進化型組織のつくり方セミナー20221、2月22日に実施したセミナーの内容をダイジェストでお送りします。
前回までの記事はこちら
【進化型組織のつくり方セミナーダイジェスト①】会社への不平不満が止まる「問い」
【進化型組織のつくり方セミナーダイジェスト②】なんのために会社にいる?語り合うことで築く関係性
【進化型組織のつくり方セミナーダイジェスト③】答えがない時代における組織の在り方
【進化型組織のつくり方セミナーダイジェスト④】「言葉よりも大事!? 「言葉」を生み出す定義とプロセス
経営を進化させる実践書DXO UNIT02「形」
乾:UNIT01で組織の「言葉」が生まれると、次はUNIT02「形」に入っていきます。
形はビジネスモデルの可視化がテーマですが、このビジネスモデルと言葉で整理したwhy、what、howがつながっていくのが面白いんですよね。
言葉と繋がったビジネスモデルを働いている人が認識できるのはすごく意義がありますよね。
武井:さらっとここで書いてるんですが、これって超普遍的なんですよ。
業種業態、規模、国籍関係なく、すべてのビジネスモデルは、プロダクト、マーケティング、セールス、コーポレート、経営の5つでできています。
この5つは、人間の体で言えば臓器みたいなもの。
組織で機能不全が起きた時も、この5つで説明できる。
今うまくいっていないのは、プロダクト?販売の仕組み?納品活動?お金の管理?それとも経営?って複雑化させずに、シンプルにカテゴリーとして見ることができるんですよね。
この5つをさらっと書いてますけど、めちゃくちゃ重要です。
極端なこというと、ティール組織とかオレンジ型組織とか関係なくどの組織も、この5つなのでこの5つを整えるだけでも見える化が強化されます。
僕も会社経営する中で、問題が起きるたびに、どこが根本的な問題なのかが分からなくて、いつも目の前の課題に振り回されていたんです。
それで、何かヒントを求めて経営の本を読み漁るわけです。
でも残念なことに、経営の本って大企業のケーススタディを分析したパターンが多くて、結局どういう風にそれが機能するのかが分解されてないんです。
中小企業は、常にぐちゃぐちゃなものを整え続けている感じなんですよ。
大企業って、組織として出来上がっているから、形を認識してなくたって回っちゃうんですよね。
坂東:中小企業にとって、苦しみながらもどうにかこうにか回っている中で、改めて組織を整え直すのは大変ですよね。しかも、何かを参考にしたくても組織の形が体系的に理論化されている本も少ないってことですよね。
武井:そうですね。で、僕は本を読み漁っていろんな考え方を整理していったら、結局この5つの要素としてすべてとして説明できるところに辿り着いて、実際やってみたら、整理できました。
ただ、この区分を跨ぐ仕事は存在するんですよね。
それがマーケティング、情報システム、ブランディング、戦略とかです。
こういった部署を跨ぐものをどう扱うのかは難しくて、これができなくて困る会社が多いんですよ。
そこで僕は、組織を2つの方法で分解して捉えたんですね。
1つは構成要素分解。先ほど言った5つの区分ですよね。
もう1つの分解が、時系列分解。
例えば人間がご飯を食べて消化する。消化は現象なんですね。
これは時間軸の中にしか存在しない。切り取ることはできない。
時間軸が伴うものは、区分を5つに分けてもまたぐんです。
で、この辺りのことは経営チームで全体の整合性をとっていきます。
だから、マーケティングとかブランディングとか、情シスとかを部署任せにしている経営者は僕はNGだと思います。経営してない。だって、そこでしか扱えないものなので。
坂東:経営というのは、長い時間軸を取り扱うものだからね。
チームの人数制限!何人が最適?
乾:業務のまとまりを作ると、それがチームになっていく。そのチームは3人から8人で構成していくということなんですが、このポイントは何ですか?
