わたしの歯医者さんは、埼玉県北朝霞にある治療よりも予防に力を入れている歯科医院。
前回は経営者目線での変革のストーリーをお届けしましたが、実際現場で推進されてきたスタッフの方々はどのように感じていたのでしょうか。今回はDXOワークショップのメンバーだった吉川さん、谷地さん、古屋さん(以下、敬称略)にお聞きしました。
目次
- 1.「こんなにこんなに悩んでいたんだ!」という気づきと共感
- 2.「何が起こるか、わからないけれどとりあとずやってみよう」
- 3.お互いを知り、認め合うことでチームの雰囲気が激変
- 4.DXOによってミーティングでの発言量が倍増
- 5.それ、元気が出ない仕事だったの!?
- 6.自分の弱さをさらけ出せる安心感がある組織へ
「こんなに悩んでいたんだ!」という気づきと共感
岡田:DXOを始める前に院長の田幡さん(以下、たばちゃん)の「社長!今日も斬らせていただきます。」-由佐美加子のひもときセッション-(以下、今日斬り。)の動画を見られたと伺いましたが、どのように感じましたか?
2021年11月にYouTube番組としてスタートした「由佐美加子のひもときセッション。社長!今日も斬らせていただきます。」
毎回、経営者の不本意な現実から内面を紐解き、経営者が身に纏った鎧を斬るセッション動画を配信。
今回第8弾は、田幡壮さんでした。ぜひご覧ください。
吉川:たばちゃんの「今日斬り。」を見たのがちょうどコロナにかかった休養中のときで、たばちゃんから「よかったら見てみて」ってLINEが来たんですよ。「率直な感想聞かせて」と言われたので、ベッドで見ました。動画を見て、こんなに深いところで悩んでいるんだってことを知れたのと、結構共感するところがあったので、たばちゃんと同じタイミングで泣きました。
岡田:どのあたりが特に共感したポイントでしたか?
吉川:私も結構「自分はできていない、足りていない」と思うタイプなので、たばちゃんと同じなのかなって。
岡田:自分ともそうやって向き合ってきたし、たばちゃんも同じように向き合ってきたんだなっていうところでうるっときちゃった感じなんですね。
谷地:私も家で見て、途中で「こんなに悩んでいたんだ!」と初めて知りました。そして、私もつられて同じところで泣きそうになりました。しかもそれを自分でみんなに見てってL IN Eとかで広めているのもすごいなって思いました。自分なら自分をさらけ出してみんなに公開することはできる気がしないなって思って。
岡田:逆に今日斬りの動画を見るまで、たばちゃんはどんな風に見えていたんですか?
谷地:人が辞めていってしまうことに対して、ずっと「悩んでいるんだろうな」というのはなんとなくみんな共通でわかっていたんですけど、それが一番の悩みにまでなっていることは気づいてなかったですね。「どうにかしたいけど、どうしたらいいのかわからない」っていう状態でした。
吉川:私もそんなにたばちゃんに話しかけるわけでも、話を聞くわけでもなかったから、「来るもの拒まず去る者追わず」みたいな感じのイメージかなって思ってました。
岡田:悩んでいるんだろうなとは思っていたんだけど、これが今一番苦しいことっていうのは「今日斬り。」の動画を見るまではわからなかった、という感じですか。
古屋:そうですね、わたしも同じで、来るもの拒まず去る者追わずって感じの人かなって思っていました。今から考えても、たばちゃんは「人がやめることに対して辛さはあったけど蓋をしていた」って動画で言っていたので、きっとにおいもしないくらいしっかり蓋をしていたんだなって(笑)。だから本当に悪い意味でなく「ドライな方なんだな」とか、「何を考えているのかわからないな」って思ってました。
岡田:「今日斬り。」の動画を見て、印象は変わりましたか?
古屋:まず泣くんだって思って!それにびっくりして刺激されてほろって泣いちゃって。でもたばちゃんが「今日斬り。」でも言っていたみたいに、「自分の中で、自分自身が足りていない、できていないって思っちゃうこと」=「人にも自分を満たしてくれることを求めちゃってた」という部分が自分達にもあったんだと思います。だから、きっとみんなが動画を見て共感したんだなって。だけど今は全く『別世界』って感じです。
岡田:どんなふうに今は『別世界』なんですか?
