【手放すTALK LIVE#22】『金融業界のど真ん中から腐るお金へ ~元鎌倉投信 新井さんが手放してきたモノ~ 』をテーマにトークライブを開催しました。トークライブのダイジェストを②をお届けします。 1~3回のyoutubeの再生リストはこちら♪
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▶︎金融業界のど真ん中から腐るお金へ(前編)はこちら
誰かが誰かを支配する社会を終わらせたい。だから卒業しました。
坂東: 武井さんに聞きたいんですけど、eumoにジョインし、代表にもなったわけじゃないですか。その経緯や思いを教えてもらえますか?
武井:僕も2007年ぐらいから、普通じゃない経営をやってきました。
「支配」されたくないし、したくもない。
人間が人間が人間らしく生きられる組織が作れないかとを模索する中で、今の仕組みに限界を感じた時に、やっぱり外側変えなきゃっていう感覚が芽生えていたんですよね。
上場企業だと無限成長の力学が働くし、エクイティファイナンスをすると、途端にエグジット(出口)をデザインしないといけなくなる。その時、出口は上場かバイアウトしかなくて。それでいいのかなってモヤモヤしてて。
そんなの持続可能じゃねーじゃんと思ってたんですよ。
俺は、良い状態で維持することの方が優先度がずっと高かった。結果として成長するとかしないとかはどっちもあるわけですけど…。
そんな時に、カズさんが鎌倉投信を辞めて新しい金融を始めたっていうのを見て、「絶対会いに行きたい」と思って、会いに行ったんですよね。
その時はまだダイアモンドメディア辞めるつもりもなかったし、そんな話も出てなくて。でも話を聞くと、俺が作りたい世界ってそっち側なんだよなあって。もう共感しかなくて…。
その頃からカズさんは組合型株式会社、議決権をみんな平等にするエクイティの仕組みを作っていて、それがめちゃくちゃ自分に刺さったんですよ。
当時、僕もダイアモンドメディアで株式管理組合という組合を社内に作っていて、そこに議決権を持たせる変なスキームを作ってたりしていました。
そこにきて、カズさんと縁が繋がったら、やっぱりそういう方向に行きますよね。誰かが誰かを支配する社会を終わらせないといけないって強く思うようになりました。
そうこうするうちに、ダイアモンドメディアの中でもそろそろ武井卒業した方がいいんじゃないか?って空気になってきて…。
坂東:そんな空気になってきたんですか?!
武井:どうしても会話が合わなくなってきちゃうんです。良い悪いじゃなくて。今自分が何をしたいのか?情熱をもって向かいたいものは何か?っていう関心ごとがどんどん変わってきちゃって、eumo界隈の人と一緒にいた方が楽しいなって。その自然な流れでダイアモンドメディアを辞めた次の日からeumoにジョインしました。
坂東:早いよ!
武井:でも、カズさんと僕が行動を一緒にすることを発表した時に、なるほどねっていう反響ばっかりだったんですよ。
「成長」じゃなく「整う」なんです。
坂東:現在eumoは代表が三人いるんですけど、武井さんの役割は何ですか?
武井:僕はCJOと言ってチーフ・自然(じねん)・オフィサー。ちなみにかずさんはCEOでチーフ・ユウダイモニア・オフィサー。
坂東:ユウダイモニア…持続的幸福ってことですね。
武井:岩波さんは、CHOでチーフ・ハピネス・オフィサー。
坂東:ハピネスと幸福と被ってますけどね。笑
武井:いわゆる機能的なファンクショナルな役割ではなくて、存在としての役割みたいな感じですね。
坂東:なるほどね。
新井:存在でいいんですよ。機能じゃないんですよ。社会デザインをして行く上で、今回の非営利型株式会社もそうですけど、新しい仕組みをどんどん提案して実現して行くのは、やっぱり武井さんの役割ですよね。
坂東:CJO、チーフ・自然(じねん)・オフィサーの自然的な在り方っていうのは、新井さんからみるとどういうことなんですか?
