令和にマネジメントも変わる必要がある
いよいよ新元号「令和」時代がスタートしましたね!
現代は「VUCA時代」(※)と言われますが、新しい令和時代は、
ひとことでいうと「答えがわからない時代」だと私は考えています。
環境の変化が激しく、昨日まで「正解」だったものが、どんどん変わっていく。
5年後はおろか、1年後の正解も予測しづらい。
だから「答えがわからない時代」です。
高度経済成長時代は、経済が成長し続けていて、
日本全体が“上りのエスカレーター”に乗っているような感覚でした。
環境の変化もいまほど激しくなく、
「頑張れば儲かる!」
「規模を大きくした方が儲かる!」
「会社に居れば出世できて、給料が上がる!」
といった、“答えらしきもの”がありました。
そうした時代には
★新卒採用をして、社員教育をして、育てる
★個性より効率。自由より管理
というやり方が、理にかなっていたし「正解」だったのです。
しかし、現代は違います。
「頑張っても、5年後も儲かっているかどうかはわからない」
「会社に居続けても給料が上がるかどうかはわからない」
といった正解がわからない時代。
令和時代、世の中がさらに多彩に変化していくでしょう。
そして、その時代の変化と共に組織のマネジメントも変わっていく必要があるのです。
マネジメントのニューノーマル
いまだ多くの企業は昭和のマネジメントスタイルが踏襲されていますが、
平成も終わった今、マネジメントを“アップデート”していきましょう!
これは言い換えれば、
進化型組織のエッセンスを取り入れていくということです。
具体的には、次の3つを手放すことをオススメします。
1)「教育」を手放す
学校でも会社でも、教育の定義は「答えを持っている人(先生・上司)が、教える」です。
しかし、その「答え」は過去の正解である可能性が高い。
未来はどうなるかわからないわけですから、
上司も「共に学び合い、教え合い、最適解を一緒に考えていく」というスタンスが求められます。
加えて言えば、必要な知識や情報は、webを中心に世の中に溢れています。
あなたが教えなくても、向上心が高い社員は、必要に応じて勝手に学びますから、問題ないのです。
上司にできることは、「自分の方が正しい」という固定観念を手放すことです。
そして、過去の常識や成功体験を押し付けず、部下の感性に耳を傾け、
部下の学びたいという意欲をサポートすることです。
「昔はこうだったんだぞ」などと言おうものなら、
若い部下は愛想笑いをしながら、すっと心を閉ざしますよ。
2)「人の管理」を手放す。
個人がスマホを通じて、自由に世界とつながれる今、
仕事中にそれらを遮断することはほとんど不可能です。
パソコンやスマホをいじっている時に、
それが仕事かどうかをいちいち把握することはできないし、その手間ひまが無駄です。
手放しましょう。
また、報告をさせるために会議を開いてメンバーを集めたり、
部下に連絡をさせたりするのも無駄です。
そもそも、上司はなんのために管理をしたいのか?と考えると・・・
「管理しないとサボるんじゃないか?」
「チェックしておかないと、悪さをするかもしれない」
という上司の心理からきています。
つまり、上司は部下を信じていないわけです。
だから、逐一チェックしたいし、報告させないと不安なのです。
そうした上司の心理は、部下にバレています・・・!
そして、自分のことを信じてくれていない上司のもとでの部下のパフォーマンスは、落ちます・・・。
そうなったら悪循環です。
上司は「なぜ全力を出さないんだ!」とさらに不信感を強め、
やる気を引き出そう、行動チェックをしよう、と躍起になってコントロールを強めようとします。
元をたどれば上司自身が部下のパフォーマンスを下げている原因であることに気づかずに・・・。
では、どうすればいいのでしょうか?
それは“透明化”です。
社内外のコミュニケーションや、仕事の進捗、、
それらはいまやSNSやアプリケーションを通じて、透明化することができます。
たとえば電話しかなかった時代には、コミュニケーションは1対1で、
話の内容も当事者以外にはわかりませんでした。
だから、報告が必要だったのです。
しかし今では、SNSなどでグループをつくり、
その中でやりとりをすれば、内容が即時に共有されます。
やりとりが見えているので、わざわざ報告する手間は必要ありません。
電話の場合は、ナイショ話も可能でした。
録音もできなかった時代は、ごまかしようもありました。
しかし内容が透明化し、ログが残るとなると、ごまかせません。
そういう状況では、人は不正をしづらいですし、おのずと正しい言動をするようになるのです。
今日では、ITが劇的に進化し、どこにいようと、何をしていようと、やるべきことをやり、パフォーマンスが発揮されているかどうかはほとんど“透明化”できます。
つまり、
これからのマネジメントの役割は
「不信感に基づいた行動管理」ではなく、情報を透明化する仕組みづくりと、運用なのです。
(実際に、進化型組織では人が人を管理するのではなく、人がこれらの仕組みを管理することが重視されています。)
3)「モチベーションアップ」を手放す。
令和時代は、個人の活躍が加速するでしょう。
スキルが高い人材は、会社に所属しなくても
人や企業とつながることができ、仕事を創ることができます。
そうした“自立した人材”にとって、
会社組織にガマンしてまで所属し続けるメリットがなくなっています。
会社にいる目的があれば所属し続けますし、そうでなければ退職します。
これは、小手先のモチベーションコントロールでどうこうできる問題ではありません。
上司の仕事は、できる部下に「このチームにいたい」と思わせる理由づくりです。
「なんのためにこの会社があるのか?」
「このチームはどこに向かっているのか?」
といった「目的」を伝えること。
目的への共感でつながった部下は、
「このチームで仕事を思い切りやろう!」という覚悟をしています。
だから、それ以上にモチベーションを高める必要はありません。
必要なのは、モチベーションが下がってしまうる障害要因を、
全力で取り除くことなのです。
組織にいると、どうしても無駄な仕事や制約が生まれがちです。
また、個人より組織の論理が優先してしまったりします。
組織の枠組みに無理やりあてはめて、
具合が悪くなった部下に、にんにく注射をして元気を保たせる。
いままでの「モチベーションアップの取り組み」は、
そうした“対処療法”になっている気がします。
しかしこれからは、具合が悪くなりそうな組織に、
ガマンして居続けることはありません。去っていきます。
ですから必要なのは、“体質改善”です。
やる気が湧いてくる組織、居心地がいいチームをどうつくるか?
それが、マネジメントの役割だと思うのです。
まとめ 令和時代におけるマネジメントの役割は?
「教育」「管理」「モチベーションアップ」を手放したリーダーの手元に、何が残るのか?
それはセルフリーダーシップを引き出す環境づくりです。
管理や指示命令を手放さなければ、自主性を引き出すことはできません。
さあ、新しい時代の幕開けです。
働き方、仕事の進め方、チームづくり。全てが、音を立てて変わっていきます。
新しい進化型組織のマネジメントのありかたを、創造していきましょう。
※VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、
Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取った言葉