進化型組織のつくり方セミナー20221、2月22日に実施したセミナーの内容をダイジェストでお送りします。
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なんのために会社にいますか?主語は自分で語りましょう。
武井:まずは、関係性づくりから始めます。
なぜ自分が組織にいるのか?をナラティブ(文脈)で語るんです。
主語は自分。主語を「我々は」で始めると、つい一般論になりがちなんですけど、自分はなぜこの会社にいて、なぜこの仕事をしてるのかを語ります。ここにいる意味が一人一人全然違うんですよね。
だけど、主語を会社にすると、この会社の目的はこれだから、みんなで目指さなきゃって、意味を揃えようとし始めるんですけど、絶対無理なんです。
それぞれバックグラウンドが全然違う。キャリアのため、生活のため、居心地がいいからという人もいれば、家から近い職場だからって人もいる。どれも正解。
これがグリーン組織とその先の進化型組織との大きな違いなんですよね。
グリーン組織以下の旧パラダイム的な組織は会社側に答えがあるんです。
だからみんな忖度するんです。
で、会社の求めてるものに近しい行動した人が出世するし、給料上がるんですけど、そもそも会社って何?って話。
会社は人間の集合体、その関係性でできてる。
だから会社のために人が死んじゃいけないんですよ。
会社のために犠牲になって、働きすぎてうつ病になっちゃうとか、過労で倒れちゃうとか本末転倒なんですよね。
個人の幸福のためにみんなで集まった方が助け合えるし、大きいことできるしいいよね。そのために人間は組織を使っているんです。
組織を生かすために個が死んじゃったら意味がなくて、個を活かすために組織がある。
組織の5つの段階のうち、レッド、アンバー、オレンジは組織の方が強い。
それが逆転し始めるのがティール以上。
じゃぁ、組織は何のためにあるのかっていうと、一人一人の願いを叶えるため。
だからあなたは何のためにいるんですか?っていうのに対して「僕は」で語り合うのが一番。それって、否定のしようがないじゃないですか。
僕はトマト嫌いですがそれを否定できる人なんていないじゃないですか。好き嫌いの話になってくるんですよね。正解不正解じゃなくて。
坂東:正解不正解で語ってたなぁ〜
乾:会社がどこに向かいたいのかがあるから、個が存在できているってどうしても考えてしまってましたもんね。
坂東:私が新卒で働いていた会社で、拠点長をやっていたんですが、「未達は死」っていう言葉があったんです。未達成は死亡っていう意味ですね。だから目標達成できなかったら生きている意味がないっていう。
これ、目標や会社が優先じゃないですか。会社や目標が優先っていうパラダイムにずっと浸かってきてたらそれが当たり前になる。
武井:プロ意識も危険。お前プロだろって言われると、できないことはダメってなりがち。
坂東:給料もらってるからプロだろって言ってました。私も言われてたし。
でも自分自身、この5年のパラダイムシフト大きいですよ。
4年前は9時始業に1分でも遅れたらめちゃくちゃ怒ってましたよ。日経新聞読まないやつはダメなやつでしたもん。押し付けとか自分の正しさが半端なかったですね。
DXOプログラム全体像
乾:組織をどう運営したいのか、そこをDXOで整えていくのは大切ですよね。
武井:DXOって会社経営だけじゃなくて、組織・共同体の作り方なんで、友達関係とか家族とか、地域コミュニティとか、何にでも使えるんですよ。関係性のデザインなんで。
乾:ここからは、プログラム全体がどんな構成になってるのかを見てみましょう。
武井:まずはユニット0の「関係性」から始める。次に、ユニット1で「言葉」を整える。そしてユニット2で「形」、ユニット3で「数字」、ユニット4で「場」を整えて、最後に「流れ」が整う。って、「整える」しか言ってないんですね。
だから片付けメソッドのこんまりさんと通じるんです。
組織においてときめかないルールは捨てていくわけですよ。
例えば「1分でも遅れたら怒られる」そんなルールにときめくわけがないじゃないですか。
組織って、共同幻想って言われますけど、実態がないわけですよ。
オフィスが会社、建物が学校というわけじゃない。そこに集う人間関係で共同体を作っていて、自分はその共同体の一員だと思っているかいないかの違いでしかない。
組織デザインは順序が超大事。
武井:人間関係は情報で繋がっています。だから情報を整理するんですよ。
共通認識を取りやすくするために「言葉」と「形」と「数字」で情報を整える。
すると、ある程度、組織はこういう感じだねって同じものを見れるようになるので認識のズレが起きにくくなる。
組織によってこういうの整えなくても阿吽の呼吸でやれちゃうところもある。そういうところは別にいい。
でも、人の出入りが多い会社や新卒など若い人がいる会社、バックグランドが多様性に富む会社は、会社全体がこういう形で動いてるという全体像が分かった方がいい。
全体像が見えない中で「がんばれ」っていうのは、迷路に迷い込みながらも、とにかくがんばれって言われてるようなもの。
右か左かも分からないから運に頼るしかないんですよ。
だけど、言葉と数字を整えると、迷路を上から見てるようなもんでゴールはあのへんだなって全体が見えやすくなる。そんな感覚です。
そういう感じで組織を整えていくんですが重要なのは、順番。
いきなり「整える」ところからいくと誰の何のために整えるのかがすっぽぬけちゃう。
すると一般的な正論の方にいっちゃう。会社にとって、お客さんのために、売上は、とか。そういう方向に行っちゃうんだけど、それは違う。
会社にいる一番中心的な人たちが、なぜこの仕事をしているのかそこにいる意味を握り合う関係性ができると、そのあと何をやってもどうにかなるんです。
坂東:まずは、「関係」から始めることが大事なんですね。
人をマネジメントするための「数字」ではない「数字」って?
