第13回のテーマは【仕事もお金も手放しまくった人の話】
新卒から入社し3年目。怪我をキッカケに、仕事もお金も全て手放した元社員の現在をご紹介します。
北條
みなさんこんにちは。手放す経営ラボラトリー。助手の北條久美子です。
坂東
所長の坂東孝浩です。今回、私の会社の実況中継ですね。
北條
はい。
坂東
仕事もお金も手放しまくった人の話です。
北條
ワクワクします。実況中継楽しみです。
坂東
私の会社で前働いてくれてた元社員の話なんですけど、元社員がよく出てくるんですけど、私からしたら手放された感じなんですけど(笑)
北條
私、顔が浮かぶだけに、なんか……
坂東
ああ、そうですね。T君ですね。T君、新卒で入って3年働いてくれてたんですけど、体を壊したこともあって何度か入院したりもして、半年ぐらい仕事の量も調整しながら働いてはいたんですけど、ちゃんと療養しなきゃいけないっていうことになって、長崎県の実家に、辞めて実家に帰ったんですね。
でも、「同時に手放したいんだ。仕事とかお金とかから一切自由になってみたい」というようなことを言って。
でも、「同時に手放したいんだ。仕事とかお金とかから一切自由になってみたい」というようなことを言って。
北條
なんか神がかってません?それって。
坂東
そうそう。去っていったのよ。それでみんな非常に心配して。「何もしないつもりです」みたいな。「大丈夫?」みたいな。
北條
「大丈夫?」って思いますよね。
坂東
で、この前久々に会ったんですけど、半年ぶりぐらいに会ったんですけど、そのときに「仕事は半年間で2日しかしてないです」と。
北條
半年で2日ですか!?
坂東
うん。それは私の会社の研修の講師の仕事なんだけど、それは業務委託で受けてもらってるんですよね。それ以外はまったくしてないということで、すげえと思って。
北條
生活は大丈夫なんですか?
坂東
今は雇用保険がまだもらえていたと。
北條
失業保険?
坂東
失業保険がもらえてたということで。「ただ、それはもう切れちゃうんですけどね」とか言ってたんですけど。でも、バイトもしないし転職もしないし。で、何してたかっていうと、「毎日何時間か瞑想してます」って(笑)
北條
ワオ!ですね。
坂東
すごいな~と思って。
北條
何歳でしたっけ?
坂東
26歳かな。
北條
え~っ!65歳の人でも今そんなゆっくりしてないですよね。
坂東
そうよね。山とか海に行ってボーッとしてんだって。
北條
1日ぐらいはやりたいけど、3日でもういいかなって思っちゃうかも。
坂東
「そういうことしてて焦んないの?」っていうと、「全然焦んない」って。すごいねぇ。
北條
その先に何があるのか知りたいです。仕事もお金も手放した先にあるもの、もう焦って私が聞きたい。
坂東
でね、ずーっとそういうことをやってたら、結局できるだけ何も考えないような境地に至りたいじゃない?瞑想っていうのは。だけど、なかなかそういうふうにはならないんだけど、そしたらね、最近はどんどんやりたいことが湧いてくると。だから、「いっぱいやりたいことが出てきた」っていうふうに。
北條
えーっ!ここ最近ですか?
坂東
ここ最近。
北條
えーっ、良かった~。
坂東
すごいことだよね。
北條
何か表情とか変わったりしてるんですか?
坂東
もう全然すごい元気で。
北條
え~、すご~い!
坂東
気になったこととかはいっぱい調べたりするし、すごい深まってんの、色々なことが、考え方が。
北條
え~、すごいですね。
坂東
だから、会話しててもすごい楽しいんだよね。
北條
瞑想真っ盛りのときと今は既に違うっていうことですか?
坂東
ずっと今も真っ盛りなんだけど、湧いてきたので、それをどうしようかっていうことを今考えるようなことになりつつ、瞑想もまだしてると。体調もまだ完全ではないみたいなんだけど、「そろそろ始動かな」みたいな気になってきてると。
北條
わぁ~良かった。じゃあ、人生すべてお休みじゃなくて、一時の休暇っていう感じだったんですかね。
坂東
そうそう。本人は「一時」っていうふうに思ってたかどうかは分からないけど、でも、それだけ何もしないっていうことを決めるっていうことはチャレンジだと思うんだけど。
北條
そうですねえ。
坂東
で、今何をしたいかっていうと、「大学院に行きたい」っていうふうなことを言ってて。
北條
え~!
坂東
それはすごい良いことだなあと。勉強をもう1回きちっとしたいということで、大学院に行く方法と、それから学費をどうするかっていうことも考えなきゃいけないんで、そういうことを今模索しているんだというようなことなんですよ。ついお金のことが心配しちゃうんだけど、私たちからしたら。「大丈夫?」みたいなことになっちゃうでしょ?