古屋:たばちゃんの考えていることがわかるっていうか。「今日斬り。」に出てから表情が豊かになった気がするし、「今日斬り。」でみーちゃん(由佐美加子さん)に言われていた、「みんながそのままで十分だよ」ってことをたばちゃんがみんなに発信してくれるから、みんながお互いを十分な存在だと思い合えている気がしますね。
岡田:今まで全然見えなかった感情が見えるようになってきて、それによって自分たちも感情を出しやすくなっていったっていう感じですか?
古屋:はい。昨日気づいたんですけどたばちゃんのここ(目尻の部分を指差しながら)にちっちゃい笑いじわができていて、よく笑うようになったのかなって思います(笑)
「何が起こるか、わからないけれどとりあえずやってみよう」
岡田:なるほど(笑)「今日斬り。」の動画を見てから、DXOのワークショップが始まったと思うんですが、実際に始まった時はどう感じられましたか?
古屋:みーちゃんの斬り方すごいなって思って、そういう感じの人たちが来るって思ってました。そして、なんかすごいことが始まるんだろうけど、何が始まるかわからない状態でしたね。最初はワークショップをやっていても3回くらいは頭にはてなが浮かんでいるままやっていました。
岡田:わからないままやってみることに抵抗感とかはありませんでしたか?
古屋:いや全く。わからなさすぎて逆にやってみようみたいな感じでした。
岡田:とりあえずやってみようみたいな?
谷地:私も最初は「???」でしたね笑「やる前に参加する意志がある人は伝えてください。意志がない人はオブザーバーとして聞いてください。」っていうことを言われて。何が起こるかはわからないけど参加したい!と思って手を挙げました。
お互いを知り、認め合うことでチームの雰囲気が激変
岡田:DXOのワークショップが始まってから一番印象に残っているシーンはありますか?
古屋:「言葉を作る」少し前に、「大切にしていること」を自分が話して、それに対してみんながフィードバックをくれるワークがあるんですが、その時にすごい幸せを感じました。自分がわからない自分をみんなが言葉にしてくれるっていうのが嬉しかったです。「自分は大した人間じゃない、足りない部分がある」と思っていたから、『仲間の一員として認められている感』があってすごく嬉しかったです。
岡田:自分がわからない自分を受け入れられたことが嬉しいし、知らなかった自分に気づけたという感じですか?
古屋:その頃はDXOのワークショップが始まって時間が経っていなかったので、みんなが優しさから自分に対して良いフィードバックをくれているんだろうな、と思ってました。でも、ワークショップが進んでいく中で、仕事中にみんなが本当に自分を認めてくれていることが実感できるようになりましたね。「あの時言ってくれていたことは嘘じゃなかったんだ!」って笑
岡田:お二人は印象に残っているエピソードはありますか?
吉川:「嬉しかったことと悲しかったことを話す」というワークがすごく印象に残っています。他の人の発表を聞くのも楽しかったし、悲しいって感じることはみんなの中で結構共通していて、共感して泣いちゃったりすることもありました。悲しかったことを普段はわざわざ休憩時間とかに話したりはしないんで、話しながら思い出しちゃったりして。でも前は院内のミーティングでも結構緊張するタイプだったで、普段見せない部分をさらけ出したことで、DXOのワークショップの中盤くらいからミーティングでも緊張しなくなってきました。
岡田:すごい変化ですね!お互いのことを知れたし、自分のことも知ってもらえた感じですね。
DXOによってミーティングでの発言量が倍増
吉川:そうですね。ミーティングの雰囲気も自由に発言できる感じに変わった感じがします。前は司会や話す人以外はシーンとしていて、たぶん新人さんとかは自分の意見が言いにくかったと思います。けど、今はその回で話すって決めた人以外も、結構話していますね。新人さんも自分の意見が言いやすくなった感じがします。
古屋:私は今までミーティングの時に「伝わるように話さなきゃ」って考えてました。起承転結を考えて話さないとないと「結局何が言いたいの?」って思われちゃうんじゃないかなって思っていたんですけど、今は「何を言っても大丈夫!」っていう安心感があります。
谷地:私も同じで、みんなから意見が出るのがうれしいし、自分も意見を言いやすくなったなって思います。楽しくてミーティングの時間が経つのも早く感じられるようになりましたね。いつもDXOのワークショップが終わった後、みんなで「なんとなく雰囲気がいいよね」って言っていて、「ミーティングの後もDXOの後と同じような雰囲気になったらいいな、DXOの真似したいね」って言っています。
岡田:実際、ミーティングのやり方は変わりましたか?
