6月7日(金)毎月恒例となった「手放すトークライブvol.3」を開催しました。今回のゲストはダイヤモンドメディア株式会社の代表取締役社長、武井浩三さん。
武井さんは、私、坂東が組織の未来のカタチに興味を持つきっかけとなってくれた人であり、
この手放す経営ラボラトリーのアドバイザリーも務めていただいています。12年前からティール組織系(武井さんは自然経営と名付けています)で経営されていて、第三回ホワイト企業大賞も受賞された、次世代型組織のパイオニアをお招きして、トークライブを行いました。
(※「ティール組織」の解説はこちら)
話は濃密に、深〜く盛り上がりました!
たとえば、どんなことばが出てきたのかというと…
・ESG投資(社会的責任投資)
・ポリモルフィック・ネットワーキング
・エントロピー
・色即是空 etc.
シ、シキソクゼクウ???
武井さんはとても哲学的な方だと思っていましたが、(そこが堪らない魅力ですが)
もはや話は組織にとどまらず、生命系とか社会システムまで、自由に羽ばたいていきました(笑)
「情報量が多すぎて頭がパンクしそうです」という感想もあったほどの密度の濃さでしたが、ここでは武井さんの特に印象に残ったコメントをピックアップします。
「社長の給料を非公開にする合理的な理由が見つからない。」
たしかに。
なぜ社長の給料は非公開なのか?
社長のホンネは
「公開したらどう思われるか不安…」
「社員との金額の差を説明できない…」
という感じです。
社長って意外と、後ろめたい気持ちを持っているんですよね。(私もそうだったから分かります)
つまり、公開しない理由は、ロジカルなものというよりは、社長自身の気持ちにあるわけです。
もちろん、経営者は会社において特殊な存在です。
投資の考え方。将来への危機感。
その立場になってみないと理解できないことはあるでしょう。
組織のつくり方は社長によって様々です。正解もひとつじゃない。
だから絶対に公開しなきゃいけない、というつもりはありません。
ただし、いまは情報のオープン化が激しく進んでいます。
誰でもgoogle先生を通じて、どんな情報にもアクセスできるという感覚を持っています。
そんななかで、社内に非公開な部分があることは、社員にとって違和感のもとになります。
特に情報に敏感な若い人ほど、です。
信念もなく非公開にしておくことは、社員と会社の信頼関係づくりに、社長が考える以上に強くマイナスに作用している。
ということは分かっておいた方ががいいと思います。
「組織を、生き物として捉える。」
既存の組織と次世代型組織を比較したときに、大きく違うこと。
それは「組織をどう捉えるか?」です。
いままでのヒエラルキー型経営では、組織を機械のように捉えていました。
人は歯車の一部。個性も感情も必要とされません。
映画「モダンタイムス」の中で、チャップリンが機械装置の歯車の中をぐるぐると回るシーンが象徴的ですが、アレです。
一方で次世代型組織は、組織を固定化されたモノではなく、生命のようにイメージします。
たとえば、畑仕事。
同じ日にタネを蒔いても、目の出方はまちまちです。
元気に芽吹くタネもあれば、ヒョロヒョロの芽もある。
種が100%発芽するとも限りません。
そして「10日間で30センチまで茎を伸ばす」とか「45日後に直径12㎝の実を20個収穫する」など、人間が厳密に育ち方をコントロールすることはできません。
もちろん、トマトのタネを植えて、玉ねぎの実をつけさせる、とかも無理です。
人間ができることは限られています。
天候、土の状況、水や肥料のやり方、猫や虫の襲来・・・
環境の変化に対応しながら、育ちやすい環境を整え、あとは、見守るしかないのです。
もうひとつ例を挙げると、家族です。
子供は、親が思ったようには育ちません。
そして家族の関係も、5年後、10年後の計画を綿密に立て、それどおりに実行していく、ということはできないです。
だって当たり前ですが、一人ひとりは個性も価値観も違い、それが常に変化していきます。
(全く変化しない、という個性もあります)
農業と同じように、外的環境の影響も受けます。
時間の経過と、外的環境の変化。そして、個々の関係性。
家族の形は、絶え間なく変化していくものです。
それを、たとえば父親のビジョンと計画に沿って、システマチックに、合理的にコントロールすることなど、無理ですよね。
そのように考えると、不思議です。
会社組織も、家族と同じように人間の集合体なのに、こちらは、合理的に人をコントロールし、立てた計画どおりに実行できそうな気がするのでしょうか?
「いまも、超悩んでます。」
武井さんのこの発言には、会場がどよめきました。
めちゃくちゃ組織論に精通していて、次世代型の組織経営を12年もしている武井さんは、組織づくり達人の域に達しているんだろうなと思っていました。
「ずっと悩みは尽きないんですが、いまは社会人になって3本の指に入るくらいの大きい悩みを抱えてますよ」と告白してくれた武井さん。(その正直さにキュンとしたのは、僕だけじゃないと思います笑)
組織を有機的なものだと捉えると、常に変化し続けるものだし「これで完成!」という境地はないんですよね。
「進化の過程では、最も強い種ではなくて、変化に適応できた種が生き残ってきた」というように、「試行錯誤し続ける」「進化の歩みを止めない」ことが、もっとも継続性を高めることにつながるのでしょう。
参加者の声
「あっという間の2時間でした。」「30時間とか50時間とか武井さんと話したいです!!」
「めちゃくちゃおもしろかったです。ヨーロッパの事例から感じることもたくさんありました。来て良かった!」
「会社組織のみの話ではなく、大きな時代の流れの中で、あらゆる組織・集団に関わるテーマだということがとてもしっくりきた。」
トークライブでは、ただ一方的に話を聞いて終わりではなく、参加者同士も交流できるような場にしています。
こうした新しい組織づくりに関心がある人は意外とレアなので…(笑)仲良くなりやすいし、とても盛り上がりますよ!