2021年6月にある美容サロンがリニューアルオープンしました。
麻布十番に店舗を構えるBONDZSALONです。
BONDZSALONは新しい組織のカタチである「ティール組織」に取り組んでいます。
▶︎ティール組織について知りたい方はコチラ:https://tebanasu-lab.com/pickup/2438/
美容業界と向き合い、「すべての美容師が輝けるサロン」を作ると決め、美容師の理想郷を目指し続けるBONDZSALON共同代表の鈴木太一さんにお話を伺いました。
目次
- ・ティール組織導入のきっかけ
- ・好きな時に働き好きな時に休む
- ・120万/月も実現できる、美容師がやりがいを感じる報酬の仕組み
- ・評価を決まるのは自分自身
- ・個性溢れるメンバーが「チーム」を意識するための工夫
- ・こういう会社をもっと美容業界に増やしたい
ティール組織導入のきっかけ
以前働いていたサロンを辞める1年前くらいから独立することを考えていました。
10年ほど店長業務などマネジメントに関わり続けましたが、一番嫌だったのは人が途中で挫折したり辞めていってしまうことでした。
「お客様を笑顔にしたい」「接客業が好き」という想いを持って美容師になる人が多い中、どんなに頑張っても報われず、疲弊していく姿を見るのはとても悲しかったです。だからこそ「すべての美容師が輝けるサロン」を作りたいと思いました。
これまでと同じやり方をしても、同じ悩みにぶつかってしまう…今までと違った組織としての在り方を考えなければいけないと考え色々と調べました。
たまたまお世話になっていた税理士事務所がティール組織を導入しており、新しい組織のカタチとして教えてもらいました。それをきっかけに書籍「ティール組織」も読みましたが、正直、本を読んだだけでは実践するイメージが掴めなかったんです。
それなら実際にやっている人に聞いた方が早いと思い、Clubhouseで出会ったHOLIS株式会社代表の片桐拓也さんにティール組織の伝授を打診したところ快く引き受けてくださいました。
片桐さんからティール組織のお話を聞いた時に一番しっくりきたのは資金面の話しですね。
組織への課題感を強く持っており、それを打開する策をずっと探していましたが、点と点が全て繋がった感覚でした。
店舗のオープンは2021年6月でしたが4月頃からティール組織として本格的に動き始めました。
好きな時に働き好きな時に休む
BONDZSALONでは美容師と業務委託契約をしています。
働き方は本人の自由、誰がいつ働くかを経営者である僕も把握していません。
開店時間も閉店時間もない。
本当に何も決めていないんです。
飛び込みのお客様は受け付けていませんし、お店に誰もいない…ということもあります笑
ですが、席数に限りがあるので席数以上の予約が入らないようにシステムで管理しています。誰が席を使うかは先着順で決めています。
指名なしでご新規様の予約が入った場合は、誰が最初に入るかをルールで決めています。
店舗運営に貢献していて、ご新規様に入りたいと思ってくれている人にやってもらいたいと思っているので、その2つを点数化して、点数の高い人がWEBサイトのスタッフ紹介で上位に表示されるようにしています。
僕はオーナー業を優先したいので新規のお客様をできる限り取らないようにしています。
だからWEBサイトでは一番下に表示されていますね笑
ちなみに、点数は全て自己評価です。
この後詳しくお話ししますが、店舗への貢献は店舗運営に必要な役割を全てリストにした「役割分担表」の中でどれだけ役割を担っているかを自分で数字にしてもらっています。
120万/月も実現できる、美容師がやりがいを感じる報酬の仕組み
美容師がやりがいを持って仕事をするために「報酬」は欠かせないと思っています。理念を大事に経営をしている会社が報酬をおろそかにしていることも多いと感じます。
僕自身はアメリカのサロンで働いていた時に報酬の力を学んだんだのでその経験を活かして仕組みを作っています。
BONDZSALONでは「プロフィットファースト」というお金の管理方法を使っています。
美容師が立てた売上から個人の取り分を引いて、残ったお金を会社全体のお金にしています。そこから会社として必要な経費を払い、残額の1/4を3カ月に一度美容師に分配するという流れです。
▼プロフィットファーストの仕組みついてはこちらのセミナーで無料解説しています▼
ですから、美容師の報酬としては大きく2つに分けることができます。
①個人であげた売上の約50%
②3カ月に1度の分配金
売上などの数字目標は設定していないので、自分が好きに働いた分の売上按分が入ってきますし、分配金はボーナスみたいなものですね。やった分だけもらえるという感覚を持ってもらえていると思います。
この仕組みで先月は120万くらいもらっている人もいますし、1,000万/年もらうこともできます。これまでの美容業界を考えるとすごく良い報酬だと自負しています!