武井:この3から8っていう数字もめちゃくちゃ即効性のあるノウハウです。
坂東:2人や10人ではないんだよね。
武井:まず、2人はチームじゃないです。
キャッチボールが早いので物事の進みとしては早いんですけど、1人脱落するとその時点で崩壊しちゃう。だから3人。それに3人になると意見が食い違っても喧嘩になりにくい。2人だと俺はこう思うけど、お前は?の対立構造になっちゃう。
坂東:夫婦と一緒ね。(笑)
武井:これが3人だと、そういう意見もあるかぁってなる。そうすると議論ではなくて、対話が起こりやすい。議論じゃなくて対話ってのがポイント。
坂東:夫婦の場合は子どもとかペットがいるといいんでしょうかね。
武井:夫婦関係にこだわりますね。(笑)
それから、8人っていう人数は、ダンバー数っていう人間の認知的な限界を参考にしています。
それと、リンゲルマン効果も参考にしていて、チームの人数が8人を超えると1人あたりのパフォーマンスが半分以下になる。
これらの研究と、僕の経験に基づいて、チームは3〜8人以内で組成するのが良いと考えています。
8人以下で一人一人の役割が明確になっている時が最もパフォーマンスが高くなるんですね。
乾:業務全体の整理ができてチームができた上で人を紐づけていく。
一般的には、人に仕事が降ってくることが多いと思いますが、そうではなくて必要な仕事がまずあって、それをやりたい人がするという状態が一番理想ですね。
武井:多くの人は会社のビジネスモデルの全体像を把握してないんですよ。
だって教えてくれないし。
なんなら経営層だって把握してないかもしれない。
だから、DXOの「形」は、設計図みたいなもの。
うちの会社はこういう風に回ってますよって示すことができる。
これ、面白いのが、組織の形とグーグルドライブみたいな情報管理の形や、slackなどのビジネスチャットツールのチャンネルの形とかなり近しくなるんですね。
そりゃそうですよねっていう話。
だって、この場についての話はスラックのここでしましょう。
その情報はグーグルドライブのここに格納されています。
それは似通ってきて当然。それが可視化しているということですし。
だから僕はその会社のslackのチャンネルをみるだけで、その会社の経営がどのくらい成熟してるかがわかっちゃう。センスがいいかどうかが分かっちゃうんですよね〜。
経営を進化させる実践書DXO UNIT03「数字」、04「場」
乾:業務の整理ができて、形が整ったら、UNITの03と04で、数字と場を整えていきます。
数字は、さらっといっちゃいますが、大前提としてDXOにおける数字は人を管理したり、評価するためのものではありません。チームが機能しているかどうかを客観的に判断するための数字を設定します。
「場」が何かというと、会議体のことで、この会議の頻度なども含めた「場」をどう設計するのかはとても重要ですよね?
武井:そうですね。超重要です。みんなこの重要さをあまり認識できていないかもしれないですが・・・。
もちろん無駄に会議を増やす必要はないです。
そもそも会議って3種類あるんですよね。
1つが情報共有の会議。
もう1つが意思決定の会議。
最後に、相談・発散の会議。
情報共有と意思決定は、DXOで仕組みを作ってしまえば、分散的にできるようになっていきます。
すると会議の目的としては、相談や発散のようなものばっかりになってくるんですよ。
だって情報共有は、ここにあるから見ておいてね、でおしまい。
だから自然と報告業務そのものがなくなるんですよね、
僕、以前、約5年間、全ての人が自分が働いた時間を数字で入力してどの業務にどのくらいの時間をかけたかを定量的に測るようにしてたんですよ。
その時、会議時間が世間一般の会社に比べて3分の1だったんですよ。
え、なんで?と不思議に思って、調べて分かったのが、意思決定や情報共有の会議をしてないんだわ。だって必要ないんだから。
で、会議では発散や相談ばっかりすることになる。
全体的に見てコスパいいわ〜って。
坂東:側から見たら相談してる会議ってなんの会議か分からないですよね。
武井:大企業でいうと相談の会議こそ生産性の低い会議って思われるんです。アジェンダないのかよ。アジェンダを会議の前に提出して読み込んでから出席するみたいな。あれNG。ああいうの、ダメなんです。
今まで正解だったものがダメになるのが、これからの時代なんですよ。
乾:相談しながら色んな意見を聞き合っているうちに新しいものが生まれたり、建設的な話になっていくということですよね。
そこにどれだけ時間を使えるのかが結果的に組織の生産性に大きく関わってきますね。
武井:まず、シンプルに会議にかけてる時間が3分の1になるってだけで、DXO導入のコストはペイしますよ。
出席者全員の会議時間って人件費としていくらなのか試算してみてくださいよ。
イノベーションはアジェンダありきの会議では生まれない
武井:イノベーションは偶発性からしか生まれません。計画してたらそれはイノベーションじゃないんです。
つまり偶発性はデザインされた場、情報がある程度共有されてコンテクストが揃っていつつも、アジェンダはない、という状態で、「最近どう?」から始めるのが良い。
良いアイデア思いついちゃったんだけど、これどう思う?みたいな。
手放す経営ラボも、偶発的に生まれてきたものってたくさんありますよね。
そういうことがたくさん起きてくる。
計画的偶発性ってコントロールできないけど、確率は上がるんですよ。
芽がたくさん出るから。確率論として絶対に正しいんですね。
