2017年7月から進化型組織の実践をはじめた株式会社ブレスカンパニー。
代表の坂東孝浩が、試行錯誤の様子を日記として綴ります。
進化型組織の全てが経費をオープンにしているわけでも、しないといけないわけでもありませんので、あしからず・・・
北條
みなさん、こんにちは。手放す経営ラボラトリー、助手の北條久美子です。
坂東
所長の坂東孝浩です。よろしくお願いします。
北條
こちらこそよろしくお願いします。
坂東
ちょっと入り方を変えたんだよね。
北條
そうです。
坂東
ぎこちない感じですいません。
北條
なんかちょっとぎこちないですかね。
坂東
今回は私の会社の組織づくりの実況中継ということで、テーマは「経費」ですね。
北條
これ、めっちゃセンシティブじゃないですかぁ？
坂東
センシティブですかね。
北條
センシティブですよね。
坂東
ずっと経費については取り扱ってなくて、1年間。 去年からこういう形で進化型組織としての手放す経営スタイルで始めてるんですけど、給料とかはオープンにしたり、みんなで話し合って決めるとかやってたんですけど、経費はそのままにしてたんですよ。
べつにそれは意図があってしてたわけじゃなくて。
北條
でも、ちょっと逃れたかったみたいなのはないんですか？
坂東
ま、なくはないかな。なくはないですね。
ただ、結局自分しか使う人がほとんどいなかったので。経費っていっても大半は会議費、交際費……食事代かな。
だから、使っちゃいけないっていうふうに決めてたわけじゃなかったんだけど、なんかそういう感じにしてたんですよ。
でも、これもちゃんとやったほうがいいかなと思ってて。 特にそんなに問題はなかろうというふうに思ってたんで、優先順位が低く考えてたんですけど、これを議題にあげてみて経費もオープンにしようかと思ってると。
北條
あ、坂東さん自ら言ったんですか？
坂東
そうそう。
北條
なんかチャレンジャーじゃないですか、それって。
坂東
そんなにチャレンジャブルだと思ってなかった。
北條
でも、「ってことは」っていうことですよね。
坂東
え？
北條
チャンジャブルだとは思わなかったけれど、フタを開けてみたら……みたいな。
坂東
「これもやってみようかな」と思ったら、すごい大事なテーマだったみたいで。みんなにとっては。
北條
社員からしたらそうだと思いますよ。
坂東
そうなんだね。
北條
だって、「社長、何に使ってんの？この経費」みたいな感じの会社のお話ってよぉぉく聞きます。
坂東
よぉぉく聞くね。
北條
よぉぉく聞きます。「ブラックボックス」とか言われてますよ。
坂東
ああ、ブラックボックスね。「パンドラの箱」って言われた。
北條
なるほど（笑）
坂東
「自分で開けちゃったんですね」とか言われて。 で、メンバーからもまさか言ってくるとは思わなかったみたい。「でも、自分たちからは言えなかった」って言われましたよ。
北條
それだけパンドラの箱は重かったんですね。
坂東
そう。グレーゾーンは、これはもうしょうがないんだなと。触っちゃいけないんだろうな、みたいな。
北條
どれぐらい使ってたかは、だいたいみんな知ってたんですか？
坂東
いや、知らない。
北條
まったく知らない？
坂東
ただ、経理の子は知ってるから。 だから、聞こうと思ったら聞けるし、見ようと思ったらぜんぶ見れるのよ。だから、俺、知ってると思うよ、だいたい。
だけど、べつにそうじゃなかったし。だからといって……っていう話だよね。 だから、隠してるつもりはぜんぜんないし、隠れてないからね、べつに（笑）
北條
なかったんですね（笑）聞こうじゃないですか。どう「パンドラ」だったんですか？
坂東
結局、やっぱ思った以上にすごくそこに対して不信感があると。
要するに何に使ってんのかわかんないし、どこまで使ってるのもわかんないしということで、ぜんぶ中身をオープンにしたほうがいいというふうに思って、近い月の1か月の経費の内訳をぜんぶ明細を見せたの。
「これにいくら、これにいくら、ここで会食してこんな感じ」っていうようなことをやったら、「うおぉぉぉ！」みたいな（笑）
北條
それ、リアルな声ですか？「うおぉぉぉ！」って出たのは。
坂東
心の声だと思うんだけど。口では出てないけど。
北條
表情で？（笑）
坂東
