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2018.10.25

【取材】嘉村賢州氏 『ティール組織』解説者 / 場とつながりラボhome’s vi 代表理事《前編》

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https://tebanasu-lab.com/column/2322/【取材】嘉村賢州氏 『ティール組織』解説者 / 場とつながりラボhome’s vi 代表理事《前編》

組織の進化論を説いて世界的なムーブメントを起こしているベストセラー『ティール組織』。
発行部数は全世界で35万部、日本でも5万部に達している。
日本版の発行に関わり「解説」も書かれていている嘉村賢州さんを取材しました!

 

 

坂東
みなさんこんにちは。手放す経営ラボラトリー所長の坂東孝浩です。
今回はラボを飛び出して嘉村賢州さんに取材に来ています。それではどうぞお聞きください。
嘉村さん、今日はよろしくお願いします。
嘉村さん
よろしくお願いします。
坂東
嬉しいです、ゲストに来ていただいて。
嘉村さん
ありがとうございます。
坂東
ありがとうございます。改めて嘉村さんから自己紹介をお願いしても良いですか?
嘉村さん
はい。ありがとうございます。元々私はファシリテーターとか、組織開発コンサルタントとか、組織とかコミュニティとか集団のサポートするような仕事をしていたんですけど、10年前に京都でこのhome’s viというNPOは元々まちづくり系の団体でして、私は京都が大好きなんですけども、学生時代に京都にいたときにほとんど学生が卒業後東京に出ていってしまうと。
それはやっぱ東京のほうが情報も多いしチャンスも多いしっていうとこで仕方ないと思うんですけども、私は京都が大好きだったので、何とかしたいなという思いで京都を変えようと。
しがらみだらけですし、なかなか出る杭は打たれてしまうところもありますしというところで、下は18歳から上は74歳まで、毎月約100人の市民が集まって京都の課題を考え、未来を考え、行動に移していくっていう、京都市未来まちづくり100人委員会っていう委員会を5年ぐらい事務局長でやらせていただいてまして。
坂東
そうなんですか。
嘉村さん
そのときに、しがらみだらけなので、紛争解決の技術とか、大勢で対話できる技術とか、そういうのを研究して、それでトライしてたんですね。
そのときに比較的はじめ苦労しながらも成功していった中で、そういった技術が企業の中も紛争状態だと。M&Aで吸収合併した親会社と子会社が本当はシナジーを生みたくてくっついたんだけども、いつまでも憎しみ合っていて結局上手くいかなかった……みたいな、そういう企業内の組織風土みたいなものにもファシリテーション技術を役に立てたいというお声をいただいてそちらに入ったりとか。
で、だんだん組織風土改革・組織開発っていう分野だけじゃなくて、イノベーションとか新商品の開発、新規事業戦略とか、そういうようなものを1人の力じゃなくて組織の力でつくっていくっていうところをお手伝いするようになってきて、仕事がだんだんまちづくりからビジネスのほうが大きくなってきた中で少し問題意識を持って、3年前に一度お客さんとうちの組織のメンバー全員にすごい謝って1年間休みを取るということをしたんですね。
その休みの最中に『ティール組織』というものと運命的に出会って、稲妻が走って、探究するために海外に何度も足を運んでっていう中で探究させていただいて、これは本当に素晴らしい本だ、でも私は英語力があまりなかったので翻訳しようとは思わなかったんですけど、でも、どこが翻訳本を出すかがすごくこの日本での広がりに鍵を持つなっていうふうに思ったもので、それで著者に尋ねたんですけども。
坂東
『ティール組織』を書いた著者のフレデリック・ラルーさんを尋ねた?
嘉村さん
会いはしないんですけど、メッセージは送ったんですね。そうすると秘書の方が返していただいたのが、「英治出版という所が出すことになってるよ」ということだけ教えていただいて、たまたま英治出版の社長の原田英治さんとは親しかったのでコンタクト取ったら、「そうなんだよ。2年半がかりで翻訳してて」というように。
坂東
そんなかかったんですね。
嘉村さん
持ち込み企画なんですね。元々金融系の専門家が翻訳としてこの本に感動してあったんですけど、色んな出版社に断られた中で英治出版が出すことになっていて、その人も他の仕事を持たれてる方なので合間合間でゆっくり翻訳されていてっていう形で。
ただ、金融の専門家の方なので、組織に関してのニュアンスとかがもしかしたらズレてる可能性もあるっていう中で、編集部にとっては渡りに船というか、私が組織の専門家だったので、しかも海外でティールのことを勉強してるのはそのときは誰ひとり居なかったので、それで「解説お願いします」ということで頼んでいただいて、それで関わらせていただいたという感じなんですね。
坂東
じゃあ、翻訳の本文のほうもちょこっと絡んだりされてるんですか?
嘉村さん
翻訳が日本語として適切かっていうところを、事前にこちらのほうで組織経営の専門家を10人ぐらい声をかけさせていただいて、それでゲラの段階から読ませていただいたりもそうですし、あと、何人かリアルに集まってもらって読書会風にゲラで読み合ってっていう中で意見交換して、っていうことを事前にやらせていただいたと。
坂東
そうですか。じゃあ、プロジェクトとして動いてたような感じなんですね。
嘉村さん
そうですね。『ティール組織』というものが今年の1月に発売ですけど、その前におそらく日本で50人も知ってる人いなかったと思います。
坂東
「ティール組織」という言葉を?
嘉村さん
言葉を。こういう組織論っていうのはある程度系統というか、流派というか、流れがあるんですけど、そういう今までの専門とかアカデミックとかコンサルのルールとは全く違う分野からポッと出たので、ほとんど誰も知らない概念だったので、その中でこの本を売るっていうのも出版社としても勇気が要るというか。
坂東
そうそうですね。


