進化型組織を創るためのフレームワークである「ホラクラシー」
(holacracy)についての質問をいただきました。
(※「ホラクラシー 」の解説はこちら)
Q.自社でホラクラシーを実践していきたいと思っていますが、どう思いますか?
ホラクラシーはアメリカで生まれた組織デザインの手法であり、
「型」がきちんと決まっています。
その「型」が自社のビジネスモデルや、経営者のキャラクター、
社員の方々のリテラシーと相性が合うかどうかは、ちゃんと確認した方がいいですし、
合わない場合にはせっかく導入してもかえって生産性を損う懸念もあります。
今回はその参考にしていただけるようにホラクラシーの特徴と、
メリット/デメリットについて解説しています。
ホラクラシーの実践を検討する際の材料にしてください。
【参考】
■「ティール組織とホラクラシーって、どう違うの?」 手放すTalk Live#6、所長リポート
■ホラクラシーとは?新時代の組織のカタチを3分で理解(入門編)
坂東:「組織に対する相談を受けてるじゃない?その中でホラクラシーを導入したい、どういうところに気をつけたらいいですか?という質問を最近いただくんですよ。それについて答えたいなと思います。ホラクラシーってどんな感じかっていうのは?」
小野:「最近よくミーティングとかでも言われてますよね。ティールよりもホラクラシーの方が実践しやすいみたいな。ティールは概念で、ホラクラシーは何でしたっけ?」
坂東:「手法。」
小野:「それがいいたかった〜!悔しい〜笑。何も聞いてない人みたいですね。笑。ゴロは好きですけどね。耳に残るっていうか。」
坂東:「ゴロがいいホラクラシーは、ティール組織のティールっていうのは概念、哲学、パラダイムって言われるんだけど、考え方だよね。ティール組織を読んで何となく考え方良さそうだって思ったんだけど、実際どうやっていいか分からない。どうやったらいいんですか?という風に思う人が多いんですよ。その時にホラクラシーっていうのがこういうやり方でやったらこのティール的な組織が作れますよっていうのが書かれているんで、だから、この手法を取り入れればいいんだってなるんですよね。だから、ホラクラシーっていうのはフレームワークとか手法って言い方をするんですけど、このホラクラシーっていう手法にはメリットとデメリットがあるのでそこは押さえておいた方がいいかなと思います。」
小野:「デメリットありますか?」
坂東:「あるんです。」
小野:「それいいます?言わない方がいいんじゃないですか?笑。」
坂東:「いや、それを聞いた上で選んだ方がいいと思うのでやり始めてみて、あ、これ間違ったなってなるよりは先に理解はしておいた方がいいのかなと思うんですよ。メリットはいくつかあるんですけど、一番大きいのは会社としての生産性が向上すると。それはホラクラシーっていうのは型がしっかりしてるんで、手法なんで、組織図はこういう風に作りましょうっていうのも決まっているし、それから一番いいのは役割がはっきりしてる。僕らも業務の棚卸しをやった中で普通の会社の組織っていうのは部署があって、部署に仕事が紐づいてたり、営業部があって、営業部ではこういう仕事をしますよ。あるいは営業部に小野さんがいて小野さんはこんな仕事ね、みたいな感じで、部署とか人に仕事が割り当てられるケースが日本の会社は多いんですけど、ホラクラシーは役割がいっぱい分解されていて、例えば営業の中の資料づくりとか、あるいは顧客訪問とか、そういったものが役割が細分化されていて、この役割とこの役割は小野さんと誰と誰。この役割は誰と誰。ちょっと逆になってるんですよね。」
小野:「だからああいう丸がある図になる。」
坂東:「そうそう。ホラクラシーの図っていうのはweb上でも公開されているので誰でも見れるんですけど、それが部署とか人単位じゃなくて、役割単位で組織図ができているっていうのが役割分担として分かりやすい。それからweb上で見える化できているので、どの仕事を誰がやるのかっていう目的も書くようになっているのでこの仕事は何のためにやるのかっていう目的も言語化されているので、なかなか自分がやる仕事を何のためにやるんだろうってあんまり考えることが意外と少ないっていうか。言われたことをやればいいんじゃないかな?みたいな思ってしまいますね。頼まれたからにはやろうみたいな感じで、なぜやるかっていうのはあんまり考えないじゃない。そういうのが必ず書かなきゃいけないのでそれはホント素晴らしいところだなっていう風に思うんですよね。」
