手放すラボでは「ティール組織」や「ホラクラシー」に出会い、進化型組織づくりに関心を持たれた方の相談をお受けしています。
(※「ティール組織」の解説はこちら)
(※「ホラクラシー 」の解説はこちら)
私がご相談に乗ります
坂東孝浩(ばんどうたかひろ):手放す経営ラボラトリー所長。早稲田大学卒業後から現在に至るまで一貫して組織にまつわる仕事に携わる。これまで人事コンサルタントとして800社以上の組織案件に携わってきた。時代の移り変わりとともに、個人の思想も変わってきた。それに組織が対応できず、機能不全を起こすのを目の当たりにし、研修や、評価制度などで対策しても、表面的な解決策にしかならないと感じ始めた。そもそも、組織のOS(オペレーションシステム)が古いからいくら教育や評価制度(アプリケーション)に力を入れても効果が薄いのではないかと考え、現在は進化型組織への導入コンサルタントとして進化型組織の研究と実践を行なっている。
相談内容:CASE1
先日は、埼玉県にある通販会社向けの商品開発と卸を行なっている企業の経営者からご相談を頂きました。
新しいカタチの組織づくりにチャレンジしてみたい、という方の参考になればと思います!
Q&A形式で進めていきますが、読んだ方は質問に対して自分でも考えてみると、より頭の整理になると思います。
概況
■社員数:90名
■現在の課題:離職率が高め。
■つくりたい組織文化
・学習する組織にしていきたい
・創造的な商品をつくっていきたい。
公開Q&A
Q.社員を性善説で捉えるか?性悪説で考えるか?悩ましいのですが…?
A.私は「善と悪のどちらか」ということではなく、人にはみな善人と悪人の両面があると思っています(程度の差はありますが)。
私もそうですし(笑)
人は、誰も見ていなければ、悪いことをしてもいいかなあ、という気持ちが生まれやすい。
大通りで、みんなが見てる前でタバコのポイ捨てはしませんが、誰も見てなければ、やっちゃおうかなあという気になったりする。
空き巣も、白昼堂々入ることはありません。
暗闇に紛れられる、死角があるから、やる気になるのです。
会社も同じです。
誰も見ていなければサボりやすいが、情報がオープンになっていれば、ごまかしづらい。
人の悪い部分が出にくい環境づくりをするということがポイントであり、そのためには情報透明化が、とても重要なのです。
昔は、外出してしまうと何をしているか分からないとか、電話での1対1でのやりとりが見える化しづらいなどありました。
また資料は紙ベースで会社に置いてあり、場所を知っている人も限られていたり。
しかし今は、SNSでコミュニケーションが見える化できます。
webやクラウドの活用で、情報共有も簡単です。
進化型組織が出てきた背景には、情報透明化が実行しやすくなった、という要因もあるのです。
Q.マネジメントは階層型でないとできないのでは?
A.マネジメントの役割をどう定義するのか?によって、やり方は変わります。
一般的にマネジメントの役割は「管理」や「指示命令」でしょうか。
これは裏を返すと、
「部下は、指示しないとうまくできない。」
「命令しないと、動けない。」
「管理しないと、サボってしまう。」
という考えに基づいています。(本人が意識しているかどうかは別です)
もしその考えに則るならば、階層型にして、管理するマネジメントが必要になるでしょう。
一方で進化型組織では
「人は管理されなくてもやる。」
「管理するよりも、パフォーマンスを高めるやり方がある」という視点に立っています。
そう考えると、マネジメントの役割が変わり、階層型ではない組織のカタチも実現しうることになります。
Q.上司は「決める人」だと思いますが、その立場の人は、どうなりますか?
A.「ティール組織」など進化型組織のポイントは、セルフマネジメントを機能させていくことです。
それは一人ひとりが、自分の領域の中で、意思決定ができるようなチームづくりです。
上司だった人は、自分の決める権利(意思決定権)を、メンバーに分散していくこと。
意思決定ができるような環境づくりをしていくことが、新しい役割となります。
また、上司たる人は、本来すべきミッションに注力していくことができるようになるでしょう。
それは、長期的な戦略を立てたり、そのためのリサーチやネットワークづくりをしたり、より高次の課題解決をしていくことです。
どうしても自分がやらなければいけないこと、やるべきことにフォーカスできるチームづくり。
それができれば、上司だった人はいままでよりずっとラクに、チームとしてのパフォーマンスを最大化できるようになりうるのです!
Q.役職を外された上司のメンタルケアは、どうすればいいですか?
A.まず前提として「進化型組織では、役職は必ず無くさなくてはいけない!」ということではありません。
一人ひとりのセルフマネジメントが機能する組織をつくる際、権限をふりかざそうとする役職者がいると阻害要因になりうる。
ということなので、企業によって、どう役職者や階層をデザインするかは変わってきます。
仮に、権限を手放したくない上司が、役職を外された場合。
これは当事者は面白くないでしょう。
こうした人には「役職者の“役割”が、“管理”から“自主経営が成り立つチームづくり”に変化したこと」を、伝えていかなければなりません。
ヒエラルキー型組織で長年生きてきた人には、理解するのが簡単ではないでしょう。
しかし腹落ちしさえすれば、見違えるように変化する人もたくさんいます!
伝える努力を尽くしていきましょう!
Q.組織の改善は、何年くらいで出来るイメージですか?
A.進化型組織のエッセンスを自社に導入していくこと。
これは言い換えると、「新しい組織“文化”を創っていく」ことになります。
文化の醸成は、積み重ねていくものであり、一朝一夕にはいかないことはご理解いただけると思います。
たとえば、役職ゼロ、階層ゼロの「バリフラット」という組織づくりをしている株式会社ISAO。
中村社長はこう言われていました。
「オープンでフラットになるまでに、5年かかりました。
今の経験や知識を持った状態でもう一度5年前に戻ったとしたら・・・
早くはなるでしょうが、2年には縮まらないでしょうね。
3年〜3年半はかかると思います。」
一方、ホラクラシーを導入している株式会社scouty。
こちらは、3ヶ月間徹底してホラクラシースタイルを踏襲。その後、自社なりに応用して、運用と改善を行なっています。比較的スピーディに導入が進んでいる印象です。
株式会社scoutyの場合は「ホラクラシー」という、確立された手法があったこと。
また社員数が約20名、なによりCEOが20代で平均年齢も若い、ということがスピード感を生んでいると思います。
会社の規模や、経営幹部の年齢、組織の状態によって、進化型組織の導入・組織文化のアップデートに要する時間は変わるでしょう。
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