嘉村さん
だから、「ティール組織」という名前をつけること自体もすごい意見交換が激しく行われて。
坂東
激しく?
嘉村さん
進化型組織にするとか、生命型組織とか、そういう日本語にしないと……そもそも少し海外から概念が来はじめてるものだったらその概念のままタイトルにしても売れると思うんですけど、一切日本に知られてない概念だったので、そういう意味で『ティール組織』で出すっていうのはかなり勇気が要る状態で、そこで「一緒にプロジェクトを組んで、プロモーションも考えてやっていきましょう」という形でスタートしたのがこの企画だったんです。
坂東
そうですか。なるほど。非常に今は売れてますし、全国各地で読書会もされていて、私もこの前福岡で読書会やったんですけど、すごい盛り上がったんですよ。
嘉村さん
これはちょっと知ると話したくみなさんなっちゃいますよね。
坂東
そうそう!
嘉村さん
「おまえの組織は何色?」っていうのですごい盛り上がりますよね。
坂東
そうそう。共通言語ですね。嘉村さんがこの『ティール組織』のどこに魅力を感じたのかっていうことをお聞かせいただいても良いですか?
嘉村さん
はい。ありがとうございます。元々3年前に1年間仕事を休んだっていう経緯は、年間150本ぐらいワークショップやってたんですね。
坂東
そんなやってたんですね。
嘉村さん
で、色んな組織に入らせていただいて、ベンチャーも、中小企業も、行政も、上場企業さんも入らせていただいてると、全て同じような課題を抱えているんですね。
メンタルヘルスの問題、離職者の問題、「営業部と開発部が揉めてる」とか、「みんな当事者意識がないから何とかしてほしい」とか、そういう課題を聞いてるとほぼ共通してる。
勘で言っても当たりそうなぐらい同じ問題になっていて、ファシリテーションで入らせていただいたら喜んでもらえるんですけども、とはいえ何か矛盾というか行き詰まりを感じてたときに、根本的に人類は組織のつくり方を間違ったんじゃないかと思ったんですよ。
坂東
根本的に組織のつくり方を人類が間違えたんじゃないかと。
嘉村さん
そう。スマートフォンとかテクノロジーは失敗しながらブレイクスルーしてイノベーションが生まれていくじゃないですか。

