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REPORT
2018.11.01

【取材】嘉村賢州氏 『ティール組織』解説者 / 場とつながりラボhome’s vi 代表理事《中編》

組織作り手放す経営読むポッドキャスト経営者
https://tebanasu-lab.com/column/2429/【取材】嘉村賢州氏 『ティール組織』解説者 / 場とつながりラボhome’s vi 代表理事《中編》

ティール組織を初めて聞く人にはオススメ!
嘉村賢州さんが、とても分かりやすくティール組織を理解するポイントを解説していただきました。
新しい組織のカタチに興奮間違いなしですよ!

 

 

坂東
みなさん、こんにちは。手放す経営ラボラトリー所長の坂東孝浩です。

今回もラボを飛び出して、嘉村賢州さんとの取材の模様をお届けします。今回は2回目です。

それではどうぞ、お聞きください。

というわけで、嘉村さん、今回もよろしくお願いします!

嘉村さん
よろしくお願いします。
坂東
『ティール組織』という本の解説をされてるんですが、前回お聞きしたところ、それだけじゃなくて、出版の前から、それから出版された後の販売プロモーションのところまでガッツリ関わられてたっていうことで。

たぶん、それもあって、非常に、今、本自体も売れてるし、嘉村さんもいろんなとこで引っ張りだこではないかと思いますが。

嘉村さん
はい。おかげさまで。
坂東
この「ティール」というものに対して、もうちょっと今回はお聞きしていきたいと思うんですけど、はじめて聞く方もいるかと思うので、組織の概念というふうに言ったらいいですかね。
嘉村さん
そうですね。哲学とか理論とかに近いですね。
坂東
「ティール組織って何なんだ!?」っていうことについてちょっとお聞きしてもいいですか?
嘉村さん
はい。ありがとうございます。

ティールを理解する上では、大きく分けて2つの切り口を押さえていれば、だいたいわかるかなというふうに思うんですけど、ひとつは歴史の話で、組織は進化してきていて、これは続いていってますよというお話を押さえていただきたいのと、

もうひとつは、世界中フレデリック・ラルーさんが見てきた組織の中で、いくつかの共通項をこうやって「ティール」としたんですけども、そこには3つの特徴がありますよっていう、

その3つの特徴、この2つを適切に押さえていればティールはある程度理解できたのかなっていうふうには思うので、その話をするのがいいのかなと思います。

坂東
なるほど。ありがとうございます。
嘉村さん
1つ目、歴史からなんですけども、元々著者のフレデリック・ラルーさんがマッキンゼーのコンサルタントをやっておられて、卒業後エグゼクティブコーチングをされて、そのときに、いろんな社長と出会っていく中で、経営者が幸せそうにしてないと。

当然、従業員も幸せそうにしてないというこの状況が、この経済社会が少しおかしいんじゃないかなというふうに思いはじめて、組織の探究の旅に出かけるんですけども、そのときに普通だったら、アカデミックの世界でもコンサルの世界でも、今のニュースでよく取り上げられてるビジネス雑誌トップ100みたいな、そういうところを調べるのが普通なんですけども、そういうことはせずに、口コミで、まだ有名じゃないかもしれないが、人が輝いていて、そしてお客様とか地域に圧倒的に受け入れられてるところを素材を集めて、そこを調べたところ、今までとまったく違う毛色の組織が現れてきてるっていうことに驚きをもって、それを探究していってまとめたんですね。

そのときに参考にしたのが、ケン・ウィルバーという「インテグラル理論」というものを書いた心理学者ですね。

彼が「人間というものは実は発達の段階がある」っていう、子ども生まれたときから、大人になってからも何段階もあるっていうような発想でまとめた理論があって、

実は組織自体もそれに当てはまるし、実は人類が誕生して以来、組織は人が発達するような形で組織っていうものも発達してきているのかもしれないっていうので説明したのが、すごいユニークなところだと思います。

