■社員全員で話合い、社員全員で経営している。
■社長の給与も社員に決めてもらっている。
■誰か1人に責任を負わせる文化はない。
■会議への参加は自由、退席も自由。
■常勤以外にもWワーク(副業)、パラレルワーク(複業)など、多彩な働き方が選べる。
■成長するもしないも、自由
といった、一般常識とはかけはなれた経営スタイルを実践している、有限会社せれくとの代表取締役、木元秀典さんに話をお聞きしていきます。 木元さん曰く「社長の管理人」だという、泥谷 佳織(ひじやかおり)のツッコミも入りながら、楽しく刺激的な会話が弾んでいます!
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■デジタルトランスフォーメンション時代の組織デザインプログラム「DXO」
■手放す経営ラボラトリーでは、“ティール”“ホラクラシー”など進化型組織や最先端の経営スタイルを研究。また自社でも実証実験を重ねており、その様子をYouTubeやコラムでお届けしています。 また、組織をアップデートしていきたいという企業の支援をしています。
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木元:働き方の考え方の中でパラレルのタスクとシングルのタスクでいうと人間の脳って基本シングルタスクやってる時の方が圧倒的にレベルが高いじゃないですか。脳科学的に。なので、自分の働き方の時はシングルタスクの組み合わせをどういう風に段取りするかだと思うんですけども、それを考えた時に、新卒で何も知らない人が色んな仕事を経験することによって集中力の欠如になって、結局そいつの成長伸びないんじゃないかみたいな怖さは最初あったんです。
坂東:そう思いますよね、一般的には。
木元:すごいあったんですけども当時新卒メンバーからアルバイトをしたいっていう相談を受けて、深刻な顔してくるんですよ。木本さんお話がありますって。当時まだ社長らしい社長だったんで。比較的ね。比較的社長に近い生き物だったので、大体社長お話がありますって言うときってろくな時がないじゃないですか。聞かなくていいじゃんくらいの勢いで。
坂東:残念だけど、さよならがんばってね、みたいな。
木元:そしたらバイトしたい、将来の夢とかに向かってお金貯めたいのと、もともと昔バイトしてたところが人不足で助けて欲しいって言われているのと重なってみたいな話だったんで、それ相談された時にふとこいつの人生にとってはいいことだなって思ったんです。
坂東:その社員の方の人生にとってはせれくとにとってはどうかは置いておいて。なるほど。
木元:いいことだなと思った瞬間にオレは何を恐怖してたんだろうっていうのがちょっと。こいつにとっていいことならやるべきでしょみたいな。あら?オレの器が小さかっただけかって気がつけたみたいな。
坂東:器ですね。
泥谷:いいこといいますね。
木元:自分の器の小ささに気がつく旅ですよ、これは。
坂東:旅なんですね。笑 その器小さかった旅を振り返りたいんですけども、その前にあと2つ特徴について特にユニークだなと思ったのが会議に参加してもいいし、退席も自由、勤怠も自由ってこととか、あとは成長するかどうかっていうのも自由だと。成長を強制しない。そういったこととかはかなり一般的な会社からすると常識的ではなくて、それって奇跡の経営っていう本で、私も書いてあるのをみて、これはありえないだろ!って僕はその時思ったんです。
木元:僕も最初読んだ時思いましたよ。むちゃくちゃ書いてんなコイツって。
坂東:でも、やった?
木元:楽しそうって思っちゃった。そっちの方が楽しそうって。
坂東:木元さんにとっては管理を手放すっていうことのきっかけは奇跡の経営っていうリカルドセムラーさんが書いた本がきっかけだったんですね?
木元:はい、そうです。
坂東:で、色々な今いったような特徴を自分なりにつくってこられたっていうことなんですけど、そこに至る過程でけっこうやっちまった失敗があったと。それについてお聞きしたいんですけど、大きく2つあったってwebにも書かれていて僕もお話聴いたんですけど、社員が9割辞めちゃったということについてはこれは奇跡の経営的なやり方をやるぞって言った後の話ですか?
木元:社員が1人を除いて全員いなくなった経験が3回あるんです。1回目は奇跡の経営とか関係なく、単純に謀反が起こったと。若かりし頃ですね。
坂東:20代ですか?