谷地:『ファシリ(ファシリテーター)』っていうのができて、チェックインもするようになったし、そこでみんな1回は話すようになりました。
岡田:いっぱい変化がありますね!逆にワークショップ中に大変だったことはありますか?
谷地:やっている業務・仕事を全部出してみるっていうワークです。
岡田:たしかに、業務の洗い出しは難しいですよね。
古屋:頭が痛くなりそうになって(笑)
谷地:マーケティングとかセールとか考えたことがなかったから、自分の仕事が何の役割に属しているかわかんないまま、とりあえずやるっていう状態でした。
谷地:何回かに分けてやったんですが、一回目も二回目もずっとわかんなくて大変でした(笑)
それ、元気が出ない仕事だったの!?
岡田:改めて、一通りDXOのワークショップをやってみた印象はどうでしたか?
谷地:「元気が出る仕事」を話す回が面白かったです。「この人、この仕事がこんなに元気出て、これ全然元気でないんだ!」とか「この人こんなに上手なのに元気がでない仕事だったんだ」みたいな意外な発見があったんで、それが知れてよかったです。じゃあやりたい人がやればいい、みたいに変えることができましたからね。
岡田:できるとやりたいは違ったりしますもんね。実際にそれで業務が変わったりとかはありましたか?
古屋:自分自身がやる業務は変わっていないんですけど、この前、教育担当についている新人の子に「前からいる人たちがやっている仕事でどの仕事が一番楽しそうでやってみたい?」って聞いた自分がいることに今気づきました。それはDXOでやったからだろうなって思います。教育のカリキュラムの最後の方にあることをやってみたいって言っていて、「え?それやってみたかったの?やってみる?」って。そういう話が自然とできるようになったのは面白いなって思います。
岡田:意外だったんですね。面白い!ただ決まっている業務ではなく、「本当にその人がやりたいこと」にみなさんのアンテナが立つようになったってことですかね。
吉川:もともと主任がいたんですが、DXOをやることで役職がなくなって、役職としての「主任」が退職することになったときに、管理職のような仕事が結構回ってきて、「自分にできる気がしないな」ってプレッシャーを感じていたんですよ。でも、DXOで『私に』じゃなくて、『チームに』仕事を振り分けられるようになりました。「この仕事はチームの仕事だからみんなに相談して決めよう」っていう感じに変わったので、個人の負担がかなり軽減されたなって感じます。
岡田:『チームで仕事をしましょう』ということや、『人(個人)が悪いわけじゃない』というのはDXOの大事な考え方ですもんね。
谷地:私も「元気が出る仕事」を話すときに、自分が植物に水を与えるのが好きだと気づきました。今までも好きだったけど、あえて声に出して言ったことでより愛が深くなりました(笑)あるとき医院のシンボルツリーが急に枯れたことがあったんです。でも、それは悪い部分とかを吸い取ってくれたのかなって思います。代わりに置いた植物は一気に伸びました(笑)
自分の弱さをさらけ出せる安心感がある組織へ
岡田:今日がDXOを終えて、改めてスタートするための再起動式ということですが、改めて一通りワークショップを終えた感想などがあれば教えていただけますか?
吉川:DXOを始めてから何が変わったのかと聞かれると難しいんですが、人が辞めなくなったというのは大きいですね。DXOの導入が始まった時は、人がすごく辞めてしまう時期で、「どうしたら辞めなくなるんだろう」ってみんな考えていましたから。
岡田:DXO導入を通して考え方などに変化はありましたか?
谷地:私は、もともとはそんなに人に興味がないという感じでした。それが、DXOを通して「周りにこんなに素敵な人がいるんだ!」って気づくことができました。その人のいいところを見つけて、それをわざわざ他の人にも共有したくなるようになりましたね。
古屋:私は、「社会人として仕事をするので常に自分のベストを尽くしてみんなに迷惑をかけないようにしないと」、ってずっと糸が張り詰めたような感じがありました。それが、DXOをやって、「自分はこのままで十分だ」と思えるようになったんです。その考えは、院内全体にも浸透してきていると感じています。「自分の弱いところをみんなに話しても大丈夫なんだ」って思えるようになったことが自分の中で大きかったですね。
あとは新人さんが辞めちゃうっていう不安がなくなって、新人の子にもただ楽しんでもらえばいいのかなって思うようになりました。新人さんの様子とか見て環境が変わったんだと実感します。
岡田:みなさん、具体的な変化はわからないとおっしゃっていますが、個々人の心の中ではいろんな変化を感じていらっしゃるんですね!!今日はお時間をいただきありがとうございました。