2022年7月本格始動を控えた「手放すじぶんラボラトリー」は
既存の経営スタイルから、自律分散型の新しい経営スタイルへ変容するコツをお伝えしたり、
経営スタイルを変容する時に生じる経営者の葛藤を共に味わう仲間が集う場です。
提供するコンテンツは大きく三つ
①「月に一度のマンスリーフォーラム」。ナビゲーターの武井浩三を中心にセッションを行います。
②「武井浩三の経営問答」北風を手放し太陽の力で経営する、をテーマにいただいた質問にふわっと回答していく番組。
③ 不定期開催ですがリアルで集い、本来の自分を取り戻す「リトリート」などを企画しています。
今回は「武井浩三の経営問答」に寄せられた質問「やる気がない社員をどうすれば…?」を記事でご紹介します!
※武井さんに質問がある方はこちらからどうぞ!
「やる気がない社員をどうすれば…?」
坂東:皆さんこんにちは。北風を手放し、太陽の力で経営しよう。武井浩三の経営問答の時間でございます。手放す経営ラボのばんちゃんこと坂東です。
武井:たけちゃんこと武井です。よろしくお願いします。
坂東:今日の質問は、「やる気がない社員がいるんですが、どうしたらいいでしょうか?」という質問なんですが、これよくありますね。
やる気を出させたい。引き出したい。どうすればいいですか?
武井:その想い自体は、すごく健全だと思うんですけどね。
やる気があるかないかは分かりません。
分かりません、というのは我々が開発した経営を進化させる実践書DXOでもそう謳ってますが、基本的に人のモチベーションを扱わない。
場作りだけをして、その後、芽が出てくるかどうかは誰にもわかりません。
坂東:そもそもモチベーション(やる気)を扱わないから、やる気があるとかないとか、そういうことにも関心がないということですか?
武井:いやもちろん関心はありますよ。みんなやる気がある状態で働いてる方がいい決まってるじゃないすか。
坂東:たしかに。
武井:だけど、「やる気を出せ」って言った瞬間に、もう自律分散でも何でもないじゃないですか。
自律分散の本質は、一人一人が内発的動機でやる気が湧き上がってきて自然と仕事に注入されるものだと思ってます。この内発的動機を引き出させようとする時点で、内発的動機じゃないじゃんっていうパラドックス。
坂東:そういうふうに働きかけるのは、すでにコントロールしちゃってるってことですね。
武井:できることがあるとすれば、内発的動機がある人はそのやる気が自然と出てくるような土壌作り。
どちらかというと、内発的動機を邪魔しない仕組み作りなんですよね。
それが、アドバイスプロセス(ティール組織の助言プロセス)みたいに意思のある人が意思決定できるような状態を作っていく。
※経営を進化させる実践書DXOより
そうなるためには組織としてその仕組みに慣れていく必要もあるんで、最初はこういう仕組み作ったから、「どうぞどうぞ」ってお尻を叩くみたいなことはした方がいいと思います。
だけどやる気がない社員、その人自身を問題視しない方がいいと思いますね。
DXOでも言ってますけど、問題は人にあるんじゃなくて、人と人の関係性の中にあるので、その関係性、つまり仕組みをどう整えればいいのか。そこに注力した方が良いですね。
その人自身に問題があるってなると、あなたちゃんとやってくださいって、ぶつかるわけですよね。
坂東:やる気出せよ!と。
武井:でも人それぞれ、その人なりの努力や言い分は絶対あるわけで。
これって、そこで戦っちゃうと、結局、北風のエネルギーの経営になっちゃうわけですよね。
会社の理念がこうなんだから、あなたはこうしなければならないって。北風ビュービュー吹かせるわけですよ。
坂東:やる気を引き出そうとしてるんだけど、結局北風がビュービュー吹いてるんですね。
武井:緊急度とか会社によっても違ったりするのでこの辺難しいですけどね・・・。
坂東:その時の状況ですね。
武井:時にはこれはやるしかないから、って有無を言わさず進めるのも必要かもしれないですが、最後は経営者や組織の中心的な人たちの「あり方」に尽きるなと思います。
坂東:「やる気がない社員がいるんですけどどうしたらいいですか」っていうお悩みの回答を言うとすれば、その人に原因があってその人をなんとかしたいと人にフォーカスしない。そこに問題解決の糸口はないっていうことですかね。
武井:そう。そこに行っちゃうと、その人ができるかできないかだけの話になるし、そういう組織になると、できてないことをお互いに指摘し合う組織になっちゃいますよね。
坂東:そうですね。
武井:そういう組織は窮屈ですよね。
問題解決の糸口を「人」に向けちゃう組織の特徴
武井:そういう組織の特徴って面白くて、みんなSNSやらないんですよ。
坂東:そう!わかる!あれ何でですか?