木元:そうですね。もう経営のなんたるかも全然訳分からないままにただただ試行錯誤していた時期に、要は何も情報を把握しないままに任せきって、トラブルも把握できずに最終的にはそれによって自分たちの欲にばっかり目がいくような環境が作られてしまい、欲に任せての謀反が起こった。
坂東:それが1回目?
木元:1回目。で、2回目は今度奇跡の経営に出会って、本を読んだ後に、深く理解もせずにみてみてこれ!会社に来てるやつはみんな大人なんだから余計なこと管理しなくていいんだよ、好き勝手やらせておいたら会社ってうまくいくもんさって書いてるよ、オレもそう思いたい。だから、今までのやり方を一気に変えたいと思う。って言ったら、シーン。
坂東:あれ?あれ?と。笑
木元:当時右腕だと思ってたずっと一緒にやってたメンバーからそんなアホなことやったら明日から誰も会社に来ませんよ。バカなんですか?的な発言をいただきました。
坂東:それで実際辞めちゃったんですか?
木元:とはいえ僕はこっちに行くってことをずっと言い続けてたら、周りの人が不安になったんでしょう。1人辞め、2人辞め、と気づいたらお前一人しか残ってないねと。で、その後の少数の形で残った人とパートさんと僕とみたいな3人だけで回してたんですけれども、経営っていういわゆる会社、人が集まる、働くための場を作るって、坂東さんもやられてるから分かるように、頭のおかしいやつにしかできない仕事だと思うんですね。自分が食っていくとか、自分自身を高めていくっていうためだったらそれこそどんな世界でもプロのピンで立っていく世界っていくらでもあって、その方が稼ぎやすいしリスクも少ないし、自由度も高いし、人とやるってことはその分自分に負荷や責任を背負うシーンがいっぱいでてくるし、こういうきちがいな選択肢が取れる人って、そもそも世の中でそんなに数がいないんだぞって僕の先輩に言われましてですね。経営するって決めた奴は頭おかしいから、でもそういう奴らが会社作っていかないと世の中で雇用っていう場がなくなっていくだろう。もう1回きちがいの道に足を踏み込んだとしたらきちがいの方を通していかないと社会貢献ではない!って言い切られてですね。それはそうだなと。
坂東:納得したんですね。
木元:納得して。誰が好き好んでこんな道辿るねんなぁっていう。笑
坂東:好き好んでいるわけじゃないんですね、木元さんは。
木元:でも、結局じゃぁ、経営とか雇用やめたいの?って自分に問うた時にいやそんなことはない。むしろ雇用はしたいわけです。だから、雇用っていう新しい形を模索したいわけであって、雇用を辞めたいわけではない。
坂東:なるほど。新しい形の組織づくりを模索したいと。
木元:と、気がついたのでとりあえずその時よく分からないままに中途で実績あるとか経験多い人っていうのをかき集めたら、何か会社加速すんじゃね?みたいなイメージで、かき集めたんですよ。ただ、根本的に自分の欲に目がいく環境づくりになっているんでしょうね。僕がその当時やっていたことっていうのは。なので、結局そこでもっと大きな謀反が起こるっていう。
坂東:おおお!謀反ですか。。
木元:謀反です。分かりやすくいうと木元を辞めさせて、乗っとっちゃって、木元の給料になっている分を自分たちで分配したとしたら、俺たちもっと豊かじゃね?という話が進行しちゃったわけです。学んだことはそこで大きく2つあるんですけれども、1つはやっぱり誰がどんな仕事を担っているのか?っていうチームの責任のシェアってやっぱりオープンにする必要ってあるな。言うたら、僕が何やってるかみんな分からないので、追い出しても大丈夫だ。日常業務自分たちで回しているしって思うわけです。
坂東:木元さん何もやってないんじゃない、大丈夫だよねみたいなことになってるってことですよね。
