手放す経営ラボの有志で株式会社 ヒューマンポテンシャルラボさんに会社見学に行きました。
きっかけは・・・「鎌倉にヤバい人がいる」というラボ研究員からの情報。
さっそく連絡をとり、オンラインでCEOの山下さんと話をさせてもらったところ、「これはヤバい・・・!そして、ラボの活動ともめちゃくちゃシンクロするね!」となりました。
神奈川県鎌倉市にある会社には、サウナ施設も併設されており、メンバーはサウナで”ととのう”体験をさせていただきました。サウナでととのった後、CEOの山下さんへインタビュー。
人間のポテンシャルの可能性と、これからの時代well-beingに生きるためのヒントをたくさんいただきました!
※山下さんには、9月のトークライブのゲストとしてお越しいただきます。well-being経営、well-beingな組織づくりについてトークを繰り広げる予定です。ぜひご参加ください。
山下 悠一さん
(株)ヒューマンポテンシャルラボ 代表取締役CEO
1978年札幌生まれ。早稲田大学理工学部建築学科出身。
外資系コンサルティングファームに12年勤務し、企業戦略から 人事戦略・組織開発、システム導入まで幅広く等を手がける。
近代西洋パラダイムに基づく経営手法の限界を痛感し2015年に ドロップアウト。
ブログ「僕がアクセンチュアを辞めた理由」が大きな反響を呼ぶ。
その後、農業やパーマカルチャー、禅、ヨーガ、ネイティブアメリカンなどの古代叡智と米国カウンターカルチャーを体験し、2018年6月、古代叡智から最先端テクノロジーを融合し、人の内的成長と潜在能力を開発するヒューマンポテンシャルラボを立ち上げる。
2019年4月に株式会社アカツキから資金調達、2021年5月 クラウドファンディング型資金調達にチャレンジし、134名の株主に。
ポスト資本主義型の経営に関しても試行錯誤している真っ最中。
会社にある施設①フィンランドから取り寄せた最新式の麻柄ドームサウナ
会社にある施設②フローティングタンク
機械じゃなくて、ヒトになろうよ。人間のポテンシャルは爆上げできる。
山下:皆さん、サウナを体験してみてどうでした?
坂東:いま、とてもリラックスしていて、スッキリ感。透明感。すごくクリアになってるんだけど、頭が回転しない。そんな状態ですね〜
山下:サウナの回数にもよりますね。多すぎるとボーッとしますね。今回、5回入りましたもんね。笑
今の「クリアな感覚」ってこれまでの職場で使われているようなキーワードにはなかったですし、「クリアな感覚」を持つことは求められなかったですよね。
今までは、「ちゃんとやる」ことが求められていました。真面目、効率的、生産性、そんなキーワードでした。
サウナ的なキーワードとは全然違いますね。
坂東:「勝つ!」って感じですね。
山下:ゆるんじゃいけない。睡眠時間削りながらでもやりきる。この感覚は、近代では組織の制度や根底にある人間観が機械的なOSだったから。何かを生み出すためのマシーンとして人間を捉えられていたからですよね。
道具としての人間。それって本当に人間らしいか?人間らしくないんであれば、本当の意味での人間としてのパフォーマンスを発揮しているのか?という疑問があったんです。
それで僕らは、パフォーマンスではなくポテンシャルという呼び方をしています。
社名は、ヒューマンポテンシャルラボ。
このポテンシャルにはサウナ的なOSが不可欠だと考えているんです。
身体のことを勉強していくと、交感神経と副交感神経の両方が整って初めて良いパフォーマンスが出るということがわかりました。
サウナも「温」と「冷」を繰り返すことによって交感神経、副交感神経の両方に振って良い状態に整っていく。
でも、今までのOSは交感神経に重心が寄っていたんです。
すごくアグレッシブだし、力強いかもしれないですが、弊害もあります。
車が走ってる時、早足で歩いてる時、F1レーサーが運転している時などの視野ってどうなってますか?
坂東:狭くなってますよね。
山下:スピードが上がれば上がるほど、視野は狭くなる。渋谷で歩いてる人のスピードで森の中を歩いたらどれだけ違和感あるんだって話。だから森の中で、その動きは自然ではない。動物たちが怖がります。
自然の中に入るときはゆっくりと歩く。そうするとワイドアングルになる。
スピードや効率を求めれば求めるほど焦点がピンポイントになりやすい。視野が狭くなるんですよね。
「人生の悲劇は苦しいことや辛いことではなく、見落としていること。」と言ってる人がいて。僕、この言葉が好きなんですけど。
パフォーマンス時代では見落としているものがたくさんあります。
例えば、科学で実証されていたりエビデンスがあることだけを信じて生きていたりしますよね。
でも、人間の脳は90%は使ってないと言われていたり、コミュニケーションも非言語コミュニケーションが93%で、言語コミュニケーションは7%だけ。
多くの人が言葉やロジックなど、目に見えるものだけを信じて生きているんです。
僕たちはまだ使ってない人間のポテンシャルを開発しています。
まだ使えていない部分を開発することで、人間のポテンシャルが発揮される状態へと進化させます。
現代人は、思考が脳みそに偏っている人が多いですよね。
それ以外の選択肢があるんだと気づけるのが、例えばサウナなんです。
副交感神経を優位にしたときに受け取れるものって、確実にあります。
今までの交感神経優位の時には受け取れなかったようなアイデアがフッと降りてきたりする感覚。
この感覚って今までなかったものではなくて、使われてなかっただけ。その感覚をサウナや瞑想などで使えるようにしていくんです。
座禅が苦手な坂東。座禅専用の座椅子をお借りしてごきげんな様子。
不安と恐れより、愛と勇気
山下:前時代的な組織のコアプロセッサーって何だと思います?
