ブックレビューでは、みなさんの組織をアップデートしていくのに役立ててもらえるような書籍を紹介していきます。 今回はこの「自然経営」を名著だと絶賛する、石野 慧太さんと共にお届けしていきます。
書籍はこちら 「自然経営 ダイヤモンドメディアが開拓した次世代ティール組織」 武井浩三/天外伺朗 著(内外出版社) https://amzn.to/3kvyYye
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坂東:あとはさっきいっしーさんが言ってくれた自己組織化していくための3つの要素、情報の透明性、力の流動性、感情と境界の開放性。この3つをうまくつくっていくとセルフマネジメントが生まれていくと、生命体のようにしなやかな組織になっていくよっていうことですよね。その言葉について僕らなりに分かりやすくしてみましょうよ、ここで。
石野:ここで!笑。僕はけっこう分かりやすいって思ってるんですけどね。
坂東:まず1つ目の情報の透明性。これは分かりやすいよ。情報をオープンするっていうことがすげー大事だと。情報がオープンにならないと主体性、当事者性が育まれないんだという風に言い切ってますね。これは確かにそうだと。2つ目の力の流動性。これは何だと。
石野:これは、特に面白いなと思ったテーマは、権力とは何か?という政治の分野ぐらいでしかなかなか考えなさそうなテーマに思えることですけど、組織における権力をできる限り無効化したいってテーマから、権力とは何か?というところを探求されたのが載っていて、僕はそこにすごく感銘を受けたんで、そこだけでもみんなに読んでもらいたいなって思うぐらいなんですけども。
坂東:力の流動性っていうけど、力っていうのは権力ってことよね。会社の中での権力が誰かとか、役職とかに固定化しているんじゃなくて、もっと分散していたり、柔軟に移動したりするっていうことができるっていうのが大事だよという風に言っていて権力っていうのは決裁権と人事権だと。決裁権と人事権を流動させていく。分散させていくってことよね。それがすごい大事だということなんだけど、そう言われると何となく意味としては理解できるんだけど、どうやってやるのかってのがすごい難しいよね。
石野:そこは、結構武井さんも頑張って現行の法の中でどうできるのかという葛藤もリアルなところも書かれているのがある種、綺麗事だけで終わらせてないところがすごいなって。
坂東:ティール組織の本の中で書かれているセルフマネジメントっていうのが武井さんでいうと力の流動性。決裁権と人事権の偏りをなくす。っていうかそれそのものを組織の中からなくしてしまう。無くした中で運営していくと。どうやって?みたいな。笑。誰が決めるの、みたいな。いや、誰がとかじゃないんですよ。え、じゃぁ社長何するの?みたいな。社長と社員とかそういうのあんま考えてないんですよね、みたいな。えー?みたいないうやつが、とりあえずえー!と思っておいてもらって、今ここでは。あとはこの本を読むとプロセスから何から分かってきますね。なるほど、そういうことかと。あとは、結構なページを割かれているのが給料の決め方。給料もオープンにしてるし、給料誰が決めるっていうのも決めていないんで、話し合いで決めたりしてるんだけど、それも一般的な企業に勤めている人は相当インパクトがあって、で、この本も講演録なんで講義を色んな人が聞いていて塾生からめちゃくちゃ質問というか、異論反論もいっぱい出てきてて、いやいやちょっと違和感ありまくりなんですけど、みたいな。いやいやおかしいでしょ、みたいにいうちょっと炎上しかかってるところとか、それがけっこう面白いなと。基本的に会社員の方は給料を誰かに決め続けられてきたから、それで生きてきた人が自分で決めていいよみたいなこと言われても、え!?ってなると思うし。どうしていいか分からない。
石野:そもそももらってる感覚も薄れてきますよね。口座に振り込みになると。
坂東:当たり前すぎてね。
石野:そもそも自分の時間という価値と対価の月給もらっている感覚も持たないじゃないですか。多くの人って。新卒から入っていくと。
坂東:なので、じゃぁどうやって決めるのって言われた時にめちゃめちゃあわあわしちゃうよね。
石野:少なくとも2段階くらいギャップありそうですよね。
坂東:そうよね。で、3つ目。感情と境界の開放性。これが一番分からない。これどういうことかしら?
