第10回は、引き続きダイヤモンドメディア株式会社の代表取締役・武井浩三氏と一緒に
「これからの会社のあり方」を考えました。
だけど、それがバランスが崩れると細胞が「がん化」していく、自分を攻撃し出すっていう、それが組織でも起こることが……
だから、想定外のことは起きない、コントロールできる。ただ、壊れたら人が直さないと直らないんですよね、組織だし。で、想定外のことが起こらないっていうことは、想定以上のことも起こらないんですよね。だから、そんな環境からはイノベーションは生まれるわけがなくて。イノベーションって偶発的にしか生まれないんで。
でも、自己組織化してる生物的な組織って、生物に例えると放っておいても成長するし、怪我したら勝手に治るし、簡単な風邪とかだったら放っておけば治っちゃうし。やっぱり生命力というかエネルギーってとてつもなく強いと思うんで、雑草がアスファルトの下から生えてくるみたいなもんで。
でも、それがまさに、今、坂東さんおっしゃったみたいに、環境が整ってないと、人間でいうと生活習慣が乱れてたら病気になっちゃいますし、そのエネルギーが強いがゆえに病気になるんで、がんとかもモロにそうですし、微生物が食べ物を発酵させるのか、腐らせちゃうのか、現象としては全く一緒ですけど、環境が整ってるか整ってないかだけで生かすも死ぬも起こってしまうというか。
だから、すごく僕は日本酒づくりとか、微生物の発酵がどうやって醸成されるかとかも勉強したり。
実際、酒蔵、250年ぐらいやってる寺田本家さんなんか結構仲良しで、25代目の優さん、4代目?5代目?来月も見学させてもらいに行くんですけど、話が全く一緒というか。
だから、とにかく場づくり、場というか、その「場」っていうのがいわゆる「ワークショップやりましょう」とか、そういう短絡的な場の話じゃなくて、日常的な環境というか。
ただ、我々は感情自体を直接的「モチベーションを上げよう」とか「楽しませよう」とか「気分良くさせよう」というふうに何かエサを与えるようなことはせずに、感情のおもむくままに自然に消化されるような場をつくるというか……何て言って良いか分かんないですけど、っていうふうに心掛けようと。
もちろん、うちも全然完璧じゃないですし、ずっと外部環境も会社の中も変わってくんで、常に何か色んなことを変えながらやってるんですけど、でも、完璧なものがないって考えると、逆に不完全なものもないと。不完全なものがないっていったら、誰か個人を責めたり「おまえはここが足りない」とかって言う意味もよく分かんねーな、みたいな、あるがままでしかないのかな……みたいな。
そうすると、何して良いのかよく分かんなくなってくるんですけど(笑)「俺、何して良いんだろう?」みたいな感じ。分かんないですけど。
でも、そうすると、今の副業の話じゃないですけど、自然農法で手がかからなければ、手が空いてるときに別のことをして収入作ってもいいですし。
だから、そうやって全体最適というか、農業だけで年収2,000万円を目指すとかじゃなくて、総合的に合計して収入が高くなるっていう取り組みもできると思いますし。昔の人の知恵というか、自然に最適化されてた物事って、すごい今になって学びがあるんだろうなっていうのは色々思いますね。
でも、今の戸籍とかって自分が籍を置いてる所にしか納税をしないとか、やっぱり税の仕組みのほうが逆に不完全なんじゃないかなとか思って。
デュアルライフしてる人だったら両方に納税できる仕組みとか、ふるさと納税とかはすごく良い取り組みだと思うんですけど、人間が複数のコミュニティにもっと複雑に属す時代が来ると思うんで、税の仕組みもそういうのに対応できるとか、そうしたら都心一極集中じゃなくて税も上手く分配できるようになったりとか。
で、今、現実的にはもっと効率良く、昔は40時間かかったことが今は10時間ぐらいでできたりとか、インフラの整備によって。だけど、40時間費やさなきゃいけないから他のこともできないし。環境がそういうふうになってるのに、「正社員というのはフルタイム40時間」みたいなのがバランスを崩してんのかなっていう。
