株式会社Green propは廃棄物の観点から長年環境に取り組んできた創業30年以上の歴史ある会社。
「社員が自走する組織をつくりたいという気持ちは年々高まっている」
「でも…色々試してきたけど、なかなか難しい…」
代表、川添克子さんもそんなリアルな悩みからスタートされたとのこと。2022年7月にDXOを導入以降、どのように会社が変わったのか突撃インタビューしました!
代表の川添克子さん(真ん中)、DXO導入支援をした乾真人(右)、坂東孝浩(左)
『株式会社 Green prop』代表取締役
川添 克子さん
1994年『株式会社筑紫環境保全センター』(現『株式会社Green prop』)に入社。2002年より副社長として実質的な経営を担い、2013年代表取締役に就任。美容業界という前職の経験を生かし、廃棄物処理のコンサルティングサービスやCSR・ブランドづくりを展開。2012年に3R推進全国大会にて「環境大臣表彰」受賞。グループ会社の代表も担い、環境・CSR分野からステークホルダーのサスティナビリティ向上に邁進している。
火事で全てを失った後に、明確になった想い
坂東: この度DXOを導入されて、会社の歴史上とても大きな転機になったと聞きました。
DXOが描く自律分散型組織にしたいと思われたきっかけから伺ってもいいでしょうか?
川添:元々みんなが自走する組織が一番いいと思って、事業計画など、5年以上前から中長期・単年度と立てて進めていたのですが、変化を感じられずにいました。そんな中、2019年3月に本社・工場が全焼する火災が起きて、一瞬にしてほとんど全てを失いました。
当時は私が警察やら消防などの対応に追われ、社員に指示を出す余裕はありませんでした。すると、いつの間にか営業は営業で、事務は事務で顧客対応や事後処理を行い、気がつけばみんなが自ら動いていたんです。
半年後、それまでのGreen propを振り返りたいと思い、「Green prop History Book」という社史を作りました。そこで、自分の思いを振り返っていた時に出てきた言葉が「会社とは人の成長を応援するため場所であって、みんなが生き生き働くための場所だ」だったんですね。
会社とは人の成長を応援するため場所だと気づいた
坂東: 自分の本当の想いに気づかれたんですね。
川添:そう!でもそこからどうすればいいかが全然分からなくて。色んな書籍を読んだり、研修に行ったりしました。そうしたら由佐美加子さんの塾で、「あなたは会社のために自分の人生をすべて捧げる『人柱モデル』ですね」と言われたんです。会社の代表としての川添克子と、個人としての川添克子が2人いる!そんなこと考えたことがありませんでした。会社が自分の人生の全てと当たり前のように思いこんでいたんです。
そこで、「そうか、私がそういう考え方だと、会社にいるみんなも同じ考え方になるかもしれない」と思いました。そこから少しずつ紐解いていって「じゃあどうすればみんなが生き生き働き続けられる場をつくれるか」ということを模索している中で、このDXOに出会ったんです。無料でダウンロードできたので読みましたが、実際どうやればいいか分からないんですよね。坂東さんに思い切って聞いちゃおうと思いました。めちゃめちゃヒットでした。
坂東: ヒットした?そうなんですね!たしかに導入する前から川添さんのDXOに対する絶対的な信頼感は感じていましたね。導入する前と後では進め方など印象は違いましたか?
川添:うーん、正直、驚きました。「DXOをインストールしたら会社は劇的に変わるよね」っていう、それだけは確信があったんです。なので「どんどん進めてください!」っていう感じだったんですけど、進めるプロセスはドキドキしちゃいましたね。最初の数回は「進まないじゃん!」みたいな。「今日はなんか取れ高あった?」みたいな(笑)「こんな感じで終わってよかったんですかね?」「遅れてないですかね?」って聞いたこともありますよね。「こんな感じですね」って言われて、「あ、そうですか」みたいな(笑)
「ワークショップ、全然進まないじゃん!!と思ってたよー」とぶっちゃける川添社長
「え、何の時間?」から会社が変わる確信につながる瞬間へ
坂東:それ良く言われます(笑)最初の言葉を決めるところまでの進み具合って、もどかしいですよね。でも、あのプロセスがあるからこそ、その先がスムーズに進むんですよね。
川添:そう、今だからわかる!ただただ自分たちの気持ちを言い合う、聞き合うことで、「何を言ってもいいんだ、この場は」っていうことを感じられるようになるんですよね。助言プロセスについて話すあたりから、あぁ、変わるなぁ!というのが感じられてきましたね。今までだと声を挙げるなんて考えられなかったメンバーが声を挙げてくれて、ドキドキしました。あの瞬間、会社が変わることを実感できて、すごくうれしかった。
乾:そうですね。あのDXOのプログラム自体も、13回のワークショップ全体で大きなひとつの助言プロセスをしているような感じなんですよ。意志に対して意見を出す。でも、意見を出すのって、関係性ができていないと、意見が出せない。だから、関係性をつくるというのは、そもそもの根本的な土台なんですね。だから、ワークショップの半分の時間を使って関係性づくりをやっていたんです。
川添:今は十分に理解してます(笑)
理解してもらえて良かったです。
「ねぇねぇ、プロフィットファーストいつ始まるの?」
川添:あと私、以前からプロフィットファースト(※1)の第一人者の片桐さんの会社を知っていて、その仕組みが気になっていました。動画を拝見したときに、「これだ!」と思ったんです。パートさんが自分より高い給料をもらっていることもあるなんて、どこの世界の話!?と思いますよね。それまで自社でも、経費をみんなに任せる取り組みはしていたのですが、「何か違う」と思っていたんです。この仕組みは絶対学ばないと!と思っていたところにDXOのテキストにも入っていたので、もう、めちゃくちゃ楽しみで。これはいつ始まるんだ!って、ずっと思っていました。
坂東:たしかに「44ページはいつやるの?」ってページ数指定で言ってましたよね(笑)。
川添:そうそう(笑)。プロフィットファーストで、みんなが生き生きとして、ちゃんと仕事をした対価をみんなで分散して、みんなが自立して成長できると確信していました。だから、早く導入したかったのだけど、詳しくわからないじゃないですか、どんなふうにしたらいいのかって。
乾:テキストを読んでもなかなか理解が難しいんですよね。導入前にイメージしていたことと、導入後では、印象の違いはありましたか?
