AFRIKA ROSE新旧代表と語る Well-beingな代表交代の進め方
アフリカローズ創業者の萩生田愛さんは、こうした想いをもって2012年に事業をスタートしました。
現在、広尾店、六本木ヒルズ店、そしてオンラインストアで、ケニアから輸入した生命力溢れる世界最高品質のバラの花束やバラ関連グッズを販売。多くの人に愛されています。
ところが、今年3月、萩生田愛さんは代表権を手放しました。
強い想いやビジョンを持っていたはずなのに、どうして?
誰に、どうやって引き継いだの?
創業者が代表でなくなっても、
想いは継がれていくの?
スピーカー 萩生田愛さん 株式会社Asante (AFRIKA ROSE)創業者
◆プロフィール
1981年生まれ。東京都出身。大学卒業後、大手製薬会社勤務を経て、2011年ボランティアでケニアに渡航。小学校の建設支援をする中で学校をつくっても学校に通えない子どもがいることを知る。ケニアの失業率は当時40%、家計を支えるために子どもが働かなければならない現状を目の当たりに。援助や支援ではなく、雇用をつくるフェアトレードという形で2012年、ケニアに力強く咲く生命力溢れるバラの輸入、及びオンライン販売を始める。2015年10月、広尾にAFRIKA ROSE路面店を出店。2018年、第一子出産。2019年4月、AFRIKA ROSE & FLOWERSを六本木ヒルズ内に出店。著書:AFRIKA ROSE 幸せになる奇跡のバラ(ポプラ社)
スピーカー 田中秀行 株式会社Asante (AFRIKA ROSE)“新”代表取締役
◆プロフィール
1979年、埼玉県出身。大学卒業後、金融業界在職中にフランスに留学。
2012年にフラワーデザイナーとして独立。2013年、萩生田の思いに共感しプロボノとして関わる。
2015年、株式会社Asanteの取締役に就任。現在、株式会社Asante取締役、兼、フラワーデザイナーを務める。
スピーカー 武井浩三 AFRIKA ROSE取締役/社会システムデザイナー
ダイヤモンドメディア株式会社創業者、(一社)自然経営研究会 発起人/代表理事、(一社)不動産テック協会 発起人/代表理事、ホワイト企業大賞 企画委員会 委員 手放す経営ラボラトリーCPO
2007年にダイヤモンドメディアを創業。
経営の透明性を徹底的にシステム化した独自の企業文化は、「管理しない」マネジメント手法を用いた次世代型企業として注目を集めた。現在は、創業した会社を自ら手放し、ティール組織・ホラクラシー経営等、自律分散型経営の日本における第一人者としてメディアへの寄稿・講演・組織支援など多岐に渡る活動を行う。2019年10月手放す経営ラボラトリーにCPOとしてジョイン。
モデレーター 坂東孝浩(手放す経営ラボ所長)
大学卒業後から、一貫して大企業~ベンチャー企業まであらゆる組織の課題解決に携わってきた。その数800社以上。しかし、時代や環境の変化が激しさを増してくるとともに、研修や採用ブランド力向上などの手法では根本的な課題解決ができないと感じ始めた。そこで、手放す経営ラボラトリーを設立。最先端の組織や経営スタイルを研究、自社でも“手放す経営“を実践している。
現在は新しいカタチの組織デザインと、組織改革の実行支援を通じて全国のクライアント企業のサポートを行なっている。
なぜアフリカのバラを日本で?その思いとは!?
坂東:アフリカローズは事業だけじゃなく、理念や思いが素晴らしいなと思ってます。
武井浩三さんが(以降:たけちゃん)が数年前にアフリカローズの経営メンバーに加わって、組織作りや経営のアップデートをやってきた。
私も少し聞いてはいるんですけど、今日はどんな課題があって、どうやって解決していったのかという話を聞いてみたいと思います。
まずは、田中さん(以降:ひでさん)会社の事業についてお話いただいてもいいですか?
田中:田中秀行です。よろしくお願いします。
アフリカローズが何なのかという話の前に、そもそもアフリカ大陸を知らない人がいるかもしれないから、クイズを出したいと思います。
さて、アフリカ大陸はどこでしょう?
坂東:難しいこれ。
田中:武井さん、正解は?
武井:これ、正解言っちゃっていいですか?これ3でしょう。
田中:正解です。すばらしい。
武井:うちの6歳の息子でもわかりますよ。
田中:すごい優秀。
武井:にゃんこ大戦争ってゲームで世界地図覚えてるんで。(笑)
田中:なるほど、なるほど。じゃあ次、ちょっとこれ難しいかもしれないですね。
では、ケニアはどこでしょう。
坂東:どのエリアにあるかってことですね。私、お手上げでございます。
田中:これはにゃんこ大戦争で世界地図に詳しい、武井さん。
武井:はいはいはい、どうしましょうか?ちょっと怪しいかも。1です。
田中:正解は4です。
武井:やばいやばい。ちょっと実は僕行ったことないんだよね。
田中:でもこれでちゃんと覚えてもらえたのでよかったかなと思います。
赤道直下にケニアという国があるという感じですね。
これでケニアの位置がわかったと思います。
ここから、アフリカローズが何なのかというところと、バラが届くまでのアフリカローズの取り組みをお話しします。
アフリカローズは、もっとアフリカのバラを世界へ、もっと笑顔あふれる世界のためにっていう、テーマの元、2012年から始まったんですけれども、2013年に法人化をして2015年に、アフリカローズの広尾店ができました。
そのタイミングで、元々「アフリカの花屋」っていう名前だったんですけれども、リブランディングをして、「アフリカローズ」という名前で再スタートしました。
創業者が萩生田愛さんです。
愛さんが、ケニアにボランティアに行ったのが創業のきっかけだったんですが、ボランティアという形でずっと関わり続けるのが果たしていいことなのか?というふうに疑問を感じて、自分たちができることはないかっていうところで現地のバラに注目しました。
僕らがバラを輸入すればするほど現地の雇用が生まれる。そして日本の人にはバラを通じて豊かな心をお届けできるという思いでスタートしました。
アフリカローズがどのように運ばれてくるのかを簡単に説明したいと思います。
ケニアから日本へ空輸で届きます。空輸で約17時間。
空港のあるナイロビから3時間ほどのところにナイバシャ湖があってこのエリアにバラ農園があります。
現地のビニールハウスは、日本のビニールハウスが10棟ぐらい繋がっているようなサイズで、もう膨大ですね。
坂東:ケニアは暖かいんでしょ?