本では7段階で説明してるんですけども、海外はだいたい5段階で言うので、それをざっとお話しししたいなと思うんですけども、まず、一番古典的な組織っていうのは、要は「言うこと聞かなかったら殴るぞ、殺すぞ」の世界観、ジャイアンとかマフィアとか豪族とか、そういった組織が手っ取り早いんですよ、すぐに動きますから。で、すぐに結果も得られるので。

それが原始的な組織形態なんですけども、その次にピラミッドをつくるとか大きな公共事業をしていこうと思うと、話し合ってたら埒が明かないじゃないですか。

時間かかってしまいますし、「イヤ」と言われたらどうしようもないっていうこともあって、そのときに生まれたのが「おまえは身分が低いからやれ」と、要はそういう上下関係で動かすっていう、この時代に業務プロレスとか上意下達の指示命令系統、そういうものが発明されて、そういうことによって大きなピラミッドのようなものがつくれるような組織構造を発明したんですね。その後だんだんと、国と国、村と村、組織と組織が出会い始めると、王様が寝そべっててピラミッドができた時代は良かったんですけども、いち早く武器を発明しないと負けてしまうわけですよ。

いち早く軍隊を成長させないと負けてしまうっていう。

坂東
競争がおきてくるわけですね。
嘉村さん
そうですね。ってなってくると、成長スピードとかイノベーションが大事になってくる時代になってきまして、そこで科学が使われたんですね。

科学的マネジメントの時代で、1時間あたりの生産量を測る。そして、PDCAサイクルのように、やっては振り返って検証する。

「新しい仕組みを入れたら生産性が上がった」みたいなことを世界中の人がトライアンドエラーするようになってきて、ここで世界中の経営論・組織論がどんどん発展していくような時代になっていくわけですね。

で、この時代の一番の発明が能力主義・実力主義といわれるもので、「頑張れば出世できる」というものを発明したことですね。

アンバー時代は、生まれた身分から、絶対に頑張れば頑張れども、やらなかったら殺されるけども、頑張っても絶対満たされることはなかったものが、「出世できる」というアイデアは一大発明ですよね。

坂東
発明なんですね、「出世できる」っていう。
嘉村さん
そうなんですよ。これで世界中の人が頑張って、生産性が、組織がガーッと高まってた時代になったんですね。

それによってかなりのことを成し遂げてきた人類ではあるんですけども、同時に組織としてはいくつかの弊害も生み始めてきた。

それはやっぱりピラミッドなので、上に上がれる人もいれば、上がれない人もいると、モチベーション、下の人は上がらないですよね。

坂東
そうですね。
嘉村さん
やる気が持たないし、当事者意識も持ちにくいっていうのもあります。

また、階層構造っていうのが、どんどん現場の気づきとか発見とか提案が承認プロセスで上がっていきますので、やっぱ伝言ゲームにもなりやすいですし、熱量が下がっていきますので、なかなか通りにくかったりとかしますし、社会環境に直面してる現場の人たちの声が上がりにくいので、変化が激しい時代だと上のほうってやっぱ少ないので、現場に直面してない上の層で戦略ビジョンをつくっても、もしかしたら時代感覚がズレてたりもする可能性があって、そうすると一気に組織が傾く。

もしかしたら今の電機メーカーとか、いくつかの会社が傾いてるのも、そういうところがあるかもしれないですね。社員からすると「経営層は全然わかってない」とか言ったりしますね。

坂東
はいはい。そうですね。
嘉村さん
で、もうひとつが、やっぱ、これ、機械のメタファーで言われることが多いので、部品で見られるわけですよ。

「この仕事ができる人はここに入ってください」とか、「できなかったら辞めていただいていいですよ」ってなると、そういう枠ではめられる仕事しかもらえずに職場人生が終わってしまう可能性があるわけです。

そうすると人生の後半で、「私がやりたかったことって本当にこれなの?」……その人は絵が描くのが好きかもしれないですし、人と接するのが好きかもしれないけども、何かの入力作業でずっと人生終わったとしたら、すごい大損失ですよね。もったいないですよね。