川添:「え?ここまで!?」って。「こんなところまで、ぜんぶ見える化するんだ!」「すっかりみんなで決めていくんだ!」って思いました。事業経費すべてが対象なので、裁量の範囲が“ない”ですよね。
「え、ここまで!?」プロフィットファーストへの大変革
乾:なるほど。「多少範囲を決めた上で、社員に任せる形なのかな」というイメージだったんですかね。しかも「徐々に」ではなくて、いきなりドーン!ですからね(笑)
川添:そうですね。でも、今はわかります。いきなりじゃないと始められない、やるか、やらないかという決断。そして、リスタートに向けての、自分自身の今までの事業経費の使い方も再度見直しました。いろんなことが経営者として学びにつながりました。
「変えるなら、ガラッと一気に、は納得でした」
坂東: 役職もなくなるし、評価制度や給与制度、会計の仕組みまで、何から何までガラッと変わりますよね。社内の反応はいかがでしたか?
川添:まあ、経理も様変わりしますから、「いきなりそこまでやるんですか!?」という声もありましたね。会計ソフトも見える化するためにfreeeに載せ替えるんですけど、「絶対にそんな短時間でできませんよ」っていうところから入るわけじゃないですか。
でも「会社として決めたので、これはやります。やるためにどうしたらいいのか考えましょう」と税理士や顧問の先生方にもお話し、進めました。
坂東: そこだけはトップダウンで決める必要があるんですよね。
川添:そうですね。新しい仕組み、世の中にない仕組みじゃないですか。ですから税理士の先生には「こんなリスキーなこと、支援できませんよ」とも言われたんです。
坂東: なるほど・・・。経理の方々も消極的だったのでしょうか?
川添:味方になってくれました。プロフィットファーストのことを知れば知るほど、みんなが協力してくれるようになりました。実務と自社の会計がわかっていて、どうなるかがわかるから。それは大きかったですよ。この仕組みの説明をすればするほど、最初はfreeeに載せ替えることは、作業が増えるからって嫌がってました。でも、仕組みを何回も説明して納得してもらってからは、むちゃくちゃ早かったですよ。「今を乗り越えると相当楽になるね」って経理の人も言っていました。
坂東:なるほどなるほど。出資金制度(※2)についてはどうですか?どれくらい集まるか、不安はなかったでしょうか。
川添:うーん…「私がもし社員だったら出資するけど、みんなはどうだろう?」とは思っていました。でも初日に、会社のお財布のことを一番わかっている経理担当の社員が、大口の出資をしてくれたんです!それですごく安心しました。その様子を見たら、会計を知らない社員たちも安心するだろうとも思ったんです。出資する・しないにかかわらず、「経理のあの人が出資するんだから、この会社は安全な会社なんだ」と信頼してもらえる材料になったと思います。
乾:出資した社員はそこから自分の会社になるから、「もっといい会社にしよう。信頼感が高まるような会社にしよう」ってなりますしね。
川添:いやぁ、この仕組みやばいですよね!本当にすごいです。
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川添さんの生の声はこちら
何が一番会社のためになるかという問いへのシンプルな答え
乾:そこまで仕組みを変えるのは相当大変なイメージを持たれていたかと思うのですが、川添さんが「やる」って踏み切れたのはなぜですか?
川添:うーん、「何がやりたいのか」っていう原点に戻ったんです。みんなが生き生きと働ける場をつくるのは私の仕事で、その仕事を全うするにはこれしかないと思ったので、すぐ始めようと思いました。「Green propにとって何がいいんだろう」っていうことだけじゃないですか。なので、それを今決められるのは、私しかいない。今の私の仕事で決められる最大のことをやったっていう感じですかね。だから「えいや!」で。
乾:僕、リスタートしたときに川添さんが、「自分の仕事した!っていう感じがした」っておっしゃっていた言葉がすごく印象的でした。
川添:もう、経営者としていちばんいい判断を下せたというか、いちばんいい仕事したなって思いました。今期始まる前にDXOとプロフィットファーストの説明をして、会社が生まれ変わるという流れについてあらゆる部署で説明会をしました。それからね、変わっていくんですよ、みんな。
乾:え、説明しているだけで?
