日本初のAIヘッドハンティングサービスを展開されている、株式会社scouty(現・LAPRAS株式会社)の島田さんに取材を行いました。
島田さんがホラクラシーを導入された経緯や、日本と海外でのホラクラシーの捉え方の違いについて、お話しいただいています。
(※「ホラクラシー 」の解説はこちら)
坂東
みなさん、こんにちは。手放す経営ラボラトリー 所長の坂東孝浩です。 今回、ラボを飛び出して、株式会社Scoutyに取材に来ています。代表取締役の島田寛基さんにゲストにお越しいただいてます。島田さん、よろしくお願いします。
島田さん
よろしくお願いします。
坂東
まず、Scoutyという会社について、どんな会社かっていうのをご説明いただいていいですか?
島田さん
わかりました。われわれ「日本初のAIヘッドハンティングサービス」と言ってまして、ネット上のオープンデータと呼ばれているSNSとかブログとかイベントサイトといったものから情報を収集していって、そこからデータベースをつくってます。 今、100万件を超える人のデータが入ってまして、そこにスカウトを送るというサービスなんですけど、登録型のサービスではなくて。
坂東
だから、100万人は登録してるわけじゃないんですよね。
島田さん
そうですね。
坂東
勝手に……
島田さん
SNSをもって自動的に入ってくる。
坂東
SNSが中心なんですか?
島田さん
はい。
坂東
で、対象はエンジニア?
島田さん
エンジニアを対象にしてます。なので、自動的に履歴書にあたる情報が統合されてつくられるという感じですね。 で、そこから機械学習とかAIとか呼ばれているもので、「その人がいつ退職しそうか」みたいなところを予測して。
坂東
予測すんですか?
島田さん
はい。
坂東
すごいっすね!
島田さん
で、転職しそうな人に対してスカウトが優先的に送られるみたいな仕組みになってます。
坂東
たとえばツイッターとかで「もうやってらんねぇ」みたいな?(笑)
島田さん
そうですね。そういうのも自動的に拾われたりしてますね。 あとは相性みたいなものをマッチングして、その人に合う会社を推薦するみたいな感じですね。
坂東
あ、そういうのもやられてるんですね。
島田さん
はい。
坂東
へぇ~。サービスはいつから始めてらっしゃるんですか?
島田さん
オープンベータ版というものをつくってリリースしたのが去年の5月で、今年の8月27日に正式版ということでリリースしました。
坂東
じゃあ、もう去年から事業としてはスタートしていてと。
島田さん
そうですね。
坂東
会社ができたのが何年前ですか?
島田さん
会社ができたのが2年前の5月なので、2016年5月ですね。
坂東
そこから始めたという?
島田さん
そうですね。
坂東
もともとそういう業界に興味があったんですか?
島田さん
はい。もともとバックグラウンドとしてはエンジニアで、AIとか機械学習を研究していて、イギリスのエディンバラ大学という大学院にAIの研究をして、マスターの修士号をとって日本に帰ってきたんです。 そのタイミングで事業を開始したという感じですね。
坂東
おぉ~、なるほどねぇ。今おいくつでしたっけ?
島田さん
今26歳ですね。
坂東
ほぉ~。すごいユニークなサービスで、なんか採れそうな気がしますけど、実際どうなんですか?
島田さん
ありがとうございます。結構これで転職した方っていうのも何人も出てきていますね。
坂東
正式にリリースして、今、月間どれぐらいのペースっていうか。
島田さん
社数自体が60社か70社ぐらいにたしかなってるというペースですね。
坂東
なんつーんですかね、転職のタイミングを図るっていうと、向こうからしたらビビりそうですよね。
島田さん
たしかに。タイミングがよすぎると「なんでわかったんだろう?」みたいな感じになるかもしれないですけど、転職したい人も「いちいち履歴書をつくって、いろんな企業にアポとって」っていうのがすごく面倒臭いので、なんとなく「転職したいな」って思ったときに向こうから勝手に来てくれるみたいな体験があると、すごくスムーズに転職したりもできるので、そういったところを目指してます。
坂東
それで、企業のほうはどんな形で?成功報酬ですか?
島田さん
今のところはシステム利用料ということで月額制でやってますね。
坂東
そうなんですね。で、エンジニアを採用したい企業がシステムを使っていってと。
島田さん
はい。
坂東
利用料プラス、何かあるんですか?ないんですか?
