■社員全員で話合い、社員全員で経営している。
■社長の給与も社員に決めてもらっている。
■誰か1人に責任を負わせる文化はない。
■会議への参加は自由、退席も自由。
■常勤以外にもWワーク(副業)、パラレルワーク(複業)など、多彩な働き方が選べる。
■成長するもしないも、自由
といった、一般常識とはかけはなれた経営スタイルを実践している、有限会社せれくとの代表取締役、木元秀典さんに話をお聞きしていきます。 木元さん曰く「社長の管理人」だという、泥谷 佳織(ひじやかおり)のツッコミも入りながら、楽しく刺激的な会話が弾んでいます!
■有限会社せれくと https://www.select-net.jp/
■所長、坂東孝浩がゲスト出演させていただいた動画はこちら
■デジタルトランスフォーメンション時代の組織デザインプログラム「DXO」
■手放す経営ラボラトリーでは、“ティール”“ホラクラシー”など進化型組織や最先端の経営スタイルを研究。また自社でも実証実験を重ねており、その様子をYouTubeやコラムでお届けしています。 また、組織をアップデートしていきたいという企業の支援をしています。
■オンラインコミュニティー「手放す経営ラボ」
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■twitter @tebanasu_lab
写真左 手放す経営ラボラトリー所長 坂東孝浩
写真中 有限会社せれくと代表 木元秀典さん
写真右 有限会社せれくと社員 泥谷 佳織(ひじやかおり)さん
坂東:今回はゲストは有限会社せれくと代表の木元秀典さんと、木元さん曰く「社長の管理人」、泥谷 佳織(ひじやかおり)さんです。よろしくお願いします。
木元:よろしくお願いします。
坂東:せれくとさんとは、せれくとさんの「立ち入り禁止の向こう側」というyoutubeの番組に出させて頂いたご縁ですね。その時に会社のwebサイトを拝見していたら、会社がうち(進化型組織系)と似ているのが分かって盛り上がりましたね。今回は、代表の木元さんにその心をお聞きしようと思ってお越し頂いてます。
まず、どんな会社かをお聞きしていいですか?
木元:業種で言うと、大きく分けると2つ。1つはケミカル用品を自社で洗車に特化した洗剤と業務用洗剤を開発製造販売する部署です。
カーピカネットという洗車用のブランドとケミカルラボというケミカル用品のブランドを扱っています。
もう一つは、価値観経営メソッドチームといって、企業のコンサルティングや、世の中の働き方にインパクトを与えることを目的にやれる事を模索していこうという部署。
この2つですね。
坂東:泥谷さんはどちらに所属しているのですか?
泥谷:後者の価値観経営の方にいます。コンサルタント的な仕事です。
坂東:そこの価値観経営メソッドにも繋がってくると思うのですが、まず会社のスタイルがユニークですよね。
一般的な経営手法の管理とか統制がほとんどない。
具体的にどうなっているかというと、社長が経営しているのではなく社員全員で話し合いながら経営している。
木元さんがよく言われるのが、「早く社長を辞めたい」なんですってね。さっきも木元さんに役職を何とお呼びしたらいいですかと聞いたら、「代表取締役を早く辞めたい社長です」って。
泥谷:めんどくさいでしょ。ありがとうございます。
坂東:スルーしました。笑
そういう事とか、労働時間や給料も木元さんは管理してないんですよね。
木元:全くタッチしてないです。
坂東:それどころか、木元さん自身の給料も決めてもらってる。どうやって決めてるんですか?