だから、ボタンがないスマートフォンが生まれたりとかって、携帯とかもガラッと変わってジャンプしながら進化していくんですけども、組織運営ってやっぱり人が関係してますし、すぐに結果が出るものでもないので、試行錯誤っていうのがどうしても行われにくくて、軍隊型の統率型を改善して「人は大事にする」みたいなことも入ってきてはいても、そういうところからちょっとずつ変わっているだけで、もしかしたら本当はボタン式からスマートフォンが現れたぐらいの大きな劇的な変化が組織論でもあっても良いはずなのに起こってなくて、そこに何か発明したいなっていう気持ちになってたんですね。

そういったときに、この本の原題が実は『ティール』ではなくて『Reinventing Organizations』という『組織を再発明しよう』っていう言葉だったんですよ。

坂東
あ、そうなんですか。
嘉村さん
そうなんですよ。「あ、同じこと考えてる人がいる」っていうことと、そのときに5段階の歴史の話を英語で触れたときに、「これはホントにすごい。ホントに進化の可能性がある」と。

全く見たことがない組織が現れる可能性があると考えてる人がいるし、実際現れはじめてるっていうことを言っているっていうことで、「これはしばらくは集中して学ぶ価値があるな」というふうに思いまして。

坂東
休む前にこれに出会ったと。
嘉村さん
休んでる最中ですね。ちょうど休んでたので。
坂東
べつに休まなくても良くないですか?
嘉村さん
そうですけどね。でも、そこは多分のちほどお話ししますが、自分自身がファシリテーションとか組織風土改革っていう言葉に出会ったときに本当に感動して、これが広まると社会は良くなると。その頃ファシリテーションで稼いでる人ってほとんどいなかったんですよ。
だいたいコンサルか広告代理店がファシリテーターを置くぐらいで、ファシリテーションで仕事にするっていうことがほとんどなかった時代なので、「なんでそれにお金を払わなければならないんだ」っていうところからやってきた。
で、だんだんとそれが仕事になりはじめてファシリテーターが広がってくると、自分の中に何が起こったかっていうと、サバイバルしてるんですよ。
坂東
サバイバル?
嘉村さん
ファシリテーターが増えてることに焦ってるんですよね。
すごい好奇心で、「これ学んだらもっと人が輝く」とか「組織が良くなる」「社会が良くなる」と思ってたんですけども、学ばなければ置いていかれると思いはじめますよ。

そういう自分がサバイバルモードになってる中で、その前の10年間は純粋にファシリテーションが広がったら世の中は良くなると思ってたものが、サバイバル状態になってるという自分自身も少し危ういなと思いましたし、何よりも仲間を幸せにすることが社会を変えるとかどうこうよりも一番大事だと思って生きてきた自分が、ある日職場に行って雑談してるスタッフの状況を見て「雑談が長すぎる……」と。

坂東
雑談が長すぎる?
嘉村さん
雑談は全然やってもらっても良いんだけど、「雑談ばっかりで1日に何進んだんだ?」みたいな感じのことを思っている自分自身に「ちょっとおかしいな」と思いはじめて、これは1回距離を置かないといけないっていうことで1年間休んだので、組織の探究がしたくて休んだわけではなくて、ただ「1年休まないと次の10年は走れない」と思って休んだんですよ。
坂東
でも、自分が立ち上げた組織を手放したわけですよね、いったん。
嘉村さん
そうですね。1年間は一切口出ししないというつもりで言ったので。
坂東
へぇ~、なるほどねぇ。その中で出会ったから休んだ甲斐があったというか、休まないと多分出会わなかったんでしょうね。


