進化型組織における権力の分散について
進化型組織について学んでいる方から
「組織に階層がなくなったとしても、
全て話し合いや多数決で決定していたら時間がかかるし、仕事が滞ってしまう。
それぞれのテーマについて、最後は誰かが決定するんですよね?だとすれば、
結局決定する人に、権力が偏ってしまうのでは?」
という具体的な質問をいただきました。
「意思決定する人は必要。でも、権力は分散できる」
と語る坂東。
組織の中で偉いとはどういう権力を持っていることなのか!?
そんな権力を分散するとは?どうすればそれが実現できるのでしょうか?!
坂東:今回はセミナーで質問をもらったのでそれについてお答えしたいと思うんですけど、よくティール系の組織、自律分散型の組織はフラットだと。フラットな組織で上司とかがいない、上下関係がない、そうなると誰が決める役なのか?みたいなのが分からなくなっちゃうというのはどうなんですか?で、実はそうじゃなくて例えばホラクラシーっていう組織構造も上下関係も階層があって、ちゃんと決める人はいるんだよね。そして、プロジェクト型でチーム毎になった時に、このテーマについては誰が決める。このテーマについては誰が決めるっていうのは決まってる。それが一律でどんな案件でも必ず部長が決めるとか取締役が決めるとかそういうんじゃなくてそれぞれのテーマとかプロジェクト、あるいは仕事の役割によって決める人が違うっていうようなことがこの新しい形の組織の特徴かなという風に思うんですけど、それは分かる?
小野:分りました。前回のホラクラシーの解説をしてくれたときにすごいよく分りました。
坂東:それで、だったら決める人がいるってことはその人ってどうしても偉くなっちゃうじゃないですか。要するに権力を持つっていうことじゃないですか。そこらへんどうなんですか?今までの組織と変わらないんじゃないですか?という風に質問があったんですよ。どう思う?
小野:ちょっと思ったけど、メンバーも違うプロジェクトではリーダーになる可能性もあるから、みんな同じレベルなんじゃないのかなってその時は思いました。
坂東:そうなんだよね。1つのポイントはそこで、その人が常に偉いわけじゃなくて、ここで偉いっていうわけでもないよね。決めるっていうことについてもね。その人が得意だからとか、その人が一番詳しいからとか。
小野:責任があるってことですか?
坂東:責任は伴うよね。決めるっていうのは、ちょっと怖いじゃんか。だけど、他のチームに行った時にその人が決める役割でもないし、誰か別のリーダーがいて自分もメンバーの一員になるってことがあるから、そういう意味で別に常に偉い人がいて常に偉くない人がいるっていうことじゃないっていうことはすごい大事なことだよね。それは大きなポイントの1つで、もう1つは偉い人っていうのは何を以て偉くなってるかっていうことをちゃんと整理すると分かってくるんですけど、会社の中で偉い人。管理職の人っていうのはなぜ偉いかというと1つは決裁権、決める権利を持ってるということが偉い要素なんですよ。それであとは人事権、その人が評価する権利、あるいはこの人をあっちに人事異動させちゃおうとか転勤させちゃおうみたいなそういう権利。その権利を一緒に持ってるとその人は偉くなっちゃうよね。それは何となく分かる?
小野:分ります。
坂東:だから、この人に逆らったら飛ばされちゃいそうとか、評価下げられてボーナスとか少なくされそうという風に考えたらあまりその人に立て付けなくなっちゃう。
小野:そういう人とうまくやってたらすごい出世スピードも早いイメージがあります。
坂東:そうなったら自分で色んなことを決めようとか上司が思い付かないようなアイデア考えたろうって思うよりはその人に乗っかってった方がいいって思えるよね。
小野:ご機嫌とるみたいな人いるじゃないですか。
坂東:偉くなるから、そっちにかしずくよね。それが組織の中では起こりやすい。それはなんで新しい形の手放す型だとそうならないのかっていう話だけど、それは人事権を分けて考えるとそういう風に偉さが偏らない。権力とか権威から偏らないっていうこと。だから、小野さんが決める人だと。ラボメディアについては全部決められる権利がある。だけど、評価する権利はない。評価は別の人がするってことになったら小野さんにそんなにへこへこしなくてもいい。
小野:逆に評価する人にへこへこになるんじゃないですか。それはどうやったら?