坂東:「所有」ですか?
山下:まさに、所有。資本主義の根幹。
なぜ所有したいのか?っていうと、それは、恐れや不安から来るんですよ。だから、コアプロセッサーは「不安と恐れ」なんです。
人口増加局面で、経済成長が続いていたこれまでは、恐れドリブンで飴と鞭を使い分けながら経営をぐいぐい進めてきた。これでうまくいったんです。
でもこれから人口減少、経済成長も鈍化、もしくは衰退していく中で、これまでと同じパラダイムで生き続けるのは苦しい。
だから、より持続可能な、循環型を求めていく流れが出てきているのはとても自然なこと。
既にこれだけ豊かなんだから、みんなでシェアして使い回して行こうぜ。
こんな考え方になると、恐れがなくなりますよね。
これからは、恐れと不安のコアプロセッサーから、愛と勇気のコアプロセッサーに変化していきます。
僕はジャムおじさんをロールモデルにしています。
アンパンマンを作り出すジャムおじさんになりたいんです。
だって、アンパンマンって「愛と勇気だけが友達」って言ってるんですよ。
今、資本主義社会の中で勝っていくことが本当に幸せなのか?という疑問が湧いてきてるんですよ。
アンパンマンの変わらない正義ってのは「パンをあげる」という利他や慈悲の心なんですよ。
(アンパンマンの歌詞で盛り上がる面々)
参考:アンパンマンの歌詞
そうだ うれしいんだ生きる よろこび
たとえ 胸の傷がいたんでも
なんのために 生まれて なにをして 生きるのか
こたえられないなんて そんなのは いやだ!
今を生きることで 熱いこころ 燃える
だから 君は いくんだ ほほえんで
そうだ うれしいんだ 生きる よろこび
たとえ 胸の傷がいたんでも
ああ アンパンマン やさしい 君は
いけ! みんなの夢 まもるため
なにが 君の しあわせ なにをして よろこぶ
わからないまま おわる そんなのはいやだ!
忘れないで 夢を こぼさないで 涙
だから 君は 飛ぶんだ どこまでも
そうだ おそれないで みんなのために
愛と 勇気だけが ともだちさ
ああ アンパンマン やさしい 君は
いけ! みんなの夢 まもるため
坂東:僕は、愛がまだわからないんだけど、勇気はわかる気がしているんですよ。
恐れに対して、何かを守ろうとかコントロールしようとする時って自分のポテンシャルを失ってる気がします。
怖いと思った時に、そこに向き合おうとすることが勇気だと思うんです。
山下:恐れや怖さがコントロールしたいという気を起こすんですね。経営で言えば、マイクロマネジメントをしたがったり、逆にフィードバックをもらいたがらない人。恐れを持つとこんな行動や心理になりがちですね。
でも、
恐れたらダメだってのもダメなんですよ。
そう定義すると、恐れることを恐れるようになる。
そうではなくて、恐れることを恐れない。
大事なのは、恐れを開示しても受け入れてくれるという環境づくりなんです。
みんなの前で泣けることがその組織の強さ。
経営者が従業員の前で泣けるかどうか、泣きあえる組織が理想ですね。
OSのアップデート、アプローチ方法は?
坂東:OSをアップデートするためにできること、サウナの他にありますか?
山下:瞑想も流行ってきてますけど、その目的がパフォーマンスを上げることだとしたら今までの延長線上でしかない、と思っています。
僕たちは、思考(MIND)-感情(EMOTION)-身体(BODY)-精神(SPIRIT)-生活( LIFE)この5つのカテゴリーに分け、新しいリテラシー教育を統合的に実践していくことで、新しいOSを身につけていくということを実践しています。
特に思考(MIND)の部分で言うと、システム思考などの複雑系にも耐えられるものの見方、メタ認知を鍛える。そして認知バイアスに囚われない多角的にモノゴトを見られるように、視覚的な思考法なども講座で行っています。
感情の部分は、NVCを取り入れていたり。
NVCはマイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏が経営幹部に勧めたことでビジネス界隈でも有名になりましたよね。
他のカテゴリに関しても面白いアプローチをしています。
僕はこれからの時代、今まで見えてた世界じゃない部分に価値が出てくると思ってるんです。
そうなると、人間の感覚自体を研ぎ澄ませて進化させないと、目に見えない部分を感じ取ることはできませんよね。人間の感覚が進化できれば体験の価値も高まります。
感覚は、感情と身体とが繋がって初めて感じることができます。脳みそじゃないんですよ。
身体を整えないと、感覚は磨かれません。
音楽やスポーツが身体を使うように、瞑想も本を読むだけではできなくて、身体を動かさないとできないんです。
ヒューマンポテンシャルラボのプラクティスは時間もかかるし、継続を求めるけど、これはやる価値があると思ってるんですよね。
坂東:経済発展して世の中が進化しているように見えるけど、個人はアップデートできてないってことですね。
組織もアップデートする必要があるけど、個人もアップデートしないといけないな、と思いました。
逆に、人間のポテンシャルを上げても、不安と恐れの組織OSだったら、人間のポテンシャルが活かせない。
本来の人間のポテンシャルを上げる組織づくりをしないといけないと思いましました!
すごく面白かったです。サウナを楽しみすぎて、お話する時間が短くなっちゃって残念でした!失敗しました!ありがとうございました。
今月14日に開催するトークライブも是非ご参加ください!