進化型組織界隈でも最近ウワサの「NVC」。
2泊3日のワークショップで体感してきました。
NVCというのは“Non-voilent communication”の略で、“非暴力コミュニケーション”とか“共感的コミュニケーション”と言われます。
書籍「ティール組織」の中でも導入事例が出てくるので、非常に興味はあったのですが、初めてちゃんと学ぶ機会を持ちまして、すごく豊かな時間を過ごすことができました。
(※「ティール組織」の解説はこちら)
ワークショップのファシリテーションをしてくれたのは、安納献さんと鈴木重子さんのお二人。
日本に5人しかいない、NVCのトレーナーです。(※2019年8月時点)
ちなみに鈴木重子さんは、東京大学法学部を出てジャズシンガーになり、日本人で初めてアメリカのブルーノートのステージに立った方。
当時TVやCMに出ていたので記憶している方もいるのでは?
私は非常に懐かしいというか、嬉しかったです(笑)
さて、NVCは進化型組織の中だけではなく、一般企業でも導入されています。
有名なのはマイクロソフト。サティア・ナデラ氏がCEOの時に、
幹部を始めとする全社員にNVCを推奨し、社内文化を変革。
着任後3年で売上120%増、株価3倍以上という成果を挙げています。
「管理・統制」ではなく「共感」を軸にした経営・リーダーシップが注目される契機になりました。
NVCとは?
NVCとは「関係性を大切にしながらコミュニケーションをとりたいと思ったときに役に立つもの。」
(by安納献さん)
コミュニケーションの方法のひとつなのですが、これがなかなか理解が簡単ではなく…。
私も見聞きはしていたのですが、分かったような、分からないような…。
今回、ワークショップを通じてはじめて実感することができました。
いま感じていることは、とても興味深くて、有用なものだなあということです!
(右脳的ですみません)
ここでは、私なりの解釈と気づきを、皆さんに共有したいと思います。
相手も、自分も、大切にする。
気づきは二つあるのですが、ひとつめは「自分を大切にする」という視点です。
NVCでは上記のように「関係性を大切にしよう」とあるのですが、
この「関係性」は、相手と自分との関係性だけではなく、自分自身との関係性も含まれています。
自分との関係性とは何かというと、それは“自分の大切にしていることを、
ちゃんと理解しよう”ということです。
「自分の行動や喜怒哀楽の感情は、自分自身がなにか大切にしたいことから引き起こされている。」というのがNVCの考え方です。
大切にしたいこと(NVCではニーズといいます)とは、例えば…
“愛情”とか“思いやり”安心”“喜び”“交流など、人間にとって普遍的に必要とされることです。
「感情は、ニーズから引き起こされている。」
このことが、非常に私にとって新鮮でした!
私はふだん、自分の感情に正直なタイプだと思っていました。
(そのせいで周りの人に迷惑をかけることも多いですが…)
しかし、感情の奥にある、自分のニーズ(何を大切にしているのか?)
を考えることはあまりないなあと気づきました。
ここに着目すると、コミュニケーションの仕方が変わるのです。
「怒り」はどこからやってきた?
実際に私に起きたことを話しますね。
先日、知り合いの経営者と食事に行こうという話になりました。
その方とは数ヶ月前にも食事に行く話になっていたんですけども、
その時は「じゃあ候補日を送ります」と言われて、そのまま連絡が来なかったので一旦流れました。
今回、久しぶりにやりとりをしている時に「行きましょう!」ということになり、日程を設定しました。
当日になり「今日はよろしくお願いします」という連絡をしました。
すると
「スケジュールを入れ忘れていて、他の予定が入ってしまい、行けなくなった」という返信が。
それでその日はドタキャンになったんですが、私はその時に腹が立ったんですよね。
「好きな人だし仲良しだと思っていたけど、もう二度と行くもんか!」と。(笑)
ここでですね、“腹が立った”っていうのは感情です。
この感情は、自分の大切にしている何から引き出されたのか?
ということを考えることがNVC的な発想なのですが、考えてみました。
すると…
私の怒りの感情は「大事にされる」ことが満たされなかったから出てきたのだな、
ということに気づきました。
2回続けて約束を反故にされたことで、私のことが大事にされていないと思ったわけです。
そのように整理できると、不思議と感情的には落ち着きました。
もし自分のニーズに気づかないままだったら、次に会った時には怒りプンプンで、冷たい態度をとったり、攻撃的な言動をしてしまったかもしれません(苦笑)
でも、いまは整理できていますから、次に会った時には、たとえばこんな風に話すかもしれません。
「この前の食事、僕は本当に楽しみにしてたんですよね。僕にとって大切な人だし、
だから特別な店を予約していたし。だから行けないって言われた時、
ああ、自分は大事にされてないのかな、と感じて、寂しい気持ちになったんですよ。」と。
つまり、感情的ではなく、自分の想いを伝えるコミュニケーションが取れるなあと思いました。
そしてこのことは、相手に対してもあてはめることができます。
私は“大事にされていない”と思っていますが
「きっと相手にも、何かニーズ(大切にしたいこと)があったのかもしれない」
と思いを馳せることができる訳です。
このように「関係性を大切にする」ということは、自分と相手の大切にしたいこと(ニーズ)を理解した上でコミュニケーションに役立てよう、ということなのだと思いました。
これは進化型組織で語られている「全体性(ホールネス)」と非常に相性がいいなという風に理解ができました。
心理的安全性のつくりかた
もう一つの気づきは「心理的安全性」についてです。
ワークショップのやり方が非常にユニークだったのですが、
どんな服装でも、どんな姿勢でもいいというのです。寝転がってもいいし、立ってうろうろしてもいい。
それどころか出て行ってもいいし、寝ててもいいと(笑)
さらには、シェアや質問さえも、してもいいし黙っていてもいいと。
とにかく「自分がやりたくないことは、絶対にしなくていい」ということがルールになっていました。
そうなると、言葉を選ばなくてもいいし、いいこと言わなきゃ、
何か質問しなきゃ、みたいな気負いがなくなります。
沈黙も怖くない。
その場にありのままでいられる。
とても、居やすい環境がつくられているのです。
そんな場では、お互いのコミュニケーションの質が全く変わってくるということを実感できました。
最近、組織の中でどう心理的安全性をつくっていくか?ということがよくテーマになっています。
しかし、なかなか難易度は高いですよね。
私は安納さんと鈴木さんの場づくりを通じて“実感”することができました。
皆さんもミーティングで上記のようなことを試してみたり(笑)あるいはワークショップやセミナーを通じてNVCを体感してみることをオススメします。
あとがき
ワークショップ後、社内のミーティングでさっそくNVCについて共有しました。
「めっちゃ良かったよ!勉強になった!」と興奮して話したところまでは良かったのですが…。
その後、ディスカッションをしている際に、私がつい感情的になってしまったんです。
それがメンバーにも伝わって、雰囲気が一変。
私も自分で気づいていたんですが、コントロールできず…(涙)
あとでメンバーに「あんなにNVCのことを熱く語っておいて、
ぜんぜん実践できてないじゃないですか。口だけですか?!」
と説教されました。
反省…。
わかったつもりでも、実践は難しいですね。
精進します…。