ロボットプログラミング教室「ロボ団」を全国に約120教室展開する夢見る株式会社。 2019年末にエディオンに事業を10数億円でM&Aしたことで話題になりました。
創業者で社長の重見 彰則さんに、手放したストーリーをインタビュー!
今回はpart2です。part1はこちら
★夢見る株式会社について
-ホームページ https://done-school.com/
-サービスページ「小学生から学ぶロボットプログラミング教室」 https://robo-done.com/
-エディオンの子会社化リリース(2019年12月23日) https://www.edion.co.jp/release/detai…
-採用情報 https://youmemiru.jbplt.jp/
-ロボ団チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCYbx…
-書籍「ロボ団の法則」(Kindle無料) https://www.amazon.co.jp/%E3%83%AD%E3…
■手放す経営ラボラトリーでは、“ティール”“ホラクラシー”など進化型組織や最先端の経営スタイルを研究。
また、組織を新しくアップデートしていきたいという企業の支援をしています。
■デジタルトランスフォーメンション時代の組織デザインプログラム「DXO」
坂東:ずっとスタートアップとしてやってきて、会社を伸ばしていくことにもいろんな選択肢があるじゃないですか?初めからM&Aをしようと思っていたわけではないよね?
重見:全く思ってなかったです。
坂東:そうだよね。なんでそういう手放し方をしたの?
重見:当初、ベンチャーキャピタルから出資を受けた時はIPO※を目指してました。目指してたんですが、やっていくうちにIPOをすると会社は何のために?誰のために?と考えたときに、市場原理としては、株主のために、となるじゃないですか?そこで僕たちは株主のために何が出来るのか?という事を考えた時に、僕らの一番の優先順位は、株主以上に子供達なんだ、と改めて気づく。やっぱりそこはぶらすことができないと。
今ちょうど、撮影のタイミングで新型コロナウイルスの影響が出ているので、子供達のために一番何がいい選択なのか?をみんな考えています。そこが軸になっているのに突然IPOをしたら株主を中心に考えましょうってならざるを得ない。そうすると、そこには組織としての問題が出てくるし…。
※IPOとは、Initial Public Offeringの略語で、日本語では「新規公開株」や「新規上場株式」と表します。具体的には、株を投資家に売り出して、証券取引所に上場し、誰でも株取引ができるようにすることをIPOといいます。
坂東:それは悩んでた?
重見:悩んでました。それはやっぱりIPOを目指すと周りで上場している経営者とかいろんな方とお会いする機会が増えるんですよ。
坂東:上場したいという思いは経営者としてあったでしょ?
重見:ありました。身近な存在がIPOをしたりすると、自分も次に続くぞ!という気持ちになりました。なったけど、IPOをするという事、そして株主を第一に考えた経営は株主にちょっと言い方は悪いかもしれないですけど、株主に迎合しなきゃいけない部分と子供達とを天秤にかけた時に、僕らには絶対無理だなと思ったんですよ。じゃあ、最終的には自助努力でそのまま経営していく方法と、M&Aを活用する方法の二択になったんですよ。
坂東:M&Aは去年の12月末ですよね。いつぐらいから考えてました?
重見:JAXAとか電鉄会社とか教材開発を一緒にやってきてたので、元々のきっかけはM&Aというよりも、もっと大手とのアライアンスを強化していこうという主旨だったんですよ。
坂東:もう組めてるよね?
重見:もっともっとコンテンツを増やしたかったので。いろんなプログラミングを学んだら宇宙開発にはこんなだよねとか、鉄道だったらこっちだねとかいろんなものができるじゃないですか。これをいわゆるキッザニアのようにコンテンツを増やしていきたくて、いろんな大手企業と繋がって。
坂東:数社じゃなくてあらゆる業界と組めばコンテンツも増やせるし。教育の多様化にも繋がるし、よりいい教育ができると。
重見:最初は大手企業と会ってコミュニケーションをとったり、いちアライアンスになったりしてきたんですが、その中で本当にたまたまのご縁でずっとお世話になっていた所から会ってみないかと言われて。
坂東:買いたいと言っている人がいると?