北條
そうですね。
坂東
ですけど、未来を想像してみると、その彼が半年とか1年近く仮に何もしてなかったとして、そのあと大学院に行ったと、それで何らかの専門的な知識を身に付けたというような先には良い未来が待ってそうだなと思ったんですよ、私はね。で、大学院に行くっていうのは何かの専門課程を身に付けるっていうこともそうなんだけど、1つのコンテンツに対して学問をめちゃくちゃするっていう、専門書をいっぱい読んだり、あるいは思索してみたり、論文書いてみたりっていう、そういう濃い勉強の体験ができるっていうことはすごく豊かじゃないですか。
北條
豊かですね。
坂東
それって応用も利きやすくなるし、そうなったあとの彼っていうのは、仕事を何かしようと思ったときには私は見つけやすくなるんじゃないかなっていう。
北條
そうですね。
坂東
30近くなったときに、ちゃんとした企業に入るのはもしかしたら難しいかもしれないけど、キャリアを気にして、だけど本人は絶対にレベルアップしてると思うんですよね。
北條
そうですね。
坂東
そういうふうに思ったら、輝く未来しか見えないなっていう感じに私は思ったんですけどね。まあ、本人を知ってるからっていうことはあるかもしれないですけどね。
北條
そうですね。
坂東
で、思ったんですよ。私の会社にそのまま居続けた未来と、この先にある未来と、本人はもし居続けてたらもっと成長してたのか、より充実してたのかなっていうのは、悲しいかな今の彼には何もないんだけど、お金もキャリアも今この瞬間はないんだけど、だけども確実に今のほうが成長してるし、深まっているし、エネルギーも湧いてきてるし。辞める前はそうじゃなかったなと思ったんですよ、残念ながら。
北條
なんか経営者として複雑な思いですね。複雑というか……
坂東
そうですね。私は早いと思ってたんですけどね、辞めるのが。「これからじゃないか」というふうに普通に思ってたんですけど。でも、彼にとっては良いタイミングだったのかなとも思うんですよね。
北條
手放したことによって「何もしない」を手に入れてますし、何もしないことによって無限の可能性というか、自分がすべて選択できるっていう、「自由」と呼ぶのかもしれないですけど、手に入れたものは大きかったかもしれないですね。
坂東
うん。これから20代、ひょっとしたら30代半ばぐらいまでは、そういうように自分探しの旅をする人が増えてくるんだろうなあっていうふうに思うんですよね。
北條
そうですね。自分の内側を見る機会って今の若い方たちって少ないと思うんですよ。すぐスマホに逃げられたり、SNSとか色んな人の発信とか、本とか、手軽に情報が入るだけに、自分の意思なのか、本心なのか、どっかで見聞きしたこと、誰かが言ったことなのかが分かんなくなっちゃってるような気がするんですよね。
なので、T君ぐらい自分の内側と向き合うというか、向き合わざるを得ないと思うので、その環境だと、で、内側から湧いてきたことで「本当に大学院に行きたいんだ」っていうのは紛れもない自分の意思ですよね。それはすごく素敵だなと思います。
なので、T君ぐらい自分の内側と向き合うというか、向き合わざるを得ないと思うので、その環境だと、で、内側から湧いてきたことで「本当に大学院に行きたいんだ」っていうのは紛れもない自分の意思ですよね。それはすごく素敵だなと思います。
坂東
それを「会社に居ながらやれば良いじゃないか」というふうに思うじゃないですか、「べつに仕事しながらできるでしょ?」と。できるとも思うんだけど、多分そうじゃないんですよね。
北條
そうじゃないんじゃないですかね。自分のことって後回しにしません?会社に居ると。
坂東
するする。
北條
後回しにせざるを得ないと思うので。
坂東
会社に居てもそれなりに忙しいし、充実感がないわけじゃないし。
北條
そうですね。やることに追われるし、責任感が強い人であればあるほど「まずこれを先に片付けて、本当に落ち着いたら自分のこと考えよう」って思うから、ずーっと後回しになると思うんですよね。
坂東
私は会社を経営する立場として、色んな人に情熱を傾けられるような仕事なりミッションをつくっていきたいなっていうような思いはあるわけですよ。私側の問題ももちろんあるとは思うんですけど、ただ、彼のようにちゃんと時間をつくって自分のことを考える機会を持つっていうことがエネルギーが湧いてきたりやることを見出すことになるんであれば、多くの人にとってもしかしてそういうような機会は豊かになるかもしれない。
北條
そうですねえ。
坂東
今「人生100年時代」っていうふうに言われてる中で、30半ばぐらいまでは、「エクスプローラー」って言い方するんですけど、自分探しで良いんじゃないかっていうようなことが私はちょっと実感してしまったんですけども、ただ、それを会社経営する側、会社の視点から言うと、「じゃあ若い人を一生懸命頑張って採用して、その人たちが長く働かないっていうと、どうやって元を取れば良いんだ?」っていうことになるんですよ。育った頃に巣立っちゃう。
北條
そうですよね。例えば「1か月の長期休暇あげるよ。自分のことをよーく考えて、アイデアとか色々浮かぶだろうから」って渡したら、「やはり辞めます」とかいう決断をする可能性だってあるわけですよね。
坂東
あるかもしれない。そうなると若い人の採用、あるいはマネジメントをどういうふうに考えれば良いのかっていうことになるわけでで、それは会社にとって大きなテーマだと思うんですよね。
北條
深いですね~これも。
坂東
そうね。
北條
改めてちゃんとこれも時間とって見つめたほうが良い、研究をしたいテーマだと私は思いますけどね。
坂東
ともかく、会社に若い人たちを5年とか10年とか居させ続けるのは相当難易度が高くなっていて、そうじゃなくても組織を健全に、より良い形で維持し続けられる仕組み、組織づくりっていうのが必要とされてるんじゃないかっていうことは言えるかなと思います。
北條
雇用のあり方もですよね。
坂東
そう。「雇用とは何か」とかいうことになってきますね。
北條
そうですね。さすが所長です!ちょっと勉強になりました、助手は。
坂東
身を削っております!
北條
また、ぜひ実況中継、リアルなお話を聞きたいと思います。では、今週はここまでとさせていただきます。ありがとうございました。
坂東
ありがとうございました。
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