坂東:そこはまた考えなきゃいけないんだけど、まずは権力がある誰かに集中しちゃうっていう構造が会社の中では硬直化を招きやすい。決める人っていうことと、評価と人事権。あともう1つ情報へのアクセス権。偉い人しか持ってない情報とかあったりするじゃない。そういうのにアクセする権と、人事権と決裁権が権力の大きな3つと言われてるんだけど、それを分散化させることによってその人が偉くなりすぎなくていいというのが1つ。で、すごくいいポイントで、じゃぁ誰が評価するのか?っていうことによってその人が偉くなっちゃうじゃん。
小野:誰になるんですか?評価する人。
坂東:例えば、うちとかではどんな感じだったっけ?
小野:直属の上司みたいな・・・編集長かな私なら。上司かなぁ。
坂東:評価されるのは気になる?
小野:評価されてるのか分からないけど、頼れる存在としか思ってないかも。
坂東:だって上司的な編集長のことよね。編集長の大山亜矢子さんが小野さんの評価をして、賞与の額決めるとか給料決めるとかあるいはもう明日から行ってって言うかというと、独断で決めないじゃないですか。
小野:確かに。そんなんやりだしたら、お菓子食べてよ、おいしいらしいよ、レモンケーキ、好きだって言ってたよねとか媚びていくかも。
坂東:だけど、うちはそういうのないよね。なので、評価者が誰か特定の人ってなると会社の中で言うと人事部の人とかそう言う人になってくるとやっぱりそこに権力が偏ってくるので、なので今よくあるのは360度評価みたいなことを取り入れて上司だけじゃなくて同僚とかあるいは部下とか後輩からも評価してもらう。そういう感じにしてみたり、あるいはもっと進んでいるところだと自分たちチーム内でお互いに評価しあったりして給料とかを話し合って決めていくケースがあったり、もっととんがっていくと、自分の給料は自分で自己申告で決めていいみたいな会社もあったりするじゃないですか。ゆめみさんとか。そういうような形で誰か特定の人が人事権を持つっていう状態をなくしていく、分散化していくっていうようなことによってこの決めるっていうことがそんなに重く偉くなりすぎなくてすむことになるんですよね。だから、組み合わせなんだよね、やっぱり。決めていいよっていう風にセルフマネジメントを進めていくっていう際にも評価する人がこっちにいたら、そんなこと言われてもっていう感じになるんで、評価の仕組み、それから上司がどういう立場、どういう権力を持ってるのかというようなことをトータルでデザインしていくっていうことをしていかないと、決める人が偉くなっちゃうみたいな、つまり決裁権、何かの権限を持っている人が偉くなりすぎちゃうっていうことだと思うので、そういうところはうまくもっと構造的に総合的にデザインしていくってことを考えていくといいかなぁと。
小野:面白いですね。みんなで作っていくみたいなのが。
坂東:究極的には自分たちの会社は自分も関わって作ってるもんね。みたいな感じになるのが理想だと思ってて、さっき話に出た鈴木商店さんも、給料デザインプロジェクトっていう給与制度を決めるプロジェクトを社員が8人くらい入ってもらって話し合って決めたんだけど、最後終わったときに感想で言ってたのが給料とか評価とか会社にとって一番大事かなと思うことを自分が関わって決めるってホントまさに会社づくりに参加してるっていう実感が得られて、すごいよかったですと。で、鈴木商店さんの場合は結局最終的には社長が決めるってことだったから。
小野:でも、そこまでの過程があったからこそ、社長が決めることに納得した。
坂東:した。そういう風にしようというのも自分が関わって、自分がそれでいいと決める立場になっていると。決め方を決める立場になっているというので納得感が得られているのでそれって会社づくりに関わっている実感が得られている。だからすごい大事だと思うんですよ。そういう風にうまく社員の人たちを巻き込んでいく一緒に会社づくり、会社の色んな制度づくりを考えていくっていうのをやっていくと非常に楽しくなってくるかなと思います。
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