木元:そうです。簡単に言うと僕が担っている部分は僕しか担っていなかったんで、それが普段のビジネスの運営上どれだけ重要か、そんな仕事があることすら知らない。
坂東:経験したこともないでしょうからね。
木元:っていうのともう1つは、その時に数字見せろって言われたんで、全部数字をオープンにしたんですね。ところが読める力がないのでそもそもPL,BS,CFの違いすらわからない人たちにフルオープンにしたところで読めるのは売上高と書いてあるところとか役員報酬って書いてあるところとか何となくみたら分かるようなところしか見ないわけなんですよね。で、そこに個人事業主で廃業したとか、そういった人とかもいたので個人事業主もレベルにもよりますけど、基本BSの観点あまりないじゃないですか。ということは、PLの中の都合のよいところしか読めないというレベルでそうすると僕がいる場だと見にくいだろうから、って言って当時税理士事務所の担当の方が質問に答える形で公開したんだけど、その税理士事務所の担当の人から僕のところへ後で電話があって、何も分かってないですねあの人たちって言うような話があったぐらいのところだったんですけども、もう動き出したものは自分たちの欲に目がくらんで動いたら一旦そこへ行くんだなと。あれはあれで結束力が高かったなと。一丸となってんな、すげーなみたいな。っていう謀反がございまして。それがあって3回あったと。
坂東:すごい。
木元:3回もあるっていうことは僕はその間、一番大事なこと何も学んでなかったということなんです。
坂東:なるほど〜。
木元:順番があるってことですね。物事には順番があって、順番通りを辿らなければ違うものができあがる。同じ構成物があったとしても。例えば、だし巻き卵を作りたいと思って、卵があります。砂糖があります。おだしがあります。フライパンがあります。油があります。じゃぁ、最初にフライパンの中で油と砂糖を混ぜましょうか。先に卵をからがついたまま焼いてその後割りましょうかって絶対だし巻き卵できないじゃないですか。
坂東:材料が揃ってても順番が違うと思ってたのができなくなるという話ですね。
木元:できない。だから、自主経営と呼ばれてるものを本気でやろうとすると辿るべき、整えなきゃいけない最低限の順番ってあるな。
坂東:それをやりたかったんですね?1回目は別として、2回大きな謀反があってもだけど、まだやりたかったんですね。奇跡の経営的なスタイルを。
木元:そうですね。やめるっていう選択肢が思いつかなかった。
坂東:相当変わってますね。
木元:3回目の謀反の後に残っていたスタッフからもう雇用とか辞めて少人数でやりません?って1回言われたんですよ。
坂東:その方が木元さんの能力も活かせてより稼げますよね?
木元:で、その時なんで?って思った。笑
坂東:おかしい!親切に言ってくれてるのに!笑 なんでって。
木元:ちょっと意味がわからないって。
泥谷:そのときいたスタッフさんも疲弊してたんですよね、きっとね。木元と一緒に。
坂東:残った唯一の人でしょ?そりゃ辛いですよ。傷ついているでしょうし。教えちゃ辞め、教えちゃ辞めの繰り返しだったって言ってましたもんね。
坂東:泥谷さんはまだその時入ってない?
泥谷:入ってないんです。伝え聴いている感じです。
坂東:あぁ、そうなんですね。なんで?って思ったんですね。うんうん。自律分権型の組織にしていきたいと。でも、作り方の順番が違ってたらしい。分かってなかったらしい。なぜ、自律分権型をそこまでしたかったんですか?
木元:まぁ、単純なる個人の欲ですよね。
坂東:木元さん自身の?
木元:僕の欲ですね。邪魔くさいじゃないですか、管理してあげなきゃいけないって。面倒くさいというか。自分の能力がそこにないにも関わらずそれを求められても困るな。
坂東:自分の能力がないということはうすうす分かってた?