「あとは、何かあった時に個人攻撃になりにくくて人が主体の組織になっていると何かトラブルがあった時に小野さんあなたが悪いでしょっていう感じになりやすいんですけど、役割で組織が分かれているので、しかも見える化されているので、トラブった時にどこの役割に問題があるのかなっていうことで人よりも先に課題にフォーカスしやすい。じゃぁ、ここの分が抜けてるからこういう風に変えようねっていう改善もしやすい。お前が悪い、俺がみたいな感じになりにくいっていうのはすごくいいところだなって思うんですよ。」
小野:「そのリーダーとか入るんですか?仕事単位に。」
坂東:「その役割の中でリーダー的な役割の人がいて、取りまとめる人と決める人みたいな人はいる。そういう意味ではよく言われるのがホラクラシーはフラットだって言われるんだけどフラットではないんだよね。ちゃんと階層があるっていうか、決める人がいるし、役割の上のサークルって言うんだけど、そのサークルの中のリーダー的な役割。」
小野:「低い階層がいっぱいあるっていう感じですかね?小さい山がいっぱいある?高い山があるんじゃなくて。」
坂東:「いいね。それで、小さい山がいっぱいあって、それぞれの山にリーダーがいるんだけど、こっちの小さい山のリーダーがこっちにいったらリーダーじゃなかったりする。山ごとにリーダーが違って、こっちの山では小野さんがリーダーで、僕がメンバーだったりする。だけど、あっちの山に行ったら僕がリーダーで小野さんがメンバーだったりする。リーダーが固定化されてない。大きな山だと上の方の偉い人ってすごい偉い。どこまでいっても偉いみたいな。」
小野:「直接話ができる感じじゃないですよね。」
坂東:「そうそう。この前さ、武井さんに雲の上の、みたいな感じで。笑。」
小野:「そうそう。そんな感じだ立ったけど、今はこうしてミーティングで話したりとか。」
坂東:「あとは、手放すラボの話でいうとラボメディアでいうと大山亜矢子さんが編集長じゃないですか。僕よりあやこさんの方が権限持ってたりする。そういうように小さく役割ごとの山の中にそれぞれ取りまとめ役がいて、その人たちは入れ替わってる。メンバーだったりリーダー役が入れ替わっているっていうので、権力が偏りにくいっていうのがものすごいいいところなんですよ。そういった良いところはとてもあるのはいいですよね。逆にデメリットっていうと、一番はホラクラシーをやる時の導入の負担がけっこう大きいんですよ。
小野:「ガラッと変わるからですか?」
坂東:「今までの組織図の作り方とか役割の分担の仕方がそれに合わせなきゃいけないっていうのがあるのと、ホラクラシーはホラクラシー憲法というのがあって、ミーティングのやり方とかがバシッと決まってるんだよね。で、何か役割を変えるという時にはこういうやり方で進めなきゃいけないという感じで、国の憲法と同じ感じ。憲法に則って運営しなきゃいけないから、まず覚えないといけない。」
小野:「難しいんですか?けっこう細かい?」
坂東:「細かい。」
小野:「理解できるかな?私でも。」
坂東:「できるけど、それに沿って会議を進めるために慣れるまで時間がかかる。また一般の会社じゃないから、入ってくる人はホラクラシー憲法を知ってる人を説明しなきゃいけないから、入ってくるたびに説明しなきゃいけない。慣れるためにかなり時間がかかるっていうのがかなり会社にとっては負担が重いんで、それを乗り越えてでもやりたい。それは何のためにやるのか?をちゃんと考えておかないといけないかなという風に思います。」
