時に「●●に聞いてね」っていうのがあった方がいい。
この「場」は基本的にこういうルールで回ってますっていうガイドラインが示されていてそれを聞いたら教えてくれる。そんな役割がサポートセンターです。
ちなみに創業社長は会社の中全部が自分の家みたいなものなので、誰が何に困っているかを感じ取れないんですよね。だから第三者的なサポートセンターがあると組織がうまく回っていきます。