もし10時間ぐらいでできるんだったら、他に色んなことやりながら、そこでの給料は仮に減ったとしても、さっき言ってた全体最適っていうのがもっとしやすいのに。自己投資する時間もないし。
人口が減ると価値下がるっていう、ただそれだけなんですよね、難しいことを抜きにして。で、日本って2010年からもう人口減ってるんですよね。不動産の価値もそうですけど、GDPも人口とほぼ正比例なんですよね。人口増えてりゃ放っておいてもGDP上がるんですよね。
だけど、人口が減り始めてると。そうすると、GDPが上がらないほうが自然なんですよね。しかも、今、ITとかで中間マージンとか中抜きがどんどん起こってて、CtoCのビジネスが起きれば起きるほどGDPって下がるんですよね。でも、CtoCのほうが、メルカリとかもそうですけど、UberとかAirbnbとかも全部そうですけど、便利じゃないですか。
で、面白いことに、全ての社会システムとか企業のシステムって、人口が増え続けるとか規模が拡大し続ける前提でデザインされてるんですよね。
でも、これからは人口が増えなくなってきますし、GDP増えなくなるし、でも、人間の幸福度っていうのはもっと上げられると思ってますし、じゃあ、そういう環境下で必要になるサステイナブルな仕組みって何かっていうと、我々が目指してるような自然経営だったり、ヨーロッパで生まれてるティールだったり、ホラクラシーだったり、「目標なくていいじゃん」と。
だって、増やし続けることに必然性がないんで。とか、採用の仕組みって世の中の企業いっぱい持ってますけど、人が辞めやすい仕組みをつくってる会社ってほとんどないんですよね。
で、会社を伸ばし続けるにはやっぱ組織も大きくしていって、会社を伸ばしていって。伸ばすっていうのは、売上を伸ばして利益を増やすっていうのは誰もが疑わない前提だけど、それも一緒ですよね、国のGDPの話と。
でも、M&Aってことは新しい価値を生み出してなくて。「価値の移転」って呼ばれるんですけど、あれ、「価値の創造」ではなくて。
じゃあ、世界中の企業が全部ソフトバンク系列になりゃ良いのか?って話になりますし。何を目指してるのか、僕は最近それが見えないというか。僕の感じてる中で言うと、拡大志向というか、旧資本主義の最後の砦が孫正義さんと柳井正さんかなと思ってて。
でも、彼らが現役から退いたり亡くなられたりしたあとの世界どう考えるのかっていうのがやっぱり僕らの世代が考えてることだし、僕ら、下手したらあと70年とか60年とかは生きますし、そういう世界を、やっぱり自分の寿命以上のことを考えるというか。
やっぱり、そういうエコシステムの一部として会社も必要がなくなれば閉じたほうがいいですし。
そうですよね。だから、よく創業経営者とかで言われる話だと思うんですけど、「会社って始めるよりやめるほうが難しい」とかって言うじゃないですか。
だから、資金調達のための資本政策じゃなくて、いかにサステイナブルで、僕が仮に不慮の事故とかで死んだとしても、会社がこういう方向性を維持できるような、しかもそれが長きに渡ってできるような資本政策っていうものを考えたんですよね。
僕、妻のほうの家系に「虎屋」っていうのがあるんですよ。黒川家。
でも、これ、面白いのが、寺田本家さんも代々女系家系なんですよね。婿養子だったりとか、そういうのがあったり。あとは、男性が継いでいったとしても面白いのが、同族企業の場合だったら「3代か4代にひとり優秀なヤツが出てくりゃいい」ぐらいに捉えてたりもするんですよね。そういう人がグッと栄えさせて、他の人はとにかく現状維持で無茶すんなと。
で、「会社の金は使わないで、遊び呆けててもいいけど、会社自体を揺らがすようなことはするな」というようなやり方をしてたりもしますし。
やっぱりサラリーマンだったら嫌でも自分が在任期間だけに目がいっちゃいがちになりますし、どんなに素晴らしい人格者でも、実際そういう環境なんで、そうなりがちというか、なってもしょうがないというか。
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