乾:どれだけ失敗できたかがイノベーションが起こるポイントだっていう話もありますけど、偶発性もあって、そこにチャレンジするからそれが失敗というのもあるんですが、そういった「場」が組織の中でどれくらい持てるかがポイントだと思います。
それは形を整えて数字でチームが機能しているか客観的に判断して、定期的に場を作りながら組織全体が進んでいく状態がつくれて初めて起こってくることだと思います。
言葉、形、数字、場が整ってからですよね。
「場」って何?「場」が何なのかを理解するところから始めよう。
武井:そもそも、なぜ「場」という言葉を使っているのか?ということなんですが・・・
5、6人で定期的に集まって話をしていると、暗黙知がその場の中に残っていくんですよね。
暗黙知というのは、例えば1人がチームから抜けて別の人が入ったとしても、「場」の中に残っているコンテクストのようなことですね。
そうすると、ぽつぽつ人が入れ替わったとしても機能不全に陥らないんですよ。
場としてコンテクストが共有されてるから。これがすごく重要。
会社でも、一人一人の個性を活かして、活躍してもらうのはもちろん重要なのは前提ですが、会社経営の土台としては、
誰がやってもある程度レベル高くできる状態をつくっておく方がいいに決まってるわけで。
その土台があった上で好き勝手に遊べるような会社。そんな状態を作るために、この「場」という概念を押さえておかないと、個に依存した組織運営になってしまいます。
すると、ちょっと性格が悪い人が入ってきた時に、会社を自分に依存させていく。そうなると、「僕がいなくなったらこの会社どうなるんですか、だから給与あげてくださいよ」という話になってきたり。
乾:経理部門でよくあるのは、誰か一人の経理担当が会社のお金を全て握ってるようなことがある。その人が辞めると、途端に何も分からない状態に陥りがちですが、組織としてはリスクが高いですよね。
武井:だからITを使ってシステム化したりするんですよね。
坂東:個人からしたらその会社における自分の価値を高めたり、安定をはかるために自分への依存度を高めたいっていうのは自然な欲求ですよね。
武井:そういう環境にいるとそういう思考になるんですよ。レントシーカーと言って、人間って自分が置かれた状況の中で何が一番メリットなのかを考える生き物だったりするんですよ。
だからこそ、土台が整っていて情報がオープンな組織の場合は、余計な工作に走る必要はなく、健全な努力をした方が自分にメリットがある。それが積み重なって組織として健全になるんですよ。
結局、やっていることが会社のためじゃなく自分のためになるわけだから。会社の利益と個人の利益が一致するんですよ。
乾:DXOを通じて健全な思考ができるような組織構造に整えていくプロセスですね。
組織の中にある権力を整える
乾:ここからはUNIT05の「流れ」に移っていきます。
権力の中身を、情報、権限、お金の3つに整理しているんですが、そこを握るといわゆる「ずるいこと」ができちゃうんだと思うんですね。
これを適切に整えていくのはもちろん必要ですが、そこで勘違いされるのが階層構造。階層がずるさに繋がっているんじゃないかと言われます。
でも、進化型組織は階層構造自体を否定しているわけじゃないと思うんです。
そのあたりどう考えたらいいですか?
武井:ITのない時代は、情報共有のコストがものすごく高かったので、経営チームが全ての情報を把握して物事を決めたり、部門ごとに予算と権限を与えていくような方法が最適だったわけです。
そして外から見ても分かりやすいように、この部門はこのような責任を持ってますって定義することで株主への説明責任を果たしていく。
このやり方は何度も言いますが、インターネットがない時代の過去の産物です。
インターネットがあれば、情報をオープンにすれば説明責任は果たせちゃう。
全部オープンにした上で、取り扱う領域ごとに役割分担していくだけですよね。
だから経営が偉いわけではなくて役割分担しているだけ。
ただ、ヒエラルキー組織において、経営は偉くなくて役割分担だよっていうのは嘘です。
経営は偉いです。
乾:情報が共有できていて、形と数字と場があって、それぞれが役割分担できる状態になっていたら、そこに階層的な状態があったとしても権力と紐づかないってことですね。
武井:ヒエラルキーには、支配するためのヒエラルキーと、仕事を回すためのヒエラルキーがあります。
飲み会の幹事でも、予約担当がいて、予算決める人がいて。
みんなから意見を集めて、幹事がここにしようって決める。このプロセスに偉いとか偉くないっていう話はないですよね。役割分担でしかない。
で、文句があるんだったら意見を言えばいいし、決める側に自分が回ったらいいし、決める側にいきたいならいける。その選択肢があるというところがポイント。
乾:「流れ」のワークショップでは、権力構造を整えて、最後にアドバイスプロセスの仕組みを導入する。
そして、メンバーそれぞれが意思決定をする側にも回ることができる体制を作ると、個々が意思決定できる組織になっていきますね。
「場」のところでは会議体の話しかしなかったですが、テキストの中には、より詳しく記載されているのでぜひ参考にしていただきたいです。
DXOテキストを使ってみなさんが自分の組織でワークショプを行いながら組織を変えていけるようになっているのでぜひ活用してください。
そして、自分たちだけではムリ!ってなったら、DXOをインストールするプロが手放す経営ラボには存在しているので、呼んでいただけると喜んで参上します!