島田さん
今のところは初期費用ぐらいで。
坂東
そうっすか。へぇ~。なるほど。今は組織としては、人数はどれぐらいおられる?
島田さん
今のところ正社員が20人にちょうどなったというところで。 去年の今ごろは6人とかだったので、そこから14・5人増えたっていう感じですね、逆に言うと。
坂東
今回インタビューしたいなと思ったのは、ホラクラシーを導入しているということで、私が前回、島田さんがやられたホラクラシー勉強会に参加させてもらって、めちゃくちゃおもしろかったんですよ。
島田さん
ありがとうございます。
坂東
いわゆる日本の中で言われてるホラクラシーと違いますもんね。
島田さん
そうですね。本家のホラクラシーっていうものと日本のホラクラシーっていうのは、若干意味が違って使われているような感じなので。
坂東
そうですよね。「純ホラクラシー」って言ってますもんね。
島田さん
はい。そこは区別して、われわれ「純ホラクラシー」っていう言い方をしてるんですけど。アメリカの本家のホラクラシーに準じているという意味でつけて。
坂東
そういう意味では、純粋にアメリカでホラクラシー憲法ということをもとにした、「ホラクラシースタイルっていうのは、こういうものなんだよ」というのがあるわけですよね。
島田さん
そうですね。
坂東
それを忠実に導入してる会社って、たぶん日本ではほとんどないんじゃないんですか?
島田さん
少ないですね。最近の概念でもあるので。
坂東
それを導入されている貴重な会社で、しかも、なんで勉強会をやってくれようと思ったっていうか。
島田さん
あれは個人としての趣味っていうのもあるんですけど……
坂東
趣味!?
島田さん
うちの会社内でも、新しく入ってきた人に対して「ホラクラシー組織ってこういう考え方でやりますよ」っていうオンボーディング用の資料というのをつくっていて、そのへんを社内で使うのはもったいないし、うちの理念として「オープンであれ」っていう価値観があるので。
坂東
そうなんですね。
島田さん
はい。とにかくそういうものをオープンにして、そこからパクられたりするよりも、そういうことで新しいシナジーとか新しいコミュニティとかが生まれるほうが長期的に見て価値があるんだというふうに考えてるので、そのへんから何かコミュニティ化したりとかしたらおもしろいなあと思ってやりました。
坂東
なるほどですね。実際、あの勉強会のときでも、「ホラクラシーとか、ティールとか、そういう会社に就職したいと思って勉強会来ました」みたいな人がいましたよね。
島田さん
ああ、そうですね。
坂東
やっぱ、そういう基準で就職先を選ぶっていう人が今後もっと増えてくるんだろうなと。
島田さん
そうですね。変わってきてると思います。
坂東
僕も福岡でティール組織を勉強するっていう勉強会を開いたんですけど、そのときも来てたんですよ。
島田さん
へぇ〜。
坂東
福岡でやったんですけど、熊本からわざわざ「この勉強会に来たらティール組織やってる会社と出会えて、転職できんじゃないかと思って」みたいな。 実際に決まったんですけど、そこから。
島田さん
それは素晴らしいですね。
坂東
ね。でも、そういう価値観の人がこれからもっと増えていくんだろうとは思いますね。
島田さん
そう思います。
坂東
で、今回のテーマはですね、このホラクラシーをできるだけわかりやすく、今まで知らない人も伝えちゃおうというのがテーマにしたい思いますので、ご協力お願いしたいと思うんですけども。
島田さん
了解しました。
坂東
まず、島田さんがホラクラシーを導入しようと思った経緯からお聞きしてもいいですか?