「あとは役割に紐づけていくっていうのは外資系企業みたいに、外資系はジョブディスクリプションって言って仕事が細分化されているので、人が仮に入れ替わったりしても、仕事仕事にちゃんとやり方とかも決まってるので入れ替わっても大丈夫なようになってるんだけど、そういう会社だとホラクラシーは導入しやすい。だけど、そうじゃない、日本の会社って1人が何でもやる、お互いが助け合うっていうところだと、これを導入するって言う時にけっこうガラッと変えるっていうことが大変だなということはあるんですよ。ということで、あとは色々組織を柔軟に変えられるところはいいところなんだけど、変えるのに手続きがちゃんとやらなきゃいけなかったので、そういう意味ではスタートアップ、ビジネスモデルも固まってないとか人がどんどん増えていくとか出入りが多い会社だったりするといちいいち変えたりするのが大変なので、そういう意味ではある程度2,30名くらいの規模でビジネスモデルが固まった会社がやった方がいい。」
小野:「どのくらいかかるんですかね?馴染むまで。」
坂東:「LAPRASさんの場合だと半年くらい。」
小野:「意外に短い!」
坂東:「最初3ヶ月とにかくがーっとやって、それで一旦慣れてきて半年くらいで運用できるようになってきてみたいなことを言ってたので、LAPRASさんが20名くらいの組織で一からやってできたんで、そのくらいのスパンでできて、LAPRASさんはこれがないとどうやって組織運営していいか分からないっていう形になっている。ただ、平均年齢も若いし、これをやろうって覚悟を決めて組織づくりにすごく興味がある人が社長含めて3人くらいいたらしいんだよね。そういう意味で浸透がつっとできたっていうのはあると思う。これをやる場合は、ホラクラシーマスターっていうホラクラシーを導入してくれるサポート役みたいな人がいるんですけど、そういった人にサポートしてもらった方がいいかなと思いますね。」
「あとはティール的なパラダイムを実際に具現化するっていうところで足りないなと思うところがいくつかあって、1つは情報の透明化なんですけど、僕はティール組織的な形にしていく時には情報をオープンにする、透明にするってことが絶対大事だと思ってて、うちでもやってるじゃないですか。slack使ったり、googledriveを使ったり。そういうのが必須なんですけど、そういうのには触れてない。そういうのとセットにしないといけないかなっていうことと、もう1つは組織文化をつくっていくっていう。どういう空気感にしていくかとか。どういう関係性をつくっていくかとか。どういう文化を持った組織でありたいのかっていうことも触れてなくて、ホラクラシーはとにかく業務を効率よく進めていくことに向いているんで、そういう文化づくりみたいなのは自分たちで気をつけてやらないと、効率はいいんだけど、ビジネスライクな組織になっちゃうと、ティール組織で言われているホールネス。ありのままでいられるようなことは抜け落ちちゃう可能性があると。」
小野:「雑談とかそういうのも。」
坂東:「そうそう。あとLAPRASさんっていう会社だとランチタイムは必ず社員の誰かと食べないといけないとか。そういうのを大事にしている。それもどういう文化を作りたいかによるんですけど、そういうところに注意しながらメリットデメリットを分かった上で自分の会社、自分の会社のビジネスモデルにあってるのかみたいなことを考えながら進めるんだったら進めてもらえればいいかなと思います。」
小野:「坂東さんが手助けするんですか?」
坂東:「私はしません。」
小野:「そうなんだ。紹介だけ?笑。」
坂東:「ホラクラシーを導入する上での注意点について質問を受けたので。私はけっこう導入は難易度が高いのでオススメしてない。うちはDXOっていうホラクラシーと同じような手法があるじゃないですか。そっちの方がやりやすいと思うし、オススメじゃないですか。会社にあった形をやるっていうのが大事っていうことなので、それがくれぐれも大事でホラクラシーにしたいとか、ティールにしたいとか、DXOをやるっていうのが目的になっちゃいけないので、目的は会社の生産性をどうやってあげていく?それから自分たちがありたい組織の形をどうやって形作っていくのか。それを通じて事業の目的をどうやって達成していくのかが一番大事。やっぱり手段でしかないと思うのでそういう意味ではそういう考え方で進めてくださいという話をいつもしております。」
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