第5回のお題は、「手放す優先順位。」
経営のコントロールを手放すには、まず何をしたら良いのでしょうか?
ブレスカンパニーで行なった、事例をご紹介します。
北條
こんにちは!手放す経営ラボラトリー 助手の北條久美子です!
坂東
所長の坂東です!
北條
よろしくお願いします!
坂東
お願いします!
北條
今日はですね、私、質問をしたいんです。
坂東
はーはーはーはー。
北條
はーはーはーはー。やる気満々ですか?
坂東
もちろん!
北條
よっしゃ。そしたらですね、手放す優先順位。
坂東
優先順位?
北條
はい。
坂東
はいはいはい。順番?
北條
そう。「何から手放したらいいの~?」っていう人多いと思うので、私も気になってますし、この辺について聞きたいなと思ってます。
坂東
はい。
北條
さあ、ではいきましょうか。
坂東
そうですね。ポイっと!
北條
ポイっと!……いや、「ポイッと」が、どうやったらポイッと、何からポイッとしたらいいの?っていうのが、多分ですね、経営者の方も、もっともっと自分ひとりでやってる方でも、手放したいことがあるけど、まず何からやったらいいの?って思ってる方多いと思うんですよ。
坂東
そうね、はいはいはい。「こうしなきゃいけない」っていう答えはないと思うんですけどね。
なので、会社によって事情も状況も違うので、ポイントは経営のコントロールを手放すってことがすごく大事だと思ってるので、どの部分についてコントロールを手放していくのかっていうところが。
北條
う~ん、コントロールか、そうか。
坂東
そうなんですよ。
北條
ああ、なるほど。
坂東
つまり、経営側で持っている権限を手放していくっていうことなんですけどね。
北條
所長は何から手放しました?
坂東
まず、うちの場合は一切合財手放したんですけど。
北條
え!?もう、せ~の~ポイッと!みたいな感じですか?
坂東
ポイッと!みたいな(笑)
北條
あんまりリアクションはカッコ良くなかったですね(笑)良かったです。
坂東
それはちょっと前から宣言をしてて、会社の今までの決まり事とか、ブレスカンパニーっていう会社なんだけど、ブレスカンパニー的常識、つまり「私の常識をリセットしますよ」って言って一気にポイッと……ということで。
北條
予告をしてポイッと?
坂東
そうですそうです、うん。それで、どんなことをしたかって。「リセット」って言い方したんですけどね、社内的には。例えば出勤・退勤の時間。
北條
え~っ!すごいな。
坂東
それから勤務時間とか勤務日数。だから勤怠に関わることをまずポイッとしたんですよ。
北條
それ、なんかアワアワしません?「寝てていいんスか?」みたいになったりしません?
坂東
うんうん。あるある。
北條
ありますよね。
坂東
うん。それまではですね、若い社員がいたんだけど、若い社員は8時出勤みたいなことを…
北條
早っ!
坂東
そうそうそう、早かったのよ。で、8時出勤で、掃除をして、みんなで、それから新聞を読んだり理念の読み合わせとかしたり、ミーティングしたりして。
北條
ガチッとですね、それね(笑)
坂東
ガチッとだね(笑)それ、良かれと思って私はしてたんですけど、それもなしにすると。朝礼もなし。
北條
え~っ!じゃあ、朝のそういうお決まり事みたいなのは、いわゆる会社が大事にしてるような……
坂東
なし!
北條
なし?
坂東
うん。掃除もなし!
北條
掃除誰がするんですか?
坂東
それもいったんリセットして。
北條
リセット?
坂東
そうです。で、どうするかは決めようと、みんなで。
北條
ああ、みんなでリセットして決めよう?
坂東
今までは私が「掃除しなきゃダメだ。これぐらい綺麗にしよう。じゃあ役割分担どうしようか?」みたいなことを言ってたんですけど、朝のミーティングもなし。日報もなし。売上目標もなし。ビジョンも理念も1回なくしました。
北條
え、なんか白紙ですよね…
坂東
白紙です、だから。もう1回会社をつくり直すって感じですね、極端なことを言えば。
北條
うわ、すごい。それってもう「いついつにこれ決行しますよ」みたいな?あ、期が変わるタイミングで?
坂東
期が変わるタイミングで。7月1日から期が変わるタイミングなんで、そこから全部なしにして、あとは給与とか評価とかもリセット。だから、勤務体系とか勤務時間も基本的には正社員は週5日でフルタイムっていうことだったんだけど、そうじゃなくしたいっていう人がいるかもしんないでしょ?
北條
はい。
坂東
その場合は給与体系変えなきゃいけないじゃないですか。
北條
そうですね。
坂東
「じゃあ、いくらがいいのか」とか、「こういう働き方したい」とかいうことによって決めなきゃいけないかもしんないし、それも私が決めるんじゃなくて必要な人が集まって決めるっていう。
北條
じゃあ、優先順位も何も、もう全部?
坂東
そうですね。それをいったん全てリセット、ポイッとするっていうことにした上で、必要なことから決めていったっていう感じですかね。必要に迫られて。
北條
あ、じゃあですね、ちょっと質問を変えて、ポイッとしたあとに何から決めていったんですか?
坂東
まずは「じゃあ出勤とかどうしようか?」みたいな。
北條
出勤のルールを新たに?
坂東
ああ、そうそうそう、実際それでスタートしてみて、8時に来るとか9時からミーティングとかなくしたんですよね。そうするといくつか困ることが出てくるんですよ。例えば「誰も来なかったらどうするの?」とか、「じゃあ誰が開けんのか」とか、「電話対応どうしようか」とか、あとは「来るのか来ないのかどうやって把握しようか」みたいなことをひとつひとつ確認してったんですよ。確認っていうか、そのときに応じて。
北條
そのファシリテーションは誰がするんですか?
