今週は、助手の北條 久美子からの質問に回答します。
「進化型組織の実践によって、どんな人が変化したり、成長しましたか?」
坂東の回答に驚く北條 久美子。 いったいなんと答えたのでしょう?
Guten Tag! Herzlich Willkommen“手放す経営ラボラトリー”.
今回は、助手 北條久美子のポイッと質問投げてみた。というわけで、最初何語だったかわかりましたか?
ドイツ語なんです。“Herzlich Willkommen”っていうのは、心を込めてようこそ!っていう意味。
すごいねぇ、ドイツ語喋れるって。
Ich spreche Deutsch.
「私はドイツ語を話します」
そうなんだ。すご。
さて、私、坂東さんが進化型組織を実践し始めてから気になっていることがあるんですよ。まず、坂東さんの会社で起きたこと。それから、今後たぶんどんどん広がっていくと思うので、この手放す経営という形が。そうしたら、この未来ってどうなっていくのかな、みたいな2つの質問をしたいと思います。
まず1つめに伺いたいのが、手放す経営を実践したことで、坂東さんの社員の方、どんな人が変化しました?
実践していちばん変化したのは私と思います。
うわぁ~、なんか予想外の答えだった。
あ、ホント?いかに私が固定観念とか、自分の考える正しさとか、自分の考える常識とかに囚われてたかなって。
なんでしょう、それって気づかされるんですか?自分の行動によって「あ、やっぱり固定観念あるな」とか、自我とか、いろんなことに気づかされて……の連続みたいな感じですか?
自分のところでこの手放す経営を始めて、いろいろなものをリセットしたんだけど、リセットしてみたときに「本当にこれってやったほうがいいのかな」っていちいち考えるわけですよ。
たとえば朝礼をやめようと思って1回やめてみた。そうすると、「朝礼って、そもそも何のためにやんのかな」みたいなことを考えるじゃないですか。
で、私は前は朝8時に会社に来て、若いスタッフと一緒に8時から掃除をする。そのあと新聞をみんなで読む。
そのあと、ミーティングをして始業を迎えるっていうことをやってたんですよ。それは私的に正しいと思ってたわけです、当然。それをやったほうがいいと思ってたんですよ。
だけど、それを1回やめてみたわけですね。「始業時間までにインプットとかをちゃんとやるような習慣を身に付けたほうがいいし、会社は早く来たほうがいいし、掃除とかも自分たちでやるっていう習慣を身に付けたほうが社会人としていいよね」と思ってたわけですよ。だけど、ホントにそうなのかな?っていうふうに今は思う。
そうか。じゃあ、「自分の常識を疑う」みたいな感じですか?
「社会人はこうあるべきだ」「若いうちはこういうような習慣を身に付けたほうがいい」っていうようなことが、1回リセットしてみると、「ホントにそれ、どうなんだろう?」っていうふうに今は思ってるんですね。どう思います?北條さん、そこらへんは。
いやぁ~、それね、私も実は、マナーの講師とかやるじゃないですか、ビジネスマナーを伝える人間でありながら、「本当に必要か?」って思うこととかあるんですよ。
「形でやってないかな」とか。たとえば「遅刻をするときに電話が必須である」とか、でも、メールって昔はわざわざ開きにいかないと開けなかったけど、今、LINEとかだったらオンタイムでリアルに来るじゃないですか。
でも、電話でしなきゃいけないっていう理由って、だんだん減ってくんじゃない?とか。
だから、当たり前と思ってたことが案外変わってきてるかもしれないなって思うことがあるんですよね。そうすると、「あるべき」に囚われてるかなって思う瞬間は結構あります。
時代とともに変化するものもあっていいと思うんですけど、ただ、本質で変わんないものは変わんないとは思うけど、「それってホント?」っていうのは結構問いかけるようにしてるかもしれない。
なるほどね。それから勤務時間も9時スタートだったので、9時ギリギリに来る人とか遅れてくる人とかは気になるわけですよ。1分でも遅れたら「時間厳守じゃねーな」というふうに思ってて。
まあ、それは普通だとは思うんだけど、そういうのもなくしたんですね。そうすると、今はもう気にならないんだけど、特に若い人は9時ギリギリに来てたら、やっぱちょっとイラッとしてて、「もっと早く来たほうがいいんじゃない?」と思ってたんだよ。
それは「私の」正しさですよね。「私の」正しさ。
坂東さんの基準っていうことですよね。
これまでの基準。常識。今までの。だけど、それって「なんのために9時に来たほうがいいのかな」とかいうこととかあるじゃないですか。
だし、それが本当にミッションを遂行するっていう、仕事をやり遂げるっていうことと関係あんのかどうかっていうこととかを考え直したって感じ。
私、変化ってね、成長だと思ってるんですよ。退化することもあるかもしれないですけど、基本的に新しいことにチャレンジして人が変わっていくって、成長って言えるじゃないですか。
で、どんな成長があったのかなと思ってたんです、坂東さんの会社にとって。
っていうことは、坂東さんが手放したことによって、たぶん会社そのものが成長したんじゃないかなと思うんですけど、どう思います?
私の会社は私が経営者なんで、私のレベルが上がれば、その分会社が成長する可能性は高くなると思うんですよ。
トップのレベルによって会社のレベルって決まってくるかなと思うんで。
だから、とにかく私が成長しないといけないというふうには、私自身は思ってるんですけどね。
だから、そういう意味では、いろんなものに囚われてたなということを思ったので。
で、リセットして、その先どうするかっていうことが大事だと思うんですよね。何を考え、どういうふうに実行していくっていうことが大事ですけどね。
でも、そこらへんが、ちょっと自分自身が自由になれたし、いろんな選択肢が持てるようになったかなっていう感じはしてるし、何より人を信じてなかったですね、そのときは。
だから、実践してみて「信じてなかったっていうことがわかった」っていう感じかな。
へぇ~。監視してたみたいな感じですか?コントロール?
