第14回のテーマは【コンパッションとは?】
人に注意を与えて寄り添うという意味の、コンパッション。
コンパッションを意識することで、チームはどのように変化するのでしょうか?
北條
みなさんこんにちは。手放す経営ラボラトリー。助手の北條久美子です。
坂東
所長の坂東孝浩です。
北條
今回は「コンパッション」がテーマです。では所長、コンパッションについていきたいと思うんですけど。
坂東
いきましょう。
北條
私、コンパッションって聞くと「共感」っていうふうに理解してるんですけど。
坂東
そういう勉強されてたんでしょ?
北條
マインドフルネスとポジティブ心理学っていうものとが割と考え方というか、近いよねっていうので合わせて勉強を少ししたんですね。その中にコンパッションっていうのが入っていて、でも詳しく分かってるわけではないので。
坂東
共感っていうことはそのとおりで、直訳すると「人に注意を与えて寄り添う」と。
北條
ほぉ~。注意を与えて寄り添う?
坂東
「寄り添う」っていうことがポイントだっていうことですね。物理的にというかは、気持ちに寄り添うっていう。なんでこのテーマかっていうと、Googleってマインドフルネスとかを取り入れてるとかよく言われてますけど、Googleで生産性の高いチームがどういう要素を持ってたのかっていうことを研究したと。
そのときに、色んな要素はあるんですけど、最も因果関係があったのが心理的な安全性。心理的な安全性というのがチームの中に生まれてるときに最も生産性が高くなるというような調査結果になったと。で、それをリーダーがいかにつくるかっていうのがポイントだっていうふうにGoogleでは結論づけているということで。結構意外じゃないですか?その結果自体が。
北條
え、そうですか!?
坂東
うん。生産性を高めていくというときには目標をきちっと決める、日付も入れる、で、具体的に逆算して落とし込んでいく……みたいのが一般的じゃないですか?
北條
そうですね。いわゆる組織では一般的かもしれないですね。
坂東
そうよね。だけど、セキュアベース、心理学的な安全性みたいなところ、よく分かんないというか、「それやれば、目標とか決めたりKPIとか立てて追い込まなくても良いの?」みたいな感じじゃないですか。
北條
そうですね。
坂東
生産性と繋がりづらい。生産性というのは数値化されるべきものでしょ?
北條
そうですね。ただ、「結果、生産性が上がれば良いじゃん」って私は思うんですよ。
坂東
そうそう、結果なんですよ。
北條
うん。だって、モチベーション低く、しかも途中で辞めちゃったりとかして1人減ったとかで、絶対そうしたら生産性はもっと下がるわけじゃないですか、やらなきゃいけないことが増えるので。って思うと、みんなに主体的に動いてもらう環境をつくって、勝手にやってくれるっていう状態を生み出すことのほうが大事なので、環境を整えてあげることが私はリーダーにとって大事だと思うので、イコールコンパッションに近いのかなっていう気はしますね。
坂東
そうね。ただ、コンパッションっていう言葉がまだまだ馴染みないですよね、みんな。「コンパッション大事ですよ」って研修とかでやらないでしょ?
北條
そうですね。「え?パッション??」とか言われちゃいますから。
坂東
マネジメントとかリーダーシップの研修でそんなこと出てこないもんね。マインドフルネスですら出てこない。
北條
そうですね。
坂東
新しいワードであって、すごい抽象概念でもあるし、言ったとおり心理学的なところもあるんで、コミュニケーションのテクニックとかいうふうになりがちじゃないですか。
北條
おっしゃるとおりですね。打ち手的なね。
坂東
そうそう、打ち手だよね。
北條
How-toみたいな感じですよね。
坂東
だけど、本当に私も北條さんが言うとおりセキュアベース、育児とすごく近しいというか連動性が高いなっていうふうに思うんですよ。セキュアベースっていうのは、赤ちゃんは親が見てるところでは色んなことを試したりやんちゃしたくなるけど、親が視界からいなくなった途端泣き出したり縮こまって動けなくなるっていうことよね。
北條
そうです。
坂東
同じことがチームでも、大人の世界でも大事なんだよっていうことなんだよね。
北條
そうだと思ってます。
坂東
(笑)
北條
そうも言ってますよね。
坂東
そうそう。Googleではそうなんじゃないかというような、そこに因果関係があるっていうことになったんですけど、そのときにリーダーがどうすれば良いのかっていう。親が子どものことを見守っているように、コンパッションだよね、寄り添ってあげる、注意をちゃんと向け続けてあげるっていうことがすごくポイントなんだっていうようなことに結論づけているっていうことは、すごく注目すべきことだなというふうに思うんですよ。でも、それ、やると結構難しいし、できてるかどうかも分かりづらいですけどね。
北條
そうですね。今まで数字とかKPIとかでコントロールしよう、管理しようとしていた人が、「コンパッションだよ」って言われてどうシフトして良いか分からないですよね。
坂東
