ティール組織を初めて聞く人にはオススメ!
嘉村賢州さんが、とても分かりやすくティール組織を理解するポイントを解説していただきました。
新しい組織のカタチに興奮間違いなしですよ!
(※「ティール組織」の解説はこちら)
今回もラボを飛び出して、嘉村賢州さんとの取材の模様をお届けします。今回は2回目です。
それではどうぞ、お聞きください。
というわけで、嘉村さん、今回もよろしくお願いします!
たぶん、それもあって、非常に、今、本自体も売れてるし、嘉村さんもいろんなとこで引っ張りだこではないかと思いますが。
ティールを理解する上では、大きく分けて2つの切り口を押さえていれば、だいたいわかるかなというふうに思うんですけど、ひとつは歴史の話で、組織は進化してきていて、これは続いていってますよというお話を押さえていただきたいのと、
もうひとつは、世界中フレデリック・ラルーさんが見てきた組織の中で、いくつかの共通項をこうやって「ティール」としたんですけども、そこには3つの特徴がありますよっていう、
その3つの特徴、この2つを適切に押さえていればティールはある程度理解できたのかなっていうふうには思うので、その話をするのがいいのかなと思います。
当然、従業員も幸せそうにしてないというこの状況が、この経済社会が少しおかしいんじゃないかなというふうに思いはじめて、組織の探究の旅に出かけるんですけども、そのときに普通だったら、アカデミックの世界でもコンサルの世界でも、今のニュースでよく取り上げられてるビジネス雑誌トップ100みたいな、そういうところを調べるのが普通なんですけども、そういうことはせずに、口コミで、まだ有名じゃないかもしれないが、人が輝いていて、そしてお客様とか地域に圧倒的に受け入れられてるところを素材を集めて、そこを調べたところ、今までとまったく違う毛色の組織が現れてきてるっていうことに驚きをもって、それを探究していってまとめたんですね。
そのときに参考にしたのが、ケン・ウィルバーという「インテグラル理論」というものを書いた心理学者ですね。
彼が「人間というものは実は発達の段階がある」っていう、子ども生まれたときから、大人になってからも何段階もあるっていうような発想でまとめた理論があって、
実は組織自体もそれに当てはまるし、実は人類が誕生して以来、組織は人が発達するような形で組織っていうものも発達してきているのかもしれないっていうので説明したのが、すごいユニークなところだと思います。
本では7段階で説明してるんですけども、海外はだいたい5段階で言うので、それをざっとお話しししたいなと思うんですけども、まず、一番古典的な組織っていうのは、要は「言うこと聞かなかったら殴るぞ、殺すぞ」の世界観、ジャイアンとかマフィアとか豪族とか、そういった組織が手っ取り早いんですよ、すぐに動きますから。で、すぐに結果も得られるので。
それが原始的な組織形態なんですけども、その次にピラミッドをつくるとか大きな公共事業をしていこうと思うと、話し合ってたら埒が明かないじゃないですか。
時間かかってしまいますし、「イヤ」と言われたらどうしようもないっていうこともあって、そのときに生まれたのが「おまえは身分が低いからやれ」と、要はそういう上下関係で動かすっていう、この時代に業務プロレスとか上意下達の指示命令系統、そういうものが発明されて、そういうことによって大きなピラミッドのようなものがつくれるような組織構造を発明したんですね。その後だんだんと、国と国、村と村、組織と組織が出会い始めると、王様が寝そべっててピラミッドができた時代は良かったんですけども、いち早く武器を発明しないと負けてしまうわけですよ。
いち早く軍隊を成長させないと負けてしまうっていう。
科学的マネジメントの時代で、1時間あたりの生産量を測る。そして、PDCAサイクルのように、やっては振り返って検証する。
「新しい仕組みを入れたら生産性が上がった」みたいなことを世界中の人がトライアンドエラーするようになってきて、ここで世界中の経営論・組織論がどんどん発展していくような時代になっていくわけですね。
で、この時代の一番の発明が能力主義・実力主義といわれるもので、「頑張れば出世できる」というものを発明したことですね。