そういうところの違和感とか虚無感とかもオレンジは生まれやすいというふうなのが、この3つめの組織の特徴なんですね。

坂東
でも、それ、当たり前というか、それがいわゆる常識のような感じがしますよね。仕事ってそういうもんだと。
嘉村さん
今の世界は本当にオレンジ・アンバーが中心ですので、「仕事というのはそういうものでしょ?」とか、「プロだったら……」とか、「お金をもらってるんだったら……」とか言われるわけですね。
坂東
そうですね。
嘉村さん
で、そんな中、徐々に違う組織が現れてきて、当初のスターバックスさんとか、ディズニーとかもそうかもしれないですけども、従業員のことを「従業員」と呼ばない組織が出てきましたけど、「キャスト」とか、「パートナー」とか、「メンバー」とか、要は「家族でしょ。仲間でしょ。承認プロセスとかいうんじゃなくて、もっとみんなで話し合ってビジョン・戦略も決めていったらいいし、相談しながら物事進めていったらいいじゃないか」っていうので、ワークショップが多かったりとか、対話の場面が多かったりとか、コンセンサスを会議で導入したりとか、あるいはお客さんも含めて話し合うことによってマルチステークホルダーで考えるので、いわゆる利益追求のオレンジじゃなくて、よりCSRとか社会的に責任を果たしたプロダクトをつくっていく。

そうすることで、従業員もちゃんとやりがいのある、商品に対しても愛着もありますし、なにより自分が関われているので、やりがいを持って会社愛が強い社員が生まれてきたりっていうのがグリーンの特徴で、そういった組織もすごく溢れてきたんですね。

坂東
なんか良さそうな感じですね。
嘉村さん
良さそうですね。ただ、そこもいくつかの限界というかデメリットもあって、ひとつは「船頭多くして船山に上る」なんですね。

そういった組織のカルチャーって多様性を大事にしようっていうカルチャーなので、いろんな小さな声も含めて聞こうとするんです。

坂東
そうですね。大事ですね。
嘉村さん
そうすると、まとまらないですよね。要は話がいろんな方向に行きますんで。

で、「大事にすることを私たちは選んだ」っていうふうになるので、ワークショップとかしても決まらないし。

坂東
決まらない?
嘉村さん
そうなんです。だから、そういう意味で、次の一歩とか、ワークショップでしても動いていいのかわからない。

それで、「なんか仲良く話し合いばっかりはしてるけど、会議はめっちゃ増えたけど、なんかこれというブレイクスルーとかイノベーションは生まれないよね」っていうことが起こりやすいっていうのがひとつのデメリット。

坂東
なんかスピードも遅くなりそうな……
嘉村さん
そうなんです。で、もうひとつは、とは言っても緩くピラミッドは残ってるんですね。社長もそうですし、理事層っていうものとか役員とかは残りがちなので。

社長とかは24時間365日経営のことを考えてますので、そうすると、ワークショップでみなさんが話し合ってるのが、どうしてもちょっとヌルいんですよ。

坂東
わかります!うん。イライラしてくる。
嘉村さん
イライラしてくるんですよ。そうすると、そういう会社に特徴的な、よく言われる言葉が、「うちの社長はちゃぶ台返しが多い」と。
坂東
おぉ~。
嘉村さん
これ、よく言われるんですけど、そういうのは、どうしても、やっぱり社長もべつに悪いわけじゃないですね。

考え続けてると、どうしても「それじゃ上手くいかない」っていうのが目に見えてわかるっていうのがあるので、ひっくり返してしまう。

そうすると、やっぱり社員もやりがいがなくなったりとか、溝が生まれたりとかするっていうのが、このグリーン型の限界で。

そんな中、ラルーさんは世界中に、そういう今までの「レッド」「アンバー」「オレンジ」「グリーン」とはまったく違う形態の組織があって、それは社長とか、そういうポジションではなくて、ひとりひとりが自由に決めてるんだけども、信頼で結びついてるので相互に影響し合って進んでいっている、これがすごい生命体のようにも見えるし、新しい組織じゃないかっていうので「ティール」と名付けたっていうのがひとつ目の切り口の説明ですね。

