自社を、ティール組織やホラクラシーといった進化型組織にどうのように進化させていくのか?
その方法について、以前「ティール組織 導入4つのステップ」に書きましたが、それぞれのステップの詳細について解説する第二弾。
(※「ティール組織」の解説はこちら)
今回は「見える化」についてです。
ステップ①ティール組織導入のステップ「事前準備〜問いを立てる〜」はこちら
ステップ③ティール組織導入のステップ「ガイドラインのデザイン」はこちら
※手放す経営ラボラトリーでは、ティール的な概念を、実践可能な組織構造のフレームワークにしています。
見える化の目的は?
何のためにするのか?
それは「ティール組織」でいう「セルフマネジメント」と「ホールネス」を具現化するものです。
「セルフマネジメント」とは、個人やチームの主体的な意思決定のことですが、意思決定のためには“情報”が必要です。
極端に言うと…
社員に経営者視点での意思決定をしてもらいたければ、経営者と同じ情報を提供すれば物理的な環境は整います。
そして「ホールネス」というのは全体性とも訳されていますが、“ありのままでいる”こと。
「ティール組織」の中では主に個人について語られていますが、会社もひとつの人格と考え、ありのままでいる、オープンでいるということが、すごく大事なのではないかと私は考えます。
何を“見える化”するのか?
まずは「公開する情報」について。
公開する情報は、基本的には全て。
具体的には下記のような項目です。
「経営情報(企業理念、財務情報(PL,BS,CF)経費)」
「人事情報(評価、給与)」
「コミュニケーション」
「経営者の想い」etc.
次に、これらの情報を「見える化」します。
これは業務の遂行、そして今後セルフマネジメントを進めていくためにも必要な項目です。
「ビジネスモデル」
「組織構造」
「顧客情報」
「戦略・マーケティングの流れ」
「予算策定・管理」
「業務フロー」etc.
見える化のメリットは?
情報公開のメリットは3つあります。
見える化のメリット①
一つ目は「信頼関係の醸成」です。
社内情報が見えない状態にあることは、社員の立場からすると即時、不信に繋がりやすいです。
特に今はインターネット時代。若い人を中心に、検索すれば当たり前のように情報が手に入ります。
そんな人たちの感覚からすると、社内でアクセスできない情報があるというのは、違和感です。
このような場合、ポジティブに解釈してくれることはまずありません。
「何か知られてはまずいことがあるんじゃないか?」とネガティブに捉えられ、ひいては会社に対する不信感に繋がっていきます。
「見える化」することで、不信のタネを減らすことができます。
見える化のメリット②
メリットの二つ目は「スピードアップ」です。
仕事に必要な情報や、当事者間のやりとり(コミュニケーション)が見える化されると、業務スピードは上がります。
見える化のメリット③
三つ目は「サボっている人が可視化」されます。
以前は「営業に行ってきまーす!」と外出したら、実際、何をしているかは分かりませんでした。
(僕も喫茶店でサボってました笑)
なぜできるか?誰も見ていないし、バレないからですよね。
でも、顧客とのやりとりや業務内容が見える化されれば、隠れる場所がなくなります。
見える化のデメリット
一方、見える化することのデメリットも考慮しておく必要があります。
デメリットは2つあると考えます。
一つは、給与や人事評価についてオープンにすることによる、社員への影響です。
特に給与は、社員の最大の関心事といってもいい。
「給与のことを話すのはタブー」これが社会人の一般常識です。
給与をオープンにするということは、タブーに切り込んでいくこと。
ですから社内では大小さまざまな衝撃が走ります。
もう一つには、「抵抗勢力とのバトル」の勃発。
特に抵抗勢力になりやすいのは、管理職ですね。
管理職には権限があります。
主だった権限に「情報へのアクセス権」があります。
部下がアクセスできない情報(人事情報とか経営情報)に、上司の自分はアクセスできる。
それが“権力のもと”になっているわけですが、それがオープンになると、権限を失ってしまうように感じてしまう。
一度権限を手にした管理職は、それを手放したくないという意識が働きやすい。
そういった人は「変えたくない」「自分は権力を保持したい」という理由で抵抗を示すケースが出てきます。
「見える化」をスムーズに導入する4つのコツ
1.手をつけやすいものから。
会社にとって進めやすい事項から始めていきましょう。
一気に実施する必要はありません。
取り組みやすいのは「経営者の想い」「業務フロー」「コミュニケーション」です。
例えば「コミュニケーション」。
今までメールや電話が中心だった会社の場合は、slackやチャットワークなどのチャットツールを活用するだけで全然違ってきます。
※おすすめはSlackです。
2.目的を明確にする。
見える化することが目的にならないように注意しましょう。
何のための見える化するのか?
それは「信頼関係構築」あるいは「事業の成長スピードUP」この二つの実現です。
例えば、進化型組織を実践している企業でも、給料についてはあえてオープンにしていない企業もあります。
たとえばLAPRAS株式会社や株式会社Everforthでは、給与をオープンにしていません。
LAPRAS株式会社の場合は、社内アンケートを取ったところ「オープンにしなくていい」と言う意見が大半だので、公開していないとのこと。
同僚の給与額が見えてしまうことで、雑念が入ったり、信頼関係にヒビが入ったりする可能性もある。そうなると事業を進めるスピードに影響が生じてしまう。
そうなっては意味がないですよね。
3.すぐに結果を求めない。焦らない。
会社によって、見える化にどれくらい時間をかけて進めていくのか?どのようなステップを踏んでいくのか?が変わります。
大切なことは、性急にやり過ぎないということです。
単に制度を作ればいい、ただ公開すればいいというものではなく、組織のアップデートをしていくことは、組織文化をアップデートしていくことと同義です。
組織文化の醸成は、一朝一夕にはできません。
例えば「バリフラット」というスタイルで経営をしている株式会社ISAOでは、最終的に給料までオープンにするのに、5年間かかったそうです。
4.過去情報の見える化はしなくても良い。
特に給料や経費については、会社によって基準やルールが様々です。
トップの一存で決めているケースも多いでしょう。
それを過去まで遡って全てオープンにすると、説明が難しかったり、いろいろと支障をきたすこともあると思います
(苦笑)
新しい制度やガイドラインを作った上で、その制度に乗っ取った内容をオープンにすることをオススメします。
ここまで、進化型組織導入におけるポイント「見える化」について解説しました。
ぜひ参考にしてみてくださいね!