新井:武井浩三そのままですよ。みんな自分を生きて欲しいんですよ。自分を生きるが、先にあるんですよ。で役割は後からついてくる。みんなでなんとかして決めればいい。困ってるなら困ってる。うまくいってるならうまくいってる。じゃあ困ったら誰かサポートしよう!こんなんでいいんじゃないですかね。決める必要もないし、守備位置が変わってもいいんだけど、それぞれの関心がそれぞれにあるので、その関心に合わせて会社がうまくいくように人材を整えていくことだと思うんですよ。
成長させるっていう言葉にすごく違和感があるんです。「 整える」もんじゃないかなと思うんだよね。
日本は道(どう)の国なので、整えることだと思う。それが成長なのかもしれないけど、整えるの方がなんか最近好きなんだよね。
坂東:「整える」いいですね。
武井:坂東さん、サウナ行きまくってるからね。
坂東:整えたいと思って整えることが、目標になっちゃってますけどね。(苦笑)まだまだ味わい尽くてないですけどね。
「成長」だと、伸びなきゃいけないという感覚があるけど、「整える」だと、その時に最適な適切な在り方で居るっていう感じですよね。
新井:だって良い時もあれば悪い時だってあるじゃん。体調だって良い時もあれば、悪い時もあるのにさ、いつも成長してたら気持ち悪いよ。その成長幻想に捉われちゃってる。それって気持ち悪い。だから整えるの方が良いなって思っているんです。
坂東:今すぐサウナに行って整えたくなりました。(笑)
eumoという組織の中には、いろんな方がいて、自分らしくあることをすごく大切にしている。そして、そこに集まった人たちで事業を整えていく。まあ、eumoを整えていくという、そういう感じですかね。
新井:そう。みんな自分のタレント性を開花させて欲しいなと思っていて、だからみんな副業して欲しいし、その中でやっぱeumoでもやりたいっていうものがちゃんとあることがすごく大事だと思っています。
坂東:eumoは自分の中の一部なわけですね。
新井:そうそう、全部にする必要ない。
坂東:それは新井さんにとってもそうですか。
新井:そう。だから、僕、9月にニセコに行っちゃうし。
坂東:どういうことですか?
武井:移住。
新井:やっぱり三代表制になったから、俺いなくてもいいじゃんって思えるようになった。ようやく三年で現場に降りられるんですよ。これまでの3年間、フレームワークを作るために努力をしてきたんですよね。でも本当は僕、現場の人間になりたい。僕は共感コミュニティ通貨のサブコミュニティ。ちっちゃいコミュニティのコミュニティリーダーになりたいんですね。
坂東:ニセコでそういうコミュニティーを作るんですね。
新井:そう。僕は現場に降りるので、誰かその部分をカバーしてって言える状態ができたんですよね。
坂東:代表が現場やりたいからニセコに行くって、一般的な会社の感覚からすると意味がわからないと思うんですけど。
新井:非営利型株式会社って、創業者利益を負わないって言ってるのと等しいわけですよ。
坂東:非営利型株式会社についてちょっと説明をしてもらってもいいですか?
新井:武井さんが言った方がいいよね。ここはね、専門からだからね。
非営利型株式会社は進化型組織の最終地点!?
武井:これは今のところ、本当に進化型組織の最終地点だと思ってます。
なぜかというと、組織論って最初は言うこと聞かせるためのコントロール理論から、うまいこと機能させるマネージメント論に移って、その先にはエンゲージメント論って、だんだん進化していって、最後に組織論がたどり着くのは資本論なんですよね。
だって、「みんなの会社」って耳障りのいいこと言っても、株主が1人だったら結局その人の会社なんですよ。
新井:そういうことですね。
武井:eumoや手放す経営ラボを運営しているブレスカンパニーもこれから「みんなの会社化」をしていきますけど、その時に重要なのが、時価総額をあげないっていうこと。
それが、カズさんが言った創業者利益を手放すっていうことなんですよね。
株式を発行する会社のことを株式会社っていうわけで、そこに「非営利」を付けて非営利型株式会社。定款に株主に対して純利益の配当を出さないこと、会社を閉じた時の残余財産の分配を元本以上にしないことを書いてしまえば、実質的に会社が株主にとってお金を生むキャッシュマシーンにならないんですよ。
儲かりませんよ!って予め言っちゃってるんですよ。
坂東:何で言うんですか?わかりません。
武井:金銭的メリットで株主を集めたら、この会社はお金が増えないと思ったら引いていくわけですよね。つまり、株主がお金を出す目的が、会社の目的を決めちゃうんですよ。株主がお金を増やしてほしい、出資した金額を100倍にして欲しいって思うと、会社は成長を目指さないといけなくなって、企業を大きくするってことが第1優先にきちゃう。そうすると環境や人権を後回しにしちゃうんですよね。
これが企業の存在目的になり得てしまうぐらい、目に見えない強い力学が働きます。
僕らも意識してないかもしれないですけど、出資したら増やして返すものと当たり前に思われてますが、そんなことない。