坂東
誰か気づいた人がするとか、私が投げかけるとか。私が決めるんじゃないですね。
北條
投げかけだけするんですね。
坂東
うん。「あ、これちょっと困るね。どうしようかね」みたいな。
北條
「そだねー」みたい。古いっつう(笑)
坂東
古いっつうね(笑)なので、そうすると「あ、こうしたらいいんじゃないですか?」みたいな。
北條
自発的に出てくるんですね。
坂東
まあ、みんな困るからね、やっぱりね。
北條
そうですね。
坂東
お客さんに迷惑かけるわけにもいかないし。なので、そうなったら「ああ、なるほど。じゃあそうしよっか」みたいな感じになったり。とにかく話し合いをする必要があるので、7月から3か月ぐらいミーティングばっかりしてました。「じゃあどうしよう」って。
北條
「今日はこれについて決めましょう」みたいな?
坂東
そうそうそうそうそう。
北條
「これ困ってます。どうしましょう?」みたいな。
坂東
でも、なかなか決まらないし。でも、やっぱりね、面白かったのは、例えば掃除ひとつとっても、私は「役割分担して抜け漏れなく」っていうふうに思ってたんですけど、いったんそれを全部リセットしたら、やっぱり最初はやらないじゃん?みんなね、自発的にはなかなかやらないから自分がやってたりしてたけど、そのうち「これ、つーか、ルンバ買いませんか?」みたいな話が出てきて。
北條
えーっ!?
坂東
「そだねー」みたいな。
北條
だから古いっつう(笑)それポイッとしてください(笑)
坂東
「ルンバ買ったら自分たちで掃除しなくてもいいし、そのほうが綺麗になるし、良くないですか?」とか言って。
北條
置いてありましたね、たしかに。
坂東
そうなの。
北條
鎮座してた。
坂東
「なるほど」と思って。うちにもルンバなかったから分かんなかったの、その破壊力が。
北條
ルンバの破壊力が?(笑)
坂東
ルンバの破壊力が。そしたらすごい綺麗になるし、みんなも掃除しなくていいし、「あ、たしかに」と思って。それで、いない間に掃除しといてもらえるじゃん?
北條
それはそうですね。
坂東
そうそうそう。そう思ってね、タイマーを夜中にセットして、それで帰るようにしたら、朝来たら綺麗になってるじゃない?っていうことは「これはいい!」と思って夜中にセットしてやったら、そしたらセコムが来ちゃって(笑)
北條
なんで!?「動いてる」っつって?
坂東
「なんか不審者が入ってます!」みたいな。
北條
そんなに低空でもダメなんですか?低空っていうか低くても?
坂東
なんか動いてるの分かっちゃうみたいなんだね、うん。
北條
なんか動きが分かるんですね。
坂東
うん。それで駆けつけられちゃって「あ、こりゃダメだ」っていうことになったり(笑)まあ、そんなこともあったんですけど。
北條
面白い。
坂東
そういう掃除ひとつとっても、私の中で「こうしたほうがいい」という自分の中の常識とか今までの積み重ねてきたのが逐一あるんですよ。で、「そうしたほうがいい。若い人はこういうふうに生活習慣を身に付けたほうがいい。きちっと最初は朝起きる習慣を身に付けないと怠惰になっちゃうよね」っていうふうに思ってる。つまり私は信じてないんですね。「こういうふうに自由にしたら来なくなるだろう。ちゃんとやらないんじゃないか」というふうに思ってるんですよ。思ってるからそういうふうにコントロールしちゃう。
北條
強いてるっていうかね。
坂東
強いてる。「癖づけをしたほうが本人たちのためにもなる」というふうな、そういうのがいちいち私のスタンダードがあったんですけど、それは私のスタッフに対する不信感っていうか。詰まるところですよ。
北條
うわぁ~、なんか脱皮しましたね。何て言うんだろう、なんかすごいですね、進化ですよね。
坂東
どうなんだろう。自分は信じてないとは思ってなかったんですけど、まあ、でも、振り返ってみるとそうだったなっていう感じですね。
北條
振り返ってもう別の人のように語ってるじゃないですか、今。
坂東
今はもうだいぶ時間が経ってるからね。でも、全然最初は違和感っていうか慣れないし、どうしたらいいかも分からないし。結局「私が決めたほうが上手くいく」ってどっかでやっぱり思ってたのがみんなにも伝わるし、そうすると「意見出して」って言っても「結局あんたが決めるんでしょ?」って感じになるじゃないですか。
北條
たしかになりそうですね。
坂東
そりゃそうよね。
北條
そうですね。
坂東
だから、私の正しさをポイッと手放すっていうことが、つまり今日の回答になるかどうか分からないんですけど、優先順位があるとすれば、経営者自身の「自分が正しい」「自分のほうができる」っていう思い込みを手放すっていうのが一番最初かなと思います。
北條
思い込みを手放す?
坂東
うん。
北條
なんか、それ、断捨離でも「これは絶対また着る!」とかいう変な思い込みで2年着てなかったりしますよね。なので、もうポイッとしてしまえば新たに入ってくるものがあったりするんですね、きっとね。
坂東
そうかもしれないですね、うん。
北條
非常に勉強になりました、私からの質問だったので。
坂東
あ、良かったです。
北條
ありがとうございます。きっと参考になった方たくさんいたと思います。今日は新橋ラボからお届けいたしました。今週はここまでとさせていただきます。坂東さん、ありがとうございました!
坂東
ありがとうございました!
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