木元:僕の給料の決め方はぶっちゃけ知らないです。
社員の給料は、社員が会社の財務を見ながら決めていくのと、自分たちの実力の中で決めていきます。その中で木元がやる仕事の割合とかこれまでの貢献をみながら・・・とはいえ払えるのはいくらみたいな所で決めているようです。
泥谷もそうだと思うのですが、僕がせれくとにいない方が給料は高いので、それはみんな知っていると思うんですよね。せれくとという会社が育っていくフェーズで担わなければいけない役割がある。それが僕の役割。
そして会社のステージで払える給料は全く変わってくる。
そういう意味で言うとリスクを追う仕事がある以上、みんなが好きなだけ木元さんに払いたいと思ったとしても、払える原資がないので今回はこの程度でみたいな。という感じになりますね。
坂東:なるほど。経営数字が社員の皆さんも分かっているということですね。
木元:理解の程度はバラバラですが、全員そこに焦点を当てて考える機会はあります。
坂東:泥谷さんが木元さんの給料を決めることにも関わっているんですよね。
泥谷:今その仕組みが動いてますけど、当初はどうやったら自分たちの給料を自分で決めれるようになると思う?って聞かれた事があって、「怖い事聞くな」と、嫌でした。今は自分で自分の給料を決めたり、働く社員さんのみんなの給料をフルオープンにしていることの価値や意義がすごくよく分かるし、尊いと思ってるんですが、当初はやっぱり、私もサラリーマンの時期があったので、自分の給料を自分で決めるとか望んでないし、そんな風になっていくのが嫌だなと思ってました。
坂東:望んでないですよね。
泥谷:ある時、木元さんが今日このミーティングで自分たちの給料を決めていこうよと冒頭に言って、まず俺の給料決めていこうと思うけど、いくら?って。
言った瞬間その場は、シーンって。
坂東:わかる。僕も経験あります。気まずさしかない。
泥谷:口火を切ったのは私ですが、給料を決めるにあたって、社長の仕事を把握できてないので決められないですとなりました。
俺の給料いくら?って言われても木元さんの仕事の価値がわからないし、やってる仕事が見えなかったので。
木元:その時もう一個質問したの覚えてる?木元さんが他の会社で働いたらいくらなんですか?って。当時も今もですが、うちの会社で働いて下さいとオファーが来るので、コンサルティングの会社でオファーが来た時にどういう金額を打診されますかと。
坂東:そういう事を通じて見えるようになっていったと。
木元:社外の価値と社内の価値といろいろあるわけじゃないですか。
坂東:それを続けていくうちに慣れてきたという事ですか?
泥谷:慣れてきましたね。初めの頃はよくわからなかったのが基本給。
基本給って何をやってたら基本給を満たしたことになるの?と思いました。
当時私は35才でしたが、高卒の新卒メンバーも一緒に考える場を作ったので、基本給をもらえるだけの仕事はできてますか?という問いを彼らも考えないといけませんでした。
あれとこれをしていれば基本給を満たすよね。という考え方はなくはないけど、それってなんかおかしいよねって話にもなりました。
シビアな話ですが、あの先輩の仕事は自分の仕事よりも価値があるのか?みたいな話だったり。それでこの給料なんですか?とか。私にはこの感覚があったんですが、新卒メンバーにはなかったみたいです。先輩なんだから自分たちよりも給料が良くて当たり前というシーンもありました。
坂東:考える事がたくさん出てきますよね。
木元:どこの会社でもあると思うんですけど、例えば急に大卒の新卒を採り始めた会社って、大卒ブランドに金額を払わないといけなくて。高卒で4年間在籍している人よりも初任給が高くなる会社も出てくる。
だから余計オープンにできなくなっちゃって、実はそれを知ってる人がギクシャクしていくとか、オープンにできないけど、どこかから漏れるとかね。
坂東:赤提灯とかで漏れるんですよね。
木元:尾ひれ背ひれがついていろんな話が拡散していくとかね。どこの会社でも経営のフェーズで考えていると思うんですけどね。
坂東:理屈が通らない事が積み重なっていってしまって。
