面白い会社の噂を聞いたら、いてもたってもいられない手放す経営ラボ研究員が現地まで取材に行っちゃうシリーズ第2弾。第1弾からまだ時間も経っていないのに、すごい熱量です。
今回は茨城県神栖市に飛びました!!
さっそく行ってみましょう!
ヒロワークスさん・・・たしかこの辺に・・・あった・・・はず。
あ、ありました!
【株式会社 ヒロ・ワークス】https://hiroworks.jp/
配管の製造から施工までを一気通貫で行う会社で、社名は父親から取ったという設楽社長。
「父親の名前にしたら、変なことはできないだろうと思って。笑」
最初に社名の由来を聞いたとき、そんなことをおっしゃっていたのが印象に残っています。
内戦中のスリランカに置き去りに。人生観が変わった。
学生時代。世の中に対して不平不満を漏らし、やさぐれていた設楽社長。そんな姿を見かねた知り合い(Aさん)が、学生だった設楽社長を連れてスリランカに行ったそうです。
「2週間後にまた来るわ」
設楽社長を残し、さっさと帰国してしまったAさん。
ちなみにその頃のスリランカは内戦真っ只中。一人取り残された設楽社長は、右も左も分からないまま不安と恐怖を抱えながらなんとか生きながらえたそうです。
そしてそこで日本がいかに恵まれているかに気づきます。
自分のことを底辺の人間なんて言って欲しくない。だから…
スリランカから帰国後、こうしちゃいられない!と、様々なビジネスを手がけた後、配管を取り扱う会社を創業したのが12年前。
当時現場では、ことあるごとにこんな言葉を耳にしていました。
「だって、うちらは底辺じゃないですか」
設楽社長は、現場で働く人たちに誇りをもって欲しい。もっと職人の地位を向上させたい。こう考えていました。
「底辺なんだったら、みんなで上に行こうぜ!」
社長は現場のみんなと約束しました。
それから12年。
今では都内の有名なビルや大きな会場の施工が入るたびに
「あのビルは俺たちが関わっているんだぜ」と誇らしそうに自慢しているメンバーの姿を見ては、当時のことを思い出すそうです。
人間らしさを大切に取り扱う。社員への共感がすごい。
研究員「会社のクレジットカードを従業員さんに持たせているとお聞きしたのですが本当でしょうか?」
設楽社長「あ、はい。本当です」
研究員「それってすごいですよね? 変な使われ方とかしないですか?」
設楽社長「ありますよ。笑 一晩で40万の請求があったりして・・・。誰だこれは!ってなって。大体バレます。笑」
研究員「えー、やっぱり。笑 それでもカードは持たせるんですか?」
設楽社長「はい。やっぱり人間なんで、たまにはそういうのやりたくなるじゃないですか。僕だって人間だから、すごい気持ちがわかるし。パチンコしたり、地方に行ったら羽目を外したくなるし。でもそういうのがあるから、次また頑張ろうって思えるのかなって」
見積もりフォーマットがバラバラ。非効率が最大の効率化!?
研究員「営業はどうされてるんですか?」
設楽社長「全員でやってます。施工先でそのまま営業して受注してきたり」
研究員「そうなんですね。見積もりはその都度とる感じでしょうか?」
設楽社長「はい、もう個人に任せてます。だから見積もりのフォーマットは全員バラバラなものを使ってます。笑」
研究員「それはすごいですね。笑」
設楽社長「でも、そのおかげで一人ひとりが単価の計算や、損益分岐のラインが分かるようになってきて。逆に僕が安い単価で受注してくると、怒られます。苦笑」
弱さをオープンにすることが最大の強みなのかもしれない
研究員「コロナ禍は大変だと思いますが、どのように乗り越えているのでしょうか?」
設楽社長「あ、はい。乗り越えたというか、まずみんなに相談しました。売上が立たないなかで、赤字を抑えるために外注さんを切った方がいいかどうかを。そしたらみんなは『切らないで欲しい』と言いました。で、『そうか』ってなって・・・」
研究員「それで業績はどうなったのでしょうか?」
設楽社長「大赤字でさすがにやばいと思い、みんなにもその事態を共有しました。でもそこからみんなスイッチが入って、翌年には一昨年と同じ水準まで戻りました。」
・・・シーン・・・
設楽社長「なんか、みなさんの話を聞いてたら、もう少ししっかりしなきゃって思ってきました……」
研究員「いやいやいや! どうして?そんなことないですよ!」
設楽社長「うちのメンバーにも言うんです。俺、もっとちゃんとしないといけないよなって。するとみんなが『頼むからちゃんとしないで!』って言うんです」
研究員「そうなんですね。笑 でもちょっとわかる気がします」
主体性を持って働くことで「誇り」は育っていく
設楽社長のお話を聞いて、野見は思いました。
「俺たち底辺だから」と言っていたメンバーが「誇り」を持てるようになったのは、自分たちで決めて自分たちで動かしていくチームになっていったからなんじゃないかと。
言われた仕事をただこなすのではなく、自分たちで見積もりから考え、意思決定し、施工する。これを繰り返すうちに、「やらされ仕事」から「自分の仕事」になっていく。
そうした組織づくりの根幹には、設楽社長の人を人として尊重する姿勢、社員を信じる姿勢、正直に向き合う姿勢、、、そう!
「低姿勢」
これこそが設楽社長の最大の魅力なんだろうなと。
だからこそ、一人ひとりの職人さんたちが自律し、そしてヒロワークスという場所をみんなで守ろうという思いで結びついている。そんな気がしました。
最後にみんなで記念撮影。
いつか「手放すビル」を建てる際にはぜひともよろしくお願い致します!