島田さん
いちばん最初のきっかけとしては、会社資料をつくってるときに外部の人から「会社の組織図をつくってくれ」っていう要請があって、普通に資料とかに入ってるやつですよね、それをつくったんですよ。 で、それをつくったときに、いわゆる旧来っぽいツリー構造の枝があるような図をつくって、その上にCEOとして島田寛基がいて。
坂東
トップとしていたわけですね。
島田さん
はい。そこにCOO・CTOがぶら下がっていて、COOの下にビジネスがいて、CTOの下に開発部みたいなのがいるっていう組織をつくったんですね。 それを社内に見てもらって、「これつくったんだけど、どうかな?」と言ったところ、メンバーから批判を受けました。
坂東
あ、そうっすか。
島田さん
「これはうちっぽくない」と。そもそもこういうトップダウンの感じじゃないし。
坂東
実際は違ってたわけですか。
島田さん
そうですね。実際は僕もそれを自覚しながら、かといってそれを表現する組織図っていうこともわからなかったので、違和感をもちながらも一応近い組織図っぽいものをつくったんですね。 そうすると、やっぱりうちは結構専門性が高い人が集まってるので、「ポリシー的に専門性高い人が意思決定したほうがいいんじゃない?」とか、「トップダウンっていう組織体系ではなくて、1人ひとりがオーナーシップをもっていて、そこに対して責任者が判断下したほうがいいよね」っていう考え方でやっていたので、 それは違うということで、「違うんだったらどうすればいいんだ?」みたいな議論になり、「じゃあ、まず枝を取っ払ってみよう」みたいな感じで図から枝を取っ払ってグループみたいに丸で囲むみたいな、そういうことをしたんですけど、 結局構造的にはあんま変わんないので、「なんか違うけど、さっきよりはマシだね」みたいな(笑)っていうことを繰り返していくうちに、ある人が「ホラクラシー組織っていうのがあって、それはこういう感じで図を書くよ」みたいな。 それは人をベースにしているのではなくて、会社の機能を組織図の1つの単位にして組織図を書くという。
坂東
機能をね。
島田さん
はい。そういうやり方があって、「これはうちっぽいな」みたいなことを見ていって、そこから少しずつ僕以外のメンバーが勉強し始めたりとか、あとはホラクラシーの提唱者であるブライアン・J・ロバートソンっていう人が書いたホラクラシーの本をみんなで読んでいったりとか、読んだことを「わかったこと」みたいな感じで自分らのメッセージにどんどん投稿していったりとか、そのへんから「これはやってみたらよさそうだ」っていう流れになり、特に関心がある人が多かったデベロップメントのチームで最初に導入してみようってことで、そこだけホラクラシー化、局所的にしたっていう感じになって。
坂東
最初は部分的に始めてみた?
島田さん
はい。やっぱり、そこから広がっていくと外側にも影響当然あるので、「外側もじゃあ同じようにしないといけないね」ということでホラクラシー化していって、そこで自分たちのやり方でやっても仕方がないので、まずは本家のやり方に忠実に従ってみようということで、「意味がないかもしれないけど、いったん体験するために2・3か月はこのルールに沿ってやってみよう」ということでやり始めて、3か月ぐらい運用して全体の組織に行き渡ったあたりで、「このへんはちょっとやりにくい」とか、「うちはたぶんこれいらないから、とっちゃおう」みたいな、そういうカスタマイズを少し入れたという。あと、運用方法とかもある程度自分らでオリジナルのものを入れたりつくったりして、そこから新しいオリジナルのホラクラシー憲法みたいなものをつくって、ほとんど本家に準じてはいるんですけど、そこから全社的にしっかりとやり始めたという感じですね。
坂東
今、「ホラクラシー“憲法”」という言葉が出てきたんですけど、日本で言われてるホラクラシーと本家のホラクラシーっていうのは何が違うのかって、島田さんなりの解釈を教えてもらっていいですか?
