組織が機能不全を起こす大きな要素として、管理職のスキル不足や人格の問題があります。
今回は、実力不足の管理職についてどう対処すればいいのかその解決法をご紹介します。
管理職である上司がデキる部下の活躍を素直に喜べない話
先日、知人のKさんから管理職の上司についてのエピソードを聞きました。
Kさんは大阪の広告代理店で営業課長をしています
Kさんの実力は社内外問わず定評があり、
任された営業数字の責任は必ず全うする凄腕の営業パーソンです。
1年前に新たに部長が就任したのですが、Kさん曰く、その人物は「ダメ上司」。
営業経験に乏しいし、融通が効かない。
しかも性格的に難ありで、
精神的にバランスをくずしてカウンセラーに駆け込む部下が続出していると・・・。
極め付けだったのが、年度末のできごと。
取引先から急に広告のキャンセルが入り、売上に数億円の穴が空いてしまうことに。
残りの営業日数も少なく、未達で終わってしまいそうという事態に陥ったそうです。
そんな緊急事態に、Kさんが起死回生の一発!
顧客から指名で経営者を紹介してもらい、初対面で大型契約を決めて、見事、
部署は年間達成!
帰社すると、社長以下、役員の方々も大喜び。
社長賞をもらったそうです。
そのように、社内が沸き立つ中で・・・
部長からは「よくやった!」とか「ありがとう!」とか、
労いのことばが一言もなかったのだそうです。
「別に褒めて欲しいとかではないんですよね。
ただ、直属の上司なんだし、自分の部署のことなんだから、
一緒に喜んでくれてもいいんじゃないかと・・・。きっと、
部下の手柄を素直に喜べない人だと思うんです。それを見て「ちっさ!」って、
思っちゃいました。」
とKさん。
“上司が頼りない”“できない”という話は良く聞きますが、
これはなかなか強烈ですよね・・・。
問題のある管理職。あなたが経営者ならどう解決する?
そこで・・・!
このケースを題材として、みなさんに考えてもらいたいです。
もしも、自分が経営者だったら、
■管理職として実力が足りていない
■人格が成長しきれていない
といった課題がある管理職に対し、どんな解決法を講じますか?
呼んで、指導するのか?
研修を受けさせるのか?
降格させるのか?
組織の機能不全は組織構造で解決する
私は、このケースの場合、部長本人に原因があるわけではないと考えます。
本質的に問題なのは、組織構造です。
個人の能力や適性より、構造を優先した管理をしているから、
今回のような“管理職”が生まれてしまうのです。
聞くと、この部長は社内でも評判が悪く、同僚からは
「あの人が上司になっちゃったんだね・・・」とか、上層部からは「すまないが、
こらえてくれ」といったことを言われるくらいだそうです。
それでも、なぜ部長職についているのか?
それは「部長のポストが空いているから」です。
その役割を果たす力量がないとわかっていても、
現状の人材に合わせて組織構造を書き換えるのではなく、
決まった組織構造に合わせて人を配置する、という優先順位になっているのです。
もちろん、会社にはそれぞれ事情がありますし、
常に適材適所に配置できる人材が整っている方が少ないでしょう。
不足するスキルは、研修で補填する。
あるいは役職を与えること自体が、成長のきっかけとなる。
そういう考え方もあるでしょう。
しかし、ヒエラルキー型の組織構造の中で、管理職という立場を先に与えてから、
育てることは至難の技だと私は思います。
人はその立場に、慣れるからです。
ヒエラルキー型組織構造の闇
私も経験があります。
会社勤めをしていた頃、一時期とても高い給料をもらっていました。
今ふりかえると、とてもその実力はなかったと思います。
当時も最初はそう思っていましたし「自分に見合った給料じゃないから、
もっと頑張らなきゃ」と謙虚な気持ちでいました。
けれど、半年たち、一年経つと、慣れました(苦笑)
自分は相応の実力があるんだ、もらって当たり前だ、という気持ちに、
なっていました。
もちろん、私のレベルが低かったのだと思いますが・・・
しかし多くの企業を見てきて、大半の人は、そうなるものだという実感はあります。
何を言いたいのかというと、ピラミッド型の組織構造で、
役職を与えてしまうと、人は慣れてしまい、育てるのが難しくなるということです。
「私は部長。課長や部下は、自分より下。」
↓
「実力も、下。」
↓
「自分より仕事ができてはならない。」
スタンスのレベルが低い人は、そういった思考回路になりがちです。
そして、男性は、プライドが高く、嫉妬ややきもちの感情が強い生き物です。
そうした特性は、うまく活かすことができれば、「上に立ちたい!」「勝ちたい!」
という意欲を掻き立てる効果につながりますが・・・
(ヒエラルキー型組織はその意味で、男性に向いているのです)
逆に作用すると、頑張る部下の足を引っ張ったり、
人の活躍を素直に喜べなかったりと、
妬みの感情が仕事に悪影響を及ぼすことになりかねません。
そうした行動は、上下関係を前提とした組織構造が、作用しています。
組織構造が、先の部長のような人材を“育てている”のです。
人を育てる組織構造、進化型組織
では、どうすればいいのか?
降格させるのは解決法としてはアリでしょう。
しかし妬み、やっかみの気持ちは強まります。注意が必要です。
私だったら、構造を変えます。
Kさんのようなスペシャルな営業パーソンがいるチームなら、
管理職は必要ありません。
自律分散型の進化型組織がオススメです。
各々が仕事をやりやすいような環境づくりと、サポート。
それがこの会社の営業部における部長の役割だと、再定義をします。
その要件を満たす人材がいれば配置をしますし、
いなければ無理に埋める必要はないでしょう。
その場合どのようにチームを成り立たせればよいかは、
必要に応じて話し合って決めれば良いのです。
まとめ
組織構造が、社員を教育し、言動に影響を与えていきます。
構造ありきではなく、
自社においてパフォーマンスをあげるチームづくりはどういうものか?と考え、
最適解を模索していくことが解決法ではないかと思います。
そんな時、
これまで当たり前だったヒエラルキー型以外にも
目を向けて見るのはどうでしょう?
それぞれが自律したビジネスパーソンなら管理職が本当に必要でしょうか?
進化型組織では、一人一人が自分らしく輝ける環境づくりにパワーをかけます。
管理することにパワーをかけることはしません。
これまでの固定観念を一度手放して、新しい組織構造を考えてみませんか?