坂東
歴史の中での進化のひとつの形なんだと。
嘉村さん
はい。
坂東
それが今の最新形と言っていいんですかね。
嘉村さん
新しく最新で現れたという感じですね。

どうしてもティールって「一番素晴らしい」と言われるんですけど、そういうわけではなくて、違うテクニックを持ったものが現れた。

子どもと大人を比べたときに、大人が素晴らしくて子どもが素晴らしくないってことはないじゃないですか。

坂東
たしかに。
嘉村さん
ただ、大人のほうは知識も多いし、スキルも多いのは事実だから、いろんな複雑な事態に対応できる力はあるかもしれないっていうふうに思っていただければと思います。
坂東
なるほどですね。ありがとうございます。


speech_bubble type=”std” subtype=”R1″ icon=”嘉村さん.jpg” name=”嘉村さん”]で、もうひとつ、3つの特徴について簡単に知っときたいなと思いますけども、ラルーさんがいくつかの組織を見ていったときに、3つ特徴がありそうだと。

1つ目が“Self-management”、本では「自主経営」と言われてるんですけども、要はこれは階層構造では動かしてなくて、ひとりひとりが自由に意思決定してる信頼のネットワークだっていう、この組織形態のことを表してるのが“Self-management”、自主経営のところなんですね。

よく、“Self-management”なんで「個々人が自分を律して、自由に行動できる人たちの集まりなんだ」っていうふうに言われるんですが、そういう意味はまったくないです。[/speech_bubble]

坂東
そういう意味じゃないんですね。
嘉村さん
はい。それも誤解の多いひとつなんですけども。

で、2つ目が“Wholeness”って言われて、ティール型組織では、さっきでいう細分化された仕事で人生を終えるっていうのはもったいないので、その人が持ってるすべてを使いましょうと。

複数役職大歓迎ですし、オレンジまではどうしても合理性とか論理性が大事だったんですけども、感情とか、スピリチュアリティとか、女性性とか、男性性とか、そういったものをすべて大事にしましょうと。

子どもをオフィスに連れてくることだって大歓迎で、そのほうが場は和やかになるし、未来のことも考えるでしょうっていうようなぐらい、人間というものを本当に大事にしながらつくる組織っていうのが全体性、“Wholeness”というのが。

坂東
その人の部分的なものを使うよりも、全体性を投入してもらったほうがパフォーマンスが上がるだろうと。
嘉村さん
そうです。結局、そういうふうに自分が出せる組織のほうが人を応援したいという気持ちも表れてきますし、社会に何か貢献したいという気持ちも表れてくるから、結果的に世の中に喜ばれるサービスが生まれていくというようなイメージですね。
坂東
なるほどね。
嘉村さん
で、3つ目が“Evolutionary Purpose(存在目的)”と言われるところなんですけども、ティール型組織は、要は中長期事業計画みたいなものを持ってる組織がほとんどなかったんですね。

その場その場で「今ここで何が必要なんだ?」っていうのをみんなが探究し、それぞれが自由に意思決定しながらやることによって動いていくっていう。

それで組織形態も事業内容もゴロゴロ変えながらやっていってるっていう、そういう計画とか目標とかコントロールを手放した組織形態っていうのが“Evolutionary Purpose”の特徴かなというふうに思います。

この3つをクルッとまとめてというか、「3つの特徴があるんだよ」っていうことをラルーさんは『ティール組織』という中で伝えていると。

坂東
なるほどですね。いろいろな組織を見る中で、共通項を3つのコンセプトで定義したっていうことですね。
嘉村さん
そういうことですね。はい。
坂東
だから、それぞれ『ティール組織』っていう本の中でも事例がたくさん出てくるんですけど、その会社がティール組織をつくろうと思ってつくってたわけじゃない?
嘉村さん
まったくそのとおりですね。だから、本当に4・50年前からやってる組織もあれば、10年ぐらいの組織もありますし、A社・B社・C社ってあるんですけど、まったくお互い勉強し合って……
坂東
ああ、そうかそうか。連携してるわけでもない?
嘉村さん
まったくないですし、存在も知らないですし、同じことを勉強してるわけでもまったくなくて、いつの間にかたどり着いたのが、ラルーさんから見たらティール型の組織だったということなんで。