アンバー時代は、生まれた身分から、絶対に頑張れば頑張れども、やらなかったら殺されるけども、頑張っても絶対満たされることはなかったものが、「出世できる」というアイデアは一大発明ですよね。
それによってかなりのことを成し遂げてきた人類ではあるんですけども、同時に組織としてはいくつかの弊害も生み始めてきた。
それはやっぱりピラミッドなので、上に上がれる人もいれば、上がれない人もいると、モチベーション、下の人は上がらないですよね。
また、階層構造っていうのが、どんどん現場の気づきとか発見とか提案が承認プロセスで上がっていきますので、やっぱ伝言ゲームにもなりやすいですし、熱量が下がっていきますので、なかなか通りにくかったりとかしますし、社会環境に直面してる現場の人たちの声が上がりにくいので、変化が激しい時代だと上のほうってやっぱ少ないので、現場に直面してない上の層で戦略ビジョンをつくっても、もしかしたら時代感覚がズレてたりもする可能性があって、そうすると一気に組織が傾く。
もしかしたら今の電機メーカーとか、いくつかの会社が傾いてるのも、そういうところがあるかもしれないですね。社員からすると「経営層は全然わかってない」とか言ったりしますね。
「この仕事ができる人はここに入ってください」とか、「できなかったら辞めていただいていいですよ」ってなると、そういう枠ではめられる仕事しかもらえずに職場人生が終わってしまう可能性があるわけです。
そうすると人生の後半で、「私がやりたかったことって本当にこれなの?」……その人は絵が描くのが好きかもしれないですし、人と接するのが好きかもしれないけども、何かの入力作業でずっと人生終わったとしたら、すごい大損失ですよね。もったいないですよね。
そういうところの違和感とか虚無感とかもオレンジは生まれやすいというふうなのが、この3つめの組織の特徴なんですね。
そうすることで、従業員もちゃんとやりがいのある、商品に対しても愛着もありますし、なにより自分が関われているので、やりがいを持って会社愛が強い社員が生まれてきたりっていうのがグリーンの特徴で、そういった組織もすごく溢れてきたんですね。
そういった組織のカルチャーって多様性を大事にしようっていうカルチャーなので、いろんな小さな声も含めて聞こうとするんです。
で、「大事にすることを私たちは選んだ」っていうふうになるので、ワークショップとかしても決まらないし。
それで、「なんか仲良く話し合いばっかりはしてるけど、会議はめっちゃ増えたけど、なんかこれというブレイクスルーとかイノベーションは生まれないよね」っていうことが起こりやすいっていうのがひとつのデメリット。
社長とかは24時間365日経営のことを考えてますので、そうすると、ワークショップでみなさんが話し合ってるのが、どうしてもちょっとヌルいんですよ。
考え続けてると、どうしても「それじゃ上手くいかない」っていうのが目に見えてわかるっていうのがあるので、ひっくり返してしまう。
そうすると、やっぱり社員もやりがいがなくなったりとか、溝が生まれたりとかするっていうのが、このグリーン型の限界で。
そんな中、ラルーさんは世界中に、そういう今までの「レッド」「アンバー」「オレンジ」「グリーン」とはまったく違う形態の組織があって、それは社長とか、そういうポジションではなくて、ひとりひとりが自由に決めてるんだけども、信頼で結びついてるので相互に影響し合って進んでいっている、これがすごい生命体のようにも見えるし、新しい組織じゃないかっていうので「ティール」と名付けたっていうのがひとつ目の切り口の説明ですね。
どうしてもティールって「一番素晴らしい」と言われるんですけど、そういうわけではなくて、違うテクニックを持ったものが現れた。
子どもと大人を比べたときに、大人が素晴らしくて子どもが素晴らしくないってことはないじゃないですか。
speech_bubble type=”std” subtype=”R1″ icon=”嘉村さん.jpg” name=”嘉村さん”]で、もうひとつ、3つの特徴について簡単に知っときたいなと思いますけども、ラルーさんがいくつかの組織を見ていったときに、3つ特徴がありそうだと。
1つ目が“Self-management”、本では「自主経営」と言われてるんですけども、要はこれは階層構造では動かしてなくて、ひとりひとりが自由に意思決定してる信頼のネットワークだっていう、この組織形態のことを表してるのが“Self-management”、自主経営のところなんですね。