この仕組みだと美容師たちにしっかり報酬を支払いながらも、経営としてもきちんと利益を出したり、新しいコトへの投資をしていけるので、店舗オープンから今までお金に関しての悩みは無いですね。
評価を決めるのは自分自身
分配金は、「売上割合」と「店舗運営への貢献度」の2つで割合を決めています。
店舗運営への貢献度は自分で評価を行います。他人が評価するというのは全て撤廃しました。
店舗運営に必要な業務をリストにした「役割分担表」に、担当業務の負担度を主観で点数をつけるようにしています。
この「主観」というのが非常に大切で、同じ業務でも人によって感じる負担度合いが違うということに着目しています。負担度合いの合計点がその人の「店舗運営への貢献度」になります。
どんな役割をやるかも自分で決めるようにしています。分配金を多くもらうために、沢山役割をやりたがる人もいるんじゃないかと思われるかもしれませんが、結局やりたいことしかやらないものです笑
負担度合いは1-3点でつけるんですが、3をつける人はほとんどいませんね。
みんながやりたくない業務については、今の所僕がやるか、外注か、、、です。
外注の場合「経費が増えるからその分は分配金が少なくなるけどいい?」って相談します。
そうすると、業務を担当してくれることもありますよ。
個性溢れるメンバーが「チーム」を意識するための工夫
実は、役割分担表は分配金を決める以外にも大きな意味があります。
現在、BONDZSALONに所属する美容師はオーナーである僕と髙木以外は業務委託です。
個性のある素敵なメンバーですが、業務委託だと「サロンの外の人間だ」という意識を持ちやすいと思っています。できればそうなって欲しくない。
お互いに協力できない個の集まりになってしまうと、ただのシェアサロンと変わらなくなってしまいますから。
だから、外にいる人を内に入れる仕組みが必要で、それが「役割分担表」なんです。
店舗運営に必要な役割をみんなが分担してやることで、「店舗運営を担っている」という意識が生まれるんです。
また、個性溢れるメンバー達ですから、自分が不得意なことは他の人にやってもらったりというやりとりも生まれています。「ハイライトだったら●●さんが上手ですよー」とかお互いにお客様を紹介したりしながらやってますね。
そうすると、苦手なことを無理にやる必要がなくなって、得意なことに集中できるし、お客様の満足度も高くなるので良いことだらけですね。
こういう会社をもっと美容業界に増やしたい
最初は3人からスタートしたBONDZSALONも、現在では登録してくれている美容師が15名ほどになっています。売上としても、創業当初の事業計画より1.5倍、最初の売上から比べると500%と好調です。
ありがたいことに美容師が知り合いの美容師に声をかけてくれるので、どんどん美容師が集まってきてくれます。
今の店舗だけだと受け入れられなくなってきているので、2022年10月には表参道に新店舗をオープンする予定です。
美容業界は美容師だけでなく、経営者自身も苦しんでいる人が多いと思っています。美容業界の中でティール組織を実践することで、こういう経営を導入していくサロンが増えて、業界全体の経営がシフトしていったら良いなと思っています。
ゆくゆくは美容業界にティール組織を導入していくためのコンサルティングのようなこともやりたいと思っていて、手始めにBONDZSALONでやってきたことをまとめた書籍を作りました。
今日お話したこと以外のことも書いていますので、興味のある方は手にとっていただけたら嬉しいです。