木元:うすうすじゃなくて明確に分かってました。
泥谷:スタップを組んで丁寧に教えるというのがすごい苦手なんですよね。
坂東:そうなんですね。
泥谷:Aという地点に行くまでの階段を小さく作って、登ってあげるためのサポートするみたいなのあんま得意じゃないですよね。いきなりこの階段のところ言っちゃう。
坂東:得意不得意がはっきりしてるんですね。逆にいうとこれはひじやさんにお聞きしたいんですけど、木元さんの特徴っていうかいいところとか。できるところ。
泥谷:できるところですか!?得意という表現がいいかわからないんですけど、ブレないですよね。ずーっと目指してるものに関して一貫性っていう言葉だとちょっと違うんですけど、空に北極星がずっと光ってる、金星が光ってるのと同じで、そこの光に関して向かっていく姿は絶対ブレない。で、行く方向とかツールとかは変えたりは都度してるし、模索試行錯誤ずっとするってありますけど、そこに向かってるっていうことが絶対諦めてないとか。それ以外の選択肢がないみたいな。なので辞めない?って言われたときに、なんでってなる。マグロが止まれないのと同じで、それ以外の選択肢ってないよねって言う揺るぎない道みたいな目指すものをずっと持ってる感じがするのと、デリケートなんですけど、すごく。うちの会社10人ちょっとくらいの会社ですけど、圧倒的に木元が一番傷つきやすいです。その次がちょっと離れて私だと思うんですけども。すごく傷つくし、すごくデリケートに人のことを思ったりするんですけど、不器用でダメージも受けるんだけど、絶対折れない。目指してる金星に向かってっていうところだったりとかが、明確だなぁっていうのがすこぶるリスペクトしてますね。
坂東:すこぶるですね!
泥谷:で、分かりづらいし、不器用だけど、メンバーのことだったり、自分が仲間って思ってる人に対しての信頼だったりとか、愛情のかけ方みたいなものがうわっつらじゃないところが、私は生きてきた中で、木元さん以外知らないですね。
坂東:それが伝わってくるんですね。
泥谷:はい。下手なんですけど。大事なところで下手なんですけど、根底にあるものは絶対そこっていうのが私は個人的にはすごく感じるので稀有な存在だなっていう風に思ってますよ。
坂東:嬉しいですね。こうやって分かってくれる人がいるって。デリケートで不器用で、しかもゆるぎない信念持ってるから突き進んじゃって、社員が1人除いてやめちゃうことを3回繰り返して、普通は何じゃこの変態は!って思われながらも、だけど、目指すところが決まっていて、傷ついているというのはパッと見は分からないんですか?
泥谷:良く分かるんです。周りの人はちゃんと分かってるんです。新卒、高卒メンバー。なんですけど、本人が傷ついてないって言ったりするんですよ。
坂東:分からないんじゃないですか、本人が。傷ついているのが。人と比較ができないんですよ。
泥谷:そーかもしれない。人に焦点当てたりしませんもんね、あんまり。自分が望むものに向かって突き進んでいる気がする。あの人がどうだっていうのは基本的にあまりないような感じがしていて、人がやってることを自分がやる必要はないって思ってますもんね。
木元:うん、今はね。
坂東:あとは、デリケート具合って人と比較がしづらいんで。自分の方がデリケートだなとか思える機会がないんで分からないっていうのはあると思いますよ。
泥谷:うちの会社の中では分かりやすく順位がついているんですけどね。
坂東:それいいですね。慮ってくれる。
泥谷:ご自身はあまり認識してないし、納得はしてないと思うんですけど。
木元:納得してないというか、デリケートかどうかっていう基準は僕の人生に必要な尺度ではないので、いらないっていう。
泥谷:会話が通じないんですよ 笑 困ります。坂東さん。そんな感じですね。あとはちょっとバカなのかな、というところに近しいのと、敬意をこめてですが、小学校2年生みたいなタイプです。好奇心に満ち溢れていて、楽しいことに突き進んでいくワクワク感みたいなものとか。でも、小学校2年生の男の子ってちょっと空気読まなかったりするじゃないですか。おーい!みたいなのとかも、よくあるっていう。
坂東:楽しいの見つけたら一目さんにそっちかけてっちゃうみたいな。
泥谷:でも、そういう風にしてる方が木元さんがすごく活きるって思うのと、木元のパフォーマンスが発揮されることって価値だなって思ってるので、その環境づくりに寄与したいなって思うし、それが発揮されることが企業さんにとっても重要な要素になるかなという風にはうちのメンバーは思ってると思うので、そういう環境づくりを意識してる人が多いんじゃないかなとは思いますね。
坂東:なるほどね。