武井:僕はそういう感情を抱えてる経営者さんのサポートをしてて、わかったんですけど、プライベートの投稿をすると仕事してないって思われたりしちゃうっていう恐怖心が出ちゃうんですよね。
職場の人とはプライベートで繋がりたくないっていう。
つまり、いち人間と人間としては関わりたくない。
この時点で、ティール組織でいうところのホールネスが欠如してますよね。
やっぱりSNSを自由に使ってて、その人の会社以外の活動も見えたりするような関係性は、ホールネスが高い状態ですね。
坂東:うわー、たしかにね。
就業時間じゃない週末に「友達と飲んでます!」みたいな投稿しても関係ないじゃんと思うけど、そういうことに対しても、不安になる?
武井:そう。罪悪感というか、見られてたらどうしようとかっていうのが、出るんすよね。
それが出てくるとSNSに投稿すること自体が億劫になってきてしなくなるんですよね。
坂東:なるほどね。
武井:もちろんSNSの好き嫌いはありますけど、その人がその人らしく生きてるかどうかの、一つのバロメーターだと思いますよね。
坂東:確かに。ある取引先でも、管理職の方がプライベートな自分の話をするのが嫌って。
部下に聞かれたくない。それは、仕事とプライベートは別だ。そういう感じなんですね。
武井:そうなんですよ。僕自身もありましたもんね。ダイアモンドメディアの頃。創業者に起こりがちな現象っぽいですけどね、僕の知る限りだと。
坂東:なるほど。
武井:会社以外のことをしてると社員や仲間に申し訳ないとか、この行動が会社の売り上げに繋がるかどうかみたいな心配事が心のどこかにあるんですよね。
それは一つの組織だと解決できないから開放性のデザインをして、収入を分散させたり、属するコミュニティを増やしましょうということを言ってるのはまさにここの部分。
やる気がない社員がいても、その人のどの側面を見るかっていうのもあると思うんで。
坂東:確かにね、もしかしたら自分全体の5%ぐらいしかこの会社に持ち込んでないっていう人かも知れない。
武井:そう、別にそれが悪いわけじゃないですしね。
待遇がいいから、家族養うためにやってますっていう人がいてもいいし、そういう人はプライベートでものすごい子煩悩かもしれないし、それもその人の社会貢献の仕方だし、自分の社会に対する自己表現でもある。
だから、一つの会社の中だけで考えると、やる気がある方がいいっていう一択しかならないんで、怖いですよね。
みんなのやる気が出ちゃうような仕事や関わり合いをどうやって作れるか。
坂東:経営者はそこにこそフォーカスすべきで、その結果として、やる気が出ちゃう人もいれば、やっぱり出ない人もいるかもしれない。だけど、そこはコントロールしようがない。
武井:それぞれの好き勝手にしていい部分だと思うんで。
坂東:ははは。
武井:社員さんは、経営者の所有物じゃないですから、ここが大きいです。
坂東:でもやっぱり、会社と契約してる以上、会社にいる間は、自分のものとまでは言わないけど、やっぱりコントロールする権利あるよねって思う人いますよね。
武井:それは、お金が発生してる以上は、何もしない人は健全ではないとも思いますし、ある程度の、このぐらいもらってんだからこのぐらいやろうよっていう認識は、なんとなくあると思うんすよね。
ただそれって結構幅がある。
厳密に表現しようとするとすごく堅苦しくなっていくと思います。
1日何時間はパソコンの前で仕事してくださいとか、こういう結果を出してくださいって、そういうことを先に固めてしまうと、人間関係が後回しになってしまいますよね。
坂東:人間関係を大事にしたら、業績とかはどうしたらいいんだっていう話になっちゃうんですけど、そこに突っ込んだらまた深まっちゃうんで、またの機会にします。(笑)
ということで、今回の経営問答は、質問に答えてるのか答えてないのかは分からないですけど、太陽スタイルという観点から、この質問に向き合いました!
武井:はい。
坂東:ということで、武井浩三の経営問答では質問をお待ちしてます。経営者で取り上げて欲しいという方はぜひ。お寄せいただきたいと思います。今日もありがとうございました。