川添:うん。「会社がこう変わる」っていうのがわかった人からでしょうね。なんとなくですよ。「何が大きく変わった」っていうのはわからないんですけど、みんなが明るくなるのと、なんとなく自由な感じの雰囲気になってくるっていうのを感じて、「あ、これ絶対うまくいくな」と思ったんですね。なので、あのタイミングでもう、「私は本当に経営者としていちばんいい仕事した~!」って。しかも、「いろんなものから解放された~!」と思いました。今まで「いい会社をつくる」とか「みんなが生き生きできる場をつくる!」と思いながら、同時に、できていない自分をすごーく責めていたので・・・。そこから本当に抜け出せたっていうのは大きかった。
乾:それが「いい仕事した」っていう言葉につながったんですね。
坂東:「いい仕事した」って言ってますが、まだリスタートして1か月しか経ってないんですけど(笑)
川添:1か月しか経ってないけど、明らかに自走していますよ!
坂東: 明らかに自走!そうなんですね。
川添:導入してすぐ、助言プロセスでたくさんの改善提案が挙がってきます。以前だとそんな意見が活発に出なかった部署でもどんどん上げてきているから、確実に自走組織に変わってきていると思います。
乾:なるほど。今社員のみなさんが感じている課題も、よりよくしたいという想いがあるから出てくる課題意識なんですよね。
川添:そうですね。新しく始まった制度なので、まだ決まっていないこともあるけれど、「この制度をうまく活用しよう」という雰囲気はすごく感じます。案外みんな、楽しそうですよ。初めに丁寧にみんなに説明したこともよかったのかなと思います。
DXOでやりたいことが自然と会社の成長・繁栄と一体化する
坂東:色々な変化を実感されているわけですが、このDXOはどんな会社におすすめだと思いますか?
川添:経営者自身が「会社をどのようにしたいのか」によっては大きく違ってくる思いますが、DXOの考え方は、これからの時代の経営者は必須で学ばないといけないことだと思います。理想は社会の仕組み自体がDXOに基づいていったらいいですよね。
私たちの会社はサステナビリティ経営を謳っていますが、DXOは本当の意味で持続可能な仕組みだなと思うんです。これによって、会社はずっと続いていき、働いている人が、本当に自分がやりたいことをずっとやり続けられる、または、やりたい方向に向かい続けられる会社になるなと思いましたよね。
坂東: たしかに。社員が得意なこと、やりたいことをやれて、その結果が直接お金(分配金や出資の配当金)として反映されるということですもんね。
川添:うん。しかも、誰かの判断を仰がずに、すべて助言プロセスで決められるわけですよね。自分でやりたいことを決められる。素敵なことじゃないですか。
坂東: そうですよね。また、会社とは関係ない意思決定はしないですよね。会社の利益が自分と、みんなのお金に直結しますから。
川添:うん。自分のやりたいことと、会社の成長というか、みんなの繁栄とつながることになるなって思いますね、これをやると。
坂東:そうですね。自分が会社という器と一体化して、自ら動かせる流れになっていますよね。「会社がどうなろうと関係ねーよ。俺がやりたいことをやるんだよ」じゃ回らない。その中でやりたいことが違う人には周りからアドバイスがあり、組織として自浄作用が働いていく。それが持続可能性につながっていきますよね。
川添:つながりますよね、それが世界平和でしょう(笑)
坂東:なるほど。
乾:最後に、DXOいいなと思っているけれども、実行は難しいなあと感じている方に一言いただいてもいいでしょうか。
川添:DXOを導入すると、会社が本当に変わります。やるかやらないかは経営者の判断しかないので、経営者が「本当に持続可能な会社を経営していきたい」「社員のみんなと本当に力を合わせて会社づくりをしたい」と思っているなら、ぜひDXOを試してほしいですね。自分の予想を遥かに超えるような、素敵なコトが生まれますよ。ぜひプロフィットファーストもセットで。
経験1か月の私から言えるのはこれくらいでしょうか(笑)
坂東:1年経ったら、どこまで行っちゃうんでしょうね(笑)
川添:止まらないよ!
坂東・乾: 今日はありがとうございました!
川添:ありがとうございました!
(※1)プロフィットファースト:米国の起業家マイク・ミカロウィッツが提唱したお金を管理する仕組みをHolis株式会社が応用、開発。利益を先に決め、売り上げを複数の口座に振り分けて管理する仕組み。詳しくはDXOテキストP.46参照
(※2)出資金:組織のメンバーが組織に出資するお金で、銀行などの借入の返済に充てられ。ちなみに出資者には利益口座の50%の金額が出資比率に合わせて分配される。詳しくはDXOテキストP.47参照
インタビュー・校正:坂東孝浩、乾真人
編集:Satoko Sakamoto