ザワついた。
北條
ザワが起きた？（笑）
坂東
ザワが起きて。そんなに、でも、使ってるつもりはないというか、べつにキャバクラとかに行ってめちゃくちゃワッショイ！みたいな感じですることとかぜんぜんないし、そんな使途不明金ないのよ、基本的に。
北條
そうであってほしいです（笑）
坂東
（笑）だけど「その感覚自体がおかしい」ということで言われまして、「あ、そうなんだ」と。
北條
たぶん、そのとき坂東さん結構イラッとした顔してましたよね、きっと（笑）
坂東
あ、してたと思うなあ。なんか圧が強かったらしいけどね。
北條
坂東さんの圧が？
坂東
俺のみんなへの圧っていうか。でも、「これはもうぜんぶ見せないといけない」っていうふうに早い段階で思って、「テキトーにやり過ごせないっぽいな」と。
北條
本当に「パンドラの箱」ですね。
坂東
本腰いれて、「あ、ここだったんだ！」って。「給料とかじゃなくて経費ですよ、大事なのは」みたいな。
北條
えー、それ名言かも！
坂東
「だって、給料は自分のお金だからどうしようと勝手だけど、経費は会社のお金じゃないですか」と。
北條
たしかに。で、結局、賞与とかって会社の業績に応じて出たりとかするじゃないですか。
ってことは、社長が経費あんまり使わなければ、それって利益になったんじゃない？みたいな発想ですよね、たぶん。
坂東
そうそう。
北條
「ただ、その会食がなかったら、このご縁もなかったのかもよ」みたいなので、どっちもどっちだと思うんですけど。
坂東
そうね。
北條
ね。社長の立場からすると。
坂東
そうそう。
北條
「これ自腹？」っていう感じのもあるじゃないですか。
坂東
そうね。
北條
ね。「本当に縁をつないだ会食なのに」みたいな。で、どういう基準にするんですか？これから。
坂東
主に大きくは会費、勉強会とかの、あとは会合の会費。それと会議費、交際費。会食費だよね、それがほとんどを占めていて、それについて決めたんですよ。整理した。仕分けです仕分け。
北條
「これはOK」「これはダメ」みたいな？
坂東
そうそう。
北條
うわぁぁ、すごーい。
坂東
結局、直接の取引先との会食は、それはいいよねと、それは○と。 だけど、ぜんぜん仕事はしてないのに仲がいいっていう経営者との会食はどうなんだと。これは△だと。べつに本当にプライベートなものは計上してないんで。
北條
えらい……いや、当たり前です。
坂東
当たり前ですね。
北條
当たり前ですよ。
坂東
そうそう。だけど、仲がいい経営者とかはどうなんだ？というのと、あとは諸会費でも経営者との会、これはいいけど、「FUKUCON」というコミュニティがあるんですけどね、それもまあOKかなと。 だけど、それから派生した兄弟コミュニティみたいのがあって、それは違うんじゃないか、そこまではいいんじゃない？みたいな。 あとは、経営者の茶道の会って入ってるんですけど、経営者の茶道の会も「それは違うんじゃないですか」って。
北條
大蔵大臣みたいな人がいるんですか？それをジャッジする。みんなで？
坂東
みんなで話し合ったらしい。
北條
坂東さんのいないところで？
坂東
何回もずっとやってて、いないところでこういうふうに「じゃあやりましょう」みたいな。 で自分なりにもこういうふうに仕分けをしたうえで、その叩き台をもとにやってもらって。
北條
すごい。なんか国会の話みたいですね。仕分けね。
坂東
そうね。民主党が昔やってたね。
北條
流行りましたよね。あんな感じだったんですね、じゃあ。
坂東
あんな感じでやって。でも、やっぱり言えないんだね。
北條
言えないっていう話をよく聞きます、私は。いろんな会社の社員さんから。
坂東
でも、1年前からずっとやってきて、言えるような流れにはなってきたかなと思ったけど、それでも言えないんだな。「『結局本丸が変わらない限り、何やったって無駄でしょ』って思ってた」って。
北條
そこまでですか！
坂東
うん。「それにすごい昔いたメンバーとかも不満を感じてましたよ」とか。
北條
「社長はいいよねー」みたいなことですか？「美味しいもん食べて、経費で」みたいな。
坂東
そうそう。あとは、たとえばインターン生とかにもおごったりするでしょ？一緒に食事行ったり。自腹で出した、経費とかじゃないけど「坂東さんはいいよね」みたいな。