重見:買いたいというか、最初本当に興味があって会いたいと言っていると。でお会いしたのがエディオン担当の部長の方で。いきなり社長じゃなくて。会って話してみると、ずっとロボ団のことをベンチマークしてましたと。エディオンが教育事業を立ち上げていると。彼らがプログラミング事業を始めてたんですが、やり始めた所でロボ団をベンチマークしていたから一度話をしてみたかったと。で、お会いして現場を見て頂いたら、すこぶる感動して頂いて、ぜひ社長に会ってほしいと。社長にお会いして1時間ぐらい話してたら、社長が「一緒にやろうよ」とフランクな感じで。
坂東:最初はエディオン側もそこまで考えてなかった?
重見:興味はあるし会って話してみたい、同じ業界だし、もしかしたら情報を取りに来るところまでだったのかもしれないですけど、そこから一緒にやった方がいいんじゃないかという話が出てきまして。
坂東:でもそういう話は他にもくるよね?
重見:きました。ですから比較検討はしました。社名は言えないですが…。
坂東:で、なぜエディオンにしたのか決め手は?
重見:いくつかポイントはあるんですが、一つはちゃんとM&Aが目的にならずに手段として更に成長できるような絵が描けるかどうかが重要じゃないですか。ですからエディオンは全国に約1200店舗あるんですけど、エディオンのリソースを活用すればもっと多くの子供達に教育が届けやすくなるなという事がありました。更にM&Aは手段で、別に僕は辞めたいと思っていないので…。M&Aしてる人たちをみてると、結構辞めてるんですよね。辞めて違う事業したりとか、それこそ海外行ったりとか。僕はまだ34才だし、リタイアするには早すぎるし、まだまだ成長欲があって事業がやりたいので。
坂東:この事業がやりたいんだよね。他じゃなくて。
重見:だからその時、エディオンからは重見さんに任せたいと。意思決定しやすいように社外取締役にエディオンの社長がなってくれたらコミュニケーション取りやすいし、意思決定も早くなるから、そういう組織でやりやすいように全部するからと言ってくれたんですよ。
坂東:社長がそのままでいいと。
重見:大きく組織の変更もなく。それがロボ団としての我々らしさを失わずにそのまま事業が継続できると。そこをエディオンがサポートすると。だから思い切ってやりなよと言って頂いて。
坂東:久保社長って結構お年なんでしょ?
重見:そうなんですよ。うちの父親と同じで今年70才。
坂東:話は合うの?
重見:めちゃくちゃ合いました。元々はエディオンがプログラミングとはなんか安直だなと思ったんですよ。家電量販店でプログラミングの方にいくって流行りに乗っかろうみたいな感じだったら、断ろうかなと思っていたんですよ。
坂東:なんか普通そんな風に見えるよね。
重見:そうそう。
坂東:ちょっといいのあるからロボ団買っとこうかなみたいな。
重見:お買い物系かなと最初思ったんですけど、もう何年も前からずっと海外にも行かれていて教育の在り方を社長自身がすごく考えていらっしゃった。聞いて行くと、あくまでもプログラミングはそういった子供たちを育てる為の目的じゃなくて手段なんだなと。その考えが全く僕と一緒なんですよ。今、ロボ団に力を入れてやってますけど、ロボ団はあくまでも子供を育てる為の、プログラミング教育の為の手段と思っているので、そこの価値観が合うか合わないかってすごく大きいなと。だからやっぱり今5カ年計画とか作ってますけど、5年だったら変化あるじゃないですか。変更が絶対生じると思うんですが、価値観がちゃんと合っているかどうかは、これから先一緒にやっていけるかどうかを決める上で非常に重要だなと。結婚と同じだと思うんですよね。
坂東:結婚も5カ年計画?
重見:結婚はもっとじゃないですか?ハハハ…でもそのぐらいの感覚でいます。
坂東:お互いに損得を超えて、ポリシーやミッションが合ったと。重見君にもロボ団という事業を通じてミッションを実行していきたくて、伸ばしていきたくて、それが自分のやりたいようにできると・・・
part3に続く