例えば地元の個人商店って別に成長が目的ではなくて、憩いの場として、そこに存在することのほうが重要。つまり成長よりも持続性のほうが優先度高いんですよね。
だからeumoという会社も持続性が高い会社としてデザインをしたくて、かつ外から見ても分かりやすいメッセージとして発信したかった。
今までも同じように経営してきてたんですけど、実態に合わせて、明確に非営利型株式会社にしましたって言えるようにしました。
坂東:なるほどなるほど。凄いですね。メッセージなんですね。非営利型株式会社は、出資しても経済的的なリターンはありませんよっていう。
武井:元々僕がジョインする前から、1億8000万円ぐらい資本金があったんですけど、それもカズさんが「出資してもお金は増えませんから」って言って集めてるんですよ。
新井:共感だから。僕らは社会を変えていくようなプラットフォームを作りたい。僕の感覚で言うと、公園をつくってるような感じなんですよ。みんなが遊びたい公園を作る時、この公園の価値がいくら上がるかなんて思ってないでしょ。 まずは先に遊ぶじゃない。3年でプラットフォーム(公園)ができたんで、僕はそこに遊びに行きたいって言ってるわけですよ。
坂東:1億8000万円集まったお金で公園作りますよって言って、予定どうり作ったからやっと遊べるねと。
新井:そうそう。 新しい公園できたからみんなで遊べるねという感じ。
武井:そしてカズさんが真っ先に遊びに行くみたいです。
坂東: めちゃくちゃ分かりやすいじゃないですか。
新井:社会インフラって儲かりやすいんですよ。 GAFAもそうだし、携帯電話の会社もそうでしょ。結局、インフラってみんなが使うようになるから儲かりやすいんですよ。だから非営利型の方があってるんですよ。だって、社会のためのインフラなんだから。要は株主に還元するための組織ではないんですよね。
坂東:そうかそうか、公園もそうですよね。
新井:社会インフラやコモンズ(共有資産)にしたいんであれば、非営利型にしないと説明が合わない。
結局株主のための会社になっちゃうわけですよ。
全部が整ってないといけないと思っています。
だから社員に副業をしてもらう理由は、依存させたくないからなんですよね。
そして、できれば払うお金を全部eumoにしたい。まだ一部なんですよ。まだ全額にはなってないので、全額eumoになれるまで僕は頑張りたい。
その世界観を実現した時に見える世界がすごい素敵な公園に見えるんだ。それを見てみたいって言ってると、武井さんみたいな魅力的な人が集まってくる。好き勝手言ってやってるだけだから幸せもんだよね。
坂東:やっぱり自分が幸せであるとか、整っていることがまず大事で、公園作るために生きてるわけでもないし、eumoやるために生きてるわけでもないんですね。
ギフトな生き方。それが幸せ。
新井:eumoは利他的精神の話をしているわけです。誰かにギフトしようという話をしてるんですけど、結局その世界観を楽しむのはやっぱり自分なんですよ。だってeumo使ってる時みんな幸せそうなんだもん。
武井:本当そう。 俺、勢い余って7月にeumoのアプリリニューアルもしましたけど、やっぱり嬉しくて、10万eumoぐらいギフトしていましたよ。
新井:やるぅー!
武井:もっと配りたくて。
新井:僕はその配る人を増やしたいと思っていて、そのための社会システムや信用を開発したいと思っています。武井さんが10万eumo出したことを履歴に残しておいて、そこに対してみんながギブする仕組み。
そういう仕組みを作りたい。新しい与信。返済能力とか、そういったものを測るのって楽しくないじゃん。返済って楽しい?楽しくない。だったらペイフォワードすればいいじゃん。
誰かのためのギブをずっと循環していれば同じ状態ですよ。だって最初にギブするか、最初ゲットするのか、搾取するのか分かんないけど、順番だけじゃん。
だったらみんなギブしたほうがいいじゃない?
僕が武井さんにギブして、たけちゃんが坂東さんにギブして、坂東さんが僕にギブしてくれれば、これで経済が成り立つでしょ。これって、このコミュニティを信じられるかどうかですよ。
これまでは、人が人を信じる力がなくなって、お金を信じるようになっちゃった。
坂東:本当ですね、お金を通じて信用してますね。
新井:でも、僕は見てきたいい会社人を信じているよ。だから上手くいく。僕はすごく思っていて、結局ね所詮人間の営みを超えないんですよ。人間のやってることっていうのは。
坂東:お金じゃなくて人を信じることの境目ってあるんですかね?なんでそうなるのか。
新井:僕は本の中でも言ってますけど、すべてのステークホルダーを幸せにしたいっていう、そういう欲です。関わる人すべてを幸せにしたい。そこに損得がないですよ。より良いもんを作ってくれっていう叱咤激励はあるけど、ちゃんと食わせたいと思っている。
坂東:関わる人全てに得させたいじゃないですよね。幸せにしたいですよね。
新井: それが自分の幸せなんだ。自分の意味だからです。