1/19 手放すトークライブ#16「複業どうする?個人も経営者も常識を手放せ!」をテーマにトークライブを開催しました。トークライブの一コマをお届けします。
共通項は「複業」!スピーカーのご紹介
スピーカー 若宮和男さん(起業家/アート思考キュレーター)
◎若宮 和男(uni’que Founder/CEO、『ハウ・トゥ・アート・シンキング』著者、ランサーズタレント社員、一級建築士) 建築士としてキャリアをスタート。その後東京大学にてアート研究者となる。2006年、モバイルインターネットに可能性を感じIT業界に転身。NTTドコモ、DeNAにて複数の新規事業を立ち上げる。2017年、女性主体の事業をつくるスタートアップとしてuni’queを創業。「全員複業」という新しい形で事業を成長させ、東洋経済「すごいベンチャー100」やバンダイナムコアクセラレーター選出、Work Story Award2018でイノベーション賞を受賞。2019年には女性起業家輩出に特化したインキュベーション事業『Your』を立ち上げ、新規事業を多数創出している。自社事業のかたわら資生堂を始め数々の企業の新規事業の外部ブレーンを務める他、ビジネスに限らず、アートや教育など領域を超えて活動。2019年に『ハウ・トゥ・アート・シンキング』を出版し、アート思考の第一人者として講演やワークショップを通じ社会にアートを根付かせる活動も行う。
ご本人もさることながら、自社が経営する会社のメンバーも全員が複業していることが条件なのだという。
そういった組織の中では、どんな化学反応が起こっているのかも気になるところ。
スピーカー 細野真悟さん(ビジネスデザイナー)
株式会社ローンディールの最高戦略責任者CSOであり、フリーのビジネスデザイナーとしても活動。15年以上在籍した株式会社リクルートキャリアでは、執行役員まで務めた。大企業内での企画立案、投資決裁から新規ビジネスのリーンな立ち上げまでの幅広い経験を武器に、複数企業の事業戦略を担うプロフェッショナル。新規事業開発と既存事業のイノベーションにも強みを持つ。
また、細野さんは、「全ての人に、本業の他に、自分が本当にやりたいことを実現するビジネスを持ってもらいたい」を掲げる運営するサービス「Fukusen」を運営しています。
「副業で1000万円のビジネスが考えられないのに本業で数億のビジネス考えるのなんて難しいと思う」が持論の細野さんが個人が副業で1000万稼げるようになるまでの伴走を行っています。
スピーカー 武井浩三(社会活動家/社会システムデザイナー)
ダイヤモンドメディア株式会社創業者、(一社)自然経営研究会 発起人/代表理事、(一社)不動産テック協会 発起人/代表理事、ホワイト企業大賞 企画委員会 委員 手放す経営ラボラトリーCPO
2007年にダイヤモンドメディアを創業。
経営の透明性を徹底的にシステム化した独自の企業文化は、「管理しない」マネジメント手法を用いた次世代型企業として注目を集めた。現在は、創業した会社を自ら手放し、ティール組織・ホラクラシー経営等、自律分散型経営の日本における第一人者としてメディアへの寄稿・講演・組織支援など多岐に渡る活動を行う。2019年10月手放す経営ラボラトリーにCPOとしてジョイン。
著書
『社長も投票で決める会社をやってみた。』(WAVE出版)
『管理なしで組織を育てる』(大和書房)
『自然経営 ダイヤモンドメディアが開拓した次世代ティール組織」』(内外出版社)
言わずと知れた手放す経営CPOの武井さん。
実は、この夢の対談、武井さんの
『「働いたら負け」と思っていた日本版ティール組織の第一人者が語る、
こちらの記事がきっかけでした。めちゃくちゃ長い記事ですがとても良い内容なのでぜひご覧ください♪
スピーカー 大山亜矢子(手放す経営ラボメディア編集長)
手放すラボメディア編集長。
日系大手金融機関にて10年に渡るマネジメント職を経験後、手放す経営ラボを運営するブレスカンパニーへ転職、その後「副業」をきっかけに独立。現在は、複数社の経営、人事、採用にまつわるフリーランスとしてパラレルワークを実践中。
3人の子供を育てるお母さん。
副業解禁!この流れをどう見る?
大山:今回のテーマは「複業」。個人としても複業をやりたいと思っている人が増えていたり、会社としても複業をやれという流れもきているので、今回、選んでみました。まず大きいところでは、社会の流れが変わってきていること。これについて、武井さんは社会構造とか社会システムに興味があるということで、個人と組織が流動化していくことについてどう考えていますか?
