進化型組織にする最大の価値は?
(※「ティール組織」の解説はこちら)
現代は「VUCA時代」と言われます。
(Volatility:不安定さ、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性の頭文字をとったことば)
この“答えが分からない”時代、わたしたち企業にとって欠かせないものは、変化への対応スピードです。
状況の変化にいかに素早く対応できるかが、成否を分けます。
このスピードですが、昔とは求められる“質”が違います。
時代の変化がいまほど早くなかった時は、イメージでいうと、いかに直線距離を速く走るか?という、シンプルなスピード勝負。
この場合、トップダウンでぐいぐいと進めることが可能でした。
一方、現代は、曲がりくねった道なき道を全力疾走することが求められます。
瞬時の判断をトップがしなくてはならないとなると、その負担はとても重いですし、スピードも上がりにくい。
ティール組織やホラクラシーのような進化型組織は、
柔軟性とスピードとを併せ持っている点が、最大の価値なのです。
進化型組織の事業推進スピードが早い理由
自社に進化型組織を導入することで得られる価値の1つ、スピードアップは
どのように実現できるのでしょうか?
やり方は様々ですが、ここでは“手放す経営スタイル”のフレームワークに沿ってご説明します。
【1速→2速へ】組織構造の階層を最適化し、スピードアップ
ヒエラルキー型の組織は、階層構造になっていますが、
多くの企業で、不必要に階層が増えているケースが見られます。
階層構造は、上からの指示命令や管理には適していますが、稟議や資料作成、根回しなど、ムダな社内業務が生まれやすいです。
内向きな仕事が増えると事業のスピードは落ちます。
(大手企業が「低速企業」などと揶揄されてしまう一因)
組織構造をチェックし、不要な階層を減らす。
情報の流れをスムーズにし、稟議や報告書、会議、決済などの社内業務のムダを減らしていく。
スピードアップの第一弾は、業務改善。
無理なくムダをなくすことで、スピードアップ効果が期待できます。さぁ、次は3速へのギアチェンジです。
【3速】見える化でスピードアップ
進化型組織で極めて大切なポイントは、オープンであること。
つまり“見える化”です。
進化型組織の導入で次の3つの見える化を進めると、
チームワークの醸成と、個々が意思決定をしやすい環境ができます。
1.目的の見える化
会社の目的を一人ひとりが理解していること。
「わたしたちの存在目的は何か?」という座標軸と、
「どこに向かうのか?」という旗印が、道無き道を照らすライトとなり、歩みを進める原動力となります。
2.会社の見える化
経営情報や業務フロー、タレントマネジメント、
コミュニケーションなど会社に関する情報をオープンにすることで、会社に対する不信感が減ります。
(人は隠れている部分をポジティブに捉えないので)
また、必要な情報の見える化は、社員の意思決定の精度を高めることにもつながります。
3.社員の見える化
日常のコミュニケーションを通じて、お互いの人となりがわかっていること。
思ったことを率直に言い合える関係性をつくることで、チーム力が高まる効果が得られます。
【4速】セルフマネジメントで、スピードアップ
進化型組織を導入すると、意思決定を社員一人ひとりに委ねられるようになります。
すると、事業推進のスピードはぐぐっと上がります。
ただし「任せたよ!」といきなり丸投げしても、上手くいくわけではありません。
個々のスキルや意思決定能力には差があるからです。
意思決定してもよい範囲や、ガイドラインの設定。
意思決定の手順を整備することに加えて、トレーニングが必要です。
【5速】柔軟性の高いチームができ、改善のスピードアップ
個人やチームに意思決定が分散されると、スピードは上がります。
ただし、チーム内で階層ができてしまうと、既存のトップダウン型の組織が、
サイズが小さくなって増えた、ということになりかねません。
大切なのは、チーム内で主体性を引き出す運営がなされること。
たとえば、役割の決め方や、メンバーの出入りのしやすさなど。
柔軟性の高いチームができると、運用と改善のスピードが上がります。
【6速〜】社員一人ひとりが、イキイキと主体性を発揮できることでスピードアップ。
進化型組織の導入で、組織の存在目的も明確になります。
そして、その組織の目的にメンバーが共感し、会社との信頼関係ができていること。
上司の目を気にせず、自分のミッションに集中できること。
想いを同じくし、お互いを認め合うチームがあり、
自分たち自身で事業を動かしていく手応えを感じられていること。
そんな状態だったら「明日もいきたい!」と思える。
他社と同じ仕事内容、同じ業務時間だったとしても、パフォーマンスに圧倒的な差がでますよね。
まとめ
目標達成のために、合理性や効率を重視する組織づくりが、これまでは一般的でした。
それが間違いだという訳ではありません。
しかし合理性や効率の追求は、もはや行き着くところまで行っている印象があります。
この先何年も、毎日毎日、誰かが決めた数値目標の達成だけを見据えて、全力で走り続けていくことを想像すると・・・希望が湧いてきません。
進化型組織の導入で、ミッションが明確になったり、
自分の価値を発揮できている実感などの「心の満足」、そして「つながり感」といった価値も
感じられるようになります。
これらを組み込んだ組織づくりができたとき、効率の追求を超えたスピード感と、臨機応変に対応できる柔軟性といった効果を手に入れることができるのです。