石野:これ僕ちょっと本を読み込まないと適切なのは分からないですけど、境界っていうのはうちの会社の人と外の人みたいなの境界っていうのがあやふや、例えば、山田さんの例とか書かれてましたけど、社員なのかと言われると、社員じゃないんだけど、じゃぁ、他人かと言われると他人じゃないっていう。
坂東:週に1〜3日くらい来て組織コンサルタントされている方ですよね。武井さんの会社にも関わってるんだけど、どう関わってるかっていうのは色々あるんだけど、ぷらっとやってきた時にいらっしゃいませじゃなくて、お疲れ様ですとかおはようございますって言われるような感じだと。でも、社員ではないというような感じ。それが社内と社外の境界が曖昧になってる。開かれている。それから副業もOK。どんどんやって欲しいと。雇用契約も様々で、正社員もいれば業務委託もいて、それもどっちがいいとか悪いとかいうこともないと。いうようなところが1つ境界ね。社内と社外の境界がオープンになってる方が自己組織化していくんだよっていう話と、あともう1つ、もうちょっと物理的に社内のことで、部署単位でバシっと切り分けるとかじゃなくて、社内の雑談とか交流とかが自然と生まれやすいようなスペースを物理的につくると人だまりスペースって言い方を本の中ではしてましたけど、これは都市づくりに例えていて、すごく栄えている街っていうのは無駄な空間が結構あって、例えば、カフェテラスとか、人がたむろするスペースがあって、そういうところに自然と人が集まってきて交流されてネットワークができてきて街が栄えていくみたいなことを組織の中にも応用していて、それが部署と部署が完全にパシッと分かれていて業務的なやりとりしかしないみたいなことじゃなくて、人と人とが自然と出会って交流していく、同じ会社のメンバー同士が交流する場があったり、その中で雑談を通じてお互いの感情のやりとりもすると。感情の共有とか交換っていうのはすごい大事で、それが機械的な組織ではなくて、有機的な生命体のような組織になるポイントでもあるんだと。感情の交流とか人と人としての交流というのを社内もそうだし、社外ともどうやって豊かにしていくのかっていうことがすごい大事だっていうことを言ってるんじゃないかっていう風に僕は理解したんですけども、何でそれが大事なのかとか、じゃぁ、どうやってするの?感情の交流、じゃぁ、怒ったり笑ったりすればいいの?って。どうやればいいのとか何でみたいなハテナがけっこう出てくる人は多いと思うので、こういうこの3つをね。情報の透明性、力の流動性、感情と教会の開放生っていうのはそれぞれがすごく深くて、しかも、今までの既存の組織全然違うパラダイム考え方に基づいてるんで、これがけっこう色んなエピソードとか天外さんとか他のゲストとかとのやりとりとかそういうやりとりの中でプロセスを追体験する中で理解がけっこう深まっていく。そこはすごいいい内容だって思う。
石野:コンテクストの共有って武井さんもよくおっしゃると思うんですけど、ただこういう情報がですっていう図だけ見せられたっていうよりはこの図が生まれるまでのストーリーっていうのが書かれているので自分ごと化しやすい感じしますね。
坂東:拒否反応が起こる人もいると思うんだけど、その拒否反応っていうのは自分の会社だったら絶対無理だとか、そういう意味での拒否反応だと思うので、とにかく入ってくるっていうか。そういう感覚はティール組織というものとは全然違ったリアル感がありますよね。
石野:そうですね。ティール組織の書籍の中で、社員にうまく馴染ませていくために働いている上無意識に思っている前提について考え直させてみる対話を始めていくことのススメが書かれていたりするんですけど、この本自体もそもそもの前提を、自分はどういうものを持っているのか?を問い直していくのにすごくいい材料だと思ったので、何度も読むのをオススメしたい内容だなって思っていますね。
坂東:特にいっしーさんがこれ面白いなって思ってるところはありますか?
石野:けっこう今まで言ったところがまさにそれに当たるみたいなのはあるんですけど、生命体から組織を捉えた時にっていうところにまつわる色んな哲学、思想について書かれているのでそこの本質をすごい書かれているっていうところが一番惹かれているところですね。
坂東:本質ね。僕自身はこれ面白いっていうか、これがもちろん全てではなくて自然経営の本の中では武井さんは情報の透明性でとにかく給料を公開するってことがすごい大事で、そこをやらなきゃダメだっていう風に言ってるんですけど、確かにそこはすごい大事なんだけど同時に僕の考えは最もデリケートなところなので、そこを公開するのはかなりハードルが高い。そこから手をつけるっていうのはすべての会社には難しいと思う。色々やっていって最終的にそこを目指そうねっていう会社もあっていいし、会社によってステップの進み方も違うし、会社によっては公開しなくてもいいところがあっていいと僕は思ってますけどね。あとは武井さんが自分の会社のビジネスモデルにおいて、こういうやり方が合ってたんだという言い方をしていて、それも大事な視点だなと思っていて、だからやり方がすごい大事なわけでもないし、汎用性が高いわけでもないじゃないですか。ダイヤモンドメディアにおいてはこうだったけど、という1つの例としてしかも最初にいっしーさんが言ったように静的なものじゃなくて、試行錯誤のプロセスの中でこういうやり方に今はなってるよっていうことですもんね。そこらへんが理解できるとじゃぁ、どうしたらいいんだろう?っていうことがもっと自分の中で沸き起こりやすいんじゃないかなと思いますけどね。
石野:それこそ最近やっぱりティール関連の本も増えてきている中で、面白いのがそれぞれの特徴・良さがあって、いい感じに役割分担的に色んな個性があるなぁという風に思っているんで、僕なりにけっこう出てる本まぁまぁ読ませていただいた上で、先程の3つの観点、インフラの3要素っていうものをある程度土台で理解した上で関連本なども読んでいくと理解の仕方が変わってくるなっていう風に思うので、ポイントはやっぱり自分が気になった、面白そうだなと思ったところから手に取るのがいいじゃないですか。いきなり難しいところから読むよりも。で、その中で本気でものにしたいなというか、実践していきたいなと思った時に是非通った方がいい1冊なんじゃないかなと。もうちょっと読みやすいものとか色々他にも出てると思うので、それはどちらかというとよりやり方とか1つの現象面の切り取りがあるからそこだけにしてる部分があるので、分かりやすさが担保されてたりとかあると思うんですけど。
坂東:より本質的な考え方がこの本では学ぶことができると。
石野:そうですね。自分がその考え方になって、自分でその立場・考え方で設計していきたいと思ったときに必要な情報が詰まってるんじゃないか。それができるコンサルとかそういう方の相談にのってもらうんじゃなくて、自分の中にその要素を育んでいくためのバイブルというか、大事な手にとって置きたい1冊になりうるんじゃないかというのが僕の勝手な意見です。
坂東:なるほど。いっしーさんこと石野慧太さんと一緒にお送りしてきましたが、楽しかったです。ありがとうございました!
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