嘉村さん
そうですね。休まなかったら出会わなかったかもしれないですし、休んでたからこそ余白があるんで、それを集中して探究できたっていうところはあるかもしれないですね。
坂東
じゃあ、最初は英語で読まれたわけですね、翻訳前のものを。
嘉村さん
そうですね。翻訳前の英語を。私は英語が得意じゃないので多少仲間に手伝ってもらいながら、「こんなすごい本を見つけてきたから、要約つくれへん?」とかっていうような感じで頼んで、それで理解して。
で、海外行くときも「一緒に行こうよ」って感じで一緒にアメリカとギリシャに行って、っていう感じで2人で進めていました、初めは。
坂東
今、読んでる人は増えてきてると思うんですけど、今回のこの番組を聴いてはじめてティール組織という本を知ったと、読んでみようかなと思ったときに、500ページぐらいあるじゃないですか。
だから、やっぱり私の周りでも「買ったけど読めない」とか、なかなか手がつかないっていう人多いんですけど、嘉村さんからの視点でのお勧めポイントというか、「こういうところをポイントにして読んだほうが良いと思うよ」というのをお聞かせいただいても良いですか?
嘉村さん
多分600ページはすごい大変だと思うので、まずはじめの100ページぐらいは概要なので、概要を読んだあとに、辞書的に自分が気になってる「採用をなんとかしたいな」とか「人事評価をなんとかしたいな」とかっていうところを紐解くように読むのでも全然理解できますし、それでもすごい色んな発見があるので、ぜひ手引き書的に読んだら良いんじゃないかなと思います。

で、ラルーさんも言ってるんですけど、「要約は読まないほうが良いですよ」と。

坂東
そうですか。
嘉村さん
というのも、かなり新しい組織の進化の新しい段階のことを言っているので、実はレッドからアンバー、アンバーからオレンジっていう段階が下のレベルから上のレベルっていうのを理解するのは本当に大変だ。
だから、本当に自分の固定観念とかを外して見ないと新しい世界っていうのは理解できないはずなんですけども、要約っていうのは、もしかしたらその人がオレンジ段階だったら、オレンジ段階として解釈したものとしてティールを書かれていますので。
坂東
要約した人の組織に対する認識がどの段階かっていうことによって、ってことですね。
嘉村さん
そうなんです。
坂東
フィルターがかかっちゃうってことですね。
嘉村さん
フィルターがかなりかかっちゃうので、私も自分が講演会するときには、「私もどっかのフィルターかかってる可能性があるので、鵜呑みにしないでください」っていうことは言ってるんですけど、ラルーさんも実際お会いしたときにそういうことをおっしゃられてて。

というのも、私たちも「600ページなので、もう少しエッセンシャルなものを出したほうが良いと思うんですよ」っていうことをラルーさんに言ったんです。
そしたら、「でも気をつけたほうが良い」というようなことをおっしゃられてたんです。なので、それは本当にそうだなという。

私も何十回と読んでますけども、何十回と読めば読むほど気づきがありますよね。

坂東
分かります。
嘉村さん
でも、やっぱり、今、ティールでも、「階層構造をなくしたらティールなんだ」っていうぐらい、すごい、それって5パーセントぐらいの部分のレベルのところで、「ティールを導入しました」「ティール化しました」「うちの組織はティールです」って、広がる上で言っちゃっても全然良いとは思いますし、それによって世の中に広がるんですけども、本当にティールが描いてるような世界をしっかりと理解して進めていきたかったら、要約とかにも頼らず自分の目で見て、本でしっかりと解釈して進んだほうが良いんじゃないかなというような感じはしています。
坂東
なるほどですね。ありがとうございます。興味深い!次回も引き続き、もうちょっと突っ込んだ話をお聞きしていきたいと思います。
今回はここまでとさせていただきます。嘉村さん、ありがとうございました。
嘉村さん
ありがとうございました。

今回のPodcastはいかがでしたか?
番組では、ご意見・ご感想・質問をお待ちしています。
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この記事を書いた人

坂東 孝浩

坂東 孝浩

手放す経営ラボラトリー所長。神奈川県出身。
自らが経営する会社(株式会社ブレスカンパニー)でも手放す経営を実践。その過程で起きるさまざまな出来事を実況中継している。twitter:@bandotakahiro

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