よく、“Self-management”なんで「個々人が自分を律して、自由に行動できる人たちの集まりなんだ」っていうふうに言われるんですが、そういう意味はまったくないです。[/speech_bubble]
で、2つ目が“Wholeness”って言われて、ティール型組織では、さっきでいう細分化された仕事で人生を終えるっていうのはもったいないので、その人が持ってるすべてを使いましょうと。
複数役職大歓迎ですし、オレンジまではどうしても合理性とか論理性が大事だったんですけども、感情とか、スピリチュアリティとか、女性性とか、男性性とか、そういったものをすべて大事にしましょうと。
子どもをオフィスに連れてくることだって大歓迎で、そのほうが場は和やかになるし、未来のことも考えるでしょうっていうようなぐらい、人間というものを本当に大事にしながらつくる組織っていうのが全体性、“Wholeness”というのが。
その場その場で「今ここで何が必要なんだ?」っていうのをみんなが探究し、それぞれが自由に意思決定しながらやることによって動いていくっていう。
それで組織形態も事業内容もゴロゴロ変えながらやっていってるっていう、そういう計画とか目標とかコントロールを手放した組織形態っていうのが“Evolutionary Purpose”の特徴かなというふうに思います。
この3つをクルッとまとめてというか、「3つの特徴があるんだよ」っていうことをラルーさんは『ティール組織』という中で伝えていると。
海外では本が2014年に出たので、それを勉強してティール型になった組織も現れ始めてますけども、元々はべつにティールを目指したわけでも何でもないということですね。
ただ、大事なのは、生産性のためにティール組織を入れようとしたら絶対上手くいかないですよ。
企業っていうのは基本的には業績を上げたい、利益を増やしたい、そのほうが社会にも社員にもいいじゃないかということで、それを目的に掲げる会社が大半というか、それは当然だろうと思いがちなんですけど、そこが目的じゃないんですね。
一番最初に「これは概念であり哲学だ」的なことをおっしゃられたんですけど、本当にそうで、経営者が「このティール組織っていうのは儲かりそうだ」と思って、「もっと儲けを増やすためにティール型にしよう」っていうふうに思ったら、それは違う?
ちゃんと主体性が立つような組織づくりをご自身ができていれば、そうはなってないはずなんですけど、問題を社長が切り離して「うちのメンバーは主体性がないから啓発研修をしてほしい」とかっていう話は、自分もシステムでそれが起こってるっていう認識がないので、基本的には上手くいかないですね。
そうすると、やっぱしっかりとファシリテーションプロセスすると、本当に活き活きといっぱい発言するようになってくれたりとかするので。
だけど、持ってるものが出せないで、いつの間にか諦めてしまったりとか、「ああ、必要とされてないんだ」とか、そういうところからだんだん発言が減ってくる。
発言が減ってくると、社長はジャッジとして「やる気がないんだ」ってジャッジして、「やる気がないから」っていうので管理するようなマネジメントを入れて、より「自分が信じてもらえてない」っていう気がして……っていうことがどんどん連鎖として会議中発言しないという状態が生み出されているのは、この、ちょっとした声にアドバイスでバーッとやってしまうっていうことを繰り広げた結果、生まれてる可能性があって、そういうところをしっかりと見つめていくっていうところから始めていくっていうような感じですね。
ああ、これは話が尽きないんですけども、これだけを聞いても「なにっ!?」と思う人と「えっ、どういうこと?」って思う人がいると思うんですけど、次回、具体的な事例もお聞きしながら、もうちょっと深掘りしていきたいと思うんですけども、これ聞いてる方は、次回までに、できたらティール組織の最初の100ページぐらいでいいですね。
それ、日本語字幕プロジェクトっていうので、ボランタリーに集まっていただいて頑張って日本語字幕つくった映像がありますので、それをご覧いただくと1時間40分で概要が。
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