海外では本が2014年に出たので、それを勉強してティール型になった組織も現れ始めてますけども、元々はべつにティールを目指したわけでも何でもないということですね。

坂東
そのように共通項がある会社が同時多発的に生まれてきて、そこの会社が社員が活き活きとして、しかも業績がすごく伸びてるんだというようなところで、ここにひとつの新しい答えがあるんじゃないか?っていうことですかね。
嘉村さん
そうですね。ティールの話すると、「そんな理想論では成り立たない」とか、「結局、世の中『売上』というものがないと生き残っていけないんだ」っていうふうになるんですけども、結果として、ほとんどが平均よりも上の給料であったりとか売上とかになっているっていう組織が続出してるっていう。

ただ、大事なのは、生産性のためにティール組織を入れようとしたら絶対上手くいかないですよ。

坂東
そこがめちゃくちゃ難しいですよね。

企業っていうのは基本的には業績を上げたい、利益を増やしたい、そのほうが社会にも社員にもいいじゃないかということで、それを目的に掲げる会社が大半というか、それは当然だろうと思いがちなんですけど、そこが目的じゃないんですね。

嘉村さん
そこを目的にしたら確実に失敗する。
坂東
確実に失敗すると。だから、これはすごい難しいですよ。

一番最初に「これは概念であり哲学だ」的なことをおっしゃられたんですけど、本当にそうで、経営者が「このティール組織っていうのは儲かりそうだ」と思って、「もっと儲けを増やすためにティール型にしよう」っていうふうに思ったら、それは違う?

嘉村さん
違います。なので、ティールの本を読んで、問い合わせ、いっぱい来るようになったんですけど、本当に2つに分かれてて、ひとつはティールを読んで「うちのメンバーにティールやらせたいんだけど」というので問い合わせ来て、「うちの社員研修で、ティール、喋ってやってくれ。ティールのワークショップを社内でやってやってほしい」っていう感じのことで来るパターンがひとつで、もうひとつは、すごい影響を受けて、「ようやく、ちゃんと社員の幸せと経営を両立させるようなことがやれるんだ。これでみんな輝いてくれるかもしれない」とか、「自分の本当に立てた使命が果たせるかもしれない」と。「だけど、まだまだ、これ、すごい道のりが長そうなんで、一緒に寄り添ってもらえますか?」みたいな形の、自分自身を変えていくひとつとしてティールっていうものを受け止めておられる経営者は「ああ、これは上手くいきそうだな」と思うんですけど、自分を変わることなくティール化を導入しようとするのは確実に上手くいかないので、すぐにでも止めたほうがいいですよ、とラルーさんは言ってます(笑)
坂東
あ、ラルーさんが言ってると(笑)
嘉村さん
はい。
坂東
ちなみに、どれぐらいの割合ですか?その2つのパターンがあるっていうのは。
嘉村さん
1対3ぐらいですね。3のほうが割と問題切り離して、特に自主経営の、階層構造をなくして自由に意思決定するっていうので、変化に対応できそうだなっていうので、その仕組みを導入したいっていうような感じの、インストールモデルみたいに捉えられてしまって問い合わせ来る人のほうが多いですね、どっちかというと。
坂東
経営者の概念からいったら、そうなりますよね。
嘉村さん
そういうことを今までジャッジしてやっていくのが仕事でしたからね。
坂東
そうですよね。マネジメント手法のひとつみたいな形で。
嘉村さん
そうですね。
坂東
うちの社員に研修を受けさせたい」「うちの社員にやらせたい」っていうケースは、何がいけないんだっていうふうに思われますか?
嘉村さん
たとえば、それの源泉が、「主体性がない」とか、「モチベーション低い」とか、「もっと動いてほしい」とか、いろいろあると思うんですけども、それが結局なぜ生まれてるかっていうと、社長の今までの行動だったりとかつくり方なので、社長の世界観が、今のモチベーションが足りないとか当事者意識が起こってないっていうことは、社長の鏡な状態なんですよね。

