進化型組織にまつわるQ&Aに答えます
取引先のS社長から、こんな質問をされました。
「坂東さんのいう“進化型組織の経営”にとても興味があります。
でも、今は事業にかなり深く関わってしまっていて、
なかなか手放すことができません・・・。」
S社長が経営するC社は、およそ150名の組織で
ある業界に特化したNo.1求人メディアを運営しています。
業績は絶好調で毎年130%で成長中。
まだまだ伸び盛りな事業に加えて、
新規事業の立ち上げも同時並行で進めているこの会社を
進化型組織にする必要はあるのでしょうか?
そのために何かを手放した方がいいのでしょうか?
私は「今はその必要はないと思う」とお答えしました。
S社長は32歳と若いですが、すこぶる優秀で事業推進にとても長けている方です。
一方、マネージャー層も大半が20代と若い。
ですから現状では、社長が細かいところまで目配りしながら、
ぐいぐいと引っ張っていくのがいいのです。
「手放す」というのは、物理的に権限や管理を手放す、という前に、
内面的な要素が大きいと私は考えています。
内面的な要素というのは具体的には、「社長としてトップに君臨し続けていたい」
「社員の面倒は全部自分が見続けなくてはいけない」といった経営者のエゴです。
S社長は、もともとそうしたエゴが薄い方です。
雇用や介護など社会課題を解決したい。
そのためにいいサービスをつくりたい。
サービスを多くの人に活用してもらい、事業を伸ばし、よりよい会社にしていきたい
本心からそう考え、地道に実践しているのです。(頭が下がります!)
そうしたビジョンを抱いて自分の果たすべき役割を全うしていて
かつ、高い業績を出せていて特に悩みがないのであれば
「進化型組織のエッセンスを実践する」「手放す」ことにこだわる必要はないと思います。
というか、S社長の場合はすでに「エゴを手放している」のです。
そんな経営トップに対する社内の信頼は厚く、
高い業績を生み出すチームワークの肝となっていることは間違いありません。
進化型組織にすることは目的なのか!?
進化型組織は目的ではない。
大切なことは事業をどうしていきたいのか、組織はどうしていきたいのか
という自身の想いです。
そして、社員はそんな社長をよく見ています。
何を手放したくないのかも。