木元:そういったことを考えた時に、とりあえず社長の給料を決めてみるというトレーニングをした上で、自分たちの給料に取り掛かる道筋を作ることにしました。1つ軸ができるんじゃないかなと。木元があの給料だよねという所で。下限以下の給料を言われたらここを去ろうと。その給料で僕を雇えると思ってるの?ふーん、面白いね。社会知らなすぎじゃない?という話をリアルにするのも楽しいなと。例えば印刷屋さんに「この金額で印刷して」と言って「その金額ではできません」と言われたら「何言ってるの?」って言えないですよね。「見積もりが原価割れです」と言われたら、考えを改めるしかないですよね。給料も同じでしょと。
坂東:適正な金額と下限があるよねと。
木元:決めてもらった上で、財務状況や投資の事を考えて、僕が個人的な意思決定として返納するはありだと思うんですけど。
坂東:面白いですね〜。他の特徴を先に紹介すると、誰か1人に責任を負わせる文化がない。責任の所在が個人にない。という事ですかね。
木元:場合によりますけど、責任をシェアする事が僕らには大事で、マトリクス図を見てもらうと、
縦軸が心理的安全性で、横軸が責任のシェア。僕らは1つの重要なこの図を社内でも共有しているんですが、責任は誰かが追うのではなくて、チームでシェアするべきものだと考えています。シェアするということは、イコール何の責任があるのかを明確にする事が必要だと思っています。
同じチームの中にはこんな責任があるよと。だからその中で私はこれを持っていくよと、私はこれを持っていくよ、こうなった時に、余ったやつはどうする?って事を考えることでチームが動きだすと思っています。余らない事なんて絶対ないので。やりたい事だけとっていくと。余った物をどうするのか。余ったものを担う人はやりたいことの責任を持つことと訳が違うじゃないですか。
極端な話、やりたくないけど今うちの会社でそこを担う人がいない。それだと物事が動かないから一時的に担いますという人と、やりたくてやっていますという人とではそもそもの動機が違う。
同じ仕事をやっていても動機が違うという事をチームメンバーが認識できているかどうかはすごく重要です。
坂東:感謝になりますよね。やってくれてありがとうって。
それでこの図の状態を目指したいと。
木元:そうです。誰かによって成長させられるのではなく、自分のなりたい姿に向かってお互いに切磋琢磨できる。だから、誰かに責任を押し付けるという話ではなく、チームとして漏れた責任をどうやってケアしあっていくのか。
とはいえ、現場では個人が責任を持って動いているのでいろんなことで責任者なわけですよ。例えばこの間出ていただいたyoutube番組の「立ち禁」だと僕は一切関わっていません。チームとしてはお金の調達という責任を担っています。
あのプロジェクト自体はお金になるかどうかもわからないけど、会社として投資する部分においては、去年僕がもらうはずだった給料の一部をそっちに当ててくれ、と渡しています。なのであのプロジェクトに関して運用費用に関しては、その金額を使いきらない限り深く考えなくていいんです。でも例えばメインパーソナリティである泥谷は、メインパーソナリティの責任は外せない。出たくないので出ませんってできないじゃないですか。家庭でどんな事があろうと、どんなに気分が落ちていようと、その場にいる時はプロとして、出演していただいた方に気持ちよくしゃべっていただく事を、現時点ではチームの中で彼女しかできない。個人の責任はもちろんある。でもお前がしろよと誰も言ってない。
坂東:パーソナリティーは泥谷さんが手を挙げたんですか?
泥谷:やりたかったわけじゃないですが、誰がそれをやるのが一番効果的かと考えた時に、木元さんじゃないと思って。私だと自分でも認識したのと、メンバーの認識も泥谷さん以外いないと言ってもらえたのもあります。
坂東:めちゃめちゃ輝いてますよ。
泥谷:ゲストの人をちゃんとキラキラさせてあげられてるかな。
木元:たまに自分が輝いてるよね笑。
泥谷:ごめんなさい。なんか好きな話題がくるとしゃべりたくなっちゃって。
木元:坂東さんがゲストの時は、どっちがパーソナリティーだか分からくなってたよね。
泥谷:坂東さんとのお話がすごく楽しかったので、しゃべりたいと思ったシーンが多かったのは反省しているんです。
坂東:皆さんに言っておくと、パーソナリティーの仕事が本職ではないですよね。プロの人を連れてきたのかと思いました。そのぐらい輝いてましたよ。ゲストを押さえてまでも笑。素晴らしい!
泥谷:坂東さん、優しい。
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