ちゃんと主体性が立つような組織づくりをご自身ができていれば、そうはなってないはずなんですけど、問題を社長が切り離して「うちのメンバーは主体性がないから啓発研修をしてほしい」とかっていう話は、自分もシステムでそれが起こってるっていう認識がないので、基本的には上手くいかないですね。

坂東
だから、社長が問題と感じている「主体性がない」とか「育たない」というのは、社長の考えをもとにそういう組織をつくっているから、結果としてそうなってるんだと。
嘉村さん
そうですね。
坂東
組織のデザインと社長の考え方が連動してるんだっていう。
嘉村さん
そうです。よく、ファシリテーションとか、すごいわかりやすくて、会議に入らせていただきます、8人のメンバーがいます、見学、私、させていただいて、終わったあとに社長に「あの3人はよく発言するんだけど、この3人は全然ダメで、やる気もなくて何考えてるかわからないし、ちょっと叩き込まないといけない気がするんだ」みたいなことをおっしゃられるんですけども、よくよく見ると、やっぱその人たちが小さな声を出してるときにもすぐにアドバイスがファーンと言ってしまったりとかして、やっぱり考えるチャンスとか、そういうのを奪ってるなっていうふうに見えるんですね。

そうすると、やっぱしっかりとファシリテーションプロセスすると、本当に活き活きといっぱい発言するようになってくれたりとかするので。

だけど、持ってるものが出せないで、いつの間にか諦めてしまったりとか、「ああ、必要とされてないんだ」とか、そういうところからだんだん発言が減ってくる。

発言が減ってくると、社長はジャッジとして「やる気がないんだ」ってジャッジして、「やる気がないから」っていうので管理するようなマネジメントを入れて、より「自分が信じてもらえてない」っていう気がして……っていうことがどんどん連鎖として会議中発言しないという状態が生み出されているのは、この、ちょっとした声にアドバイスでバーッとやってしまうっていうことを繰り広げた結果、生まれてる可能性があって、そういうところをしっかりと見つめていくっていうところから始めていくっていうような感じですね。

坂東
だから、社員が発言しない、主体性がない、やる気がないように見えるのは、そういう組織の中でそういうアプローチをして、そういう人ができあがってしまってる可能性が高いという感じですね。

ああ、これは話が尽きないんですけども、これだけを聞いても「なにっ!?」と思う人と「えっ、どういうこと?」って思う人がいると思うんですけど、次回、具体的な事例もお聞きしながら、もうちょっと深掘りしていきたいと思うんですけども、これ聞いてる方は、次回までに、できたらティール組織の最初の100ページぐらいでいいですね。

嘉村さん
そうですね。
坂東
そこを読んでいただくと、より理解が深まるかなと。
嘉村さん
それか、もしかしたら、ラルーさんが1時間40分の本当にめったに出ない講演をされてる映像があるんですね。

それ、日本語字幕プロジェクトっていうので、ボランタリーに集まっていただいて頑張って日本語字幕つくった映像がありますので、それをご覧いただくと1時間40分で概要が。

坂東
それは誰でも見れます?
嘉村さん
誰でも見れますんで、活用していただければと思います。
坂東
わかりました。今回もありがとうございました!
嘉村さん
ありがとうございました。

今回のPodcastはいかがでしたか?
番組では、ご意見・ご感想・質問をお待ちしています。
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この記事を書いた人

坂東 孝浩

坂東 孝浩

手放す経営ラボラトリー所長。神奈川県出身。
自らが経営する会社(株式会社ブレスカンパニー)でも手放す経営を実践。その過程で起きるさまざまな出来事を実況中継している。twitter:@bandotakahiro

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