そうそう。仕事内容をちゃんとチェックしたり、あるいは成果、数値で会話したりはしてたりすることは仕事では多いじゃないですか。業務そのものだったり。だけど、その人そのものとちゃんと対面でコミュニケーションをとっているかとか、相互理解してるかっていうのはまた別だったりするよね。「仕事は仕事でしょ」みたいな、いう感じになりやすいところを、このセキュアベースというのをチームの中にどうつくっていくかっていうのは結構難易度が高いだろうというふうに思うんですよね。
北條
そうですねえ。どうしてったら良いんですか?所長、これ。
坂東
前の回でも出たと思うんですけど、今の若い人は叱られないことが大事だから、叱られないために60点を目指すっていう話があったと思うんですけど。
北條
ありましたね。
坂東
そういうセキュアベースがないと、創造性とか発揮せずに言われたことだけやる、60点を目指す社員が増えるチームになるっていうことかなと思うんですよ、端的に言うと。それを80点、100点、120点にしようと思ったら、「この人のチームでは自分は思いきって自分を発揮しても良いんだ」っていうふうに思うような関係性をつくれるかどうかっていう。
北條
信頼関係っていうことですよね。
坂東
そうですね。共感関係、信頼関係、絶対的な安心感みたいなことをつくるっていうことが、結果的にひとりひとりのパフォーマンスの向上とか、結果的にモチベーションアップに繋がってくるっていう。
北條
そうですね。
坂東
だから、「モチベーションを上げよう」っていうような打ち手ではなくて、心理的な安全性をどうつくるかっていうようなところ。そのために今までの管理型・コントロール型のマネジメントをどう変化させていくかっていうようなことが結構ポイントになりそうですよね。
北條
そうですね、ポイントですね。これ、でも、本当に「じゃあどうやったら良いの?教えて」って思う方がすごく多いと思うんですよね。
坂東
そうですね。そこに答えはあんのかなあ。難しくないですか?親がセキュアベースをつくろうと思ってやってるかっていうと、手法も様々だと思うし。
北條
そうですね。で、正解はないですよね。人によっても違うし、「このやり方でA君は上手くいった。B君にも同じことをやってみた。でも、B君は全然セキュアベースが広がらない」とか。それはその人の育った環境もあるだろうし、人をすぐ信用する人もいれば、何があっても絶対信じないって思ってる、色んな過去とかあったりする人もいると思うんで正解はないと思うんですけど、持つべきスタンスというか、安心・安全な相手に心理状態を与えたいというスタンスみたいなものってあるんですかね。
坂東
発想というか、まずこちらが全面的に信頼してるんだよ、信じてるよと。で、過保護にならずに、過干渉にならずに。
北條
そうですよねえ。バランスが大事ですね。
坂東
そう。育児の世界でも過保護・過干渉になりやすいですけど、それって裏を返せば信じてないっていうか、親の意見のほうが中心で、「絶対にこうしたほうが良いから。私が何かしないと子どもはできるようにならないから」というふうに思ってる。それは不信の裏返しでもあるような気がする。
北條
そうですね。
坂東
だから、会社においても管理・コントロールっていうのは「信じてないよ」っていうメッセージにもなりがち。
北條
そうですね。「信じてないから管理するんだよ」になりますよね。
坂東
うん。じゃなくて、「全面的に信じてるんだよ」っていうようなことをどうやって伝えるかって、まずそういう発想を持つかっていうことで、あとは伝え方っていうのは自分なりに工夫してみるっていうことかなと思いますけどね。
北條
約束をつくるっていうのは良いかなと思います。「信頼しているから、こうなったときにはこういうふうに言ってほしい」とか、「何かあったときには絶対に相談してほしい」とか。で、それを言ってきてくれたら「本当にありがとう。そうだね、じゃあ、そういうふうにしていこうよ」っていうコミュニケーションによって信頼を獲得していって、気づいたら領域が広がってるっていうのが理想かなと。
坂東
それを言うなら先に上司からの自己開示でしょうね。
北條
そうですね。
坂東
先にどんどん相談していく。「これが分からないんだけど」とか、「こういうときにどうしたら良いかな」っていうのを上司がもししまくっていれば、「できる人じゃないんだ」みたいな、「分からないこととか素直に言っちゃうんだ。じゃあ自分も言ってみようかな」みたいな。
北條
たしかにそうですね。「上司らしくある」っていうことを手放すのかもしれないですね。今まで描いてた上司像みたいなものを手放す。
坂東
そうね。上司は答えを持っていなければいけない。正確でなきゃいけない。できていなきゃいけない……
北條
そうそう。みんなの上に立たなければいけないと。
坂東
うん。「模範とならなければいけない」みたいなところを手放すということはひとつのテーマかもしれないですね。
北條
あ~、良いですね。コンパッションをテーマに、上司像とか上司のあるべき姿みたいなものの手放し方というところまでお話が深まりました。良い時間ありがとうございます。
坂東
こちらこそ。
北條
では、今週はここまでとさせていただきます。ありがとうございました。
坂東
ありがとうございました。
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