島田さん
日本でいう今のホラクラシーっていうのは、ヒエラルキー構造でない組織の全般を言っているようなイメージがあって。
坂東
そうですね。「ヒエラルキーじゃないよ」みたいなのの総称みたいな。
島田さん
そうですね。「フラットな組織」みたいな感じで、若干ティール組織って呼ばれているものとも混同しているというか、近いようなニュアンスで使われているなと思っているんですけど、実際、本家のホラクラシーというのはティール組織の中の1概念というか1形態なんですけど、それは明確なホラクラシー憲法というものがあって。
坂東
まず「憲法」があるというのが1つの特徴ですね。
島田さん
そうですね。それに従ってるかどうかっていうのがひとつの大きな違い。
坂東
国の法律みたいな感じですか。
島田さん
そうですね。
坂東
だから、会社の法律をつくろうと。
島田さん
そうですね。それが場合によってはアップデートされたりとか、うちはオリジナルのホラクラシー憲法があるので、自分たちでその法律自体を直したりとかしていくことができると。
坂東
会社の中に法律をつくって入れるっていうのが、なんかイメージが湧きにくいっていうか、すごい堅苦しくなりそうだし、そこらへんは違和感なかったですか?最初は。
島田さん
やっぱりマネジメントを放棄するっていうのは非常に難しくて、そのために決まりごとがないと、みんな好き勝手にやると結局管理が生じてしまうので。
坂東
無法地帯になっちゃうってことですね。
島田さん
はい。トレードオフではあるんですけど、やっぱりルールがあったほうが議論の拠り所になったりするんで。 たしかに「これってルールだとどうだっけ?」みたいな議論をいちいちしなきゃいけないので、動きづらさもたまには感じるんですけど、共通で「これに従おう」っていうものがあると変な争いになりにくいですね。たとえば組織において、「あなた、これをやってください」とか、「こういうミッションがあります」とか、「あなた、デザインがちょっとできるから、このデザインやってよ」みたいな、そういうものって特に誰が決めるかっていう決まりがなくて、誰が誰でも任命したりしていいとか、あるいは社長が決めることになっているとかだと思うんですけど、ホラクラシー憲法には「誰が決める」っていう規定があるんですね。
坂東
それは管理者なんですか?
島田さん
管理者ではないです。それは新しい、リーダーでもない、ホラクラシーでは「リードリンク」っていうふうに呼ぶんですけど、それが少し新しい概念で、メンバーの役割を任命する人っていうのがリードリンクで、基本的にそれ以外はあんまり出しゃばらずに、何も管理したりはしない。
坂東
役割を決める役割なんですね。
島田さん
はい。その人が決められるっていうルールがあるので、好き勝手に決められないことによってある程度クリアになることがあって。 旧来組織だと、「自分がこの人の役割を決める」って思ってたのに、誰かが勝手に決めてしまったとか。
坂東
いつの間にか仕事がめちゃくちゃ増えてるとか。
島田さん
そうですね。それもよくある話で。
坂東
じゃあ、上司・部下との関係とも違うわけですね。
島田さん
そうですね。
坂東
で、管理っていうのもちょっと違う?
島田さん
はい。
坂東
憲法をつくることによって、管理が少なくなった、なくなったっていう感じなんですか?
島田さん
管理がなくなったというか、管理をしないと細かい問題がいっぱい出るんですよ、普通は、それがなくなったっていう感じですね。 たとえば「誰がこのミッションを任命するの?」とか、「この人任命しようと思ったけど、別な人がやっちゃった」とか、あるいは「こういう役割をいらないから消そうと思うんだけど、どういうプロセスでやればいいか」っていうのは規定がちゃんとあるので、その規定があることによって比較的長い議論をしなくても、それに従ってやってしまえば役割のメンテナンスとかが簡単にできると。
坂東
なるほどね。なんか、あれですかね、国でいうと選挙みたいなもんなんですか?
島田さん
それも入ってますね。ホラクラシーでは、ある役職に関しては選挙に決めるっていうのもあって。
坂東
そうっすか。
島田さん
はい。それも憲法で決められていて、「この役職に関してはこの人が選挙する」みたいな。
坂東
だから、もし日本という国に法律がなかったら無法地帯になりますよね。
島田さん
そうですね。そのかわり人が他の人を管理したりとか、監視すれば、仮に「殺人はダメである」っていう法律がなくても、殺人しないように監視する人がたくさん配置すれば、たしかに……
坂東
秩序は保たれるかもしれない。
島田さん
保たれるんですね。どうせ監視できる人っていうのは7・8人に限られるので。
坂東
7・8人?