北條
言われてたんですね、ずっと。
坂東
言われてたみたい。言ってよ！ってね（笑）
北條
あの、言わせない感じだったんじゃないですか。
坂東
そうね。べつに線引きをバシッとしてるつもりはまったくなくて、そういうことを思ってるとか手出ししてるとも思ってなかったし、言ってくれたらぜんぜん改善するつもりだった。
北條
いや～、言えないと思いますよ。
坂東
そうなんだよね。
北條
交通費とかは言えても、ごはんとかはなかなか。
坂東
「そんなことを言わせんな」っていう感じなんだなあと思って。それはそうだなと。デリカシーの問題とちょっと近しいっていうか。「そんなことは自分できちっとしてくださいよ。 だって、あなたのデリカシーに踏み込む問題じゃないですか」と。
北條
まあ、たしかに。
坂東
だから、自分で正さないといけないんだね、そういうのは。
北條
すごい、なんか大人な感じの発言ですねえ。
坂東
いやいや、ぜんぜんそんな。そういうことがわかってなかったっていうところが。
北條
見直してどうだったんですか？坂東さんは。「こりゃ使い過ぎちゃったな」って思ってんのか、「いやいや、ぜんぶ必要だよ」と思っているのか。
坂東
ぜんぶじゃないですね。たしかに甘くなってたところはあった。「自分は経営者だから、24時間仕事のこと経営のことに直結するようなことやってるから」というようなことをお題目にして何でもOKにしてたところは正直ありますね（笑）
北條
正直者ですね（笑）
坂東
だから、そこに対して厳密に考えるようにはなったっていうことはひとつあるけど、それが経営者としていいことかどうかはわからないですけどね。
でも、ちゃんとしたお金の使い方っていうのはもっとアップデートしていかなきゃいけないなっていうのは思ったのがひとつ。それと、なかなかやっぱり、こちらもわざわざ伝えてないし伝え方も足りないなあと。
つまり、何のためにこれが必要なのかっていうことは、やっぱり感覚がちがうのは埋めていかないといけないなっていう。
北條
たしかに。「経費をオープンにするよ」って言ってから、いろんなこと言ってくれるようになったと思うんですよね。
お金の使い方とか、実はパンドラの箱だったとか、ずっとそう思ってて、辞めた人もそうだったとか。
で、そういうのを聞いてからって何か変わりました？関係性とか。言いやすくなったとか。
坂東
どうだろう。だといいと思ってますけどね。
北條
鼻歌うたいながら仕事する人が出たとか。
坂東
いやいや、そんな単純なもんじゃないでしょ（笑）
北條
ではない？
坂東
あ、でも、これでどうなるかは様子見だと思うな。様子見られてると思う（笑）
北條
何か申告したりすることになるんですか？これから。使うとき。
坂東
いや、枠を決めたので。一月の枠っていうのを。今まではなかったのを、「これだけね」っていうのは決めたんで。「やっぱ決めないと超しちゃうでしょ」みたいなことは言われたから、それに則りつつ。 今後改善はしていきますよ。「これは多い」とか「少ない」とかね。
北條
これ、何か月後かに「その後、経費の一件どうですか？」っていうのを聞きたいですね。たぶんリスナーの方も気になると思います。
坂東
そうね。まあ、でも、とにかくそこがブラックボックスじゃなくなったっていうことと、少なくとも、それから、会社のお金とか経費について自分も含めてみんな考えるようになったっていうようなことは、それ自体がすごい大きいなことかなあと。
北條
そうですね。みんなのお金ですもんね。
坂東
で、自分ごとになってくるっていうのはすごい大事じゃないですか。それがしたかったことなんで。 何のためにわざわざそれをするかっていったら、やっぱり自分ごと化を高めるっていうことは、なかなかそれについて見えないものがあったり、自分に権限がないのに自分ごと化すんのは難しいでしょ。
北條
たしかにそうですね。
坂東
だから、やっぱりそれに尽きるなっていうことは思いますね。
北條
「よくやりました、坂東さん」って思ってます。
坂東
これからですね。
北條
期待してます。
坂東
はい。
北條
というわけで、今週はここまでとさせていただきます。所長、ありがとうございました。
坂東
ありがとうございました。