武井:ビジネスモデルに応じて組織の形は変わりますが、それに合わせて「場」となる会議体(かいぎたい)を設計します。
その中で何をマネジメントするかというと、数字です。
数字をマネジメントすることによって人をマネジメントしなくてよくなるんです。
坂東:そこがポイントですよね。
乾:人を追い込むための数字ではなく、マネジメントできてるかどうかを客観的に判断するための数字でしかない。
坂東:この部分が以前は分からなかったですね〜。数字は部下を詰めるための武器だったから。(笑)
そうじゃないってことですよね。
武井:数字は単なる事実。
事実が見えるようになると、自分で考えられる材料が生まれます。
経営者視点を持て!って言われてもなぜできないかっていうと、情報がないから。
社長になったつもりで考えろっていうんだったら、情報と権限を社長と同じだけ渡しなさいよって思いません?
だいたい経営層同士でいざこざが起きてる時って、客観的事実が不足しているケースがほとんどですね。
リアルタイムの経営情報、今月は儲かってるのか儲かってないのか。それがない中で「なんか会社やべーよ」って話しても喧嘩するに決まってるじゃないですか。
怒りのエネルギーを人ではなく、「言葉」「数字」「形」のような見えるものに向ける。
ここの数字がおかしいから、こうしたらいいんじゃないかな。って。
じゃぁ、組織の形のこの部分が機能してなさそうだから配置変えてみようとか。
サッカーの試合でホワイトボードにマグネットでやるじゃないですか、あれです。
問題は人にはない。人と人の間にある。
坂東:組織の形が可視化できてない会社も多いですよね。
武井:多いです。どう会社が動いているか分からないから目の前の人にイライラを向けちゃう。
DXOにも書いてますけど、問題は人にはない。人と人の間にある。
だからその
「間」をあの手この手で見えるようにして間を扱えるようにする。
だから関係性のデザインなんです。
坂東:こういう感覚を持つとめちゃくちゃ楽になりますね。
武井:そう、本当に。
坂東:恨みの感情を持つ事も減ったし、その人がどうこうってことじゃないから議論の場も荒れなくなるんですよね。悪口じゃなくて、じゃあどうしようかって話がしやすくなるんですよ。
武井:そうなんですよ。だから本当に、優しいんですよ。
問題が出たときに自然と解決する仕組みは、人間の体みたいに怪我したってちょっとした傷ならほっとけば治るぐらいなもんで、そういう自然のメカニズムに則って組織デザインをしたら、自己組織化って言うんですけど、勝手にいい感じになります。
坂東:勝手にいい感じになるんだ。
経営者である自分が、そういうのを作らなきゃいけないと思ってました。
社長が社員一人一人の人生を背負う時代は終わった
武井:勉強熱心な経営者の方に多いと思うんですけど、いろんな経営者と会ったり、勉強したり、本読んだりして、この本素晴らしいし感動したから、社員のみんなにも読んでほしいって全員分買ってみんなの机に置いとくみたいなことして。
坂東:タケちゃんそういうことやってたんだ?!
武井:やってた、やってた。だから、リカルドセムラーの奇跡の経営とかが会社に20冊ぐらいあった。だけど、やっぱり読むか読まないかまで俺はコントロールできないし、読めって言うのも違うし。
坂東:私もテレビで感動した番組を録画しておいて、会社で上映会やったことがあって。
みんなで見るんだけど、スマホいじってる若手社員とかいて。「
見ろよ。後で感想を言ってもらうからな」みたいな。
盛り上がらなかったな〜。
武井:これマジでドキッとしてる社長さんめちゃくちゃいっぱいいると思う。
坂東:良かれと思ってやってるんですけどね。
武井:正義の反対は正義で、良いも悪いもないんですよ。
坂東:いやそうなんだよ。
武井:一人一人生きてる世界が違うんで。
坂東:そうだよな、目的も違うし、何がごきげんになる要素なのかも違うし、会社に求めるものも違うし。
武井:人間の幸せって一人一人違う。だから社員を幸せにしてやろうって。思いすぎるのも苦しいんですよね。
坂東:経営者は背負いがちですよね。社員とその家族の生活を守らねばって。
武井:ちょっと前の経営者の自叙伝とか読むと、社員は家族だとか社員の家族も社長の背中にかかってんだとか書いてあるから。
俺も頑張らなきゃみたいな。そういうふうに思わなきゃって。
坂東:でもなかなか思うことできなくて、自分は薄情な人間なんだなとよく反省してます。
武井:時代が違うんですよね。
例えば稲盛和夫さんとか、松下幸之助さんの時代は、戦後で、国や自治体の補助が何もなくて、守れる人が守るしかないから親分子分みたいな関係だったりもしたわけです。
一生面倒見るから安心しろって。
坂東:本当親代わりっていう感じですね。
武井:それが必要だったんですよね。
だけど今は転職しようと思えば転職サイト無限にあるし、社会保障も手厚いし、生きる方法がたくさんある中で、昔と同じように関わろうとするのはズレてきますよねって話。
だから象徴的だと思いますけど稲盛和夫さんがやっていた清和塾が一昨年終わったんですよね。これは、一つのパラダイムシフトだと思っています。
これからは経営の在り方も多様になります。
DXOはいろんなやり方の一つではあると思います。
僕らはその経営者の意識の変容もサポートしたいし、その個人のサポートがその手放す経営塾だし、組織の具体的な作り方のサポートがでDXOなんです。
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