島田さん
たとえば、マネジメントでよく言われる、1人が管理できる最大人数っていうのが7人とかっていう話がありますけど、結局それで1億人を管理しようと思ったら、階層的に管理者を管理する管理者がいて、その管理者を管理する管理者がいて……みたいな、そういう構造になっていかざるをえないので。そのかわり法律があれば、管理をしなくても、その法律さえ信じれば殺人は起こらなくなるとか。
坂東
起きにくくなるし、起こったときに粛々と「これは犯罪だから」ということで、「なぜならガイドラインがあるから」と。 で、誰もが善か悪かということがわかりやすいという。だから、合理的にというか、スピーディーに物事が進められるんですかね。
島田さん
そうですね。だから、組織に逆に法律がないっていうのはすごく危ないというか。もちろん殺人は起きないんですけど、人によってやっていいことの認識がぜんぜん違ったりするんで、「この人に仕事を頼んでいい」っていう認識をみんながもっているのに、本人的には「頼まれたくない」とか「こういう役割を期待されたくない」みたいな、そういうのもあったりもするので、そのへんの規定が人の認識に依存してると、あちらこちらでいろんなことが起こっていて、そこで認識の齟齬が出まくってしまうっていうことが起こるので。
坂東
だから、法律がないと「管理する」っていうことが前提の組織になりやすいっていうことですね。
島田さん
はい。
坂東
極端に言ったら、北朝鮮みたいな感じになるんですかね。
島田さん
かもしれないですね(笑)
坂東
北朝鮮は法律なんかあると思うんだけど……これ、言っていいのかな、あとでチェックして。お互いにめちゃくちゃ監視してて、タレコミがめちゃくちゃあるっていうふうに聞くんですけど
島田さん
近い状態かもしれないです。
坂東
そういう状態になれば一応抑制はできるけど、めちゃめちゃ生きづらい世の中ですよね。
島田さん
そうですね。
坂東
で、それが会社の中でも……
島田さん
常に監視されて、結局自分がやりたいと思ったことも、上に「これやっていいですか?」みたいなことが必要になってしまうので。
坂東
そうだよなぁ、管理というか監視だよなぁ、実際にやってることは。
島田さん
たしかに。
坂東
なんで法律がなくて今までできたんだろう?企業は。
島田さん
まあ、管理を……
坂東
あ、管理をきちっとしてたからだ。
島田さん
ちゃんとしていたからではあるんですけど、やっぱりそれも難しさがあると思ってまして、スピードが落ちてしまうんですね。 結局、管理者に「これやっていいですか?」っていう確認をしないといけないので、その管理者がさらに上の管理者にレディを求めていったりもするので。
坂東
で、1人の管理職が1,000人とか1万人はぜんぶ監視できないから……
島田さん
はい。だから階層になるしかないと。一応それで回るは回るんですけど、スピードが遅いとか、あるいは管理者が「こういう基準で管理します」っていうのが不明確なせいで、管理してるグループでも暗黙知で動いてしまって、人によって認識が違うっていうこととかは起こりうるので、管理も完璧ではないですね。
坂東
そうですね。かなり個人差が出たり、その人の属人的なものになりますね。
島田さん
はい。
坂東
そういうことは問題意識としてもってたんですか?会社、今までつくったことなかったんですか?
島田さん
実際にホラクラシーをやってみると、それによって解決される問題っていうのが見えてくるので。
坂東
結果的に「あ、解決するね」と。
島田さん
はい。最初はどちらかといえば、「その問題を解決する」っていうよりは、さっきの組織図から始まって、「われわれらしい組織形態って何か」っていうことを探していって、「ホラクラシーっていうのがそうだよ」っていうことに気づいたので、徐々にそれを見ていくと、「今、実際うちがもってた問題って、これで解決されそうだね」ということがわかってきたという感じですね。
坂東
なるほどねぇ。繰り返しになるんですけど、「われわれらしい組織」っていうのは、どんなことを当初は想像してたっていうか、イメージして?
島田さん
たとえば専門知識のある人が意思決定権をもって決定を行うとか、縦割り構造とかのない有機的な組織で、「この人はこの部署に所属しているから、これをやらなければいけない」というよりは、「いろんな部署に所属して、複合的にいろんな役割をもっていて、いろんなところに所属している」という所属関係がすごく複雑な感じとか、従来の組織図ではそこが表現しきれなかったので、直感的に違和感があったと。
坂東
なるほどねぇ。ホラクラシーをなぜ導入しようと思ったかっていう経緯から、「Scoutyらしい組織ってこうなんじゃないか」って直感的に思ったことが「ホラクラシーで解決できるかもしんない」というふうに思ったっていうところからスタートしたってことですね。
島田さん
そうですね。
坂東
次回、実際導入してみて、たぶん「やりやすかった」とか「やりにくかった」とか、いろんなことがあったと思うんですけど、そこらへんの実態をもう少し具体的にお聞きしていきたいと思います。今回はありがとうございました。
島田さん
ありがとうございました。
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