7年前に中学2年生で起業して、経営者となり、話題になった仁禮彩香さんのことを、ふと思い出した。
仁禮さんは当時「経営チームは20歳の誕生日の前日までに退任しなくてはならない。」と公言していた。
その理由は「会社にしがみつくおっさんみたいになりたくないから。」と言っていたと記憶している。
当時すでにおっさんだった僕は、その発言に衝撃をうけながらも、
“まだ学生だし、責任も重くないだろうから言えるんだろうなあ”
などと思っていた。
でも、今は思う。本当にそうなのだろうか?と。
“責任ある経営者(特にオーナー経営者)”は、経営を手放してはいけないのだろうか?
そもそも経営者のミッションは何だろうか?
それは「事業の価値を最大化させること」だと思う。
「会社の永続」を“目標”に掲げる経営者は多い。
しかし、僕は少し違和感を覚える。
永続するかどうかは、結果であって、目的にすることではないと思うからだ。
そして、永続することと、経営者が永く働き続けることがイコールでもない。
たとえばプロのサッカーチーム。
成績が悪ければ、監督は責任を取って交代する。
オーナーは勝てるチームをつくっていくことが目的であり、
負け続けているのに監督が10年も20年も居座ることはありえない。
企業も同じで、オーナー経営者の目的は事業の価値を高め続けること。
実際、世のオーナー経営者は、会社が伸び悩んだ場合、そのまま社長に居続けながら建て直すケースが大半だろう。
それは責任感の強さからきている。
しかし、より事業を伸ばしてくれる人材を探し(育て)、
経営の交代をするという責任の取り方もあるのではないか。
J1だったサッカーチームが、J2になり、J3に落ちると、いい監督も選手も集めづらくなる。
そうなる前に手を打つのがオーナーのミッションなのだ。
変化の激しい時代に、経営の舵取りをし続け、結果を出し続けて行くことはすごく難易度が高い。
「経営者の交代なんて、そんな無責任な!」と言われそうだが…
事業が伸びていて、仕事も給料も安定していれば、現実には文句を言う社員は少ないだろう(寂しいけど)。
経営者が自らの任期を有限にする。
事業の価値を常に意識し、高く売れる状態をつくっていく。
実行するかどうかは別として、「交代(手放す)」という選択肢を持つことで、
肩の荷が軽くなったり、鮮度を保てるのではないか。
《まとめ》
経営者の座にしがみつくおっさんに、なってはいけない。
交代するという選択肢についても検討してみよう。