武井:そもそも複業を禁止している会社は、人間の基本的人権を侵害しているから捕まった方がいいと思います。笑
それぐらい俺はムカついてますね。俺がムカついた所でどうでもいいとは思うけど、従業員を所有物として考えている結果、そうなってしまうんですよね。
人を所有物として考えるということは極端な話、奴隷制度と一緒なんですよ。労働者というものを持ち物として捉えるから、オラオラ系の経営者は、「売り上げ」と「従業員数」でマウンティングしあうんですよね。そういう思考に触れると、気持ち悪くなってしまうので、そんな思想は早くなくなったらいいのになと思います。
物事はずっと拡散し続けるもの。今、これまでの社会構造の硬かった部分がどんどん混じり合っている。
世界中で白人・黒人・黄色人種とかがどんどん混じり合っていってるわけで、それと一緒で働くことも混ざり合っていくのが普通。だから、早いところそっちに舵を切って、会社の仕組みや個人の働き方を流動化させていった方がいいのになと思います。
社長も社員も全員複業が採用条件の会社!?
大山:そういう意味では、若宮さんの経営する会社では、複業を条件にして採用しているめちゃくちゃ変わった会社ですよね。
若宮:自分も含めて、複業することを会社のルールにしています。
僕も複業してないと会社にいられないので、ランサーズとかでタレント社員という謎の肩書きもあったりします。
僕は、細野さんが以前Facebookでシェアしてくれた武井さんの記事(武井さんが社会全体を構造的に捉え、組織や社会のあり方を語っています!)を読んで、衝撃を受けました。僕がやろうとしていていることが10年前ぐらいに終わっている。しかも名前が、武井(多形)浩三(構造)っていう。まじでやべえなって。笑
細野:あのネタ美味しいよね。あれは最高だ。
若宮:僕はちょっと大山さんと似ている所があって、実は元々大企業にいて、docomoにいた時は結構ロジカルくそやろうで、ゴリゴリにチームのメンバーをコントロールしていたんですよね。自分が一番仕事ができると思っていたから、なぜ俺の言った通りにやらない?みたいな。それで死ぬぐらいの大失敗をしてメンタルがやばい所までいってしまいました。
そこで価値感のパラダイムが変わったのがアート思考のきっかけでもあります。20世紀型の工場パラダイムだと、同じものがいっぱい作れると価値があって、違いが出ると不良品とか事故の元になるのでダメだったんですよね。それが、これからは、「違い」があることが価値になる。
アート作品もそうですけど、同じ物を作るとパクリとかって価値が低かったり、悪いとされる。価値のパラダイムが変わったんです。そこで違いをどう出していくかを考えながら、新規事業の文脈でトライ&エラーをずっとやってきました。その中で、
歪さが生きる組織だったり、活かせる方法を考えないといけないと思った。
人の形が変な形をした石みたいな歪なものだとして、組織は四角い箱の形をしている。そうなった時に、その歪な石を一個の組織に入れたら、歪だから四角い箱には入らない所が出てくる。
そのはみ出た所を、今までは切り捨てたり、無理やり押し込んでたりしていた。
だけど、さっきの武井さんの話にも通ずると思うんですけど、それがもうそもそもおかしい。はみ出た部分にも別の箱を一個一個はめて行くことで、その人の歪さ全体のバリューが社会に放出されるのに、なかったことにしているという・・・活用できていないのがダメだなと思っています。起業したから、それまでより働き方は自由になったんですけど、スタートアップ業界は相変わらず早くでかく、倒れるまで働くというのが美談になっていて。
そうするとライフステージの変化が多い女性が入ってきずらいとか、長時間働いた人が多くの価値を出すっていう、「ほんまか?」という価値観を覆すために会社経営しているんです。
だけど、最初、「複業でスタートアップします」って言ったら「バカじゃないの?」って色々言われたんですけど、実践しないと信じてもらえないと思ったし、経営者である自分も複業をしていないとチームのマネージメントもできないと思ったので、自分も会社のルールに従うことにしたというのがうちの複業の流れですね。
生きてりゃ複業!?
大山:世の中の固定観念を覆すために、それが間違っているということを証明するために自ら実践していらっしゃるんですね。素晴らしい〜!社員の方は具体的にどんな複業をされているんですか?
