第二回「手放す経営アカデミア実践勉強会」開催プチレポートです。
2月18日(木)20時より第二回手放す経営アカデミア実践勉強会を開催!
今回も全国から22名の経営者の方がオンラインで集まりました。
ティール組織とは、ティールというパラダイム(世界の捉え方)
で運営されている組織と書籍でも紹介されていますが、ティールパラダイムとは?
そのパラダイムに基づくスタッフや組織運営の捉え方とは?
を感じ取ることができる素晴らしい時間でした。
■手放す経営アカデミアの紹介
http://tebanasu-lab-5649989.hs-sites.com/tebanasukeieiacademia-0
■ゲスト
谷川クリーニング代表、谷川祐一さんと専務の谷川麻美さん
有限会社谷川クリーニング
茨城県に直営のクリーニング店を18店舗経営
従業員:52名(ホームページより)
タニカワクリーニングの特徴
・役職がない
・工場長も上司もいない
・シフトを決める人がいない
・現金が入った缶を工場に置いてあるが誰も取らない
などなど。
トピックス
・(実践されている)サッカーチームのような組織運営
・スタッフが自分で決めるようになった経緯
・スタッフの自主性に任せて取り返しのつかない事態になった。その時どうしたのか。
・スタッフをどのような視点で観ているのか。
・大量退職の痛みから学んだこととは!?
などなど
人を機械と捉えるか、人間と捉えるか
谷川麻美:クリーニング業界だと機械の前に足の形のマットが置いてあって、そこからいかに動かないで作業するかというセオリーがあります。一歩がもったいないので、いかに無駄な動きを減らして、生産性をあげていくか、という考え方です。
坂東:確かに、そっちの方が生産性あがる気がしますね。
谷川祐一:機械が1時間に100点仕上げられるものだったら、1時間に100点、無駄なく動くと3時間で300点。この計算でいくと「無駄な動きをするな。要するに動くな。」ということになるんですけど、実際は、入荷するタイミングや品物にばらつきがある。
いろんな役割がある中で、どこにどのタイミングで、どれだけ品物が流れてくるかは違うんです。ムラとかばらつきがあるのが普通。
サッカーで例えると、ボールがきたときだけ頑張るということをやってたら、右サイドでボールが回されている時、左サイドはやることないじゃないですか。だったら左サイドの人は右サイドが忙しいなら、右サイドに寄ってもいいよねっというのが本当の現場なら起こるはずです。
これが入荷をコントロールして、トヨタ生産みたいにできたら動かないでってできると思うんですけど・・・中小企業だとそんなこと起きないなって僕は思ってるんですよね。
坂東:トヨタのようなものづくりをしている、生み出す方の生産工程と、きたものを取り扱うのは違いますもんね。
谷川祐一:そうだと思うんですけどね。現実、自社で置き換えると「動くな」というより、動いた方が生産効率はいいです。実際12人だったところが7人でも回るので。
坂東:さっき武井さんが「ホワイト企業は人間らしい会社」って言ってましたけど、足マークから動くなっていうのは人間らしくないですよね。僕はやりたくないですよね、そこの仕事は。
武井:こういう機械的な経営を世界に広めたのはフォードなんですよ。フォードの創業者のフォードさんの逸話があって、「なんで労働者は喋るんだ」って言ったらしいですよ。「労働者は口聞かなきゃいいのに。言われたことを淡々とやればいいのに」という話。それじゃぁ、奴隷ですよね…
【ばんどう所長メモ】
ホワイト企業大賞の理事でもある武井浩三さんの解説とともに進んだトークセッション。
「とても人間らしい企業なんです」という武井さん評が、谷川社長・専務の具体的な話とともに、イメージが鮮明になっていきました。
私がとくに印象に残っているのは
「状況に合わせてサッカーチームのように柔軟にポジション変更をしたり、フォーメーションが変わる方がいいと考えました。」
「教えることは、学ぶ機会を失うと考えています。だから経験から学ぶ。失敗から学ぶ。を、重視しています。」
「評価制度はありません。私たちは誰かを評価できるほど偉くないです(笑)」
こんなお話しです。
改めて、人を人として尊重している人間らしい会社だな〜
Q業界が斜陽で競争が激化する中、どうやって安定した受注を成立させるのか?
Q&Aで出た質問
・社員が一斉に退職したり、どん底の時にご自身はどう思っていたのか?
残った社員はなぜ残ったのか?
・今後の展開や店舗展開などは、どう考えているのか?誰が考えるのか?
・給料はどういう考えで決まっているのか?
・谷川社長は暇じゃないんですか?ふだんは何してるんですか?
・業界が斜陽な中、どうやって安定した受注を成り立たせているのか?★解答をpickup!
谷川祐一:業界は斜陽ですね。競争激化で、安売り合戦の中たくさんの会社が潰れていって、今はうちともう1社しか残ってないです。で、もう僕らは競争っていうのをやってる場合じゃないなって思ってます。
人口が減っている中で、相手を倒す戦略とか、独占するっていうところにいっても、人口は減っていく。だから結局この先どんどん売上って下がり続けるのが当たり前だって見えちゃったなという気がしています。
たぶん日本の中央の方、首都圏ですとまだまだ競争でやってられるんでしょうけど、僕らの住んでいるところは田舎なのでそういうところでは、これは無理な話だと体感しました。
なので、お客さんに喜んでいただいて、かつ店員さんとお客さんっていう関係を超えたところで、
いい関係が作れて仲良くなれたら、もしクリーニングが減ったとしても何かタニカワクリーニングに関わる人たちのお役に立つことができて、関係性って続いていくと思っています。
だから守っていくというとかそういう考えがなくなってきちゃった。というのが今思っていることです。
【所長メモ】
かなり突っ込んだ質問が(遠慮なく笑)出たのですが、谷川社長、専務は丁寧に回答してくれました。さらに、既存の常識とはぜんぜん違う切り口での回答に、質問者が目を白黒させる場面も(笑)
そうした意味でもとても有意義な時間となりました。
【おまけ】
・1月開催分の実践勉強会の覗き見動画(11:41)
・谷川祐一さん麻美さんへの公開インタビュー動画
その1(37:06)
その2(35:45)
まとめ
手放す経営アカデミアでは、進化型組織を中心に、色んなパラダイムの世界観に触れる機会を作っています。
今回は、社員のほとんどが辞めてしまい、企業存続も危ぶまれた状態から今年、ホワイト企業大賞を受賞するまでに至ったタニカワクリーニングの谷川代表の壮絶なお話から、参加者それぞれが何かお土産を持って変えることができたことと思います。
自分とは異なるパラダイムに触れることで、自身の現在地や進みたい方向性をデザイン、そして実践するヒントになれば幸いです。
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アカデミア会員の方であれば、これまでに開催した全てのアーカイブ動画を観ることができますので
「3名以上の組織の経営者」の方はぜひ気軽にご入会(無料)ください。
お申し込みはこちら↓
また、実践勉強会はアカデミア会員にならなくても
参加していただくことが可能です。
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次回は3月18日(木)20:00〜21:30から。
タニカワクリーニングの顧問税理士であり、
手放す経営ラボの同志でもある青野さんをゲストにお招きし、
進化型組織と管理会計というテーマでお届けします!
こちらも「3名以上の組織の経営者」方限定の会となりますが
当てはまる方はぜひご参加くださいませ。
詳細及びお申し込みはこちらから。