給与制度はどうなっているの?
これはすべての会社組織と会社に属する人にとって、ものすごく大事なテーマです。
今回はユニークな給与制度に取り組んでいる4社の事例を手放す経営ラボラトリー所長、坂東がご報告します。
給料を一律で決めている企業
■株式会社ソニックガーデン
社員数40人弱のエンジニア集団ですが、給料は一律です。
一律にしたら、いったいどうなるんだ?納得感があるのか?と疑問だと思います。
ソニックガーデンの場合は、お金だけではなく、時間も報酬、というデザインをしています。
具体的には、たとえば非常に優秀な社員がいて、普通の人が1ヵ月かかる仕事を10日間でできるとする。
その場合は残りの20日という時間が報酬になるんだという考え方です。
その20日間を休んでもいいし、別の会社で副業してもっと稼いでもOKだ、というカタチなのです。
「給料は一律、賞与は山分け」なので、評価制度もありません。
かなり思い切った制度ですが、シンプルで運用コストもかからないですし、組織運営の効率は良くなりますね。
■LAPRAS株式会社
AIを活用した人材マッチングサービスを展開しているITベンチャーです。
こちらも給料は一律で、社長も事務職の人も同じ給料だと言うことです。
ビックリですよね・・・。
僕が社長だったらそういう決断ができるかと考えると・・・難しいです(笑)
ただこちらの会社は将来上場を見越していると思うので、キャピタルゲインも含めた報酬設計をされていると思います。
であれば、今の給料がそれほど高くなくてもいいと言う発想ではないでしょうか。
給与は社員の自己申告
■ダイヤモンドメディア株式会社(現、株式会社UPDATA)
こちらはホワイト企業大賞を受賞されるなど、進化型組織のパイオニアとしてとても有名な会社です。これまでも給与制度は何度も変更を繰り返していますが、昨年までは、社員同士で話し合って給料を決めると言うカタチでした。
それを2019年からは自己申告制度に変更しています。
具体的には、
1.自分の給料を申告する。
2.社員からのフィードバックを受ける。
3.フィードバックを受けた上で最終的に自分の額を申告
4.決定
これが同社で可能なのは、長年かけて組織文化をつくってきたことがあると思います。
会社の経営情報がすべてオープンになっていること。
上司がおらず、各人やチームに裁量権があること。
給与はどうやって決めるべきか?自分たちの市場価値はどれくらいか?ということについて考えたり議論することに慣れている社員が多いからできるのでしょう。
いままでそういった素地がない企業が、いきなりこの制度を取り入れても激しく混乱すると思います(笑)
■餃包
六本木にある飲食店です。
こちらは社員とアルバイトがいるんですが、どちらも同じように自己申告で給料を決めます。
アルバイトの場合、時給は一律です。
長く働いても上がったりする事はありません。
自分の給料を上げたいと思ったら、店舗で接客をするだけではダメで、それ以外に会社の運営に関する何らかの仕事をやらなければいけません。
例えば採用活動、社員教育に関わる業務、PR業務や新商品開発などです。
普通は本部スタッフがやるような仕事を、これだけやるのでこの金額が欲しいというプレゼンを、全スタッフに対して行います。
承認されれば、その給料でスタートできます。
この給料プレゼンを、アルバイトも社員も同じように、全員の前で行なっているのです。ちなみに社長も、同じように、こういう理由でこれだけの役員報酬が欲しいと申告をしているそうです。
餃包の場合、さらにユニークなのは、給料が店舗の業績と連動していると言うことです。
店舗の業績は前年対比で利益を増やすということを目標設定にしています。
前年に比べて利益が上回れば、スタッフに還元されます。
そのかわり前年対比で利益が下回った場合は、みんなの給料で補填しなくてはならないのです。
実際にそんなケースがあるのでしょうか?
この制度をスタートして、一度だけ前年を下回った月があったそうです。
その時には、話し合って赤字分を分担して、補填したそうです。
つまり給料が減ったということですね。すごい仕組みですよね!
この制度になってから、一人ひとりの経営感覚が飛躍的に増したそうです。
たとえば、お店の人件費をどうするのか?どれぐらいの人数とコストが適正か?
お店の改装や備品の購入などいくら予算をかけるのか?いつするのか?
あるいは、社員旅行に行くけど、その費用を決算上どのように配分すればベストか?
そうしたことを、みんなで考えて話し合って決めるようになったそうです。
まさに全員経営という感じがしますね!
こういった会社の数は、まだ全然多くはありません。
まだまだイレギュラーなケースだと思います。
ただ、どうやって社員の主体性を高めていくかということは、すべての企業において共通のテーマであると思います。
その際、主体性を高めるというのは、突き詰めていくと、自分がどんな仕事をするか?どんな意思決定をするか?
それとともに、自分の待遇や給料についても自分で決める、と言うところまで出来ると、主体性の最たるものになるのではないかと思います。
それを今後行っていくかどうかは、各企業の判断になると思います。
ただし、上記のような、給料の内容や決め方をオープンにし、社員一人ひとりが決められるような会社がポチポチと出はじめると、自分の会社はどうあるべきか?というところが問われてくることになると思います。
ぜひ皆さんの会社でも考えてみてください。
Q.皆さんの会社ではどのように給料を決めていますか?
Q.誰がどんな基準で決めていますか?それはなぜですか?
Q.会社で給料は公開されていますか?していないとすればどういう理由ですか?