田中:ケニアは赤道直下だから日中は温かいんですが、朝晩は寒暖差があります。
武井:標高が高いんです。
坂東:ひでさんは行ったことがある?
田中:あります。このバラ農園では2000人の正社員が働いていて、約8割が女性です。
坂東:このバラは世界中に輸出されているんですか?
田中:そうです。小さな苗から植えられて収穫できるまで約半年。
萩生田:分業制です。区画ごとに1人が責任を持って苗を植えるところから収穫をするところまで管理します。
田中:素晴らしい笑顔の女性たちが、イキイキと働いています。
僕は笑顔がひきつりがちなんですけど、ケニアの方は心から笑ってる感じなんですよね。
本当に愛情を込めながら、育てているのが伝わってくるんです。
スタッフさんたちがすごく楽しそうに働いていて、バラを収穫したら、一つの束に集める作業をやるんですが、ガンガンに音楽かけて、なんなら踊りながら仕事していて。本当に楽しそうなんですよね。
バラはカットされると、ある程度低い温度で管理する必要があるので、しっかり梱包しながら輸入に向けて準備をしています。
田中:これはトラックです。これに乗せて空港に運びます。こうやって空港に集められて世界中に運ばれていきます。
坂東:ケニア産ってすごいブランド価値が高いんですよね。
田中:そうですね。本当に高品質のバラが育てられています。
そんなバラを販売しているのが、トークライブの会場である広尾本店と、六本木ヒルズ店。
シングルマザーが多いケニアでは女性の社会的自立はすごく大事なことなんですが、バラ農園で働いてる方たちの子供も、私立の学校に通わせる人がちょっとずつ増えてきています。
アフリカローズのSDGs
田中:僕らは、貧困問題、エネルギー問題など、ただ単にバラを運ぶことだけじゃなく、他にもいろんな活動をしているということを少し見て頂けたらと思います。
一つ目はバラを輸出することによる、現地雇用の創出です。
二つ目は、カーボンオフセットの導入なんですが、僕らは空輸でバラを輸入してるので、その間にどうしてもCO2が発生してしまうんですよね。
坂東:移動するときに?
田中:はい。空輸で来るんでね。17時間。
そもそも駄目じゃんっていう話になったら僕らはビジネスできない。
だから、それをどうやってオフセットしていくかということを愛さんを中心に考えました。
そこで、カーボンオフセットを導入したんです。
この取り組みを僕らだけでやってもよかったんだけど、お客さんと一緒に取り組んでいこうということで、任意なんですが、バラ1本購入につき5円をいただいて、ケニアの植林に繋げています。
坂東:おお。これはほとんどの人がやってくれるって聞いたんですけど。
武井:バラ1本を日本に持ってくると、手元に届くまでCO2が1.4キロぐらい出ちゃうんですけど、そのCO2をゼロにするにはどのくらい木を植えたらいいかっていうのを逆算して植林するコストをお客さんにも負担してもらおう取り組んでいます。
このことを店頭に来たお客さんにお話すると、むしろ多めにお金を置いていく方が多いんですよね。
実際にあったのが、あるお客さんが5000円の花束を買った後、その話を聞いて「あんたたちいいことやってるね。それじゃこれ置いてくわ」って、花代とは別に1万円寄付していただいたんですよ。
消費税8%が10%になるとみんなブーブー言うじゃないですか。
だけどいいことにはみんな払いたくなるって、これ愛なんですよね。
さらに、お店からも寄付を上乗せをして、毎月ケニアに平均して20本ぐらい。
今まで累計で植林400本分ぐらい寄付しました。
坂東:何割ぐらいの人が共感して、寄付してくれるんですか?
田中:9割ぐらいはやってくれてますね。
坂東:すごいですね。実は僕、たけちゃんからそういう逸話を聞いてから毎回葛藤してるんですよ。
釣りはいらないぐらいの感じでやりたいんだけど、なんかそれをやる勇気がないし、恥ずかしくてできないんですよね。1本5円って言われた分は払えるけど、それ以上っていうのは・・・。(笑)
田中:(笑)できることをやっていただければ良いと思ってます!
その他にエコバックとか、再生エネルギーを使用するとかいろいろやってるんですけれども、最近は、住友林業さんと協力して行っていることがありまして。
住宅を作る時に出る端材を使ったプロダクト花瓶を作ったりしています。
ただ単にバラを輸入して売っているだけじゃなくて、その他にもいろんな取り組みをしているのがアフリカローズです。
そんな思いがありながら、僕らの活動をして、2012年からもう約10年間活動しています。以上です。ちょっと長くなっちゃった。
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