管理だよね。たとえば、「『掃除をしよう』っていうふうに決めないとやらないよね」。
「新聞もみんなでこうやって読まないと、読まないでしょ」というふうに思ってた。
「出社時間決めないと時間守らないでしょ」というふうに、基本的に疑ってかかってたんです。
へぇ~、それに気づくってすごいですね。
それはリセットしたら、たぶん誰でも気づくと思うんですよ。
それって、ふと気になったんですけど、子育てとかにも影響してます?
子育てのほうがより自由だったかなぁ。
ああ、そうですか。
子どものことは根本的にやっぱりすごい信じてますもんね、無条件に。愛情もすごくあるし。
それがやっぱ前提にあるじゃないですか。
大前提、「家族」っていう繋がりがあるから。
そうそう。それとうちのスタッフっていうのは、すごい自分は大事だと思ってたんだけど、やっぱ根本的な発想が違ったんだなっていう感じですね。
へぇ~、すごいなぁ。
だから、結局「信じてない」っていうことが伝わっちゃうんだよね、会社の仕組み上。
そうすると、「何もかもやらされてる」って思ってしまうっていうことが多いでしょうね。
そうそう。子どもでもやさぐれそうじゃない?
そうですね。「やろうと思ってたのに、チッ!」とか思ったりしますもんね、子どもって。
そうそう。「なんだよ、俺のこと信用してくんないのかよ」みたいな、っていう感じじゃない?おんなじこと。
だから、会社来てなかったら「仕事やってんのかな」っていうふうに不安になるっていうことは、つまり信じてないっていうことだから、いろいろな管理する会社の仕組みっていうのは、基本的には社員は管理しないときちっと動かない、管理する立場の自分のほうが、あるいは経営陣のほうが正しいという前提で動いてるっていうことがすごく強く実感できたかなっていう感じです。
そうか、いちばん変化したのは坂東さんだったんですね、ということは。
そうです。良かったです。
良かったですね。なんか活き活きしてますもんね、最近、坂東さん。
あ、そう?
何人か共通の知り合いに言われましたよ。「坂東さん、なんか突き抜けた感があるよね」って。
突き抜けた感が?(笑)へぇ~。
それは発信とか、いろんなものからっつーか、もちろんPodcastもそうですけど、伝わってくるって言ってますよ。
ほぉ~。自分はホントに何がしたいのかとか、僕的、「何のために」とか、「どうありたいのか」っていうことを今までも考えてたつもりだったんだけど、進化型組織の実践を始めてから改めて一から考える機会がうんと増えたし、自分がやりたいことをする、やりたいようにするっていうことがより実践できるようになったし、うちに関わる人たちにもそういう場を提供したいなと思うようになってきたんで、より自分らしくいられるようになってきたっていうことだと思うんですよ。私も含めてね。
なので、2つめの質問に繋がると思うんですけど、「手放す経営っていうのが広がっていくと、どんな人が増えていくか」っていうのは、活き活きとした人が増えてくといいなっていう感じですね。
今までの「管理する」っていうことを手放すと、管理するほうの不信感もなくなる。基本的に信じないと、性善説が前提になってるんですけど、「本当にコイツ仕事やってんのかな」っていう不信感をポイッともしできれば楽になるんですよ、気持ちが、経営者のほうも。
だし、不信感を浴びてる人も楽になるじゃない?ストレスが少なくなるし、より勤務時間とか、いろんな仕組みとかルールとかに縛られないようになれば、より自分らしく生きやすくなる。
となると、自分の個性を発揮しやすくなる。
そうすると、活き活きした人が、経営者も社員も増えてくるといいなという。そこが手放す経営をやる目的ですね。
たしかに。手放す経営ってすごく考えないとできないと思うんですよね。しかも、「自分」が主語じゃなくて、「私たちにとって何がベスト」とか、主語が「私たち」になってる気がするんですよね。
「私にとって」だと経営者が下の人に対してだし、「私はこういうふうにしたいんです」みたいなのが、全員のことを考えなきゃいけなくなるじゃないですか。
なので、主語が変わるのかなって、今の話聞きながら思ってました。
あ~、なるほどね。「私たちの会社はどうあるべきか」みたいな、「どういう場づくり、どういう環境であるべきか」みたいなことを考えるって感じですかね。
自分事で全部を考えますよね。
いや~、すごく素敵。自分事になれば自分のことなので責任も持つし、活き活きする人が増えるってなると、やっぱりみなさん手放したほうがいいですよね。
どうだろう。それが唯一の正解でもないと思うんで、これから企業の1割とか2割はこういう進化型組織に変わっていくだろうと私は思ってるんですけど、でも、業態とかビジネスモデルによっては管理型のほうが上手くいくケースもあるし。
あ、そうか。でも、「管理型プラス、この部分については手放す経営も導入します」みたいなのもありですよね。
もちろんありと思うし、管理されたい人もいるし。
そうそう。会社とか仕事に何を求めるかっていうのも、人それぞれなんで。
ただ、今は管理するっていうことがごく当たり前になってるんで、ほとんどの会社がそうだけど、そうじゃない組織もこれからは増えてくるだろうなっていう。
う~ん、ちょっと楽しみですね、今後。
ありがとうございます。とってもスッキリしました。そして勉強なりました。
というわけで、今週はここまでとさせていただきます。所長、ありがとうございました。
ありがとうございました。