若宮:色々ですね。大企業で働いていたり、経営者の人もいたり。フリーランスで複数のベンチャーで働いているとか。でも、うちは生きてりゃ複業と言っているんです。
本当はみんな自然に複業をしているんですよね。複業に反対している会社って、複業してうちに集中できなくなったらどうするんだ?とか言うんですけど、人はそもそも生活している時って分人主義的にキャラクターや役割を切り替えてたりするので、そもそもみんな複業してるじゃんって思ってます。
それを今更「禁止する」とか言ってるってことは、ワーキングマザーたちのことをどう思っているんだろうって。なのでママ業と複業もOKで学業と複業もOK。お金を稼いでいるかどうかではなくて、「価値にはフルコミットすべきだけど、時間の長さではない。時間をフルコミットすることへの幻想を打ち砕きたい」これがルールなだけなんです。
武井:依存先を分散させるですね。
大山:依存先分散させるのはめちゃくちゃ大事ですね。
武井:「アンペイドワーク」という言葉があって、お金が支払われない労働のこと。主婦の家事労働や、今若宮さんがおっしゃっていたようなことなんですけど、そもそもお金を生むだけが経済活動ではないですからね。主婦の仕事ってアウトソースすると年間で1500万ぐらいかかるって言われるんですけど、それをやってるってことは仕事してるんですよね。
若宮:本当にそうですね。僕は大企業にいた時に「時短」って言葉が大嫌いで、いい制度なはずなのに嫌だったんですよね。時短って子育てしながら働いしていたら、保育園のお迎え時間があるから時短勤務になる。本人も、時短ですみません。とか、給料泥棒みたいな感じになってしまったり。
産休や育休で仕事をお休みするってなるけど、今武井さんがおっしゃってたみたいに、本当は休んでない。って思うし。時短で働きながら、ママもしてるって一個の会社でしか働いていない家庭のことを何もしないおじさんより、時短の会社とママ業でもバリューを出しているすごい人。それなのに、何で一個しかしてないおじさんの方が偉そうにしているんだろう?って。
武井:ハハハ。社会的価値全体で見るとってことですよね。
会社から初めて飛び出たドキドキ感は忘れない
大山:細野さんは、複業ってところについてはどうお考えですか?
細野:僕、実は17年ぐらいリクルートにいて、初めてリクルートという枠を出て複業をする時のドキドキ感を全然忘れてないんです。7年ぐらい前のことなんですけど。複業のことなんて、それまで考えたこともなかったので、人間がしっぽを動かせないのと同じように、普通に働いていると「複業」という概念がないんですよ。「複業、副業」って世の中で言われているけど、それって何をすることなの?どうしたらそこに行けるの?とか、フリーランスの人って頭おかしい人だよね?という自分の中の常識で十数年も働いてきていて。だから、こういうトークライブを聞いてくれる方とか大企業の方とかと話しても、自分も少しずつ変わってきて今のステータスにいるから、この立場から普通に言葉を投げかけても何語をしゃべってるのっていう感じで捉えられる事も多いなって思っていて。一番初めの「会社を裏切る感覚」とかド「キドキ感」は忘れられませんね。
大山:細野さんでも、そんなドキドキするものなんですね!なんだか、勇気が湧いてきました。笑
細野:本格的に副業する前に、とあるピッチイベントに参加したんです。コワーキングスペースにサラリーマンが二、三十人集まって、ベンチャーが5分ぐらいで今困っている事をプレゼンするんですよ。それに対して集まった人がディスカッションしながらアドバイスをする、そんなイベント。そこが初めてリクルート以外で仕事脳を使って他の会社にアドバイスをしたという経験です。実際は副業どころか自分で1000円払って参加するイベントなんですよ。金払ってディスカッションして、その中で質問することによって論点が明確になったりとか、アドバイスして、「それは確かに考えてなかった・・・」とかいう反応をもらった時、身の毛がよだつぐらい嬉しくて。
「俺、なんかリクルート以外でもやれるのかも!」って。
当時、社内ではブリブリにプロジェクト回していた時。怖いもの知らずで仕事していたのに・・・笑
外に出て他の人と意見交換して役に立った感覚を得たのは、僕が外に目を向けた一番最初ですね。しかもきっかけは、無理やり後輩から「たぶん細野さん好きそうなイベントありますよ!騙されたと思って行ってください」って言われて行ってみたという・・・。でも、それがあって僕は外に出られたので・・・リクルートにいた人間ですらこれだから!世の中の人たるや!みたいな。その感覚は今だに忘れてないですね。
武井:その感覚は重要ですね。世の中の多くの人は恐怖感があるんですよね。俺は全くわからないけど笑。就職した事ない。
細野:武井さんは突き抜けちゃってるからね〜。その分、純粋な眼差しというか完全ゼロベースでどうあるべきかを描き続け行動し続けるのが、僕や若宮さんからすると、10年先行ってるなみたいな感覚になる。圧倒的な純粋感すごいなって感じてます。
武井:なかなかのオフロードですけどね。
細野:道なき道・・・。
武井:法律がまだ整ってないのが辛い。
細野:制度とかに目を向けてトライアルされてるのってすごいパイオニアでありがたいなって思います。
武井:そう言っていただけると身を犠牲にしている甲斐がありますよ。
続く・・・